先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

【白老】高橋医師を語る講演も アイヌ文化フェス

2010-12-25 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2010年 12/24)

 アイヌ文化フェスティバルINしらおいが23日、白老町中央公民館で開かれた。アイヌ民族が伝統の儀式・踊りを演じ、民族の医療に力を尽くした故高橋房次医師を語る講演、生き様を描いた町民劇のビデオの上映もあった。
 フェスティバルの成功と集まった300人の安全を祈る儀式「カムイノミ」で開幕。ユネスコ無形文化遺産・アイヌ古式舞踊を中心とした演目が次々と繰り広げられた。
 若者グループ「チーム・ニカオプ」は、映像や文献を基に復元した道内各地のアイヌ舞踊、アイヌ民族博物館の担い手研修生と子供たちのグループは、クリスマスソングをアイヌ語で合唱した。衣装もかわいらしい。
 アイヌ民族博物館は四季折々のコタン(アイヌ民族の集落)の暮らしを物語仕立てで紹介。狩りに出掛ける場面では、男性が刀の舞・弓の舞を披露して勇壮さを表現する一方、女性は別れの寂しさを叙情歌「イヨハイオチシ」に込めた。
 高橋房次医師の生涯を描いた「いのちのしずく」の著者で、札幌市のノンフィクション作家川嶋康男さんは「人間 高橋房次の魅力を語る」と題し講演。経済的に苦しいアイヌ民族から治療費を受け取らなかったことなど、医師のエピソードを紹介し、「(アイヌ差別を)和人の罪ととらえ、自身も和人の一人として医療をささげることが贖罪(しょくざい)であると捉えていたのでは」と語った。
 会場では高橋医師の遺品や写真が展示された。医師を題材にした町民劇のビデオ上映も。訪れた人々は没後50年の高橋の人柄に触れていた。
http://www.tomamin.co.jp/2010s/s10122402.html

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アイヌコタンのシュバイツァーしのびフェス 白老

2010-12-25 | アイヌ民族関連
(北海道新聞 12/24 15:03)

 【白老】アイヌ文化に親しんでもらおうと、「アイヌ文化フェスティバル」(実行委、アイヌ文化振興・研究推進機構主催)が23日、町中央公民館で開かれた。今年が没後50年で、アイヌ民族の医療に一生をささげた高橋房次の生涯について語った講演や、古式舞踊が披露され、詰めかけた約400人がアイヌ民族や文化への理解を深めた。(門馬羊次)
 講演は、房次を題材にした著書がある札幌在住の作家川嶋康男さんが行った。房次は白老のアイヌコタン(集落)で貧困家庭から治療費を取らずに診療するなど「コタンのシュバイツァー」と呼ばれ、川嶋さんは講演で、10キロ以上離れた集落に週に2度も歩いて往診に通ったエピソードなどを紹介。差別に怒り平等な医療に尽力したことなど「房次さんの行動力は大いなる遺産」と強調した。
 またフェスでは、古い映像などをもとに古式舞踊を再現している若手グループ「チームニカオプ」が道内4地域に伝わるタプカラ(踏舞)を披露したり、白老民族芸能保存会もイヨマンテリムセ(クマの霊送りの踊り)を演じて、会場から大きな拍手が送られた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/265893.html

