「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その2・中学入試問題《ラ・サール中学校》』

2010年10月13日 | 学習指導法
前回に引き続き、割合の特殊算である仕事算を取り上げて、家庭での指導法を伝授しましょう。

仕事算の導入指導については、以下の一回目の内容で説明しましたので、興味ある方はご覧下さい。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その1・中学入試問題《青山学院中等部》』

仕事算の基本は、まず全体の仕事量を1と置き、それぞれの単位時間当たりの仕事量を求めることから出発します。

したがって個々の仕事量は、分数表記され、途中式は分数計算となります。

分数計算を避けるために、個々の仕事量を比を使って表し、全体の仕事量も含めて整数で表すことによって、途中計算を簡単にする工夫も考えられます。

しかし、この場合、全体の仕事量と個々の仕事量の関係性や全体と個々の割合が曖昧になり、間違えた答えを出しても、感覚的に理解できないことが多いようです。

従って、全体の仕事量を1と置き、個々の仕事量を分数表記した方が、仕事量を見積もれる点でミスが少なくなります。

ただ、仕事算程度の分数計算を正確に素早く解くことができる計算力は必要ですが。

また、全体の仕事量を1と置くことは、全体の仕事量をもとにする量とした割合の考え方に共通しますので、全体と個々の関係性が理解できる点で分かり易いと思います。



キバナコスモス…散歩コースにある公園にて最近の風景


さて、今日の仕事算は、今年の春にラ・サール中学校で出題された問題です。

今年のラ・サール中学校の出題は、大きな問題6題で構成され、【1】は計算3題、【2】は小問5題、【3】から【6】までは、それぞれ小問3問に分かれた大きな問題となっています。

今回使用する問題は【3】で、問題の小問の(1)と(2)は基本的な問題、(3)はちょっと一工夫を必要とする問題となっています。

今回の仕事算も、水そうに水を入れる管の仕事量に関する問題です。

前回も指摘したとおり、この系統の仕事算が増えていることに留意しましょう。



【問題1】


A,B,C3つの管と大きな水そうがあります。空の水そうを満水にするのに、AとBを同時に使えば10分かかり、AとBとCを同時に使えば6分かかります。次の問いに答えなさい。

(1)Cのみ使えば何分で満水になりますか。

(2)最初はA,Bのみを使い、途中からA,B,Cの3つを使うと、合わせて7分20秒で満水になりました。A,Bのみ使っていた時間を求めなさい。

(3)AとCを同時に5分使ったあと、Bのみを8分使うと満水になりました。はじめからAのみを使えば何分何秒で満水になりますか。



秋の陽を受けて輝くひまわりと蝶


【ヒント】

(1)のヒント

仕事算の考え方に忠実に問題を解いていきます。

この水そうの容積を1と置きます。

まず条件に従い、AとBの単位時間(1分)当たりの仕事量(入れる水の量)と、AとBとCの単位時間当たりの仕事量を求めておきます。

AとBを同時に使えば10分で満水(全体の仕事量1)になるという条件より、

A+B=1÷10=1/10……①

同様に、AとBとCを同時に使えば6分で満水になることから、

A+B+C=1÷6=1/6……②

①と②の条件から、Cの単位時間当たりの仕事量を求めます。


(2)のヒント

これは、前回1回目の問題と同様に、条件を整理することにより、つるかめ算を用いる問題であることに気づくことが重要です。

条件を面積図に書いて式をたてます。


(3)のヒント

前の(1)と(2)と異なり、条件をしっかり理解して、一工夫する必要があります。

「AとCで5分、Bのみで8分で満水になる」という条件と、「AとBとCを同時に使えば6分で満水になる」という条件を比較して問題を解く糸口を見つけましょう。



昔ながらのコスモス…散歩コースにある公園にて最近の風景
秋桜とも書くコスモスは、原産地はメキシコの高原地帯
18世紀末にスペインマドリードの植物園に送られコスモスと名づけられた
コスモスの語源は、ギリシャ語の「秩序」「飾り」「美しい」という意味
このことから、星がきれいにそろう宇宙を、そして花びらが整然と並ぶこの花をコスモスと呼ぶようになった



【問題1・解答】

(1)の解答
ヒントで求めた条件を、もう一度確認しましょう。

A+B=1/10……①(AとBで1分当たりに入れる水の量)

A+B+C=1/6……②(AとBとCで1分当たりに入れる水の量)

①と②の式の差から、Cの1分当たりに入れる水の量(仕事量)は、
1/6-1/10=1/15 であることがすぐに分かります。

よって「Cのみを使えば何分で満水になるか」と言う問題の解答は、全体の仕事量1(水そう全体の容積)をCの1分当たりの仕事量で割れば出てきます。

1÷1/15=15(分)…答え


(2)の解答

A+B=1/10……①、A+B+C=1/6……②で合計7分20秒で満水1となったという条件です。


つるかめ算の面積図…縦は単位時間当たりの仕事量・横は時間・面積は水量となります

この面積図を使って、求めるA+Bの横の長さ□を求めます。

{1/6×(7と1/3)-1}÷(1/6-1/10)=3と1/3

{ }内の数値が面積図の青い斜線部分の面積で、それをたての長さで割ることにより、横の□の長さを求めます。

よって求める「A,Bのみ使っていた時間」は、3分20秒…答え

このように、つるかめ算は割合や速さの文章題と複合して出題されますので、しっかりとマスターしておくことが肝心です。

条件を面積図を用いて整理し式をたてる「初心者マークつきの方法」を、理解しておきましょう。



サルビア・ススキそしてビル…散歩コースにある公園にて最近の風景


(3)の解答
A+Cで5分、Bで8分で満水1……③

A+B+Cで6分で満水1……④

上の与えられた条件を注意して考えてみます。

③の条件を少し変形すると、「A+B+Cで5分、Bで3分で満水1」…⑤ となることに気づいたでしょうか。

④の条件と⑤の条件を比較すると、A+B+Cで1分で入れる水量(仕事量)とBで3分で入れる水量{仕事量)が等しくなることが分かります。

すなわちA+B+C=1/6で、B×3=1/6。

よって、B=1/6÷3=1/18…⑥

C=1/15はすでに分かっていますから、Aの単位時間当たりの仕事量は、

A+B+C=A+1/18+1/15=1/6となりますから、

A=1/6-(1/18+1/15)=2/45…⑦

Aの1分当たりの入れる水の量(仕事量)は、2/45であることが分かりました。

よって求める「Aのみを使えば何分何秒で満水になるか」と言う問いの答えは、

1÷2/45=22.5(分)、よって22分30秒…答え


今回のラ・サール中学校の仕事算は、(1)と(2)は比較的簡単な問題でしたが、(3)は条件を整理して、上手な解き方を導き出すハードルがある問題と言えます。

場合によっては、家庭において指導する場合、解き方のヒントを与えることも必要となります。



秋らしい青空…散歩コースにある公園にて最近の風景


次回も、入試でよく出題される仕事算のタイプについて取り上げ、家庭で指導するときのポイントを伝授しましょう。



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