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生活悩む道外アイヌ民族 電話相談に170件 政府、新法検討に反映

2016-08-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞08/30 05:00

道外在住のアイヌ民族から寄せられる電話相談に応じる八幡智子さん
 道外で暮らすアイヌ民族を対象に、政府が6月に開設した電話相談窓口に生活上の悩みや支援の必要性を訴える電話が相次いでいる。8月29日現在で約170件あり、「アイヌ民族であることを理由とした差別」など切実な内容も多い。政府は、生活・教育支援を目的とした新法制定の検討に反映させたい考えだ。
 電話窓口は厚生労働省が公益財団法人「人権教育啓発推進センター」に委託して6月上旬に開設。相談員は、アイヌ民族の女性3人と元法務省職員の計4人が持ち回りで対応している。
 アイヌ民族の相談員の1人は、千葉県在住の八幡智子さん(64)。八幡さんが当番の際には「差別のせいで年金がもらえるような正規の職に就けなかった」「北海道で受けられた教育支援を道外でも受けられるようにしてほしい」などの悩みや注文があったという。
 道外のアイヌ民族の生活相談は、多くの自治体に窓口がある道内と違って手薄だ。厚労省が2013、14年度、人権教育啓発推進センターで試験的に相談窓口を開いた際にも、予想を超える753件の相談があった。14年度の相談内容は「身体の悩み」109件、「暮らし向き」105件、「アイヌ民族であることを理由とした差別」93件などで、同センターは「道外のアイヌ民族の差別や貧困問題はより深刻」と分析する。
 道外在住のアイヌ民族に対しては、政府が14年度から職業訓練の相談会を始めたほか、日本学生支援機構の無利子奨学金の申請基準も緩和した。ただ、いずれも利用者は数人にとどまる。内閣官房アイヌ総合政策室は利用が少ないことについて、「道外のアイヌ民族は実態を把握するのが難しく、政府の施策について効果的な発信ができていない」と話す。
 政府は今回の電話相談で寄せられた内容から、道外在住のアイヌ民族が置かれている状況の把握につなげ、新法制定を検討する際の参考にする考え。関東ウタリ会の丸子美記子会長は「道外のアイヌ民族は、支援策から切り捨てられている。平等な政策を施すべきだ」と訴えている。

 人権教育啓発推進センターの相談窓口は(電)0120・771・208(無料)。地元で相談しづらい道内在住者も受け付けており、平日の午前9時~午後5時。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0310255.html?memberonly=true

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