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白老でアイヌ文化フェス、高橋医師の没後50年を記念

2010-12-25 | アイヌ民族関連
【室蘭民報 2010年12月24日(金)朝刊】

 アイヌ文化フェスティバル(アイヌ文化振興・研究推進機構など主催)が23日、白老町中央公民館で開かれ、アイヌ民族への医療活動に尽力し、白老町の名誉町民第1号となった高橋房次医師(1882―1960)の没後50周年記念として、講演や展示が行われた。
 ノンフィクション作家・川嶋康男さんが「人間高橋房次の魅力を語る」をテーマに講演。「相手の尊厳を損なわないで、立場をわきまえ関わり合うことが房次さんの哲学」「白老の人たちは奇跡ともいえる房次さんを迎えられて幸せだったのではないか」と強調。
 「魚の差し入れがあると自分で調理し、患者を招き入れて一緒に酒を飲んだ。ただし夜往診に行けるように決めた量しか飲まなかった」と執筆取材で得たエピソードも紹介した。
 ロビーでは高橋医師の写真や所蔵の文献、愛用のマフラー、名誉町民のメダルなどを展示した。
 ステージでは、アイヌ文化を学んでいる伝承担い手5人と子どもたち十数人がアイヌ語で「きよしこの夜」「ジングルベル」などクリスマスの歌を披露、大きな拍手を受けていた。
 開会式では「民族共生の象徴となる空間」が白老に地域選定されたのを受け、加藤忠北海道アイヌ協会理事長は「先住民族への新しい政策の具体化が期待されている」、飴谷長蔵白老町長は「アイヌ民族博物館の国立化を国、道にお願いしている。町民、北海道全体で取り組まなければならない」とアイヌ政策の振興に期待を込めた。
(富士雄志)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2010/12/24/20101224m_08.html

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東北弁で演じる「オセロ」

2010-12-24 | アイヌ民族関連
(読売新聞2010年12月23日 )

稽古でオセロとその妻を演じる俳優(12日、仙台市青葉区で)  「この、ほでなす(ばかもの)」「ちゃっこい(小さい)舟さ集めろ」「しんぺ(心配)でござりすな」――。シェークスピアの名作を東北弁で演じる仙台市の劇団「シェイクスピア・カンパニー」が23日から、約5年ぶりの新作「アトゥイ・オセロ」を上演する。4大悲劇の一つ「オセロ」を元に、舞台を幕末の北海道へ置き換えた意欲作。稽古場では仙台弁や南部弁など、東北地方の方言のセリフが飛び交っていた。
 「オセロ」はイタリアやキプロス島を舞台に、黒人の将軍オセロが部下にそそのかされて美しい白人の妻を、浮気を疑って殺害するが、妻の無実を知り、自ら命を絶つ悲劇だ。新作名の「アトゥイ」とはアイヌ語で海を意味し、オセロはアイヌ民族、妻は仙台藩の娘に置き換えた。
 劇団を主宰する下館和巳・東北学院大教授(55)は英国留学中、役者が出身地の方言を使ったシェークスピア演劇に接し、「方言だからこそ生き生きとした感情表現ができる」と考えた。
 例えば、劇中でオセロが妻を殺すことを決めた時、1人で繰り返してつぶやく有名なセリフ「このためなんだ……」は、「んだがらだ……」となる。
 93年に同劇団を旗揚げし、これまで7作品を上演し、新作の発表は「破無礼」(ハムレット)以来、約5年ぶり。その上「オセロは愛の悲劇の最高傑作。もろく崩れやすい愛の本質をしっかりと描きたかった」と構想にも時間がかかった。
 「シェークスピア作品を身近に感じてもらいたい」と下館さん。オセロ役で青森県八戸市出身の?守勇さん(39)は「久々の新作だが、方言が体にしみこんでいるので演じやすい」と意気込んでいる。
 公演は26日まで。仙台市青葉区のエル・パーク仙台で。問い合わせは劇団事務局(090・5840・1103)。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20101222-OYT8T01147.htm

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あす「アイヌ文化フェス」 白老

2010-12-24 | アイヌ民族関連
(北海道新聞 12/22 14:12)

 【白老】アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌)などの主催の「アイヌ文化フェスティバル」が23日午後0時半から、町中央公民館で開かれる。アイヌ民族の医療に一生をささげた医師高橋房次の没後50年記念の講演など多彩な内容だ。
 今年で5回目。講演は午後1時45分から、高橋の生涯を題材にした児童書「いのちのしずく“コタンの赤ひげ”高橋房次物語」の著者で札幌在住のノンフィクション作家川嶋康男さんが高橋の魅力を語る。
 このほか、白老民族芸能保存会やアイヌ民族博物館、若手伝承グループが白老や道内各地の歌や舞踊を披露する。来場者には伝統楽器ムックリ(口琴)のプレゼントや伝統工芸品の抽選会もある。いずれも無料。
 当初、予定していた札幌の劇団やまびこ座による人形劇は中止となった。(阿部里子)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/265648.html

