西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

円高について

2009-09-30 | 時論、雑感
円高になっている。1ドルが90円を切っている。これだと「輸入がしやすく輸出が難しくなる」という。ドル建て預金をしている場合も損をする。

これに対して藤井財務大臣は、今のところ為替市場には介入せず、しかし、まあ1ドルが85円とかになればドル買い介入もありうる、というスタンスだ。

藤井さんの言い方を聞いていると、「マニフェスト通り、内需中心の経済にする(今までのアメリカ、中国などの外需頼りは弱めよう)」という「哲学」を貫いているように見える。

一寸、話は変わるが子ども時代、小学生だった頃、「日本は資源が少ない。だけど手先も器用で技術力がある。だから安い資源を外国から買って日本で上手に加工して海外に売って生き延びていくのだ」と先生に聞いていた。

「そうなんだな」と思い、工学部に進んだ。

現在、円高で言われているのは「海外原料、資源が安くなる」ということを飛ばして、「海外でのドル値段が上がって輸出商品が売りにくくなる」ということばかり言われている。海外原料が安くなれば輸出商品も安くなるではないか。

他に海外旅行しやすくなる、とか輸入消費財も安くなる。ガソリンも安くなるだろう。石油依存の電気代も安くなるはずだ。(長期的には石油依存がいいかどうかは問題)まあ食料品については、自給率の問題もあり、良く考えるべきだろう。

そりゃ、1ドル80円を切るなんてのは、現在の「体質」では無理なので政府は介入するだろう。

これも「見守り課題」である。

「八ツ場ダム問題の解決とは何か」

2009-09-29 | 地域居住学
一寸以前に「土木工学は何をしているのかな?」を書いた。
http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/b65aaaac3a9b46e09df2e5ff8de563e3

で、今日、たまたま『世界』誌の10月号に嶋津暉之さん(1943年生、東大工学部(たぶん、土木工学)卒、市民団体「水源開発問題全国連絡会」共同代表)が「八ツ場ダム問題の解決とは何か」を書いておられ、市民の目から見て極めて説得力がある、と思った。つまり、当初(1957年)必要と思われた利水効果も節水型の機器の普及などで不必要になり、治水に至っては「カスリーン台風の再来を想定した場合、八ツ場ダムの治水効果がゼロであることが国土交通省の計算によって明らかになっている」(188頁)のだ。もちろん、以後も河川改修は必要である。

更にこのままダム建設を続けて完成させると以下の問題が発生する。
(1)美しい吾妻渓谷の喪失
(2)クマタカなどの貴重生物の喪失
(3)ダム湖での植物プランクトンの異常増殖による水質悪化
(4)貯水池周辺の地すべりの発生
(5)ダムサイト岩盤の崩壊の危険性
(6)堆砂のはやい進行によるダム機能の早期低下と上流域の氾濫地帯の形成(河口への砂供給の低下による海岸線の侵食・・・私注)
(7)国民が巨額の費用を負担(以上190頁)

民主党(や共産党)は以上のような理由も理解して「マニフェスト」に八ツ場ダム中止、を盛り込んだ。そして民主党は、今年五月に「ダム事業の廃止に等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案(仮称)骨子案」を発表しパブリックコメントの募集を行った。・・・「このような法律に基づき、老朽化した家屋・建物の新改築、生活再建のための物心両面の支援措置、衰退した地域の基幹産業を再生させる支援プログラムの推進、移転した人たちを呼び戻すための既買収地の譲渡など、地域を再生させる様々な取り組みがなされていかなければならない。それは、不要なダム計画の推進で地元を半世紀以上も苦しめてきた国(主に自民党、および自公政権の責任だが引き継いだ民主党中心政権・・・私注)と群馬県、さらに、ダム計画を後押ししてきた下流都県の責任の下におこなわれるべきものである。」(194頁)

前原国交相は、以上のことを踏まえて「中止」と明言したが、地元住民の多くは過去の国の政策に翻弄された経験から「またか」と思ったとしても仕方がない。もうすこし丁寧な対応が必要だった。また過去57年間のことがあまり分かっていない多くの国民(私も含めて)も、いきなりの「中止」に(「マニフェスト」にあるにもかかわらず)びっくりして「非民主的」と思ったのではないか。

