学習障害と英語指導を考える

特別支援の視点から。
どの子もハッピーになるような指導を。

~どんぐり教材をやってみて

2012年12月12日 | チャレンジ英語教室(読み書き困難)

Aくんは、

最初は本当に大人や勉強に対して強く心を閉ざしていて、

自分のことを「社会の落伍者」と呼ぶ中学2年生でした。

 

チャレンジ教室でもグループ活動やペアワークには決して参加しません。

 

こだわりが強いのと

コミュニケーションのやり方や、他者との交わりに自信や興味がないので

無理に参加させません。 

 

ですが座る位置を、以前は教室のすみっこだったのが

今ではグループの隣に座るようになっています。

(もちろんそのように徐々に促してきたのですが)

 

人と会話することをここまで極端にいやがるようになるまでに

何年かかったのだろうかと思います。

信頼できる人とはしっかり楽しく話せるのがわかってきたので、

コミュニケーションができるようになるのに

時間がかかる子なのだと思っています。

 

それを無理に「○○しろ」と言われてきたのでしょうね。

指導者側のいかなる圧力にも敏感に反応し、さっと心を閉ざすのが

わたしも早くにわかりました。

だから、チャレンジ教室では

指導目標はコミュニケーションじゃなくて

学力の向上のみに焦点を当て、

コミュニケーションについては、下準備・・・・つまり

「あなたの意志を尊重するよ」「だからといって無視してるんじゃないよ」

のメッセージを送り続けようと決めています。

 

そのAくんですが、

国語では「がばいばあちゃん」を読んだり、マインドマップをするときにも

参加しないので、何か個別の課題を用意しています。

 

国語の漢字は1年生で落ちこぼれ、

「算数も全然だめだった」

とお母さんがおっしゃっていましたので

「どんぐり倶楽部」という算数文章教材を用意してみました。

 

その理由は、どんぐりさんの教材は、算数であっても

「絵と言葉を結び付け、頭の中で映像化しながら、イメージする習慣」を

育てたいという理念で作られており、

数字がだめな子にとっては、

数や量の概念を理解するのにいいだろうと思ったからです。


また、Aくんは国語読解力テストで文法力が満点で群を抜いていたので

理解力が高く、筋道を立てて考えることが得意です。

算数の文章題ができないはずがない、と思いました。

 

 

実際に問題を与えてみると、

それがとても良くできるのです。

 

私なんか、実は算数は苦手でお手上げなので、

答え合わせも答えのプリントを見ないとできませんが、

彼は途中の道筋にあたる絵や数字など何も書かずに、

答えだけを絵にしてしまいます。

 

たとえば先週の問題は、小学2年生コースから。

 

どんぐりさんは、2年生問題でも十分考えさせられる問題です。

(時間があればご自身で試して見てください)

 

「サンタさんが、子ども4人に、それぞれ同じ値段のお菓子を2個ずつ

と、そのお菓子1個のちょうど3倍の値段がする玩具を1つずつ買ってあげ

ようと思っています。

ただし、サンタさんが使えるお金を全部で8800円とすると、1個何円の

お菓子と1つ何年の玩具を買ってあげれば良いでしょう」

 

 

で、彼はそれをじーーーーーーと読んで、

「わかった」と絵を描きました。

 

 

1320円の玩具1つと、440円のお菓子2つ。

↑これが答えだそうです。

 

どんぐりさんは、式をかかないで、

絵で表現していくところがツボ!と思っていたのに、

思考の過程を絵にするんじゃなくて、答えのとこだけ絵かいな・・・・と

心でつっこみましたが、

 

合ってる!

 

不思議~~

 

「なんで~!!??なんでわかるの??教えて~」

 

とお母さんと私で教えを請う。

(お母さん曰く「この子は2年生のかけ算もボロボロだったのに、なんでわかるの??」)

 

少し自慢げに、「だってなあ~まずこれを・・・と考えるやろ??ほんで・・・」

と説明してくれました。

 

わたしには、やっぱりわかりませんでした。
(本当に、算数は苦手です・・・) 

 

Aくんは国語だけじゃなくて、算数だってできるじゃない。

チャレンジ英語教室でも、今は聞き取り書きも伸びてきた。

 

彼は

学びたいことを、学びたいスタイルでしかやらない子だけど

そういう”わがまま”は、許されないことなのかしら。

 

もともと、学び方なんて人の数だけあるものですね。

能力があるけれども、uniformに合わないのは、

”個性”と呼べる範囲のものだよ!

と言える環境を作ってやりたいと思います。

 

特別支援教育は、

「頭が悪いとかのマイナスの意味で学校についていけない子のため」

ではないことを、繰り返し伝えたいと思います。

 

学び方の違う子どもに、

彼らに会った学びの機会を与える、ということですね。

それを、目の前の一人から始めれば良いのだと思っています。

 

日本では、一見落ちこぼれた人の中に

特定の才能がずばぬけた天才たち(Gifted)が属していますから、

あなどってはいけませんよ~。

 

 

 

今日もこれからチャレンジ教室です。がんばりましょう。

 


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2 コメント

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Unknown (mie(み~))
2012-12-12 20:13:57
まとりょん先生、み~です。

どんぐり倶楽部いいですね。
私は今小学2年生の生徒に『絵で解く算数』をさせています。

これも面白い教材です。
mie先生 (まとりょん)
2012-12-12 21:26:50
コメントありがとうございます。
糸山先生の、「絵で解く算数」も、良さそうですね。

自分の子にどうしてもっと早くこういう教材を
与えてやらなかったのだろうかとも思います。

というか、私がこれで勉強したかった!(笑)
もっと算数が好きになったかもしれないなあ~。

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