今朝の新聞で、漢字の大家・白川 静さんが96歳で亡くなられたことを知った。100歳までと思っていたのに・・、残念だ。先生は福井県人、北陸人の粘り強さがある。苦学して立命館大学を出て、母校の教授を長らく勤めた。先生は、立命館の、京都の、北陸の、いや日本の「宝」のような人だ。私は白川さんの平凡社刊の三部作『字統』『字訓』『字通』をかって私としては「大金」を投じて買った。今でも書架の一番下の段に鎮座して、全体の「知」を支えているようだ。前に私は中国の簡略体の漢字や韓国のハングルのみについて一寸批判的ブログも書いたが、これも白川先生のお考えでもあった。正統の漢字を東洋文化の共通項にしたい、と思われていたのだ。私も先生の本を読んで「目からうろこ」が何度もあった。「告」という字を「牛が耳に口を近づけて何かを訴えること」などという俗説を厳しく批判、「牛」は木の小枝の形、「口」は、くちではなく、そういった形の祭器(さい、と発音)で全体では小枝を祭器にさしている形とのことだ。学問の「問」も私は分かりやすいので、門に入るには口(くち)を出さないと・・・、と言っているが、白川説では、この「口」も「さい」となる。「臭」も「自」の下に「大」ではなく「犬」でなければ、というのも説得性がある。先生の著書は、70歳位から大いに世に出てきた。あやかりたいもの、でももう一生かかっても白川先生のような「字通」にはなれまいと思う。
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