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白老・ポロト湖に冬本番、冷え込みで湖面結氷

2010-12-24 | アイヌ民族関連
【室蘭民報 2010年12月22日(水)朝刊】

 白老の明鏡、ポロト湖が数日来の冷え込みで21日までに結氷した。年明けのワカサギ釣りやスケートリンクオープンの早期開始が期待される。湖畔のポロトコタンではサケ薫製作りに向けた寒干しの秋サケが約3500本並んだ。本格的な寒波到来を告げる冬景色が観光客の目を楽しませている。
 1周約4キロの湖面はほとんど氷に覆われた。これから氷の厚さが増し、さらに冷え込むと、氷の膨張によって「キョーン」「ピョーン」という音が湖畔に聞こえるという。
 風物詩のワカサギ釣りは1月6日に解禁を予定している。白老観光協会によると、氷の厚さ20センチ以上を解禁条件にしており、今後の寒さ次第。昨季は1月9日から3月7日まで営業、約4千人が訪れた。
 道内でも珍しい天然湖のスケートリンクは1月中旬から2月中旬にかけて開業予定。昨季のオープンは1月16日だった。
 ポロトの味覚として全国にファンを持つサケの薫製「サッチェプ」作りに向け、アイヌ民族博物館職員が白老沖で捕れたサケの寒干し作業に取り組んだ。
 内臓を取り出し、塩をまぶして水洗いした雄サケを2本1組にしてチセ(わらぶきの家)そばのやぐらの横木などに約3500本つるした。
 1カ月半から2カ月寒干ししたサケは、チセ内につるし、絶えることなく燃えるいろりの煙であめ色になるまでいぶす。4月下旬から発売するという。
(富士雄志)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2010/12/22/20101222m_08.html

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劇団文化座:新作「銀の滴」を公演--池袋・あすまで /東京

2010-12-24 | アイヌ民族関連
(毎日新聞 2010年12月22日 地方版)

 アイヌと沖縄の人々の目を通し、戦争や民族の問題を描いた劇団文化座の新作「銀の滴 降る降る まわりに 首里1945」が豊島区西池袋1の東京芸術劇場で上演されている。
 沖縄の戦地に送り込まれたアイヌの若者と、軍属として徴用され、戦争に巻き込まれる沖縄の人々の苦しみを描いた。軍に接収され、兵舎兼炊事所になった首里郊外の民家を舞台に、国家によって民族の誇りを奪われたアイヌが「日本軍」の一員となって戦う矛盾や、「徹底抗戦」で沖縄の人々が払った犠牲など戦争の不条理が浮き彫りになる。
 文化座の代表で、沖縄のおばあさん役を演じる佐々木愛さんは、「沖縄南部の慰霊塔にはアイヌ語で『キムンウタリ』(山の同胞)と刻まれているものがある。その意味を問うことが今回の芝居につながった」と言う。「なぜ、沖縄やアイヌの人々の苦悩を自分たちの問題としてとらえられないのか。私自身、そのことに目を向けていきたい」と話す。
 23日まで。一般5500円。高校生以下2750円。問い合わせは文化座(03・3828・2216)。【明珍美紀】
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20101222ddlk13040239000c.html

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地のはてから(上・下) 乃南アサ著 知床で生きた女性を壮大に

2010-12-24 | アイヌ民族関連
(日本経済新聞 2010/12/19付)

