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ダコタ・アクセス・パイプライン反対の抗議デモ、退去命令に従わない参加者を逮捕 デモの拠点はゴミだらけ

2017-02-24 | 先住民族関連
The Huffington Post  |  執筆者: Michael McLaughlin, Josh Morgan
投稿日: 2017年02月23日 18時13分 JST 更新: 2017年02月23日 18時17分 JST

アメリカの治安当局は2月22日午後、ノースダコタ州にあるアメリカ先住民スタンディングロック・スー族の居留地で、石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」建設に抗議するデモ参加者を逮捕した。
ミズーリ川近くの連邦政府の所有地にある、抗議デモ参加者が数カ月にわたって占拠してきた拠点「オセチ・サコウィン・キャンプ」について、アメリカ陸軍工兵司令部とダグ・バーガム州知事(共和党)がキャンプからの撤退命令を出していたが、撤退期限と定められた午後2時を過ぎてもデモ参加者が留まっていたため、逮捕に踏み切った。
ダコタ・アクセス・パイプラインは、「エナジー・トランスファー・パートナーズ」がノースダコタ州からイリノイ州までをつなぐ1172マイル(約1886キロメートル)のパイプラインを建設するプロジェクト。建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族とその支援者たちが、水源のミズーリ川が汚染されることを懸念し、「水の保護者」として抗議デモを続けていた。陸軍省は2016年12月4日、ミズーリ川をせき止めたダム湖「オアへ湖」の地下にパイプラインを通す工事を認可しないと発表し、建設は中断されていた。
スタンディングロック・スー族はこの計画に一貫して反対しており、部族が生活する居留地の水資源に打撃を与え、神聖な土地を脅かし、連邦文化財保護法とスタンディングロック・スー族ら先住民の居留地を侵害しないと約束した1851年のフォート・ララミー条約に違反しており、連邦当局はパイプラインが環境に及ぼすリスクを適切に調査していないと主張している。
しかしトランプ大統領は1月24日、ダコタ・アクセス・パイプラインの工事を完了させ、カナダのアルバータ州からネブラスカ州までの1179マイル(約1897 キロメートル)をつなぐパイプライン「キーストーンXL」建設を手がける「トランスカナダ」に、オバマ前大統領が2015年に却下した建設計画の再申請をするように促す大統領令を出した。トランプ氏は建設再開で何千人もの雇用が生まれると述べた。
大統領令を受けてアメリカ陸軍省は7日、環境に及ぼす影響調査が完了するまで建設許可を与えないとしていた方針を覆し、環境調査を中止し、建設を完了させる許可を与えると発表した。エナジー・トランスファー・パートナーズは9日からパイプラインの最終区間の建設を開始した。
ワシントン連邦地裁のジェームス・ボアズバーグ判事はエナジー・トランスファー・パートナーズ社に対し、ノースダコタ州の貯水湖の地下にパイプラインを通す工事再開を認めた。一方、パイプライン計画に反対するアメリカ先住民の訴訟が現在も複数進行している。
ノースダコタ州当局は22日、ハフィントンポストUS版に「約100人の警官グループが、撤退命令を拒否したデモ参加者を10人ほど検挙した」と伝えた。
警察と交渉した抗議デモ参加者は、「投降した人は軽犯罪にしか問われない」と発表していた。キャンプにいるハフィントンポストUS版のカメラマンによると、参加者はこの取引に応じていない。
「私はこのために来ました」と、ロサンゼルス在住のシャリー・グレナウさん(33)は撤退期限が過ぎた後語った。 「今傷ついている人たちを見捨てたくない。彼らとともにいたいのです」
他の抗議デモ参加者たちはドラムを鳴らし、歌いながら高速道路に沿って橋を渡り、チャーターバスに乗った。
陸軍隊員とバーガム州知事は、安全衛生上のリスクからキャンプを閉鎖する必要があると述べた。 キャンプの瓦礫や人の糞尿が残ることによって、雪が溶ける際に近隣の川が汚染される可能性があるという。
