一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

外国人の権利実現こそ、社会の安定(と経済の発展に)資する、

2017-01-09 15:35:05 | 社会問題
外国人の権利実現こそ、社会の安定(と経済の発展に)資する、

(1)現状
 日本の在留外国人の人数は、223万人(中長期滞在者/特別永住者)であり、人口の約1.8%を占める。これに対して、イギリスの人口は、6500万人の内、外国籍の在住者は500万人おり、人口の約8%であるEU各国の割合も、人口比で7%~15%であり、全体でいえばむしろ低い方である。ちなみに、日本の難民の認定数は、2015年度27人(別途、人道上の理由で79人に在留許可)であり、イギリスのそれは9975人(申請者3.2万人)である。
 ⇒日本は、相対的に閉鎖的であると、言える。

(2)難民とは何か?
 (1951)難民の地位に関する条約
 「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、a.自国にいると迫害をうけるかあるいは、迫害を受けるおそれがあるためにb.他国に逃れた」人々。
 =「国外難民」「国内難民」(難民の定義の問題)
 Why)難民の認定数が日本で低いか?
  a.の立証責任が本人にあるため
  ⇔移民の定義は、存在しない
 What)なぜ、認定の要件を緩和しないのか?

(3)ブレクジットの問題
 移民問題?
 移民の割合が増えると、①文化的な理由、②経済的な理由から、
 社会の安定(と経済の発展)に悪影響がある。
 Why)㋑移民が自分たちの職を奪っている。
     ㋺自分たちの税金が移民の補助のために使われている。
 ⇔イギリス在住3年のポーランド人(残留派)
  移民は問題の本質ではない。
 Why)㋑移民は国家にとって新たな活力(労働力やアイディアの源泉)である。
     ㋺義務を果たさず、補助のみ受けているイギリス人も多い
  So)自分たちの不満やテロの脅威を移民に転嫁しているだけ
 C.F)日本
  労働人口の減少に直面している。
  積極的に外国人を受け容れるべき?
  But)社会の不安定さが増す?

(3)問題の分析
 社会の不安定さとは?
(欧州の事例)
  移民
  ⇒貧困や差別の固定化(第一世代)
  ⇒不満を蓄積する(第二世代)
  ㋑低所得労働での競合、㋺過激思想の温床となる、㋩生活保護を受ける割合が高い
  ⇒益々分断が進む
 C.F)日本
  外国人を受け入れる準備が整っているか? 

(4)「外国人の権利実現」とは
 〇教育を受ける権利 ⇔ 外国人の義務教育は?
 〇裁判を受ける権利の平等 
 〇公的サービスを受ける権利・機会の平等
  ←制度として整っているだけでなくアクセスできるかどうか
   Ex)ハローワークの説明会は日本語
 What)報酬の平等を実現すべきか?
   Ex)出稼ぎ労働者に対しては?
   私見)移民の定義が必要では、
     「永住(あるいは定住)意思」の有無など
   関連)外国人技能実習生制度の改正
     *日本人との待遇上の差別を禁止する    
 但し)社会での「共生」は「強制」にならないように、するべき。
  ⇒異文化の交流は強制できるものではない(地域社会・学校・職場など)
    〇参政権の問題をどう考えるか?

(5)外国人の裁判を受ける機会の平等は?
(現状)
 年間の刑事事件は、略式事件などを含めれば、110万件。内、法廷で行われる訴訟事件は8万件程度。
 年間の民事事件は、地裁75万件、簡裁120万件。主として財産権を争う通常訴訟は、地裁20万件、簡裁で55万件であり、家事裁判・調停などを含めれば、年間100万件ほど。
 ⇒法廷で行う訴訟形式としては、民事事件が刑事事件の10倍以上は有りそうである
 But)普通、法廷通訳人と言えば、刑事事件のみ
 Why)刑事事件では、被疑者・被告人に対する通訳人の付与は、義務である
 C.F)民事事件では、通訳人の手配は基本的に自弁である。
  私見)民事事件における外国人の利用率は、社会の成熟を示すもの