 世界遺産の知床半島。『地のはてから』は、大正から高度成長期までを知床で生きた女性の生涯を、壮大なスケールで描いた大作である。

(講談社・各1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
 福島県の農家の娘として生まれたとわは、父が株で大損をしたため夜逃げ同然に一家で北海道へ渡る。だが肝心の入植地は、クマザサが生い茂る原生林。開墾は進まず、漁港に出稼ぎに行った父は酒に溺れて事故死。とわは、一家の危機を救ってくれたアイヌの少年への淡い恋、小樽での子守奉公、そして親の決めた夫との結婚などを経て成長していく。
 とわの父は、第1次大戦がもたらした好景気に浮かれ、投機に手を出してすべてを失っている。一発逆転を狙って北海道開拓団に加わり、想像を絶する極貧生活を強いられるとわの一家は、世界的な金融バブルに踊り、長期的な不況にあえぐ現代日本の状況と見事なまでに重なる。
 さらに、開拓した農地がバッタの大群に食い荒らされる惨事で自然と共存する難しさを感じ、校長先生の家で少女雑誌を読んで東京と地方の発展の違いに愕然(がくぜん)とし、小樽の貿易商の家で子守として働くことで貧富の格差に直面するなど、とわの体験は、そのまま生産効率を優先した近代日本の縮図となっている。それだけに、蓄積した“負”の遺産が、確実に現代にも受け継がれていることが実感できるのではないだろうか。
 とわの父は、国が発行した北海道移住者向けのパンフレットに描かれたバラ色の未来を信じ、開拓団へ加わる。その内容がデタラメだったことを身をもって経験したとわの母は、子供の世代が、やはり国が勧める満蒙(まんもう)開拓団やブラジル移民に参加しようとするのを諌(いさ)める。国は失政の責任をとらず、真っ先に弱者を切り捨てる方針が、いつの時代も変わらないことがよく分かるだけに、暗澹(あんたん)たる気分になるかもしれない。
 ただ、本書は決して悲劇的な物語ではない。思い通りにならない人生に悩み、苦労しながらも、一歩一歩先へと進むとわの力強さには、深い感動があるのだ。派手な事件が起こるわけではないが、等身大の登場人物が、懸命に生きようとあがく姿は、先が見えない時代を生きる日本人に勇気を与えてくれるはずだ。
(文芸評論家 末國善己)
http://www.nikkei.com/life/culture/article/g=96958A96889DE0E2E3E5E7E2E2E2E3EAE3E0E0E2E3E29F8890E2E2E3;p=9694E3E4E2E4E0E2E3E2E5E3E2E4

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大佛次郎賞に渡辺京二氏

2010-12-21 | アイヌ民族関連
(朝日新聞 2010年12月21日5時0分)
 ジャンルを問わず優れた散文作品を対象とする第37回大佛(おさらぎ)次郎賞は、渡辺京二氏の評論『黒船前夜――ロシア・アイヌ・日本の三国志』(洋泉社、3045円)に決まった。
 幕末の「黒船来航」の100年も前から、現在の北海道、千島、樺太などをはさんで、東方に進出してきたロシア人と日本人の接触があった。そこはまた、アイヌ民族の天地でもある。従来論じられることの少なかった北方の異文化接触の有りようを、文献資料を元に事件や人物のエピソードを織り込みながら「三国志」として生き生きと描きだした作品。
 贈呈式は来年1月27日午後4時から東京・日比谷の帝国ホテルで、朝日賞、大佛次郎論壇賞などとともに行われる。
http://www.asahi.com/culture/update/1221/TKY201012200512.html

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アイヌ民族に奨学制度 札幌大「文化・言語の担い手に」

2010-12-21 | アイヌ民族関連
(朝日新聞 2010年12月20日10時52分)

