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「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの時事随想:SNS上の言葉遣い

2023年02月08日 | 時事随想

 SNSで使われる言葉遣いは、深く考えた内容から出た言葉というよりは、感情的な安易な言葉選びが目立ちます。また、自分の主張と異なる人に対して、人を傷つけるような言葉を平気で使う傾向があります。炎上覚悟で過激な主張を、言葉選びもせずにSNS上で述べる人たちを、ユーチューバーとかインフルエンサーと形容し、持て囃すのは問題です。私自身は、ブログをやっていますがあまりSNS上のそうした内容を読むことは稀です。言葉を選ばない主張は、間違いなく内容の吟味も希薄であると思われます。

 NHK党のガーシー参院議員は、ユーチューバーらしいのですが、全く国会には出席さえしていないようです。この怪しい人物の考えや行いも問題ですが、そうした人物を選挙で選ぶ人たちも問題だと思われます。

 全国で相次いでいる広域強盗事件は、強盗殺人事件にも発展して多くの人たちの耳目を集めています。そして、そうした強盗事件の実行犯が、SNSの闇バイトで集められているという事実に、唖然としました。強盗の闇バイトをしなければならない経済的に困窮した若者が多いという事実と、殺人までしてしまう犯罪に手を染める若者の存在に驚かされます。ただ、一旦そうした組織と関連してしまうと、抜けることが簡単にできないような脅しでコントロールされているようです。高齢者から金銭を詐欺する特殊詐欺事件を引き起こしている組織も、こうした若者を使って、黒幕の実態を隠しています。これらの広域強盗事件と特殊詐欺事件の首謀者が、闇バイトで集められた若者に対して、外国から指示を出していたという情報があります。ぜひ、警察はこうした悪辣な黒幕を把握して鉄槌を下してほしいと思います。

 こうした状況を加味すれば、SNS上の怪しい情報や人物には、気をつける必要があります。日本人の長所と思われていた他人に迷惑をかけない生き方が、SNS上の感情的な主張や言葉遣いの影響で激変しているようです。使われている言葉は、その内容の正邪や正否を判断する材料になります。内容に深みがあれば、使っている言葉に鋭い知識を感じることができます。ホリエモンのように自分の主張と異なる人たちに対して、バカとかクソとか辛辣な言葉を使って批判する人たちの主張は、内容が空虚であることを自ら明らかにしています。炎上するような主張を繰り返している人たちに対しては、まずは疑ってみる必要があるでしょう。


マッキーの時事随想:保育・幼児教育の問題点

2023年02月04日 | 時事随想

 日本における子どもの取り扱いは、世界的に見ても繊細で愛情を込めていると思っていました。明治時代の日本の状況を的確に評価したモースの文章にも、日本人の子どもの取り扱いの丁寧さが示されています。

マッキーの教育:モース著『日本その日その日』 ・・・明治の日本

その流れで、保育園と幼稚園の指導は世界に誇れる内容だと私は確信していました。それに比べて、小学校・中学校・高校・大学と進級すればするほど、疑問の残る教育が行われているのが現実です。

 しかし、最近の幼児教育における事件が耳目を集めました。一つは園児に対する虐待行為、それから送迎車の園児置き去り死亡事件が挙げられます。全く無力な園児に対する虐待行為は、一義的には指導者の資質の問題が挙げられます。周囲の環境がどうあれ、虐待は傷害行為であり許されないことです。ただ、園児虐待行為が話題として取り上げられる頻度が増したのは、過酷な業務環境や低い待遇などに問題があることは確かなことです。

 岸田政権の、異次元の少子化対策が議論となっています。異次元の戦力強化対策が評価されずに、選挙対策で一般受けする少子化対策を突如言い出したと言った印象です。 少子化対策の柱は、1)児童手当など経済的支援の強化、2)学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、3)働き方改革の推進、の三つとなっています。自民党の今までの立ち位置の反省無くして、「異次元」などと世間受けしそうな言葉を信じてしまうのも問題です。少子化対策はすでに遅きに失する大問題です。そうした影響もあり、保育園・幼稚園では、多々の問題が発生しているようです。「送迎車の園児置き去り死亡事件」も、担当者レベルの過失のみを問うのではなく、本質的な現状を把握する必要があります。

 小泉内閣以来安倍政権を中心に、国民の生活状況の問題点を置き去りにしてきた結果が、今の状況を作り出しています。国民の幸福に関心を示さない政府の下で、少子化が進行し、教育にも様々なしわ寄せが来ています。保育・幼児教育の問題点も、そうした根本的な原因を探りながら、具体的な改善策を示してほしいと願っています。


マッキーの時事随想:国の安全保障問題

2023年01月06日 | 時事随想

 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界に衝撃を与えました。ロシアもウクライナも退く気配はなく、戦闘は長期化する気配です。ロシアとウクライナは、穀物生産の一大拠点ですので、食糧問題も深刻となっています。また、利己的な主張を持った国家が近隣の国家を蹂躙した事実は、私達日本においても現実味を帯びて感じられました。

