「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの時事随想:映画「オッペンハイマー」を観て

2024年04月09日 | 時事随想
原爆を開発製造するための極秘プロジェクト「マンハッタン計画」のチームリーダーとして、世界初の原子爆弾を開発し「原爆の父」と呼ばれたアメリカの理論物理学者ロバート・オッペンハイマーを主人公とする伝記映画でした。製作費1億ドルの3時間の大作映画で、アカデミー賞7部門で受賞するなど興行的にも成功しました。
ボーアやハイゼンベルクの影響で、理論物理学の道に進み、核分裂を応用した原子爆弾実現の可能性を認識していました。ナチスドイツより先に原爆を開発する努力をします。ドイツは降伏し、対象は日本となりました。
トルーマン大統領の指示により、広島と長崎に原爆が投下され、日本は無条件降伏することになります。無論、原爆の成果はアメリカ国民に歓喜を与えました。彼は英雄として高く評価されました。映画の映像では、原爆の使用に歓喜する人たちの顔が、熱風で変化する被爆者の顔とだぶります。人類は、パンドラの箱を開けてしまったことを物語っていると感じました。
オッペンハイマーこそが、原爆使用の悲惨さを実感したはずです。ソ連も原爆を開発し、アメリカはいっそう強力な水爆の開発に着手します。オッペンハイマーは、水爆開発に反対し、マッカーシーの赤狩り旋風に巻き込まれ、ソ連のスパイ疑惑を受け公職追放されました。英雄から行動を監視される疑惑人に成り下がった彼は、どういった思いで晩年を過ごしたのでしょう。
原爆使用の悲惨さは、広島や長崎の被爆実情を顧みなけば分からないはずですが、この映画には描かれていません。その結果、オッペンハイマーが危惧した原爆使用の恐ろしさが、この映画で伝わるのか問題です。北朝鮮の原爆開発やロシアのエリツェンの原爆使用の恫喝など、私たちは原爆の恐ろしさと同居している状況です。ウクライナやパレスチナでの悲惨な戦闘が、日々映像で伝えられています。人類は、はたして原爆使用の抑止力を持ち続けることができるのでしょうか。

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