22日朝の時点で数百人の抗議デモ参加者が残っており、まだ泥だらけの水面に浮かんだキャンプの周囲には、テントやその他の建物が多く立ち並んでいる。雨と雪が混ざり合って降る間に、何度も火事が発生し、ユルト(移動テント)や他の捨てられた住居を破壊していった。
「水の保護者」の別名でも知られる残りの抗議デモ参加者たちが期限に間に合うよう撤退を急ぐ中、現場のあらゆる場所にごみの山や大型ごみ容器が散在していた。抗議デモの支援団体「先住民環境ネットワーク」によると、陸軍省は撤退期限延長の要請を拒否した。
抗議デモがピークに達した2016年12月、キャンプは何千人ものアメリカ先住民と、彼らを支援する退役軍人、環境活動家たちであふれかえった。
治安当局やパイプラインを警備する職員たちが抗議デモ参加者たちに放水したり、暴力的な取り締まりをしている映像に刺激され、多くのアメリカ人が先住民を支援するためオセチ・サコウィン・キャンプや他のキャンプに参加し、数十万ドルの寄付が集まった。
ダコタ・アクセス・パイプラインの建設を中止させようとするデモキャンプは、テキサスやフロリダなど、アメリカ各地に広がり、環境抗議活動の大きなうねりとなっていった。
「キャンプは、暗闇の中の光明でした」と、「先住民族環境ネットワーク」代表ダラス・ゴールドトゥース氏は語った。「アメリカ中の闘いの火に、燃料を注いだのです」
治安当局は、抗議活動の長期化で人員不足を訴えていた。抗議活動の取り締まりを担当したモートン郡保安部とビスマルク警察を支援するため、875万ドル(約9.9億円)以上をかけて1421人の州兵を配備した。
陸軍省から撤退命令が出された後、人々は大挙してキャンプを離れ始めた。スタンディングロック・スー族は、キャンプでの抗議活動から法廷闘争に戦略を切り替えたことや、大草原の厳しい冬への懸念などから、1月にも彼らにキャンプを離れるように要請していた。
石油パイプライン建設作業のほとんどはすでに完了している。しかし先住民スタンディングロック・スー族の居留地付近を通過する最終区間は、先住民と何千人もの抗議デモにあい中断となっていた。ABCニュースによると、エナジー・トランスファー・パートナーズ社は3月6日にも石油をパイプラインで移送可能だという見通しを示した。
すでに多くの人々が帰宅しているが、他のキャンプに移る人々もいる。彼らは、オセチ・サコウィン・キャンプに何百ものテントやその他の建造物、そして有害になるほどの量の汚物をキャンプに置き去りにしていった。
清掃作業は数週間前から始まった。 AP通信によると、月曜日にはトラック230台分以上のゴミが運ばれていったという。ノースダコタ州の当局者は、抗議デモから帰宅する人たちのためにバス運賃、水、軽食、健康診断などを提供するセンターを設置したと発表した。
モントリオールから来たアフナン・カーンさん(21)は4日前に友人と一緒にキャンプ場の清掃を手伝った。
「この運動で、現地の人々が自分の地域社会でこの戦いの支配権を取り戻し、闘い続けていく力を与える手助けが出来たと感じています」と、カーンさんはハフィントンポストUS版に語った。
反対運動をしている人々の一部は帰宅することに断腸の思いを抱えている。彼らは、雪解けでキャンプがぬかるんで不衛生な状態になっているという主張は誇張されたものだと考えている。 ルイス・グラスロープさん(39)は8月からオセチ・セコウィン・キャンプに滞在していたが、数日前にサウスダコタ州ローワー・ブルーレイにあるホテルの予約をし、自宅に戻った。 彼は、撤退命令期限が過ぎた後、当局がテントや他のものを撤去するのではないかと心配していた。
グラスロープさんはキャンプで行われた民主的な意思決定プロセスに驚いたという。また、巨大なキッチン、セキュリティ、診療所といったキャンプコミュニティのサービスがうまく機能していると感じた。
「ここに来た人はみんな自由の身となっています。私たちの日常生活からも自由になっているんです」と、グラスロープさんは語った。「人々はキャンプでの生活が環境破壊をもたらすと捉えています。しかし、あそこは今も美しい場所なんです」
写真家ジョシュ・モーガンがノースダコタ州からレポート
http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/23/dapl_n_14952560.html
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