 アイヌ民族を対象にした奨学制度が、札幌大学(札幌市、宮腰昭男学長)で今年度から始まった。民族の文化や歴史を学び、さらにアイヌ語の担い手になってもらう目的で、意欲あるアイヌ民族の子弟を受け入れる「ウレシパ・プロジェクト」だ。
 ウレシパは「育て合い」を意味するアイヌ語。今年度、学科試験と面接を経て入学した「ウレシパ奨学生」は6人。すでに大学を卒業した30代の社会人もいる。奨学生には、入学金、4年間の授業料とも大学側が全額(計328万円)を負担する。
 全員が文化学部に属し、通常の専攻に加えて「ウレシパ特別コース」としてアイヌ語やアイヌ文化、北方史を履修。週2日、アイヌ民族ではない学生も加わり、アイヌ語や民族の歴史・文化を勉強する学習会も開かれる。
 「アイヌ民族の血が、後ろめたいものではないことを肯定するチャンスと思った」とウレシパ奨学生の一人、北海道苫小牧市出身の岡田勇樹さん(33)は話す。民族の文化や歴史はほとんど知らず、「アイヌ民族なのに『何もない』のは屈辱的」と思っていた。将来はアイヌ文化にかかわりたい考えという。
 同じ奨学生で浦河町出身の北嶋由紀さん(37)は、アイヌ民族であることをずっと隠してきた。差別されたと感じたときに、アイヌ民族のことを知らないために相手に言い返せない自分がいることに、ふと気づいた。「学芸員と図書館司書の資格を取り、子どもたちに正しい知識を教えたい」
 本田優子・文化学部長は「アイヌ民族は日本でも少数派。多数派が『異なるもの』の価値を認めれば、社会全体が豊かになる」と話す。(神元敦司)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201012200099.html

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「輝く男の子」追う再生の旅 津島佑子「黄金の夢の歌」

2010-12-20 | 日記
(朝日新聞 2010年12月19日10時26分)
 作家の津島佑子さんが新作『黄金の夢の歌』(講談社)を刊行した。近年、アイヌ口承文芸の仏訳に取り組むなど、文字ではなく歌として伝えられてきた世界の豊かさを紹介してきた津島さんは、そうした歌を「夢の歌」と呼ぶ。「夢の歌」は、民族としてだけでなく「誰の体にもある」と言う。新作はキルギスの英雄叙事詩「マナス」の歌に魅せられ、中央アジアを旅した魂の記録でもある。
    ◇
 マナスはキルギスに伝わる叙事詩の主人公の男の子。成長して、外敵から民族を守るリーダーとなる。津島さんは、アイヌの叙事詩「ユカラ」の男の子ポイヤウンペと共通するものを感じた。共に他民族からの侵略にさらされてきた歴史から生まれた英雄。「でも、どうしようもないいたずらっ子。その輝きが魅力的。物語の原型として男の子がいる意味をずっと探りたいと思っていた」と言う。
 作者の分身でもある小説の中の「あなた」に、マナスともポイヤウンペともいえる男の子が何度もささやきかけてくる。さらには、マケドニアから中央アジアにまで遠征したアレクサンドロスの少年時代の声も聞こえてくる。
 「暴れん坊の男の子には、がちがちに固められた人間社会を破って、新しいエネルギーに満ちた世界を現出させてほしいという期待がある。アレクサンドロスは人類の夢を体現した、ひとつの像。繰り返される戦争に嫌気がさし、どうしたら平和になるかを考えてきた歴史の中で、希望が託された。彼はその使命感を持っていたのではないか」
 津島さんは、念願のマナスの歌をキルギスの首都ビシュケクのユネスコ事務所で聴く。殺風景な部屋だったが「楽器も持たず、身ぶりだけで歌うリズムにだんだんしびれてきて感動した。はるか昔、人間は小鳥のさえずりや動物の咆吼(ほうこう)をまねし、意味をくみ取ろうとした。大自然からのメッセージを感じ、人間からも送り返す。そのやりとりが歌の起源なのでは」
そんな「夢の歌」は「だれにもあらかじめセッティングされているのでは」と言う。
 「命そのものがつながっていると実感をもてる場所がどこかにあるはずだが、見いだせずにもどかしい思いをしているとき、そこに導いてくれる。一人ひとりが、絶対につかめないものにつながっている夢の歌を持っていて、懐かしい場所へのガイドブックの役割を果たしてくれる」
 「夢の歌」が「あなた」を最後に導いたのはイシククル湖だった。地上から飛行機を仰ぎ見る「あなた」と、飛行機の乗客となった「あなた」がいる。地上の「あなた」は30年以上前の出産の記憶を思い起こし、機上の「あなた」はマナスを産んだ母親のようにおなかがふくらんでいる。
 実際に湖で泳いだ津島さんは「時間が堆積(たいせき)していて、古代のままのタイムカプセルのようだった」と言う。「女性にとって生命のはじまりを生み出すということは幸せな時間。それは個人にとどまらず、生命体としての希望でもある」
 現実の時間の中で流れた悲しみを知っている地上の「あなた」と、臨月の幸福感に包まれた機上の「あなた」とが交錯し、再生への希望が痛切に伝わってくる。(都築和人)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201012170393.html