鳥取県の中部ダムを止めた片山・前鳥取県知事も言うように、過去の情報も現在の情報も住民に公開し、きちんと説明し、地域振興策を誠実に実行していけば、必ず八ツ場ダム周辺住民の納得が得られ、我が国初の「大ダム中止」となるのではなかろうか。

給付は平等に、税金は区別して

2009-09-29 | 時論、雑感
子ども手当、中卒まで一人月2万6千円給付がいよいよ来年度(来年は半額)から始まるだろう。これについて、福島社民党代表が、給付に所得制限したら、まあ年収1千万以上には給付しなくても・・・、みたいな発言をし、結局撤回して全員給付となった。

これが正解と思う。子供手当は、全部の子供が大切だというメッセージであり、もし給付なしで高額所得者は、「自分で育てろ」、としたらどうなるか。自分の子供もよその子供も等しく見る目が、より曇ってこよう。

こういう末端の国民(消費者)の懐を温める財源は、ではどうするのか。

今はおおっぴらに言われていないし、4年間は消費税も上げないと言っている。では「赤字国債」のみなのか。私は、税体系の議論が出てきてしかるべき、と思う。

給付は、平等に、税金は区別して、だろうな、と思う。消費税以外の所得税、法人税にも当然、議論が及ぶべきだろう。まあ「貧乏人」は低く、「金持ち」は高く負担すべきことは論をまたない。税議論もしっかり見ていこう。

東アジア共同体

2009-09-28 | 時論、雑感
鳩山政権は外交の方向として、「国連重視」、日米同盟基軸、東アジア共同体の追求・・・というのを打ち出している。

このうち、東アジア共同体というのが何をどのように意味するのか分かりにくい。

まあ、鳩山さんの祖父の鳩山一郎首相は、吉田 茂の日米安保、日米関係重視に対して、外交は広くやるものだ、として「日ソ国交回復」を図った(1955年)のが思い出される。

で、「東アジア共同体」というと、古くは「大東亜共栄圏」という言葉を思い出すし、最近では、なくなられた森嶋通夫さん(経済学、LSE教授歴任)も著書で「東アジア共同体」を提案しておられる。

これらは、やはり全てアメリカを意識したものである。

民主党で初代外相をつとめている岡田さんは、テレビで「ヨーロッパのEUをイメージしている。」と述べた。EUは最初、戦後、第二次大戦で敵味方に分れたフランスと西ドイツが鉄鋼・石炭などで共通の政策をとり、やがて他の国々も加えて、通商圏を共通にし、ついに共通通貨「ユーロ」を生み出している。

今後、政治的統合も視野に入れている。これらは、「二度と戦争をしない。共同で大きな市場をつくり経済発展の基盤とする。」といったものだ。

岡田さんによると、「東アジア共同体」は、中国、韓国だけでなく南のオーストラリアとかインドも視野に置いたもの、と言う。まあ、経済の共通メリット追求から始めて、共通通貨から遠い先には政治的統合も考えている。ただ、今の中国は経済体制が違うので難しい、と言う。

へー、そんな長期レンジの「戦略展望なのか」と思った。

金大付属高校同窓会・関西

2009-09-27 | 金沢の思い出
昨日、大阪・南で金沢大学付属高校・関西の同窓会があった。例年9月末に開かれる。

全部で60人以上集まったのでは・・・、と思う。我々11期生(1960年、昭和35年卒)は、5人の参加だった。来年5月には、卒後50周年の同期会がある。

昨日は、前座で「ノーベル賞」候補の一人とも言われる長田重一さん(京大医学研究科教授、分子生物統御学、20期生、1969年卒、東大理学部卒)の興味深い講演があったが、私は別用(けいはんな市民雑学大学)で聞けず、夕方からの懇親会のみ出席した。その席で長田さんとも言葉を交わした。

昨年の同窓会と同じ場所、ホテルだった。終わって同期生4人でお茶をしたが、時節柄「政権交代」が話題となった。

最近、鬼籍に入られた大尾嘉君(医者)や高瀬先生(漢文)のことも懐かしく思い出していた。帰りは「学園前」に住むO君と近鉄で帰った。

核軍縮の方向(岡田外相の案?から)

2009-09-25 | 時論、雑感
昨日の国連安保理15カ国で「核兵器のない世界」決議が全会一致で採択された。

しかし、米露をはじめ核弾頭を保有する国は9カ国(露、米、仏、中、英、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)にのぼる。これらの国から「核」がなくなって、他の国から「核」発生も抑えきらないと「核廃絶」が達成できない。

