学習障害と英語指導を考える

特別支援の視点から。
どの子もハッピーになるような指導を。

DSM-5の訳語

2014年05月31日 | 特別支援教育について

 

日本精神神経学会より、DSM-5の「病名・用語ガイドライン」が発表されましたので

ご紹介します。

(下リンク参照・PDFへのリンクあり)

https://www.jspn.or.jp/activity/opinion/dsm-5/index.html

 

今回、disorderを「障害」ではなく「症」と訳すという部分は

賛否両論あったようですが、「症」に統一するようです。(新訳/旧訳)

(以下抜粋 p.431)

Language Disorder
言語症/言語障害

Speech Sound Disorder
語音症/語音障害

ChildhoodOnset Fluency Disorder(Stuttering)
小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害(吃音)

Social(Pragmatic)Communication Disorder
社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的) コミュニケーション障害

Unspecified Communication Disorder
特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害

Autism Spectrum Disorder
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

Attention—Deficit/Hyperactivity Disorder
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害

Specific Learning Disorder
限局性学習症/限局性学習障害

Motor Disorders
運動症群/運動障害群


=================

たしかに、「障害」から「症」への動きは、

”障害”という言葉の持つ印象を考えると

わからなくもありません。

 

たとえば、「学習障害」と聞くと、

「勉強ができないような障害じゃないか?」

と感じてしまうかもしれません。

 

ですが実際はそうではなくて、

理解力は高いのに、文字を書くのが苦手であったり、

計算だけがとても苦手であったりといった、

学習上で求められる脳の機能のどこかに弱さを抱えていることを意味しています。

決して一般的な意味での「勉強ができない」わけではありません。

 

特に「読み」や「書き」に弱さがある子の場合、

日本では読み書きの比重が大きいため

成績は悪くなってしまうかも知れませんが、

思考力、理解力、分析力や表現力といった他の能力が非常に高いケースでは、

いわゆる”頭の良さ”と学校の成績に 

大きな格差が見られることも多々あります。

 

それを、「~ができない」という「障害」とい言葉で括ってしまうと

教員や保護者の側も、

「この子は頭は悪くないから障害じゃない!」

となり、必要な支援が受けられなかったり、

逆に「障害だから、勉強ができないんだ」と

悲観的になってしまうこともあるでしょう。

 

 

ですが、実際には「学習ができない」わけではないということは、

これまで多くの研究実践で示されてきています。

 

指導のやり方を変える、

補助的なツールを使うなどすれば、

その学習課題ができるようになることがほとんどです。

 

「障害」だから「できない」のではなく

「弱さがある」から「指導のやり方を変える」「補助ツールを使う」というようにすれば、

クラスでも一緒に学んでいくことが可能です。

 

英語では、学習障害はLDですが、

disorder, disability, differenceの3つが用いられているようです。


やはり、disabilityと言われると、

「不可能」の意味がちらつきます・・・

ですがdisorderと聞けば、「変わる」可能性を感じますね。

differenceはさらに広く、「個性」として受け止められる印象です。

ちなみに、

disorderは、医学的用語(DSM)、

disabilitiesは、法的用語(IDEA、Section 504 of Rehabilitation Act) です。


じゃあdifferenceは?

「人の脳はもともと非常に個性があるものだ。
 例えばある人の読み書きの状態を”病的”や、”ノーマル”と表すのは正確ではない。
 こうした状態の差違は、単純に、”違い”に過ぎない」

といった考え方に基づいています。

(参照:

Disorder, Disability or Difference: What’s the Right Term?:http://www.ncld.org/ld-insights/blogs/disorder-disability-difference-whats-the-right-term



日本でもこうした言葉の持つ意味に敏感な人は、

「障碍」、または「障がい」

を用いられていますね。

 

個人的には、「障碍」になるかな、と思っていたのですが

今回のDSM−5の変更で、「症」に統一していくことが、

使う人の気持ちにどういう影響を与えるのかについては

無視できないなと思っています。

 

 

 

 


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1 コメント

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