西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

「温かい資本主義」など

2009-10-30 | 時論、雑感
今日の参議院の代表質問の答弁で、鳩山首相は、小泉流の「新自由主義(市場原理主義)」を批判しつつ、国民一人一人を大切にする「温かい資本主義」を目指す、と述べた。こういう言い方を聞いたのは初めてだ。

かって学生時代に学習した『資本論』などによると、資本主義は「冷徹な」もので、労働者に対して「冷たい」という理解だった。

しかし、北欧やヨーロッパの資本主義を見ると、「福祉経済」というように国民、特に「弱い」国民に厚い手当てをしている。「温かい資本主義」と言ってよい。

まあ、日本でも日本共産党ですら「市場」の働きを一定認め「ルールある資本主義」を追求すると言っている。当面、資本主義の枠内での競い合いが行われるのかな、と思った。

マイカーに過度に頼らない交通システム

2009-10-29 | 地域居住学
どこに行くにも何をするにもマイカーに過度に頼るライフスタイルは、この辺で終いにしたらどうだろうか。

実際、通勤に、通学に、あらゆる買い物に、レクレーションに全てマイカーに頼るという人は僅かに違いない。一時は、何でもかんでも移動はマイカーで、という風潮であった。

私の大学先輩の湯川利和さん(奈良女子大教授歴任、故人)は、若かりし時に『マイカー亡国論』(三一書房)を書いて注目された。

マイカーは、実に「不経済な」乗り物だ。空間的に言うと、電車でマイカー位の空間があれば、15人ほども運べる。3倍ほど「経済的」だ。同時にエネルギー消費も個人あたり電車がマイカーより「経済的」と言える。

マイカーは又行く先々で駐車空間が必要だ。電車やバスに乗って後、歩くならば、行き先で別に「駐人場」が要るわけではない。

だから、これからは、歩くことを基本として、遠くは電車、バス等の公共交通システムを確立し、その間、重い荷物を運んだり、急病人を運んだりする場合のみ自動車(マイカーではなくレンタカーでも良い)で補完するという交通システムを追求し確立していくべきではなかろうか。

ダムに頼らない河川の治め方

2009-10-28 | 地域居住学
民主党政権の「八ツ場ダム」建設中止によってビックリした人も多いかもしれないが、私は32,33歳頃、今から35年前頃からダムには疑問を感じていた。

当時、国土問題研究所という民間の団体があり、私は友人に誘われて入会した。そこで、ヨーロッパで崩壊したバイヨントダムやマルパッセダムを視察するツアーを組んで出かけた。「絶対安全」を保障すべきダムが何と崩壊して下流に甚大な被害を与えたのだ。

世界で起こっていることは日本でも起こりうる、と当時考えた。最近、あちこちで出来上がったダム周辺で地割れや地震も発生していて将来が不安である。

そういう「崩壊」といった大事故も大変だが、ダムにはその他色々と本質的問題があるのだ。自然の河川は、大昔から自然河川で人工的堤防もダムもなかった。洪水が起きても、そういう場所には人間は住まなかったのである。

自然の河川こそ総合的環境なのだ。水が流下するだけでなく土砂も流下する。鮎や鮭などの魚や小動物も行き来している。大水が来れば、河川が広がって流下する。これによって、山の肥沃な土壌もやってくる。

つまりダイナミックな河川に対して人間もダイナミックに対応してきたのだ。

ところが、人口が増え、河川のすぐ側まで住まざるをえないようになって、堤防をなるべく垂直に高くし、川底も深く水平にコンクリートで固め、洪水をなるべく早く海に出してしまおうという、そして上流ではダムで一時的にせきとめようとの「近代河川工学」思想に堕してしまったのである。

ダムで、例えば土砂の流下が止まると海に影響が出てくる。浜がやせ細り、護岸工事をせざるをえなくなる。例えば、由良川のダムによって海の天橋立の砂浜が見るも無残になりつつある訳だ。又、淡水魚も行き来しにくくなる。

