割合の特殊算である仕事算について、家庭におけるその指導法を伝授する3回目です。
仕事算の導入指導については、以下のブログをご覧下さい。
マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その1・中学入試問題《青山学院中等部》』
マッキーの算数指導法『特殊算』…『仕事算…その2・中学入試問題《ラ・サール中学校》』
今日は、仕事算の中でもよく出題されるパターンの問題ですが、その解き方を理解していないと少し戸惑ってしまう問題です。
このパターンの例として取り上げる問題は、今年の春に鴎友学園女子中学校に出題された問題です。
今年の鴎友学園女子中学校の算数は、比較的大きな問題8題で構成されています。
【1】が差集め過不足算、【2】は平均算、【3】と【4】はそれぞれ平面図形と立体図形の求積問題、【5】が今回取り上げる仕事算、【6】は整数の性質に絡む演算記号問題、【7】は正六角形の相似・辺の比と面積に関する問題、最後の【8】は図形上の点の移動とグラフの読み取りに関する問題で構成されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/6c/22c4eea23457cb05323ec517af5f5764.jpg)
ムラサキツユクサ
【問題1】
ある仕事の1/3を、A,B,Cの3人でちょうど10日かかって仕上げました。A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比は、3:2:4です。残りの仕事について、次の問いに答えなさい。
(1)残りの仕事をAが1人で仕上げるとすると、残りの仕事を始めてから、何日かかりますか。
(2)残りの仕事を3人で始めましたが、途中でAは2日、Bは3日、Cは1日、それぞれ休みました。残りの仕事を始めてから、何日目に仕上がりましたか。
【ヒント】
仕事算の基本的な考え方は、まず全体の仕事量を1と置きます。
次に、個々の単位時間当たりの仕事量を求めます。
この段階を経て、与えられた条件に従って解いていくのが、仕事算の考え方であり解き方です。
しかし、今回の問題のように1日にできる分量が、比によって表されているような場合、この比の数値を仮の仕事量として、分数で計算するのではなく、整数値で計算する方法があります。
仕事算の基本的な解法は、単位時間当たりの仕事量が分数表記になりますが、今回のように分数を整数の比に直して解く方法が考えられます。
しかし、その場合気を付けたいのは、全体の仕事量に対するそれぞれの仕事量の割合が見えにくくなってしまうので、数値を間違えていても気づくこと無しに解答を出してしまうことです。
今回の条件は、A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比が、3:2:4と出ていますので、これをそのまま利用して解きます。
今回の主要なテーマは、(2)の問題の解き方に関する考え方です。
この問題を、「休みのある仕事算の問題」と呼びます。
不規則にこの3人が休んでいる問題を、どうやって解くのか。
その解き方は、3人とも休まなかったことにすることです。
そうすると、本来の仕事量を超えてしまうけれど良いのかな?
結論から言うと、本来の仕事量を超えてしまって3人が休まずに仕事をしたと想定して解いていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/ad/f409683b0c7b9b53863dd00a5f9fbed6.jpg)
店先の黄色いヒガンバナは珍しい
【問題1・解答】
(1)
A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比、3:2:4をそれぞれの1日当たりの仕事量として計算します。
A,B,Cの3人で10日働くと、ある仕事の1/3の仕事をすることができるという条件から、この仕事全体の仕事量を求めます。
本来は、1本の式で解くのですが、分かり易く分解して説明しましょう。
まず、1日の3人の仕事量は、3+2+4=9。
そこで、10日間で3人でする仕事量は、9×10=90。
この仕事量が、全体の1/3という条件ですから、全体の仕事量を求めることができます。
90÷1/3=270
「残りの仕事をAが1人で仕上げる」という条件ですので、残りの仕事量をAの1日当たりの仕事量の3で割ることにより、A1人で残りの仕事を仕上げる日数を求めることができます。
(270-90)÷3=60日…答え
(2)
「残りの仕事を3人で始めましたが、途中でAは2日、Bは3日、Cは1日、それぞれ休みました」という条件を、まず「休まなかった」ことにします。
この条件のまま、残りの仕事を始めてからやり終えるまでの日数だけ仕事をすると、休んだ分の仕事量だけ全体の仕事量をオーバーすることになります。
残りの仕事量は(1)でも求めましたが180です。
この残りの仕事量に、3人の休んだときの仕事量を加えます。
180+3×2+2×3+4×1=196
この仕事量を3人の1日当たりの仕事量で割ることにより、求める日数を計算します。
196÷9=21と7/9
よって切り上げて、22日目が答えとなります。
この解き方をまずは教えずに、子どもに考えさせるという事も大切です。
今回の解き方の「休まなかった」ことにするという考え方を、自ら考えつく子どもも僅かですがいます。
「複雑な条件を簡単な問題に置き換えて考える」ことができるか、思考力がためされます。
解き方を教えた後、なるほどと理解した喜びを表す子どもも、良い傾向にあります。
今回の解き方を理解できない方がいましたら、紙に図などを描いてみて、視覚的に条件を整理して考えてみてください。
問題の解き方は、覚えるのではなく理解することが重要です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/8b/4a75b9d76bdb2523e5a7d354e8db070f.jpg)
キダチチョウセンアサガオ…エンジェルストランペットとも呼ばれる
