溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
角川エンタテインメント |
監督:溝口健二
脚本:依田義賢、成沢昌茂
出演:田中絹代、大谷友右衛門(7代目)、久我美子、進藤英太郎、……浪花千栄子
【あらすじ】(『goo映画』より抜粋)
京都島原の廓でただ一軒、太夫の置屋とお茶屋を兼ねた井筒屋の女将初子(田中絹代)は、夫亡き後女手一つで太夫、仲居、女中達を切廻して商売している。東京の音楽学校でピアノの勉強をしていた一人娘雪子(久我美子)が、恋人と婚約するばかりになっていたのに突然自殺を計ったので、東京へかけつけて彼女を家へ連れ戻した。
帰宅した初子は廊の若い医師的場(大谷友右衛門)に雪子の診察を頼んだが、彼女は頑なにそれを拒むのだった。
その夜遅く、太夫の一人薄雲(橘公子)が胃ケイレンをおこし、的場が手当てをした。その後、彼と二人切りになった雪子は、母の商売に疑問を持って居り、それは自分の恋の破れたのも相手が家の職業を知って破談にしたためだからだと打明けた。的場からこのことを伝えきいた初子は、先祖代々の職業が娘の幸福の妨げになったという事実に大きな衝撃をうけた……。
○
映画公開時、田中絹代45歳、大谷友右衛門34歳、久我美子23歳。
ぶっちゃけ、母と娘と男との三角関係メロドラマを、京都を舞台に仕上げましたといった作品。
黒澤明、小津安二郎と並ぶ巨匠監督の映画にしては通俗的すぎる内容やなあ。
テレビがない時代、奥様方はこういう映画を観てメロメロになっていたのでしょうか?
現実ならドロドロになっちゃいそうな愛憎劇を、確執もなく無難に綺麗に終わらせています。
女将に労働力を搾取されていても、太夫として生きていかざるを得ない環境や悲哀も描かれており、単なるメロ映画ではないのだけれど、こーつと、何がテーマの作品なのだろうか? と首をひねってしまう映画でもありますね。よーわからん。\(^_^)/
廓の内部をロング・ショットで撮影しながら、多くの役者が一斉に演技しているシーンが何ヶ所もあります。そこがひとつの見所かと……。広そうなセットです。
○
開業医になりたい友右衛門はん。開業場所を探すべく、絹代はんと一緒に北白川の出物物件を見に行きはりました。
▼ うぉっ、大文字山!
▼ オイラのような偏愛大文字山主義者が観ることを見越して、サプライズをフィルムに仕込ませていたとは畏るべし慧眼、溝口健二!
▼ あのお家を見たことがあるような、ないような……今も健在なのかな?
▼ 疎水のベンチにすわる絹代はん。
▼ 田中絹代の聖地ベンチはどこにある?
▼ ロケ地と思った場所へ実際に行ってみたが、まったく合致しない。家、橋の形、ベンチの位置。約60年の歳月が風景をそうさせたのか? オイラの大いなる思いこみなのか? 別の場所かもしれない。今後、哲学の道も散策調査せねばならんのう。
娘は学校を出て、もう自分の力で生きて行ける人間だった.
彼女は、母親の仕事を、女が身体を売ったお金で生きて行くことを嫌っていた.
少し言い方を変えれば、身体を売ったお金に頼って生きて行くことを嫌っていた、とも言える.
母親
母親は、店の女の子たちに慕われ、頼りにされていた.
少し言い方を変えると、身体を売らなければ生きて行けない女性達から、慕われ頼りにされていた.
娘が考えるように、自分の力で生きて行くことが出来る人間が、身体を売って稼いだお金に頼って生きて行くのは、間違っている.
けれども、身体を売らなければ生きて行くことが出来ない女性たちから、慕われ頼りにされている母親の仕事は、間違っているのだろうか?.
娘は、母親の後を継ぐことにした.