一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

刑法総論

2016-01-10 16:37:03 | 刑法総論
刑法総論

 ものすごい勢いで、総論の教科書を勉強している。狙いは、2月末のレポート提出(4月科目試験へのエントリー)である。

 総論の内容は、一般的な評価としては、各論を学ぶ上で必要ではあるが議論が抽象的であって苦手な人は飽きが来てしまうらしい。

 たしかに、刑法総論の総論については、犯罪論(構成要件論・違法性論・責任論・・・)及び刑罰論を、さらに抽象化した議論であって、犯罪とは何か?罪刑法定主義とは何か?を云々する議論であり、その理論的内容も去ることながら、話は歴史的経緯におよび、リストの「社会政策こそ最良の刑事政策である」という有名な言葉に代表する目的論と、刑罰は行為者の意思決定を非難するためのものであるという応報刑の理論にも学ぶものだ。

 罪刑法定主義の背後には、国家の介入から私的な領域を守ろうとする自由主義的な市民空間を確保するためであり、あるいは人民主権の立場から市民の基本的人権に関わる刑罰法規は議会を通じて民主主義的に決めなければならないという、思想が垣間見られるのである。それは、モンテスキューが行政官たる裁判官には法律を解釈する権限を持たせず、議会が(すなわち法律)そのすべてを規律し、裁判所はただ機械的に文理解釈につとめるべきだとしたのは、以上の事情がある。

 日本でもかつては応報刑論の立場から、旧刑法は400条以上にも上る詳細な刑罰が規律されていたが、次第に目的論の立場が強くなって大正デモクラシーの時代には、牧野英一など新派の主張が取り入れられたとされる。その後、世界はリヴァイアサンの脅威をもう一度体験して、応報刑論と目的論の立場を折衷した、相対的応報論の立場が現在の日本の刑事制度を支えている。
 
 以上

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