「休みのある仕事算」は、「休まなかった」として式をたてて求めます。
この考え方を、その解き方の理由を含めて理解しておきましょう。
仕事算は、単位当たりの量、割合の考え方、分数計算力、比の理解などを試す問題として出題されます。
次回も引き続いて、仕事算を取り上げて、その解き方を伝授しましょう。
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今日は、仕事算の中でもよく出題されるパターンの問題ですが、その解き方を理解していないと少し戸惑ってしまう問題です。
このパターンの例として取り上げる問題は、今年の春に鴎友学園女子中学校に出題された問題です。
今年の鴎友学園女子中学校の算数は、比較的大きな問題8題で構成されています。
【1】が差集め過不足算、【2】は平均算、【3】と【4】はそれぞれ平面図形と立体図形の求積問題、【5】が今回取り上げる仕事算、【6】は整数の性質に絡む演算記号問題、【7】は正六角形の相似・辺の比と面積に関する問題、最後の【8】は図形上の点の移動とグラフの読み取りに関する問題で構成されています。
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ムラサキツユクサ
【問題1】
ある仕事の1/3を、A,B,Cの3人でちょうど10日かかって仕上げました。A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比は、3:2:4です。残りの仕事について、次の問いに答えなさい。
(1)残りの仕事をAが1人で仕上げるとすると、残りの仕事を始めてから、何日かかりますか。
(2)残りの仕事を3人で始めましたが、途中でAは2日、Bは3日、Cは1日、それぞれ休みました。残りの仕事を始めてから、何日目に仕上がりましたか。
【ヒント】
仕事算の基本的な考え方は、まず全体の仕事量を1と置きます。
次に、個々の単位時間当たりの仕事量を求めます。
この段階を経て、与えられた条件に従って解いていくのが、仕事算の考え方であり解き方です。
しかし、今回の問題のように1日にできる分量が、比によって表されているような場合、この比の数値を仮の仕事量として、分数で計算するのではなく、整数値で計算する方法があります。
仕事算の基本的な解法は、単位時間当たりの仕事量が分数表記になりますが、今回のように分数を整数の比に直して解く方法が考えられます。
しかし、その場合気を付けたいのは、全体の仕事量に対するそれぞれの仕事量の割合が見えにくくなってしまうので、数値を間違えていても気づくこと無しに解答を出してしまうことです。
今回の条件は、A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比が、3:2:4と出ていますので、これをそのまま利用して解きます。
今回の主要なテーマは、(2)の問題の解き方に関する考え方です。
この問題を、「休みのある仕事算の問題」と呼びます。
不規則にこの3人が休んでいる問題を、どうやって解くのか。
その解き方は、3人とも休まなかったことにすることです。
そうすると、本来の仕事量を超えてしまうけれど良いのかな?
結論から言うと、本来の仕事量を超えてしまって3人が休まずに仕事をしたと想定して解いていきます。
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【問題1・解答】
(1)
A,B,Cそれぞれが1日にできる仕事の分量の比、3:2:4をそれぞれの1日当たりの仕事量として計算します。
A,B,Cの3人で10日働くと、ある仕事の1/3の仕事をすることができるという条件から、この仕事全体の仕事量を求めます。
本来は、1本の式で解くのですが、分かり易く分解して説明しましょう。
まず、1日の3人の仕事量は、3+2+4=9。
そこで、10日間で3人でする仕事量は、9×10=90。
この仕事量が、全体の1/3という条件ですから、全体の仕事量を求めることができます。
90÷1/3=270
「残りの仕事をAが1人で仕上げる」という条件ですので、残りの仕事量をAの1日当たりの仕事量の3で割ることにより、A1人で残りの仕事を仕上げる日数を求めることができます。
(270-90)÷3=60日…答え
(2)
「残りの仕事を3人で始めましたが、途中でAは2日、Bは3日、Cは1日、それぞれ休みました」という条件を、まず「休まなかった」ことにします。
この条件のまま、残りの仕事を始めてからやり終えるまでの日数だけ仕事をすると、休んだ分の仕事量だけ全体の仕事量をオーバーすることになります。
残りの仕事量は(1)でも求めましたが180です。
この残りの仕事量に、3人の休んだときの仕事量を加えます。
180+3×2+2×3+4×1=196
この仕事量を3人の1日当たりの仕事量で割ることにより、求める日数を計算します。
196÷9=21と7/9
よって切り上げて、22日目が答えとなります。
この解き方をまずは教えずに、子どもに考えさせるという事も大切です。
今回の解き方の「休まなかった」ことにするという考え方を、自ら考えつく子どもも僅かですがいます。
「複雑な条件を簡単な問題に置き換えて考える」ことができるか、思考力がためされます。
解き方を教えた後、なるほどと理解した喜びを表す子どもも、良い傾向にあります。
今回の解き方を理解できない方がいましたら、紙に図などを描いてみて、視覚的に条件を整理して考えてみてください。
問題の解き方は、覚えるのではなく理解することが重要です。
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「休みのある仕事算」は、「休まなかった」として式をたてて求めます。
この考え方を、その解き方の理由を含めて理解しておきましょう。
仕事算は、単位当たりの量、割合の考え方、分数計算力、比の理解などを試す問題として出題されます。
次回も引き続いて、仕事算を取り上げて、その解き方を伝授しましょう。
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