毎日新聞2016年12月16日 地方版
平取町立二風谷小学校は、総合学習でアイヌ語の授業を実施している。アイヌ語は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2009年に消滅の危機が最も高い言語と認定。公立小での授業は、北海道でも珍しい。講師を務める二風谷アイヌ文化博物館の関根健司さん(45)は、学校での教育を通じて「日常会話に使われるようになってほしい」と願う。
11月17日、二風谷小で本年度7回目のアイヌ語授業があった。体育館で関根さんが花を描いたカードを手に「タアンペヘマンタアン?」(これは何ですか?)と尋ねると、小3~6年の児童23人が「タアンペノンノネルウェネ」(これは花です)と元気よく答えた。
小学4年の貝沢みちるさん(10)は「授業は楽しい。いろいろな言葉が覚えられるし、アイヌ民族の考えがよく分かる」とはにかむ。
人口約360人の7割超がアイヌ民族の血を引くという二風谷地区でも、明治以降の同化政策により、アイヌ語が分かる人は減った。意味は分かっても話せないという貝沢靖子さん(84)は「祖父母のアイヌ語は理解できたが、父親は『これからの子はアイヌ語で育つわけではない』と教えなかった」と振り返る。
関根さんは兵庫県尼崎市出身。旅が好きで、言語に興味があった。1998年に訪れた二風谷に定住してアイヌ語を学び、2010年ごろから教えるようになった。
理想とするのは、英語とともに先住民族マオリの言葉が公用語になっているニュージーランドだ。13年に訪れた関根さんは「習得すると就職活動に有利で、マオリ語のナレーターや新聞記者などの職業を生み出していた」と感銘を受けた。
関根さんによると、アイヌ語を教えられる人は道内に20人前後だが、若者を中心に学ぶ人が増えている。「自然への畏敬の念を表す言葉が多く、和人(アイヌ民族以外の日本人)も話したいと思える要素がある。いつか北海道の公用語になるような日が来てほしい」と夢を語った。
http://mainichi.jp/articles/20161216/ddl/k01/100/357000c
平取町立二風谷小学校は、総合学習でアイヌ語の授業を実施している。アイヌ語は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2009年に消滅の危機が最も高い言語と認定。公立小での授業は、北海道でも珍しい。講師を務める二風谷アイヌ文化博物館の関根健司さん(45)は、学校での教育を通じて「日常会話に使われるようになってほしい」と願う。
11月17日、二風谷小で本年度7回目のアイヌ語授業があった。体育館で関根さんが花を描いたカードを手に「タアンペヘマンタアン?」(これは何ですか?)と尋ねると、小3~6年の児童23人が「タアンペノンノネルウェネ」(これは花です)と元気よく答えた。
小学4年の貝沢みちるさん(10)は「授業は楽しい。いろいろな言葉が覚えられるし、アイヌ民族の考えがよく分かる」とはにかむ。
人口約360人の7割超がアイヌ民族の血を引くという二風谷地区でも、明治以降の同化政策により、アイヌ語が分かる人は減った。意味は分かっても話せないという貝沢靖子さん(84)は「祖父母のアイヌ語は理解できたが、父親は『これからの子はアイヌ語で育つわけではない』と教えなかった」と振り返る。
関根さんは兵庫県尼崎市出身。旅が好きで、言語に興味があった。1998年に訪れた二風谷に定住してアイヌ語を学び、2010年ごろから教えるようになった。
理想とするのは、英語とともに先住民族マオリの言葉が公用語になっているニュージーランドだ。13年に訪れた関根さんは「習得すると就職活動に有利で、マオリ語のナレーターや新聞記者などの職業を生み出していた」と感銘を受けた。
関根さんによると、アイヌ語を教えられる人は道内に20人前後だが、若者を中心に学ぶ人が増えている。「自然への畏敬の念を表す言葉が多く、和人(アイヌ民族以外の日本人)も話したいと思える要素がある。いつか北海道の公用語になるような日が来てほしい」と夢を語った。
http://mainichi.jp/articles/20161216/ddl/k01/100/357000c