今後は、なるべく自然に近い「近自然工法」をとって河川を治めるべきであろう。

今日の、臨時国会の答弁で鳩山さんは「ダムに頼らない河川の治め方の追求をしたい」と言っていたが、これが21世紀型の方向であるに違いない。

鳩山所信表明の感想

2009-10-26 | 時論、雑感
臨時国会での首相の所信表明演説を新聞で「線」を引きながら読んだのは生まれて初めてだ。

さすが鳩山さんが自負する「無血の平成維新」演説だ。恒例の首相演説に比べると1.5倍の長さだと言う。ここでは、二つだけ、特に気付いたところを記しておく。

第一は「いのちを守り、国民生活を第一とした政治」のなかで、述べられている子ども対応の教育問題についてだ。「子育てや教育は、もはや個人の問題ではなく、未来への投資として、社会全体が助け合い負担するという発想が必要です」「・・・財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めていきたいと思っております。」

これぞ、教育は百年の計のやり方である。社会全体として子供たちが力強く成長し大人になることは、「急がば回れ」で科学技術、産業、経済を基本から持続的に強くしていく根本条件だ。そのことが、また次の世代を「産んで行こう」との気持ちも起こすのである。

第二は、「「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」」で述べられていることだ。「・・・次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編みなおすことです。」

この地域SNSもここに登場しているのだ。

勿論、不十分なところもあるが、まあ、ほぼ自分の言葉で具体的体験も入れ込んで述べていることは好感がもてた。今後の実際で検証していこう。

たまたま12月音楽会のリハーサルに立ち会う

2009-10-25 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
今度の12月の「けいはんな市民雑学大学」は第20回講座で、『親子で探検!バイオリンの魅力」-梅沢和人の楽しいレクチャ・コンサートー』である。12月6日(日)午後14時より約2時間、場所は奈良女子大学・記念館講堂である。バイオリンは梅沢和人さん(大阪フィルハーモニー・コンサートマスター)、協演はピアノ:上田賀代子さん(日独ピアノ芸術学院院長)、弦楽アンサンブル:奈良女子大管弦楽団OG有志である。入場料は大人500円(ワン・コイン)子供無料である。
手帳に書き込み、是非おいで下さい。出来れば親子、祖父母孫で、もちろん大人だけでも歓迎ですよ。

今日は、梅沢さんと弦楽アンサンブルのリハーサルが奈良女子大学の教室であった。梅沢さんとの打ち合わせもあり(これがメインの目的)、W.さんと一緒に行った。奈良女は、私にとってかって知ってる空間であるが、学舎に出入りするシステムが変わってしまっていて、休日は、カードを持っている人しか入れない。私はカード持っていないので内部へ携帯で電話して内部から開けてもらった。

今日のリハーサルは1時間ほど、梅沢さんがバイオリン兼指揮である。まあ、「役得」というと語弊があるが、舞台裏を見て、また若い弦楽アンサンブルの6人にも会えた。うち二人は社会人、大学院生で、私が現役で勤めていた時、私の「生活環境学概論」の講義を聞いてくれたらしい。

梅沢さんと弦楽アンサンブルの出会いは、「ワインバー」のマスターと上田賀代子さんとの接点から生まれた。弦楽アンサンブルが「ワインバー」で時々演奏していたからである。まあ「一期一会」「袖すりあうも他生の縁」だな、と思った。

普天間を嘉手納に統合案ー岡田外相ー

2009-10-23 | 時論、雑感
最近アメリカのゲーツ国防長官が来日し、普天間を辺野古に移転する以外の案は認められない、みたいな強硬姿勢を残して行った。まあ、国防長官だから、そういうだろうな、と思った。

岡田外相も鳩山首相も「政権が替わったのだから政策がチェンジしても当然」というスタンスで対応したようだ。

で、今日、岡田外相は、(国外移転ならまだしも)県外移転は難しい、と述べ、さらに県内移転で、より「県民に負担が少ない」案として普天間を嘉手納に統合という案を提示したらしいことを記者会見で述べた。

本当なら、国外移転がベストだが、嘉手納統合で、普天間が返還されるならベターかもしれない。

「貧困率」15.7%と初発表

2009-10-21 | 時論、雑感
昨日、長妻厚労相は、低所得者の占める割合を示す「貧困率」について、07年は15.7%だったと明らかにした。(『朝日』夕刊1面)

公表されたのは国民生活基礎調査をもとに算出した「相対的貧困率」。自公政権時代は公表されておらず、今回が初めての発表だ。「相対的貧困率」とは、(年間)所得を世帯人数に振り分けて高い順に並べた時に真ん中の所得(一人世帯228万円)を基準に、その半分(114万円)に満たない人が占める割合である。