 政府は、安全保障の観点から軍事費の大幅な増額を決定しました。また、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が安全保障関連3文書で明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となりました。強大な軍事力を持つことは、実際の戦闘でも有効であるばかりか、紛争の抑止力となると信じられています。しかし、一方の国家が軍拡に向かえば、対峙する国家もそれに対応した軍拡を行い、果てしなき軍拡競争を引き起こすのも事実です。その結果、際どいバランス上の平和が維持されると信じられています。

 今までも問題視されていた日本の食料自給率(「カロリーベースの食料自給率」)は、近年38%となっています。「食の安全保障」の観点から、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせる方策が考えられます。今回のような紛争や近年頻発する異常気象によって、国民が最低限度必要とする食料の供給に危惧が生じています。したがって、日本の食料自給率を上げることは、緊急不可欠な課題と言えるでしょう。

 国連の安全保障理事会は、機能不全を起こしているようです。本来は、世界的な話し合いの場で平和を維持する処方箋を出す必要があります。安保理は、5か国の常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)と、各地域に配分されて選挙により選出される10か国の非常任理事国から構成されています。今年日本は12回めの非常任理事国として活動します。ぜひ安保理の場を活用して世界平和と日本の安全保障に役立つ具体的な成果を出してほしいと願っています。

 様々な視点から日本の実力を評価すると、「国際競争力27位」、「労働生産性21位」、「民主主義指標23位」などのランキングとなっています。地球温暖化対策の国別ランキングでは、日本は主要58か国のなかで、50番目にランクされているのが現状です。1979年発売の「ジャパン アズ ナンバーワン」は日本経済の黄金期を象徴する言葉でした。そうした意識を引きずっている私たちは、最近の各分野での日本衰退の指標を心配している方が多いはずです。GDP(国内総生産)は、日本はアメリカに次いで世界第2位でしたが、2010年に中国に抜かれ第3位となりました。さらに、4位のドイツとの差は僅かとなっています。「一人当たりGDP」で比較すると、2021年のランキングで日本は世界28位となっています。

 国内の18歳未満の子どもの貧困率は15.7%を記録し、G7で最悪の値です。また、母子家庭世帯の約半数が貧困世帯、60歳以上高齢者の約20%が貧困状態というデータもあります。OECD(経済協力開発機構)が公表する世界の平均賃金データによると、2021年の日本の平均年収は433万円でOECD加盟国35か国中22位。韓国は、OECD加盟国の中では19位。日本はいつの間にか韓国に抜かれてしまっています。日本の衰退は、このまま続いていくのでしょうか。

 少子高齢化社会に突入した日本では、まずは子どもを増やす努力が必要です。様々な行政の手立てだけではなく、社会全体が子どもを育てていく認識が重要だと思われます。子育て世帯の経済的負担の軽減や、子育てしやすい社会環境づくりに努力する必要があります。近年の日本では出生率・合計特殊出生率ともに減少をたどっています。世界銀行が公表したデータによれば、2022年の合計特殊出生率世界ランキングで日本は208カ国中の191位です。

マッキーの時事随想:イーロン・マスク、「日本は消滅する」と警告

日本の安全保障問題で最重要課題は、子どもを安心して生んで育てていける社会を作ることではないでしょうか。


マッキーの時事随想:謹賀新年

2023年01月04日 | 時事随想

 2023年・令和5年・うさぎ年を迎えました。謹賀新年、今年もどうぞ宜しくお願い致します。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。冬型の気圧配置で、太平洋側は晴天が続き日本海側は記録的な大雪が続いています。私の故郷の新潟は、雪国ですが年末から大変なようです。どうぞ健康に留意してお過ごしください。

 ロシアのウクライナ侵攻により、様々な点でエポックとも言える状況の変化がありました。この世界的な状況変化は、今年も同様に多方面に影響を与えるでしょう。新型ウイルスは、ウイズコロナの時代の到来を、私達に認識させた出来事として記録されると思われます。今季は、記録的な鳥インフルエンザの発生が各地で見られます。今回の新型ウイルスは終息に進むでしょうが、まだ未知のウイルスが、人類の前に次々と現れる可能性があります。今まで通りの生活は、SDGsを念頭に反省しながら向上させていく必要があります。それは一人ひとりが真剣に取り組んでいく課題です。

 昨年度は、全く山歩きに出かけることがありませんでした。自然の中を歩く楽しさ、自然の美しさ、体を動かす爽快感・・・、高校のワンゲル以来長い間、山歩きは私に様々な思い出を残してくれました。今年は、山歩きを再開したいと思っています。自宅周辺の散歩もあまりしなかった昨年。今年は、植栽や道端の植物を観察して、季節の移り変わりを楽しみたいと思います。


マッキーの時事随想:乃木坂46齋藤飛鳥卒業

2022年12月16日 | 時事随想

 乃木坂46のエース・齋藤飛鳥が12月7日発売の31枚目シングルをもって卒業します。年内で一度活動を終え、来年改めて卒業コンサートを行う予定と発表されました。乃木坂の一期生は、これで秋元真夏ただ一人となり、二期生も鈴木絢音だけとなりました。乃木坂のブランドと人気を維持しつつ、メンバーがほとんど入れ替わったことになります。AKB48の足元で生まれ、間違いなく現在のアイドルグループのトップを走るグループに成長した乃木坂46。