そこで、中間的に注目されるのは、岡田外相らの「アイデア」(新聞報道等による)である。それは、
(1)核保有国は、核先制攻撃はしない。(これは、アメリカ等は留保している)
(2)核保有国は、非核国を核攻撃しない。(これは、日本が、この犠牲者なので強く主張できる)

これらを核保有国に認めさせることだ。「非核三原則」を再び宣言した、そして唯一の被爆国である日本の外交の戦略的方向であろう。

軍事でなく民生でーアフガニスタン支援ー

2009-09-24 | 地域居住学
今晩、テレビを見ていたら「ペシャワール会」の医師・中村さんがアフガニスタンで砂漠に24kmにわたる用水路建設を指導し、アフガニスタン国民に喜ばれていることをやっていた。

折しも鳩山首相はオバマ大統領との会談で(インド洋での海上自衛隊による給油活動に替わり)アフガニスタンでの農業開発や職業訓練などの民生支援をしたい、と提案し、「有難い」と言わせたようだ。

アメリカも軍事一辺倒ではアフガニスタン国民に支持されないと分かったようだ。

じゃあ、元々の「目的」、テロリストのおおもとがアフガニスタンに潜伏しているから軍事介入、はどうなるのか。まあ、貧困からテロが生まれる、という「法則性」を信ずるなら、まず貧困を撲滅、となり、それなら「軍事から民政へ」は理解できる。

それから仮に軍事なら軍人しか「貢献」できないが、民生なら多くの職業の人が貢献できる。

私の知る奈良女子大付属学校を定年引退した先生は、退職金から400万円をアフガニスタン支援に支出して学校を一つ建てた。現在のアフガニスタンではそれ位で学校が造れるのだ。

そういうことなら、日本は大いにアフガニスタン支援が出来ると思う。日本の土木工学も大いに貢献できる。

軍事「援助」は、平和憲法のもとでは絶対にだめである。

土木工学は何をしているのかな

2009-09-24 | 地域居住学
八ツ場ダム中止問題、高速道路無料化問題は、内政の大きな問題となっており、役所としては国交省だが、学問としては土木工学(河川工学、道路工学)が主な役割を担っているのではないか。ところが、新聞を見ていても土木工学からの発言が見当たらない。

テレビで群馬大学の土木工学の先生が、ダム建設の効果は30年、50年経たないと分からない、みたいなことを言っていたが、八ツ場ダムはスタートから57年も経っているのだから「中止すべきか継続して完成さすべきか」学問的に発言できるのではないのか・・・。

でも、長年、身近に土木工学の人たちを見てきて、多くはそういう「総合的問題」に答える研究、訓練をしていない感じだ。中には自分で勉強している人もないとはいえない。例えば「国土問題研究会」に結集している人たちだ。

その研究会は「住民主義、現地主義、総合主義」を標榜している。

実は、八ツ場ダム中止問題は、単なる土木工学の問題ではなく、地域経済、地域づくりの問題でもあるのだ。周りの動植物の変容と問題など生態学もからんでくる。まあ「総合的問題」と言ってよい。そういう文献が現れてもいいころだ。

治水装置としてのダム中心からの転換

2009-09-23 | 地域居住学
民主党による八ツ場ダム建設中止は、公共事業や治水のあり方について、国民に対して問題提起している、と思う。

かっての治水思想(建設省、国交省河川局のもの)は、上流にダムを造って食い止め、中下流で直線の河道、高い垂直堤防を設置して土地面積を節約しながら河川の断面積を大きくして早く水を海に流す、というものだったと言ってよい。

それに対して、今日、八ツ場ダムを訪れた前原国交相は「民主党はダムによらない治水・利水をしようと思う」と地方首長や記者達を前に述べた。それが、特にダムの「たんすい」地域の住民に水没による「辛い思い」をさせない道でもある。

過去57年間、自民党、自公政権に翻弄され、当初からの反対住民も20数年前に「手厚い」補償を条件に「建設容認」になったのだ。

だから57年間を振り返って、今後どうするのが良いか、中止の方向で色々と考えられると思う。

ここで、治水の新しい方法を考えてみたい。武田信玄の信玄堤に代表されるような「遊水池+上流に向かい斜めに切られた堤」も有効だろう。洪水の時、遊水池に水を導いて下流への洪水圧力を弱め、洪水が過ぎ去ったら徐々に遊水池から川に戻すやりかたである。「温故知新」で先人の知恵に学ぶべきだろう。

