「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その1・中学入試問題《青山学院中等部》』

2010年10月04日 | 学習指導法



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合の特殊算の4番手は、仕事に関する問題を取り扱う文章題です。

仕事に関する文章題には、解き方により大まかに以下の3つの種類があります。

・仕事算…全体の仕事量を1とおき、個々の単位時間当たりの仕事量を求めて解いていく問題。

・のべ算…全体の仕事量を「のべ量」として表し、のべ量を使って解いていく問題。

・ニュートン算…「入ってくる量」「入っている量」「出ていく量」の3つの量を考えながら、解いていく問題。


以上のことから、仕事の問題=仕事算とはなりません。

与えられた条件を整理して、解きやすい方法を考えます。

では、仕事に関する問題の最初として、数回にわたり「仕事算」について、家庭で教えるときのポイントを伝授しましょう。


今回取り扱う問題は、今年の春に青山学院中等部で出題された問題です。

青山学院中等部の今年も算数の出題は、【1】から【13】まであり、【1】から【3】までは計算3題、【4】から【9】と【11】は、どちらかというと小問形式問題です。

今回その時方を伝授する仕事算の問題は、【8】で出された問題です。

最近の傾向として、水そうに水を満たすのに使用する管の仕事量に関する問題を扱った仕事算が出題されることが多くなりました。

今回の仕事算は、もう一つの考え方(つるかめ算)を加味しながら解く必要がありますが、標準的なレベルの問題です。


ススキの穂が秋を彩る


【問題1】

ある水そうに、Aの管だけで水を入れると15分でいっぱいになります。Bの管だけで水を入れると10分でいっぱいになります。この水そうに、はじめはBの管だけで□分□秒間水を入れ、その後両方の管で水を入れると、合計7分でいっぱいになります。


【ヒント】

仕事算の解き方のポイント。

初めに全体の仕事量をまず1と置く

次にそれぞれの単位時間(1分、1時間、1日など)当たりの仕事量を求める。


すなわち仕事算は、小学6年で学習する「単位当たりの量」の発展的な問題と考えてよいでしょう。

こうした水そうの問題では、まず水そう全体の容積を1と置きます。

するとA管は容積1の水そうを15分でいっぱいにする働き(仕事量)がありますから、
1分当たりに入れる水の量(単位時間当たりの仕事量)は、1÷15=1/15

同様に、B管の1分当たりの水を入れる量は、1÷10=1/10

式をたてる前に、それぞれの単位時間当たりの仕事量を求めて、その数値を最初にノートに書き出しておきます。

両方の管を使って水を入れるときの単位時間(1分)当たりの仕事量は、A管とB管の単位時間当たりの仕事量の和になりますから、

1/15+1/10=1/6となります。

今回の青山学院の問題を解くもう一つのポイントは、「B管(1/10)とA・B両方(1/6)をそれぞれ使って、合計7分で水そう(容積1)をいっぱいにする」という条件から、つるかめ算を使うことにに気づく必要があります。


アサギマダラ…鷹揚な性格らしく、マクロモードで近づいても逃げません
流石に海を渡る大物の風格があります


【問題1・解答】

まず問題を解く材料を書き並べてみましょう。

B管…1/10、 A管+B管…1/6、→計7分で仕事量1。

つるかめ算を解くための方法で、初心者マーク付きの解き方は、まず面積図で条件を整理することです。


縦に単位時間当たりの仕事量、横に時間、面積がやった仕事量

面積図による解法は、小学4年で学習した長方形の面積の問題につるかめ算を変換し、かつ視覚的に理解することができる方法です。

まず、横の長さ□を求めるために、青の斜線の部分の面積を求めます。

1/6×7-1=1/6

その面積を縦で割ることにより、横の長さ□を求めることができます。

1/6÷(1/6-1/10)=2.5(分)

一般的には、上の式を一本にまとめて計算します。

単位は、□分□秒となっていますから、0.5分×60=30秒。

よって答えは、2分30秒


つるかめ算と差集め過不足算は、特に出てきた数値が何を表しているかわからなくなる子供が多い問題です。

式を解いて出た数値に単位をつける習慣をつけることも、そうした問題の対策になります。



今回の問題は、仕事算の基本的な解法を用い、かつつるかめ算の考え方を使って解く問題でした。

このように、仕事算は様々な問題と複合した形で出題されます。

仕事算は、数値が「分からなかったら1と置く」…この考え方から出発する問題の一つのタイプと考えることができます。

また仕事算は、単位時間当たりの仕事量を求めることから必ず出発しますので、「単位量当たりの問題」の発展的な問題と考えられます。


仕事算の指導法について興味ある方は、以下のブログもご覧下さい。


マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その1・中学入試問題《青山学院中等部》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その2・中学入試問題《ラ・サール中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その3・中学入試問題《鴎友学園女子中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その4・中学入試問題《聖光学院中学校》』


延べ算の指導法に興味ある方は、以下のブログも参考にご覧ください。

マッキーの算数指導法『特殊算』…のべ算…その1・中学入試問題《江戸川学園取手中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『のべ算…その2・中学入試問題《星野学園中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『のべ算…その3・中学入試問題《海城中学校》』


ニュートン算の指導法に興味ある方は、以下のブログも参考にご覧ください。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その1・中学入試問題《桐朋中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その2・中学入試問題《城北埼玉中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その3・中学入試問題《渋谷教育学園渋谷中学校》』

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン出題の《ニュートン算》を小学生が解く!』


割合の特殊算として、すでに以下の3つの文章題の家庭における指導法を伝授しましたので、興味ある方はご覧下さい。

一回目は『相当算…その1』 ~2

二回目は『売買算…その1』~2

三回目は『混合算…1回目・まず始めに知っておくべきこと』~5


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