 乃木坂46のイメージは、清楚・お嬢様・可憐・儚さなどですが、一期生の生駒里奈・白石麻衣・西野七瀬・齋藤飛鳥などセンター経験メンバーを中心にして、トップアイドルのブランドとイメージを形成したと思われます。乃木坂メンバーは、男性に人気があるだけではなく、女性にも人気があります。それは、多くのメンバーがファションモデルを行っていて、装飾系の雑誌に載ることが多いことが、女性に人気がある理由の一つです。また、グループ活動の他に、映画・演劇・テレビ・ラジオなどバラエティを含む外仕事をこなしているメンバーが多く、各メンバーの知名度が家庭に浸透していることが強みです。

 齋藤飛鳥は、一期生最年少の13歳で乃木坂のメンバーとなり、11年間活動を続けてきました。メンバーの活動だけではなく、アイドルとして制約のある日常生活を送ってきたはずです。また、乃木坂の活動は、選抜から漏れてアンダーでも活動していて、順調とは言い難い時期もありました。父親が日本人で母親がミャンマー人のハーフで、小顔の持ち主であることは有名です。どう見ても、要領よく人付き合いができない彼女が、困難な歩みを続けながら日本を代表するアイドルグループを牽引するメンバーに成長していく過程こそ、稀有で感動的な物語です。齋藤飛鳥は、乃木坂を作ってきたメンバーであるだけではなく、青春を捧げてきた乃木坂によって作られたアイドルです。バナナマンからも「あすかちゃん」と唯一名前で呼ばれていました。齋藤飛鳥は、乃木坂のイメージを純粋に体現したアイドルでしょう。

 多くが中学生や高校生で仕事をスタートさせるアイドルメンバーです。精神的にも体力的にもこの年代ではきつい仕事です。そうした理由から、アイドルグループの主要なメンバーが、突然仕事を休むことが多いようです。アイドルグループを運営する側が、そうした年代の子供達を扱っているという認識が希薄であることもそうした問題を引き起こす原因でしょう。

 アイドルグループに入るためには、驚くほどの高倍率なオーディションを勝ち抜く必要があります。乃木坂五期生は、応募人数は87,852人、日本のグループアイドル史上最多となる7987倍の倍率を勝ち抜いて合格した人たちです。必要な技量だけではなく、特別なオーラ・華があると思われます。そうした才能を認められて乃木坂のメンバーになれても、各シングルの表題曲を歌う「選抜メンバー」が楽曲ごとに選抜される仕組みですが、選抜に漏れると本格的な活動はできません。選抜されないでアンダーで活動するメンバーは、人気商売として苦しい立場で生活しています。しかし、主にアンダーで活動していたメンバーでさえ、卒業後に様々な分野で活動している才能豊かな人たちの集まりが乃木坂46です。

 以前は握手会という形で実施されていましたが、現在はオンラインでミーグリは実施されています。ミーグリは、「ミートアンドグリート」のことで、英語では「Meet and Greet」と表記されます。このミーグリのメンバー別の販売完了数などが人気度判定の材料になっています。すなわち、オタ達の評価がメンバーの立ち位置を決める材料となっています。アイドルとそれを押すオタ達とは、対極の青春を送っているように私は感じます。オタ達の批評の言葉は、辛辣な印象を受けますが、メンバーにとってはとても気になることです。それもメンバーの精神状態に影響しているようです。

 齋藤飛鳥は、卒業後どのような活動を行うのでしょうか。モデルを行っていたり、衣装に関心があるのでその関連の仕事もありかと思います。また、映画の出演の経験もあるので、女優として活躍する道もありそうです。アイドル活動は、年齢に影響されるので、その後の進路を考えて経験を積む必要があります。乃木坂のメンバーの多くは、それぞれの才能を生かして現役の段階で様々な活動を行っています。白石麻衣・西野七瀬・堀未央奈・生田絵梨花を代表として、卒業後も売れっ子生活を送っているメンバーが多くいます。齋藤飛鳥も、今までの経験を糧として、新たな世界で頑張ってほしいと思います。


マッキーの時事随想:FIFAワールドカップでの日本の活躍

2022年12月08日 | 時事随想

 FIFAワールドカップカタール2022の日本は、グループステージを一位で勝ち抜き、前回に引き続いてベスト16に進出しました。クロアチアとの戦いは、延長でも勝負がつかずにPK戦となり、残念ながら敗退しました。ドイツとスペインと同じグループEに入った時、多くの日本人はグループステージ敗退を覚悟したと思われます。しかし、初回相手のドイツ戦において逆転勝ちして、日本中がサッカーで盛り上がりました。「ドーハの悲劇」は、中年以上の人たちには悔しい思い出として忘れられません。今回のドイツ戦の勝利は、「ドーハの歓喜」ともてはやされました。