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【白老】整備地内定の報に沸く白老 民族共生の象徴空

2010-12-20 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2010年 12/18)
 民族共生の象徴的空間を白老町に整備、の内定の報に、飴谷長蔵町長は「先代のアイヌ民族がつくり上げた活動の成果や、交通アクセスの良さを認めてもらえたのでは。感激と同時に重みも感じている」と語った。
 共生空間整備は、アイヌを先住民族とする2008年6月の国会決議を受けて設置された政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が提唱。懇談会を継承したアイヌ政策推進会議(座長・仙谷由人官房長官)が白老町、平取町、札幌市、旭川市などを候補に、整備地を検討してきた。
 「白老適地」は、17日の推進会議作業部会で内定した。来春の全体会で正式決定される見通しだ。整備メニューに、山、川、海を活用した大規模な公園整備やアイヌ民族の人骨を納める慰霊施設の建設などがある。総事業費は100億円規模という。
 選定に当たって、広大な自然空間、文化伝承の人材、歴史・文化の紹介・体験施設や機能(博物館)、地域のアイヌ民族による自主的な文化実践、観光振興の観点から国内外の人々が訪れやすい、などの環境を評価したという。作業部会メンバーの加藤忠・道アイヌ協会理事長は「白老はどれを取っても非常に高い評価を受けた」と話している。
 道アイヌ協会白老支部の野本勝信支部長は「先人たちの活動が評価され。大変喜ばしい。アイヌ文化は地域によって特性があり、白老だけではなく、各地のアイヌ民族との連携を強化していきたい」と語り、「世界中の人々にアイヌ民族を理解してもらえる場所になれば」と期待もした。
http://www.tomamin.co.jp/2010s/s10121801.html

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かるた大会:アイヌ語で 掛け声やあいさつも--旭川の市民団体が来月5日 /北海道

2010-12-20 | アイヌ民族関連
 毎日新聞 2010年12月18日 地方版

◇「気軽に参加を」--初開催
 旭川市の市民グループが1月5日、アイヌ語を使った初のかるた大会を開く。道教育大旭川校のアイヌ語サークル「A・I・U(アイユ)」が06年にアイヌ語の旭川方言を基に手作りしたかるたを使用。掛け声やあいさつなどの大会進行もできる限りアイヌ語を使い、アイヌ文化の理解を深めるきっかけにしたい考えだ。参加は小学低学年から大学・一般までの4部門で19日まで募集している。
 企画したのは同大学院生や卒業生、社会人でつくる「アイヌ語と遊ぼう企画委員会」(普久原涼太代表)。メンバーらが所属する「A・I・U」のアイヌ語かるたを活用し、幅広い世代にアイヌ語を学んでもらおうと考えた。かるたは45枚で、読み札は「暑いからアトゥイ(海)へ行こう」「茶色の毛のチャペ(猫)がタマです」などとアイヌ語の単語と独特の発音が盛り込まれている。
 大会は同市宮前東の市市民活動交流センターで午前10時~午後4時。参加は無料で、小学校低学年、高学年、中学・高校、大学・一般の4部門で3対3の団体戦を実施。審判や進行係などのボランティアも募集しており、26日午後1~3時に説明会を開く。
 同委員会は「アイヌ語を学んだことのない人も気軽に参加してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは事務局の深沢さん(090・6211・9994)へ。【横田信行】
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20101218ddlk01040282000c.html