で、河川局も過去の「狭い高堤防方式」からこの「広い河川敷を持つ近自然工法」思想に転換しつつある。これを聞いて、官僚(河川局)はしたたかだ、と思った。

何故なら、今まで百年かかって「高堤防方式」でやってきたのを又百年を使って「近自然工法」に改めるとしたら彼らにとって後百年は仕事がある、となるのである。

それでも「良いことは良いのである」、是非新しい21世紀型治水思想でやっていってほしい。それが、自然生態系を護る方法でもある。

ダムに関する過去ブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/d7fd5e4ee915ab34808f1ebacd7c60c4

政治の方向性

2009-09-22 | 時論、雑感
今度、国民の投票を通じて戦後初めて政権交代が起こった。民主党中心の多党政権になったのだ。歴史的に画期的なことだろう。

で、二大政党か多党連立か、ということについては、今後、多様な多党連立が模索されるのではないか。それらの中で過去の自民党と今度の民主党の違いを一つの面から見てみたい。

自民党は、企業・団体献金を認め、それに頼っている。一方、民主党は三年後には企業・団体献金は廃止するとしている。その背景だが、自民党は、補助金等を大企業・団体に出して、それらから個々人に恩恵を及ぼす、という間接的方法だった。それに対して、民主党は末端の国民に直接に恩恵を及ぼそうという手法である。

「子供手当」「農家個別補償」「高校無償化」等がそれである。

だから、民主党は、企業・団体献金ではなく個人献金に早急にシフトするだろう。

それはそれで良いと思う。しかし、税金からの政治資金の配布は認めている。

それに対して、それを認めていなくって、どんな政党であろうと直接に国民に根差すべきであり、国家から安易に恩恵を受けるべきではないとて、歯を食いしばり、個人献金や独自事業(「しんぶん赤旗」の販売等)でやっている唯一の政党が現在のところ、日本共産党だろう。

まあ、それは先進的と思うが、全政党に及ぶのは大分先のことだろう。しかし、民主党の言うように個人の懐を温め、そのかわり個人献金で政治運営をする、という方向に行くのは、ほぼ確実になりつつあるのではないか。

政治の方向性は、全方位の検討の上、実感していきたいものだ。

民主党中心政権の政策の研究ー環境政策(1)

2009-09-20 | 時論、雑感
民主党のマニフェストの「雇用・経済政策」の中の三つの一つに「地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。」というのがある。

もう少し詳しくは二つあり、第一に「2020年までに温暖化ガスを25%削減(90年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。」とある。排出量取引市場が全体として排出量を減らすのか、まだ排出量が小さい国の「枠」を買い取れば、その「枠」を先進国が使えるのか?もし、そうだと発展途上国は当面の「収入」があるかもしれないが、将来の産業発展の足かせになる恐れもある。 また、地球温暖化対策税とは、どんなもので、誰に課すのか、それをどう使うのか、一般財源になるのか、環境対策財源となるのか、議論の要がある。

第二に「太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの導入を助成し、温暖化対策と新産業育成を進めます。」とある。

日本は、現在、「資本主義社会」「市場経済」だから、「問題を産業で解決しようとする」傾向は、やむを得ない。「住宅問題」に対して「住宅産業」で、「環境問題」にたいして「環境産業」で、である。

それらは、きちんと「舵取り」しながらやれば、多大な貢献になるだろう。自民党より先に言ったことが良いのではないか。

社民党も「グリーン・産業育成」と言っているのもほぼ同じ意味だろう。これは、ドイツが先進国ではトップを走っているようだ。アメリカも特にオバマ大統領になって、力を入れ出した。自然エネルギーが、自然状況に依存し、薄く変動性を持つ弱点を自動車のバッテリーを社会の蓄電池として活用する「スマート・グリッド」の野心的企画も進め、最大のエネルギー消費者のアメリカ軍でも省エネに取り組んでいる。

日本なら、「公害」に注意しつつ、日本列島に豊富な「風力」、「地熱」、「潮汐」エネルギーを活用する取り組みを促進すべきだろう。

東京電力、関西電力などの「大規模集中発電」ではなく、列島全体の「小規模分散発電」に戦略的に転換すべきではないか。一つの発電所のトラブルが列島全体に悪影響を及ぼさない。震災等の災害の時の「ネットワーク」のバックアップとなる。