15.7%というと、ほぼ6人に一人は年収114万円に満たないということだ。OECD30ケ国中ワースト4位だ。先進国では「ずば抜けている」自慢にならない。うーん、昔は、「1億、総中流」と言っていたが、今や厳然たる「格差社会」になっていて、政権交代も遅すぎた感じ、だが、この政権が「貧困率」を確実に下げれるかどうかは、未知の領域、しっかりチェックしていきたい。

子供や孫に伝えたい

2009-10-20 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
人類が生き延びていくには、種の保存が可能な子供や孫に期待せざるをえない。

で、今日は「健康調理教室」のバリエーション企画に出向いた。昼食の古代麺は美味しかった。13時過ぎに自宅に戻った。

14時頃より、一寸、昼寝をした。気持ちよい昼寝は、健康維持にプラスと思う。

16時頃より「飲み会」、ワイワイ喋る。参加は7人、一人を除いて「地域snsけいはんな」のメンバ-だ。木のみ木のままさん、囲炉裏さん、おとしさん、けんふくさん、18時半過ぎに帰宅だ。

今日、あったことは、しっかり子ども、孫たちに伝えていきたい。

大体、このメンバーでは自然に健康の話になる。で、ここで喋っている平均年齢は「還暦」位か一寸「過ぎ」、こういうグループが健康で元気なのはもちろん結構、だが、せっかくいい話、出来れば次の世代、次の次の世代に伝えたいものだ、となったのではないか。私は、一つの案で「山田○小学校」の「空き教室」を借りて、「バトンタッチ講座」が出来ないものか、と言ってみた。

奈良教育大学に非常勤講師で

2009-10-19 | 地域居住学
今年度から奈良教育大学の非常勤講師を勤めることになった。大学院1科目、学部2科目である。後期は、学部2科目で、今日は2回目の講義だった。「住居学」と「住生活学」で前者は1回生、後者は3回生である。

朝、10時40分からと昼休みを越えて13時からの二コマである。

何とか終わって、帰り際にフト思いついて学長室に寄ることにした。最近、学長になった長友恒人さんは、京大工学部(同大学院、原子核工学)の後輩で、長友さんが院生の頃から知っているからである。九州の小倉高校の出身、最近は考古物理学と言おうか「年代測定」に物理の知識を応用する研究をしておられる。

会ったら、やはり「疲れている」感じ、「どうも御苦労さんです」と声をかけたら「いやー、そういうことを言ってくれるのは西村さんが初めてですよ」とのことだ。「民主党が政権についたが、国立大学法人の毎年1%予算削減は見直す、と言っているから削減ストップは大きいのでは・・・」と言うと「確かに、でもまだはっきりしない」とのことだ。

まあ、学長職が少し落ち着いたら「けいはんな市民雑学大学」の「市民教授」をやってもらいたいが・・・、とお願いしておいた。1年後くらいならオーケーだろうな。

長友さんの挨拶、プロフィール:http://www.nara-edu.ac.jp/ADMIN/SECRETARY/president_message.html

普天間基地の去就ー日米同盟の将来

2009-10-16 | 時論、雑感
鳩山政権での外交問題での焦点は、恐らく沖縄の普天間基地をどうするかの問題だろう。沖縄県民の意思は今度の選挙ではっきりしたと言える。

選ばれた衆議院議員4人とも「県外、国外移設」派であるし、国全体、新政権の意思もそうである。しかし、実際「県外」ということはほとんど不可能だし、結局は「国外」をアメリカに要望し交渉することとなる。

この交渉は、例えば「日米軍事同盟」を解消しようとの政権が出来たのなら、アメリカも諦めようが、「日米同盟」強化を言っている政権だから、なおさら交渉はタフにならざるを得ない。

まあ、今までの自民、ないし自公政権のような「アメリカ追随外交」が半世紀以上続いて来たのだから、「緊密で対等な外交」と言っても直ぐに出来る訳ではあるまい。

で、鳩山さんは、普天間基地のありかたを今度のオバマ大統領来日の折に議論するのではなく、1年後位にしたい、と表明、それまでに沖縄市長や沖縄県知事の選挙があり、その結果も踏まえたいということか。現在は、自民首長だからである。更に参議院選挙もある。