 私たちは日頃意識していませんが、「日本人である」ということが多くの人の大きなアイデンティティであることを、今回の熱狂的な応援の盛り上がりを見て、痛感しました。多くの面において、世界的な評価が落ちている近年の日本です。ドイツだけではなくスペインにも逆転勝ちして、誇らしさと勇気を多くの人に与えました。

 グループステージの試合を観戦すると、日本選手のパフォーマンスのクオリティは、高いとは思えません。ボールの支配率はとても低い状況で、一瞬のすきを見逃さず、とても弱いと言われてきた決定力を発揮して逆転勝ちしました。ベスト16の壁は、やはり高かったというのが現実でした。それでも、日本サッカーのこれからの可能性を感じた戦いだったと思います。長友選手が連呼した「ブラボー」は、今回の日本の活躍を象徴する言葉です。すでに決定した今年の流行語大賞ですが、日本全体を活気づけた「ブラボー」は今年の影の流行語大賞でしょう。

 ただ、日本中のサッカーの盛り上がりは良かったのですが、SNS等で選手に対する誹謗中傷があり、常識を逸脱する輩もいたのが残念です。オリンピック選手に対しても、期待する結果が出ない時に、激しく批判する人たちが存在します。こうした人達は、思いやりと常識が欠如していることを認識すべきです。また、日本人サポーターが、試合終了後に会場の清掃を行う行為に対して、難癖をつけて批判する日本人がいます。清掃行為に対して、お仕着せがましい考えがあったなら問題ですが、日頃の日本人の考え方と一致した行為として自然に行っていることなので、全く問題はありませんし称賛すべきことだと思います。

 


マッキーの時事随想:COP27閉幕

2022年11月30日 | 時事随想

 エジプトで行われていた、国連の気候変動対策の会議(COP27)が閉幕しました。「気候変動枠組条約」は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることを目指した条約です。この条約に基づき、1997年に、先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた「京都議定書」、2015年には現在の世界の気候変動対策の枠組みである「パリ協定」が採択されました。ただ、前アメリカ大統領トランプのように、未だに温室効果ガスの問題点をフェークだと言って認識しない人たちもいます。ホリエモンも同様の主張をしていますが、SNSにおいて極めて個人的な主張を広める人たちが増えましたが、そうした情報には十分に注意して接すべきでしょう。「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5度に抑える努力をすることを決めました。トランプは、このパリ協定からの離脱を決めましたが、バイデン大統領は就任直後にパリ協定への復帰を決定しました。常識的な判断だと思います。ロシアのプーチン大統領や、アメリカのトランプ前大統領など非常識な行動をする指導者が、核のボタンを管理しているということは、恐ろしいことです。

 海面上昇で国土が浸食される「小島しょ国」や、この夏大洪水に見舞われ、国土の3分の1が水没したパキスタンや、干ばつ被害が続いたアフリカ諸国などの途上国側が、「損失と被害」に対する支援基金を創設することを目指していました。しかし、先進国は被害額が膨大になると予想されることから一貫して創設に反対してきましたが、COP27の採択文書には基金創設での合意が明記されました。当然の判断だと私は思います。

 世界各地で、規模の大きい気象災害が起きています。特に、発展途上国などの弱者に甚大な被害が生じています。現在の生活の利便性を享受し続けることは、私達の子孫にそのツケを払わすことになります。より便利に、より快適に生活できる進化が善と見なされてきた世の中は、すでに否定され、労力をかけて現状を改善する時代となっています。環境問題・社会問題への取り組みとしてSDGsが人々に認識されて、努力が続いています。自分の幸福が、他人の不幸の上に築かれていることを、特に先進国の人々は再認識する必要があります。

 国連のグテーレス事務総長は会議閉幕に際し、「我々の惑星はまだ緊急治療室にいる。越えてはならないレッドラインは1.5度上昇を超えてしまうことだ」と述べ、対策の加速を強く求めました。こうした認識は、善良な常識人にとって当然なことだと思います。ガガーリンが、地球が宇宙に浮かぶ青い星であることを初めて宇宙から目にして、愛おしい有限な惑星であることを多くの人が実感してからかなりの日々が流れました。人類の平穏な生活が脅かされる環境変化は、この地球上に生息する多くの生き物の生存の脅威となっています。これ以上、地球を痛めつけることは許されないでしょう。


マッキーの随想:今年の秋は

2022年11月01日 | 時事随想

 都心の樹木も紅葉し始め、毎朝落葉を高齢者がほうきで清掃している姿が見受けられます。今年も早いもので、あと2ヶ月を残すのみとなりました。秋を代表するキンモクセイの花が、今年は二度咲きました。9月にキンモクセイが咲き、その香りで秋を実感させました。その後、10月に入って再びキンモクセイの香りが漂っていて驚きました。キンモクセイは、年により二度咲きすることをネットで調べて知りました。この原因が、地球温暖化であるという説もあります。