経団連は、「25%に反対」と悪あがきはしないほうがスマートだ。重厚長大の大企業は知恵者も沢山いるのだから必死に更なる省エネに転換すべきだ。1973年のオイルショックの時も、また「公害対応」を求められた時も「新技術」を開発し、乗り切り、同時に世界にノウハウを提供したではないか。

自動車、家電だけでなく、全産業で追求すべきだ。その先頭に経団連が立ってこそ責任ある良識ある財界、と言われるのではないか。

政府も、自衛隊をはじめ、全官庁で省エネに取り組むべきであろう。

国民は、見ていますよ。

民主党中心政権の政策の研究ー外交政策(3)

2009-09-18 | 時論、雑感
オバマ大統領は、「米国がミサイル防衛(MD)東欧配備計画見直しを発表」した、つまりポーランド、チェコには配置せず、海上対応(軍艦に装備)とした。

これは、対ロシア政策の面がある。ロシアも「歓迎」している。

アメリカからみた意味は、第一に、核軍縮に更にロシアを引き込むこと、第二に、イランに影響力を持つロシアにその影響力を働かせてもらうことであろう。

こういう事態をみて、日本は機敏に動くべきである。

沖縄などの米軍基地を一部でも廃止したらどうか、と持ちかけることだ。その根拠は、アメリカが財政の問題もあり、アフガニスタンを除いて軍縮傾向、「引いていく」傾向があること。それなら、沖縄などから一部(普天間が一番良い)引いてもらい海上対応にしてもらうこと(これは東欧のMD配備計画の転換の線だ。)、そうすれば沖縄県民や日本国民から「さすがアメリカ」と思われ、軍事以外の側面でもプラスになりますよ、と。

鳩山さん、岡田さん、今度の訪米の時、もうちょっと後でも良いがオバマさん、クリントンさんに言ってみたらどうですか。

官僚は基本的に「資格任用」とせよ!

2009-09-18 | 時論、雑感
「日本の公務員制度改革を巡る議論が収斂しないのは、公務員の役割が定義されていないからである。応答性(私注:上司の政治家に応答して行動する)を重視し政治任用とするのか、それとも専門性を重視し資格任用とするのか。国家公務員法は、もともと昇進は競争試験によることを規定していたが、実際は基準が曖昧な勤務実績による選考である。だから大臣が政治任用しうる。要するに、日本の公務員の任用は、政治任用と資格任用の両方の性格を持つ「両生類」のような仕組みである。」(雑誌「WEDGE」10月号、一橋大学准教授・田中秀明著「官僚の専門性をたかめる具体策」より)

私は、日本の国家公務員は、局長位までは政治的中立性をもった「資格任用」で良いのではないか、と思う。事実、はじめに「公務員試験」を通過することは「資格任用」と言えよう。

総理大臣、当該大臣の政治的方針に沿って、法律にもっていく技術的精査、事実調査や分析、前例や海外例の分析・検討などを精緻に行うのが官僚、という位置づけなら役割分担がはっきりするのではないか。

事務次官をどちらにするのか、課題であろう。

上記、田中さんは、昇進の仕組みは国家公務員法にしたがい「競争試験」で良いのでは・・・、と言っている。そうでないなら、「学閥主義」などがのさばって、最初に多く就職する東大(法学部)卒ばかりが局長、課長などになる「おそれ」があるし、事実そういう風になっている感じもする。

まあ新しい公務員制度を確立するのに10年はかかる感じである。

官僚を元気にする政策は?

2009-09-18 | 時論、雑感
今、民主党は、「脱・官僚依存」政治、などと言っているが、かって、アメリカなどは「日本の政治家(自民党を想定)は大かたは国家戦略を持っていない。(アメリカにくついていれば何とかなるとなる、とする。小泉さんがいい例だ。)財界は利潤本位で動くから国益を考える見識のある人は少ない。一番手ごわく大変なのは、国益を守ろうとする官僚だ」と認識していたようだ。

ところが、専門能力が高かった官僚も長年にわたる自民党政権での政策丸投げで、立案から、関係省庁、全省庁、自民党族議員などへの説明、調整作業に追われ、長期にわたる自公政権のため「政治化(家)」し、国益(国民益とずれる場合もあるが・・・)に沿った政策ー代替案も含めてーを考え、磨く時間がなくなってきていた。

