先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

『シャクシャインの戦い』 平山裕人著

2017-03-21 | アイヌ民族関連
読売新聞-2017年03月20日 05時22分
 シャクシャインの戦いとは、江戸時代の初期に蝦夷えぞ地で起こったアイヌ民族の蜂起である。狡猾こうかつな和人が、純朴な先住狩猟採取民を欺いて怒らせ、武力で鎮圧したうえに、差別と搾取を強化した、と語られることが多いが、それは一面に過ぎないことを本書は明らかにする。
 アイヌには文字がなかったため資料となるのは、江戸時代の諸藩の記録、外国人の日記など。それらを慎重に擦り合わせ、伝承や古地図なども参考に当時の状況が浮き彫りになっていく。
 中世以降、アイヌの生活は海上交易が重要部分を占めるようになるが、徳川幕府の後ろ盾をうけた松前藩は取引を独占し、不当な条件を押し付けた。さらには和人がアイヌの地に入り込み、山や漁場を荒らすようになる。不満は各地のアイヌに広がり、日高地方の首長シャクシャインの呼びかけで、一斉に蜂起した。
 多数の資料から見えてくるのは、時に狡猾で、時に好戦的、交易で磨いた国際感覚を持ち、人間味に溢あふれるアイヌの姿だ。和人の動向も含め17~18世紀のアイヌモシリ(北海道)全体を復権させた好著である。
 寿郎社 2500円
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20170314-OYT8T50015.html
この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 民族差別解消へ「条例の制定... | トップ | アイヌの文化を現代に エゾシ... »
最新の画像もっと見る

アイヌ民族関連」カテゴリの最新記事