 今年は、物価高の秋とも言える世相が悲痛です。日銀の黒田総裁は、最近の物価上昇が家計に与える影響について、「家計は物価高を許容している」と述べて国民のひんしゅくを買いました。円高による急激な物価上昇は、国民に苦痛や困難を与えている状況ですが、この人の眼中には無いようです。特にシングルマザーなど弱者の家計は、とても大変なようです。2%物価上昇の黒田総裁の目標は、デフレを脱却して経済が活性化した結果として起きる現象でなければなりません。今の状況は、スタグフレーションと言っても良い状況です。日本の平均年収は、30年前よりも低い数値となっています。これに物価上昇を加えれば、国民の生活レベルが低下していることは明らかです。円安も加われば、世界的な比較では、日本は一層低い状況と判断されるでしょう。

 私は現在、江戸川区の中学校の放課後数学補習指導(平日)と、江東区の中学校で中3の土曜教室(数学)を指導しています。江戸川区は、教育委員会から委託された業者の下で、学習指導を行っています。また、江東区は、かつて本科授業を指導した中学校で、三砂支援の会という学校内部の組織が主催している土曜教室で、長年中3数学の受験指導を行っています。

 数学が苦手な生徒に共通した問題点として、途中式を省いて答えだけ出していることと、答案の答え合わせで、間違った問題に答えを書き写して終わりとしてしまっていることです。途中式をしっかりと書いて、自分の間違えを再確認できるように学習することが必要です。また、間違った問題は自分にとって重要な課題であることを認識すべきです。間違い直しをしっかりと行うことが大切です。もう一点、数学では覚えるべきことをしっかりと覚えることが必要で、数学は考える学問ですが、やはり覚えておくべきことが頭の中になければ、考えることができません。またまたもう一点、計算力をしっかりと身につけることも重要です。計算力を習得するためには、日頃の練習も必要でしょう。


マッキーの随想:秋分の日

2022年09月23日 | 時事随想

 9月23日、秋分の日です。太陽がちょうど真東から昇り、真西に沈む日です。昼の長さと夜の長さが等しい日と習ったと思われます。しかし、いくつかの理由で実際は昼の長さのほうが微妙に長いのが現実です。太陽の位置により、冬至・春分・夏至・秋分と重要な日があります。地球の地軸が公転面に対して垂直ではなく、66.6度の角度で太陽を公転していることから起きる現象です。

 春分と秋分よりも、冬至と夏至の方が重要な日に思われますが、この4つの日の中で春分と秋分の日が国民の祝日となっています。それはどうしてでしょう。お彼岸の中日である春分の日、秋分の日だからで、単に太陽の動きで祝日となっているわけではありません。祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日として祝日になっているのです。

 では、何故春分と秋分が彼岸として、そうした行事が行われるのでしょうか。太陽が真東から昇り真西に沈む日である春分と秋分の日は、この世とあの世が最も近く、通じやすい日と考えられたことから、この日に西に向かって拝むと、功徳が施されると信じられていました。それが時代を経て、ご先祖様を供養するお彼岸となり、私たちの生活に欠かせない大切な行事となっていったと言われています。彼岸は、彼の岸であり、三途の川を挟んだ向こう側は、仏様の住んでいる世界であり、お彼岸は日本独自の信仰と結びついて発展した仏教的習慣であるそうです。

 おはぎを買ってきて食べました。おはぎとぼたもちは、同じ食べ物で、春は牡丹にかけてぼたもち、秋は萩にかけておはぎと呼ばれます。小豆の赤は邪気を払う効果があると言われています。さらに、昔は貴重であった砂糖を使うおはぎをご先祖様にお供えすることで、感謝の気持ちを伝えるために、おはぎをお供えするようになりました。私としては、おはぎという言い方のほうが美味しそうに感じます。ただ、棚からぼたもちということわざがあります。娘は、もうそんなぼたもちはカビでも生えているんじゃないと言っていましたが、予想もしなかった幸運が舞い込んでくることを「棚からぼたもち」といいます。

 今年の秋の連休は、台風の影響でほとんど外出できない人たちが多かったと思われます。ホリエモンは、防災情報の報道に対して、「マスコミは視聴率欲しさに必要以上に煽るし、人命がかかってるっていうと反論もしにくいからエスカレートして安全側に振り過ぎになると困る人たちが沢山いるって話な」と持論を展開しました。いつものことながら、糞までつけて批判しているけれども、いくら責任ある立場ではないとしても呆れた主張だと思います。防災報道はし過ぎるということはないと思います。そうした報道で、重い腰を上げて防災対策をした人たちも多かったと思われます。あまりにもえげつない人生を送っているホリエモンを崇めている人たちのいることがおかしいと私は考えています。

 安倍さんの国葬は、国民の理解を得られず、混乱をきたしています。国会で議論した上で、国民にしっかりと説明し、決定すべきことだったと思います。安倍さん自身も縁者も、そんな混乱した国葬を望んではいないでしょう。国民の一人ひとりの思いで、手を合わせれば良いと思われます。