まあ「対等」になるには、1年と言わず5年以上はゆうにかかるとみるべきだ。これも期待しつつ見守っていきたい。

教育、科学技術、環境、福祉立国へ

2009-10-15 | 色々な仮説や疑問
今までの政権では、「不況対策」というと「公共事業」への財政出動、「成長戦略」というと「有望産業」への資金誘導などが主なメニュー・イメージではなかったか。

ところが、今度の政権は、「もの(コンクリート、箱もの・・・)」から「ひと」へ、と戦略的に言っている。そして、とりあえずは「外需」依存より「内需」主導へ、とも言っている。財務大臣は「福祉経済ですね」と一言で言っている。

だから、多分、概算要求では、厚労省予算が「突出」し、ついで環境省予算、それから私は文科省予算の充実と思うが、そのあたりはどうなるだろうか。

反対に補正予算のカットでもそうであったが、国交省予算は「少なめ」に出てくるはずだ。農林水産省は微妙なところだ。食糧自給率アップが大事とか一次産業を雇用の一つの「受け皿」と「国家戦略局」担当大臣が言っているからだ。

とにかく、子どもから大人(特に女性)、高齢者まで「ひと」に「投資」することは、即効性は、ややないが、長い目で決して「損」にならない「資源配分」と思う。回り回って、成長産業をも生み出すのではないか。見守っていきたい。

国会と政府の関係

2009-10-14 | 時論、雑感
小沢さん(民主党幹事長)が主導していると思うが、政策は政府で、国会と選挙は党(民主党)で仕切ると言っており、国会では政府案に対して主に野党が批判すれば良い、与党は事前に政府との「政策会議」で議論すればいい、と言っているようだ。

また、国会論戦は政治家同士に限り、官僚は「答弁」等に参加させない、とまで言っている。

これらに対して衆議院議長になった横路さん(民主党)は、国会軽視である、と小沢さんを批判している。共産党の志位委員長も「脱官僚を大義名分にしながら、行政に対する(国会の)調査と監視を弱める」(『朝日新聞』10月14日)と批判している。(例えば、官僚汚職が起こったら国会に呼んで質す必要があろう)
ついでに志位さんは、政府に対しても「マニフェスト絶対主義だ」(同上紙)と批判している。

そうだな、と思う。政府と民主党の昨日の「政策会議」は、政府に入っていない民主党議員に対する「ガス抜き」とのテレビコメントもあり、短時間で次々行われた各省政務三役と民主党議員との「政策会議」は、互いに言いぱなしになるだろうな、と思う。

民主主義にとって「危うい」のではなかろうか。

岡田外相のアフガニスタン、パキスタン訪問

2009-10-12 | 時論、雑感
岡田外務大臣が秘かにアフガニスタン、パキスタンを訪問し、アメリカの「タリバン掃討」に関して日本は何ができるかを調べた。

国内でもそうだが、こういう「住民主義、現地主義」の視察・調査は、今までの自公政権ではなかったことで新鮮に感じられる。

アフガニスタンでは、インド洋給油は誰も言わず、まあ隣のパキスタンに行って「給油も引き続きやってよね」と初めて言われたようだ。

岡田さんは「単純には延長しない」と言っているが、さてどうなるだろうか。

今までと違い外交も戦略的・創造的分野なのだ。しっかり見守るべきだろう。

森嶋通夫の「遺言」-「社会科学の暗黒分野」-

2009-10-12 | 色々な仮説や疑問
最近、久しぶりに森嶋通夫著『なぜ日本は没落するか』(岩波1999年3月刊)を再読した。森嶋さんは京大経済学部卒、阪大を経てLSE教授、日本の文化勲章受章、2004年没、享年79歳。近代経済学者。数理経済学専攻、マルクス理論を数理化した功績がある。私が1982年にLSEに「留学」した時、世話になった。
http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/8f2b115044188f4d32e5c583125ebada

今回の選挙での民主党の「勝利」を、森嶋さんが生きていたら何と言うだろうか。「日本は政治的イノベーションを行わなければ没落する」「その一つのイノベーションは、東北アジア共同体である。」と森嶋は当時言っているからである。