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アイヌ民族 歴史理解の場

2010-12-18 | アイヌ民族関連
(朝日新聞 2010年12月18日)

■「共生の空間」白老に
■推進会議方針 儀式や儀礼実践
 アイヌ政策推進会議(座長=仙谷由人官房長官)の作業部会は17日、アイヌ民族の歴史や文化などを国民が理解するための「民族共生の象徴空間」を白老町に整備する方針を決めた。アイヌ文化を守って儀式や儀礼を実践し、一般見学者もアイヌ文化を体験できるようにする。国のアイヌ施策の柱になるもので、観光振興の役割も期待される。
 新施設は「先住民族の尊厳を尊重し、差別のない社会を築くための象徴」(2009年7月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告書)と意義付けられ、アイヌ民族最大の団体・北海道アイヌ協会も強く望んでいる。
 作業部会は3月にスタート。東京・永田町で16~17日に開かれた部会では、かねてアイヌ文化の振興に取り組んでいるとして札幌、旭川、苫小牧、帯広、釧路、白老、平取、新ひだかの計8市町を候補地とし、(1)広大な自然空間(海、山、川など)や豊かな自然環境が存在する(2)歴史文化の紹介、展示・体験などの施設や機能(博物館など)がある(3)観光振興の観点で国内外の人々が訪れやすい――など七つの要件から議論した。
 白老町には、民族の歴史や文化を紹介する財団法人運営のアイヌ民族博物館があり、09年度には19万5393人が訪れている。検討の結果、全会一致で「すべての項目で白老町に優位性がある」という結論に至ったという。飴谷長蔵・白老町長は「素直にうれしい。町の果たす役割は多くなる。道内外のアイヌの人たちの意見を踏まえ、国や道、北海道アイヌ協会と連携を密にしていきたい」と話した。
 ただ、実際に整備されるまでは曲折が予想される。例えば、伝統儀式にのっとって河川で行われるサケの採捕にしても、河川管理は国土交通省、内水面管理は水産庁で、省庁をまたいだ調整が避けられない。
 国交省は今夏、施設整備に向けた調査委託費1500万円を予算要求した。しかし、作業部会長で北大アイヌ・先住民研究センターの佐々木利和教授は、この日の方針決定にも「はじめの一歩」と控えめだ。「可及的速やかにやりたいが(整備スケジュールは)描いていない」と述べるにとどまった。
(神元敦司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001012180004

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アイヌ:北海道白老町に文化伝承の拠点施設 政府作業部会

2010-12-18 | アイヌ民族関連
(毎日新聞 2010年12月18日 1時41分)

 今後のアイヌ政策を検討する政府のアイヌ政策推進会議の作業部会が17日、東京都内で開かれ、アイヌ文化の伝承や多民族交流などの拠点施設「民族共生の象徴となる空間」を北海道白老町に設置することを決めた。来春に施設内容を決める。
 同空間は先住民族、アイヌの尊厳を尊重し、差別のない社会をつくるのが目的で、政府の有識者懇談会の報告書(09年7月)に盛り込まれたアイヌ政策の一つ。候補地には白老町のほか、苫小牧市、平取町、札幌市など道内の計8カ所が挙がっていたが、「自然環境に恵まれ、アイヌ文化の活動実績があるなど七つの条件に一番ふさわしい」として白老町を選んだ。北海道アイヌ協会も同町を推していた。
 施設は(1)アイヌ文化の実践や伝承(2)アイヌの歴史、文化の展示・学習(3)多民族の交流--の三つの機能が求められており、年明けの作業部会から具体的内容を詰めていく。【千々部一好】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101218k0000m040161000c.html

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