マッキーの随想:夏も終わり

2022年09月10日 | 時事随想

 あれだけ強烈な夏の太陽も、いつしか弱くなってきました。蝉の声も急速に聞こえなくなり、草陰から虫の声が聞こえてくる今日このごろです。9月10日は、中秋の名月です。中秋の名月が、満月とは限りませんが、今年は満月です。天候が不安定な日々が続いていますが、今日は月を眺めることができそうです。

 september、その響きには何故か哀愁を感じます。日本においては、夏休みが終わり、太陽もどんどん遠ざかっていく時期で、恋の終わりの時期でもあります。8日、エリザベス女王死去という、驚愕するニュースが世界を駆け巡りました。70年間にわたって英国の君主で有り続けただけではなく、「国民に開かれた王室」を目指し、「世界平和」を願って行動したことが、自国民だけではなく世界の人々に評価されています。国葬がウェストミンスター寺院で行われ、天皇を含め世界の要人が集合する葬儀となるようです。日本では、安倍元総理の国葬が執り行われます。国民の間にも、国葬の是非が議論されています。

 安倍元総理の暗殺は、社会党の浅沼稲次郎刺殺事件のような政治的な目的を持ったテロ事件ではなく、私怨であることが分かりました。理由はともかく、突然に命を奪われた安倍氏を不憫に感じることは、多くの人に共通した思いでしょう。しかし、安倍氏の政治的評価は、そうした状況に影響されることなく、冷静に判断されるべきです。そうした点で、安倍氏の国葬の是非が話題に登ることは当然でしょう。エリザベス女王と安倍氏の国葬は、残念ながら比較されることとなってしまいました。

 円安に歯止めがかからず、物価高もジリジリと人々の生活を圧迫しています。政府も日銀も、物価高に対する対策が極めて弱い印象を受けます。日銀の黒田総裁は、「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言しましたが、多くの国民はその言葉に強い憤りを感じたはずです。国民の現状を的確に判断できているのだろうか。現在の自民党連立政権は、特に弱者の幸福を真剣に考えているのだろうか。

 静岡県の幼稚園で、送迎バスに園児が置き去りにされ死亡する事故がありました。園児の水筒は空となり、服は脱いだ状態で発見されたそうです。保護者に対する説明会での保育園側の対応に問題があり、保護者が過呼吸などで救急車で運ばれる状況となってしまったそうです。知り合いの園児が、とても可愛そうな状況で死亡しただけではなく、責任者側の説明に納得できなければ、精神的に正常な状況を維持できない保護者が出てきても不思議ではありません。事故を起こした場合は、状況を的確に判断し、問題の核心を認識して正しい行動を取ることが重要です。


マッキーの随想:最近の出来事

2022年08月06日 | 時事随想

 8月6日、広島の原爆の日です。今から77年前、一般市民が突然の閃光の後、地獄を経験するとんでもない出来事がありました。原爆の恐ろしさを、日本人は経験しました。ロシアのウクライナ侵攻で、核兵器使用が現実の脅威となっています。そんな現状であるにも関わらず、人類は核兵器を戦争の抑止力であるという思考方法から抜け出るどころか、より信仰に近い状態になっているのが問題です。実際に原爆の恐ろしさを経験した人たちも高齢化して、その人数が減少しています。原爆の悲惨さを多くの人たちに伝えていく努力が今後も必要です。

 8月6日、甲子園で高校野球選手権大会がスタートしました。やはり夏は、高校野球は欠かすことができない行事です。真夏の暑さの中で、自分自身にチャレンジする若者のパッションは、多くの人達に感動を与えます。

 新型コロナウイルスの第7派の急速な流行は、各方面に大きな影響を与えつつあります。新型コロナを単なる風ウイルスと同等に見なす風潮もありますし、国も感染症法上、届け出などを義務付ける「2類」となっている現在の位置付けの再検討などを求める緊急提案も議論しています。しかし、このウイルスはまだまだわからないことが多いので、国も一般市民も安易に対策を変更することは問題だと思います。

 私は、長い間江東区の中学校で土曜日の補習指導を行ってきました。今年度から、江戸川区の中学校で放課後の数学補習指導を開始しました。今は夏休みでこの授業はお休みですが、その間葛飾区の小学校の子ども教室の指導を頼まれて行っています。いわば学童の見守りと言った内容の仕事です。小学生に対しては、学習指導は行ってきましたが、今回のような内容の仕事は始めてです。私にとって、この夏のチャレンジとしてこの仕事を引き受けました。思いの外、厳しいし事だと感じています。今までとは異なる観点から、子どもたちを観察することができ勉強になりました。子どもたちが、安全に楽しく有意義に過ごすことを目指して頑張っています。


マッキーの時事随想:気が付けば

2022年07月02日 | 時事随想

 一年は、今年のように平年は365日。うるう年は366日。365日は奇数ですので、ちょうど真ん中の日が存在します。うるう年は、偶数ですのでちょうど真ん中の日はありません。

 365÷2=182あまり1 182+1=183 という計算から、元旦から数えて183日目が、その年のちょうど真ん中の日ということになります。6月までの日数を加えてみると、31+28+31+30+31+30=181日となります。したがって、今年のちょうど真ん中の日は、7月2日、今日がその日となることが分かります。2022年も、ちょうど半分が過ぎ去ったと思うと、日ごろの生活を振り返ってしまいます。