(6)まとめ
 日本の在留外国人の比率は約1.8%であり、欧米に比べて低い。また、日本の難民認定数は著しく少ない。その根底には、外国人の受け容れを積極的に行うと、社会の不安定さが増してゆき、欧米で生じているような混乱(極端な政治勢力の台頭、テロなど)が日本でも起こりかねないことに対する不安、があるのでは。一方で、日本の労働人口の減少は進行している。また、人道上の理由など、外国人の受け容れが緩和されるための要素も存在する。
 イギリスではEUの域内移動の自由により、外国籍の在住者は約8%まで上昇している。移民は、労働力や消費の拡大、産業振興などで恩恵をもたらす半面、ブレクジットに象徴する閉鎖的な政策をもたらす要因とされている。しかしながら、社会の不安定が増したのは、移民そのものではなく、むしろその受け容れ体制に原因があるのではないか。
 欧州の事例においても、移民の第一世代の多くは貧困であるが自らの意思で移住したため、多少の苦労は覚悟をしている。しかし、貧困が固定化した第二世代では、教育や勤労の機会において、差別を受けているのではと、感じる割合が増すようである。そうすると、益々、社会の分断が進み、不安定さが増す。
 これらの問題はに対して、外国人の権利実現を充実することが大切だと考える。
 第一に、初期あるいは第一世代に対しては、教育の機会や勤労の機会、その他公的サービスの利用機会を、確保し、貧困を固定化しないこと(あるいは貧困を世代継承しない仕組み)。第二に、外国人が日本で活発な経済活動、その他活動を行っていると言えるためには、外国人の民事手続の利用率が重要な指標になると、考える。

(参照資料)
1.橋本直子,2016,「『移民・難民の大量受け入れに反発してイギリスがEU離脱した』のウソ」,ハフィントンポスト
  (http://www.huffingtonpost.jp/naoko-hashimoto/lie_eu_b_10868404.html)
2.橘玲,2012,「日本の民事裁判の7割は本人訴訟で争われている」
  (http://www.tachibana-akira.com/2012/10/5002)

以上


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失業のすすめ 1

2016-11-03 18:41:54 | 社会問題
失業のすすめ 1

 著者は、自ら進んで失業したものであるが、失業の経験は人生で4回。2回目の失業は、請負契約の終期に伴うものであり、3回目の失業では会社側と大揉めの末に裁判に突入し、今度の失業は一応円満と言えよう。世の中、退職をするまえに死んでいく人もいるが、死ぬぐらいならどうして辞めないのかという、意見を聞くこともある。この議論は、傍観者からすれば自然な疑問かもしれないが、失業エキスパートの私からすれば、少なくとも二つの精神状態が妥当すると考える。一つ目は、命より今の任務が大切な状態にある精神状態、いわゆる燃焼型である。そしてもう一つは、仕事を続けることの方が辞めることに費やすエネルギーに比べて小さいから続けている精神状態、いわゆる奴隷型である。くっきりと割り切れる話ではなく、いずれの要素も混じり合っているものと考えられる。上司の言葉を真に受ける、あるいは過大な責務を自ら背負い込む、そうこうしているうちに、辞められなくなり消耗する。そして奴隷型に陥る場合もあろう。奴隷型の厄介なのは、精神的に衰弱しているということである。日本の一部の伝統のなかでは「辞めたら負け」であったり「逃げるな」などの価値観が植えつけられる。そして、それは実際に社会にでて自分が追い込まれたときに、「辞める」と言うことに対する険しい障害となる。つまり、今まで生きてきた価値観を否定することであり、実は、この障害を乗り越えるために要するエネルギーは計り知れない。あるいは、このような精神論に冒されている人間は、自分が悟空でありつ続けることをもって、自らの存在意義(尊厳)を保っていられるし、周りからもそう評価されているものである。従って、衰弱するまで働き、挙句の果てには辞めるための精神的・体力的エネルギーすら、消耗しきってしまうのが、あるタイプではなかろうか。

 以上(続く)
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