それに代わって「しっかりした政策」は、政治家が考える、族議員への説明、調整は不要、族議員そのものをなくすとする政権が一応できた。(しかし、小沢一郎さんなどは政治献金元を見ても「最大の族議員」ではないか。)見守っていこう。

ところが、その政権は、公務員給与2割カットという。「天下り」禁止といいつつ代替案がない。これでは、人生設計が立ちにくい。で、政治的に中立で、政策を磨く士気高い公務員は、増えにくい。「天下り」は、必要悪の面があった。公務員は、ピラミッド組織、50歳を過ぎると、ラインの責任者になる者と、そうでない者に別れざるをえない。

そこで、「天下り」先を作って、再就職となったのだろう。ただ、その組織自体、社会にとって必要なのかどうか。又、そこでの給料、退職金の異常な高さや、何度でも再就職する「渡り」などが庶民の目からみてひど過ぎるというのも事実であろう。まあ、65歳まで「本省」の「窓際族」で働くというのもどうなのか。広い社会で職を求めたら、例えば大学教授などになっている人もいるじゃないか、と言っても全員そういうことは難しい。何らかの対応が必要、そうしないと公務員を目指す若者が少なくなるのでは・・・。

まあ、今回は、政治家と官僚のどんな関係が望ましいのか、試金石である。

民主党中心政権の政策の研究ー外交政策(2)

2009-09-16 | 時論、雑感
鳩山新政権は、アメリカと「緊密で対等な関係を構築していく」と言っている。

それは、まあ「日米安保条約」の堅持の下で、三党の連合政権協議をも踏まえ、(1)米軍の再編に関して、普天間基地を沖縄から県外、海外に持っていくこと(出来れば海外)、(2)地位協定を日本人、特に色々米兵から被害を受けてきた沖縄県民が納得できるように改定していくこと、(3)何ら法的根拠のない米軍に対する「思いやり予算」(豪華な住宅の建築等)を削減していくこと(削減したものは、公約にある国民に対する福祉的目的に使う)、(4)アフガン問題に関連しインド洋での各国の軍艦への給油活動を中止し海上自衛隊を引き上げることなどを機を見てアメリカに何らか要求することなどではないか、と思われる。

アメリカは、「日米安保条約」(1960年)によるというより2005年10月29日に日本の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官が署名した「日米同盟:未来の変革と再編」という文書を盾に色々要求してくると考えられる。

そこでは、「日米安保」では、自衛隊は「専守防衛」の下、日本近海までの防衛をやっていれば良かったのが、「日米同盟」では、米軍に従って世界中に自衛隊が出かけないといけないことになっている。

最近、「日米安保に基づき」という言い方ではなく「日米同盟に基づき」という言い方が多いのは、この2005年の「日米同盟:未来の変革と再編」という文書によっているからである。注意して、アメリカ、米軍の動きをみる必要がある。

これによるアメリカの戦略は、イラクに続きアフガニスタンにも自衛隊を引きこむことである。そして、それまで「一兵」たりとも海外で殺されなかった自衛隊に犠牲を強いるものである。実は、海外での自衛隊の日本船舶のシーレーン防衛は、旧ソ連(ロシア)の核ミサイルを搭載した潜水艦を監視させることにも通じている。(後者の「義務」について日本ではあまり知られていない、と言う)

これは、紛争を武力では解決しない、という憲法に真っ向から違反するものであるし、アフガンの紛争が日本の自衛とリンクしているとは中々言えないだろう。

だが、アメリカは、憲法改定も睨んで戦略を立てている。

で、アフガン派兵は絶対だめであるが、上記の(1)から(4)までの要求をしていく中で、(1)~(3)が何らか解決に向かうことが来年1月まで確実ならば、
(4)の給油は、少し延長しても良い、というのが岡田克也外務大臣の腹ではないか、と推測している。

参考文献:孫 享著『日米同盟の正体-迷走する安全保障ー』(講談社現代新書)この本では、「9.11」は米政府の謀略ではないか、それはベトナムに対する「トンキン湾事件」(北ベトナム軍による米艦船攻撃、それに対抗する形での米軍の北爆があったのだが、実はアメリカの謀略であったこと)と同じ文脈だという。さらに、この本ではイランに対してアメリカが核を使う可能性も論じている。