 今年は、驚くほど早く梅雨が明け、東京都心では猛暑日が今日で8日連続となり、猛暑日の過去最大継続日数(2015年)に並び、1位タイ記録となったそうです。私は、今日は江東区の中学校で3年生の土曜教室を指導しました。ちょうど昼頃は、外を歩き回っていましたが、なんと熱いんだろうと感じました。無論、地球温暖化の影響もあるでしょう。いい加減に抜本的な対策を立て実行しないと、とんでもない気象状況を子孫に残してしまうことになります。

 かつては、7月に入ると天気図を毎日チェックして、梅雨明け状況や気象の安定度を考えていました。それは、毎年夏山へ出かけることを慣習としていたからです。年ごとに停滞前線が本州上空から消えていくプロセスが異なります。また、本州上の高い地点の気温が低いと、天候が良い日でも、午後に雷を伴い天候が悪化します。そんなことを天気図で知ることが出来ます。7月下旬から8月にかけて、北アルプスや南アルプスを小屋泊まりで数日の山登りをしていました。ここ数年は、体調を考慮して、夏山歩きをしていません。バケツで水をぶっかけられているような雨の中、真上から雷が響き渡るそんな状況で、うずくまって雷をやり過ごす山歩きもありました。そんな山歩きさえも、懐かしい思い出となっています。低山の日帰りの山歩きとなると思いますが、度を越した猛暑が緩和されたら、出かけてみたいと思っています。


マッキーの時事随想:今日は夏至

2022年06月21日 | 時事随想

 今日は、6月21日。今年の夏至の日です。夏至とは、日本を含む北半球の地域で、一年の中で昼の長さが最も長い日です。また、太陽の南中高度が最も高い日でもあります。日本の大部分の地域における夏至の南中高度の計算式は、以下のようになります。ところで、太陽の南中高度とは、一日の中で太陽が真南に来て、一番高く上がったときの、地平線との間の角度のことです。

夏至のときの太陽の南中高度(度) = 90 - (その場所の北緯) + 23.4

東京付近(北緯35度)の南中高度は、90-35+23.4=78.4となります。

ちなみに北緯35度の冬至の太陽南中高度は、90-35-23.4=31.6です。夏至と冬至の太陽南中高度の差は、ご覧の通り驚くほど大きいことがわかります。地球は誕生以来、北極点と南極点を結ぶ「地軸」を中心に自転を続けていますが、地軸は公転軌道に対して垂直ではなく、約23.4度傾いています。上の式の23.4という定数は、その数値です。上の式の成り立ちは、小学4年生レベルの図形を使って、簡単に説明することができます。

 気象庁は20日、「沖縄地方が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。本土は、これから梅雨末期の豪雨に注意が必要な時期になります。気温も上昇して、暑苦しい日々が続くと思われます。こんな時期、私達日本人の多くが好きな花として挙げるアジサイが、上の画像のように、とても綺麗に咲いています。ウツギの種類の花が終わり、キンシバイの花、ハマユウの花、タチアオイの花、シャレーポピーの花、ホタルブクロの花、そしてクチナシの花も咲いています。

 今年も、同じ場所で昨年と同じカルガモが子育てをしているだろうか。そう思っていましたが、何故かその親子はいませんでした。他の場所で、カルガモの親子を見かけました。カルガモのメスは、1度に10~12個の卵を産みます。ですので、5・6羽の子どもを連れていても良いのですが、このカルガモの親は2羽の子連れでした。カルガモの子育ては大変なようで、子どもを育て上げる割合は小さいようです。


マッキーの時事随想:イーロン・マスク、「日本は消滅する」と警告

2022年05月21日 | 時事随想

 「当たり前のことを言うが、出生率が死亡率より高くなるような何らかの変化をもたらさない限り、日本は消滅するだろう」と、イーロン・マスク氏がツイートしたとして、ネット上で議論になっています。マスク氏に言われるまでもなく、日本の少子化は大きな問題だと国内でも課題となっています。

 少子化の原因は、様々なことが言われていますが、低賃金の非正規雇用者の増加が未婚化を加速していること、女性の社会進出が進んでいますが、子育て支援体制が十分でないことや、子育てにより仕事を離れる際に失う所得が大きいことも、子どもを産むことを躊躇させているようです。

 「あなたの国は、子どもを産み育てやすい国だと思いますか」の質問に対して、日本では4割以上が「そう思わない」と回答しており、国際的に見てその割合は相当に高くなっています。少子化の原因を除去するための国の支援が不十分であることを示しています。

 中国の大躍進と目を覆いたくなる日本の衰退、もはや日本は先進国ではないと言われて久しい。暫くの間、円安に誘導していると思われる施策を取って来たようであるが、国民の努力で円の価値を上げてきたことを、簡単に売り払っている印象を受けます。物価上昇率を上げることが、デフレからの脱却の指標と考えることがおかしいと考えています。賃金の上昇がない現在、円安で物価が上昇するために、低賃金世帯の生活が厳しくなって来ると思われます。