今回、民主党も「東アジア共同体」を言っているが、恐らく森嶋のアイデアが一つの源となっているのではないか。

ところで、この本は、色々な論点を含んでいて、一挙に理解しがたいところもあるが、総体として読んでいて「知的興奮」を覚えた。

今回、最後の「付記 社会科学の暗黒分野」を一部引用してみる。

「・・・以上に見たように、利他心の基本要素が重要な役割を演じている社会分野、すなわち政界、宗教界、思想界の中で、第二分野の宗教界の裾野には疑似宗教という暗黒部分がある。同様に、第一分野である政界にも、思想も素性もはっきりしない多くの政治屋が巣食っている。彼らの多くは暴力団とも関係を持っている。すなわち政界もまた裾野は暗黒に覆われているのである。さらに第三分野の思想界の動きを解明する「思想界の社会学」は全く未発達である。このように人間性の利他的基本要素が主役を演じる社会分野の学問的究明は十分に行われていないといわねばならない。・・・」

「・・・いずれにせよ経済以外の領域、政界、宗教界、思想界の分野では合理的行動を仮定できない上に暗黒街の主役ー暴力団、マフィア、新「新宗教」の教祖たち、元軍人、スパイ等、そしてアメリカの場合には秘密義勇部隊すらーが大きな役割を演じているという事実がある。彼らの行動を説明する原理をまだ何も持っていない以上、社会科学は大切な部分を欠いていると言わねばならない。現段階の社会理論では、テロリズム、クーデター、レボリューションは天災のような突発事故とみなす他ないのである。

暗黒部分を明るくするには、まずわれわれは暗黒部分に起こった各事件ごとに歴史的な研究を行わねばならない。国際的な問題の場合には、関係諸国の研究結果を突き合わせて、・・・共同理解に達する努力をする必要がある。こういう研究を同種の問題について幾つも積み上げた後に、それらに共通する経験法則が見つけられる。その後に、暗黒分野を動かしている行動原則ー人間はどういう動機で自分の利益ではなく全体のために行動するのかを説明する原則ーが徐々に明瞭になってくるだろう。その時同時に、全体の為ということの多くが、実は自分のためのものであったことが判明するかもしれない。またそれは、真に全体のためにする行動がいかに貧弱であるかを、私たちに解らせるかも知れない。

このような問題解明の仕方は正攻法であるが、長い時間のかかるプロセスであることも確かである。だから将来長期にわたって社会科学の暗黒部分はなくならない。

日本の悲劇は政界も、宗教界もともに非力であるばかりでなく、それらが説明できない暗黒帯でがんじがらめにされていることにある。日本社会には社会科学者が放置している不良資産が山とあるのだ。」

日本の政界では、今度の選挙で21世紀に入って初めての「イノベーション」が起こったのではないかと思うけれど、以上の「森嶋遺言」は、21世紀を通じての社会科学全体の大きな課題群を示しているに違いない。


民主党・小沢戦略考ー二大政党制などー

2009-10-09 | 時論、雑感
今朝の「ABCテレビ」を見ていたら、民主党の人事がほぼ決まったことを報じていた。小沢一郎さんが幹事長で、鳩山由紀夫総裁から党運営は全面的に任されているので参議院議員会長(幹事長代行)と相談して決めた、と言っている。

これを見ると、来年の参議院選挙シフトである。若い30歳代の細野衆議院議員を副幹事長・企業・団体担当に決めたのは「小沢後継育成」の面もあるとのことだ。

箱根で参議院の研修会をして、その「足」で神奈川、静岡の参議院補欠選挙に応援というのも手際良い。これらを見ていると、来年の参議院選挙を通じて過半数をとる、可能性が大きい。

で、その後、小沢一郎の頭にあるのは「真の二大政党制」に進むということだ、と「評論家」が言う。つまり、民主党で半永久的政権を狙うのではなく「民主党を割って」イギリスやアメリカのような「二大政党制」を目指すのでは、という。その「二大政党」というのは、「自由党」と「民主党」かな。自民党は多くは「自由党」へ、民主党の多くは「民主党」へ、かな。小沢さん、鳩山さんはどっちにいくのかな。まあ、一寸「机上の空論」の面もある。

だから、ホンマカイナ、と思う。まあ、過去の新党を作っては壊してきた「実績」からそうかもしれないが、それは政権以前の話、一旦、政権を取ったら長続きさせることを狙うのが普通と思うが・・・。見守る課題が又一つ増えた。