 格差の増大、弱者の切り捨てを政府が率先している日本では、ナチスの障害者安楽死計画の思想と同様に、相模原障害者施設殺傷事件やインフルエンサーによる弱者切り捨て主張などがおきています。中高生のホームレス襲撃事件なども、そうした流れで原因を探ることができます。

 世界比較で見ると、日本の子どもには夢がない。日本の子どもの貧困率は、世界的にも極めて高い。ひとり親世帯の貧困率は、目を覆うばかりだ。自己肯定感が低く、過度な自己責任論が蔓延して、子どもがチャレンジしづらい世の中になっているということも将来を考えづらい状況を生み出しています。また、若者が革新的な産業を創出することも、日本においては同様の理由で難しいと思います。セーフティネットがなく、落ちてしまったら命の危険さえある場合、冒険できない世の中となるでしょう。日本においては、自己責任論に縛られて、弱者が救済を求めづらい状況も見られます。

 ネット上では、自分の考え方と異なる人に対して、馬鹿だ・アホだ・クソだと言った攻撃的な下品な言葉で溢れています。日本人の美点の一つとして、他人を思いやる慣習があると思いましたが、急速に失われているようです。まず政府の立ち位置から見直し、格差是正と貧困撲滅に積極的な施策を実行してほしいと願っています。それが、少子化を是正する方法の一つであると考えます。


マッキーの時事随想:ロシアのウクライナ侵攻で考えたこと

2022年05月08日 | 時事随想

 世界的な出来事として、また人々の関心を集めている出来事として、ロシアのウクライナ侵攻が多くの人に様々なことを考えさせています。この出来事を単純に解釈すれば、大国ロシアが自分たちの都合に合わせ隣国のウクライナに侵攻した戦争です。正義のウクライナに対して、不義あるいは悪のロシアが、侵略した出来事であり、ロシアが世界から非難を浴びる事件です。

 戦争は国と国との戦いではありますが、最も悲惨な目に合うのは、老人や子供や女性など一般人です。今回の戦いでも、悲惨な目にあっている子どもたちの画像は、多くの人に戦争の悲惨さを否が応でも見せつけました。戦っている若者も、命の危険を冒しながら、相手の戦闘員を殺すことに必死です。殺し合いには、自分に正義が伴うと思えなければ、意欲も喪失してしまいます。

 戦争の厄介なところは、お互いに自分たちが正義だと信じているところだと思われます。ロシアの指導者プーチンも、戦闘員の一人ひとりも、正義の戦いだと思っているのでしょう。世界が不義だ!悪だ!と叫んでも、簡単には考え方を変えることは無いでしょう。

 今回の戦争で、私たちは戦争の悲惨さを再認識させられただけではなく、現在の日本を取り巻く世界情勢を考えさせられました。隣国から侵略されないために軍備を増強し、戦闘能力を向上させることが必要であると考えた方も多かったことでしょう。この論理に賛同する人たちは、弱小国の北朝鮮が、核武装しアメリカまで届くICBMを開発することが、生き残るためにとても大切であるという考え方に対して、最も良い理解者であることになります。そして、憲法9条を破棄し、日本も核武装すべきという考え方に結びつくと思われます。

 近年、太平洋戦争の日本の行動を、正義だと肯定する人たちが増えているようです。戦争した相手を正義と不義〈悪)に分ける判断は、戦争の勝者が決めて来た歴史があります。したがって、私たちは敗者として、勝者から悪のレッテルを貼られただけだと主張する人もいます。戦争を避ける最大の方法は、軍備を拡張するのではなく、過去に起きた出来事から学ぶことだと考えられます。先の戦争を反省するだけで問題視する最近の風潮が、未来の危険性を増大させています。

 ロシアによる核兵器使用の危惧が現実味を帯びています。無差別に一般市民を対象として、街まるごと破壊する核兵器使用は、人道的にあってはならないことです。アメリカによる日本への核兵器使用は、決死の本土決戦をも考えている日本に対して、自軍の死者を減らす唯一の方法だと正当化しています。そうした観点で、ロシアによるウクライナ侵攻が思うように進まない状況となれば、自軍の損害を減らす方法として、戦術核兵器の使用が机上に上ることはあり得ることです。ウクライナは、無論核保有国ではなく、NATOの一員でもないので、核による反撃も無いと安易に考えることでしょう。ロシアの核使用が、NATOによるロシアへの反撃の核使用に結び付けば、世界が破滅する最終の世界大戦となることも、大げさな空想ではありません。創作の世界が、現実の世界となる危惧を、全世界の人々が共有する必要があります。

 持続可能な社会を目指すために、現在の世界を変えるための17の目標を標榜するSDGsに対して、多くの人が努力を覚悟した近年です。しかし、その基盤となる世界が破滅的な状況に変えられる危険があります。私たちは、自国の安全のためとして、軍拡競争をしてきました。武力が最大の安全装置だとう考えを、私たちは克服することができないでいます。けれどもこのような世界情勢を鑑み、大きな意識変革と世界的な協調により、軍縮を真剣に考えるべきです。争いを避けて、大量破壊兵器を世界的に破棄することが必要です。