メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

MOMATコレクション(東京国立近代美術館)

2023-07-07 09:09:33 | 美術
所蔵作品展 MOMATコレクション
東京国立近代美術館 5月23日(火)-9月10日(日)
 
この美術館、おそらく一番行った回数が多い館だと思う。企画展に興味をひかれたことも多かったが、同時に見ることができる常設展では好きなものがだんだん定まってきて、例えば「生々流転」(横山大観)などはあの何十メートルもある横長の絵を、ほぼいつでも、あまり他の人に邪魔されることなく見ることができたし(今後はもう無理だろう)、近代の日本画に目覚めたのも、日本の近代の洋画も西欧のものと比べ、負けないくらい見るべきものがある、と考えるようになったのもここからである。
 
今回はコロナの期間をおいてということは別にしても、ちょっと間をおいたせいかどうか、ずいぶん新しい収蔵品があるんだなという感があり、シュール、前衛的なものが多く見られる。それでもゆっくり見ているとこの種のものも以前よりなじんでくるような気がした。
 
大きくは時代とその変遷にそってキュレイションがなされたようで、関東大震災、復興、大戦など、そう直接的ではないところもいい。
一時期の常設展ですぐに思い浮かぶのののなかでやはりあったという感じは岸田劉生「切通し」、藤田嗣治のいくつか、梅原龍三郎「北京秋天」(いつ見ても傑作中の傑作)、靉光「自画像」など。藤田や小磯良平のいわゆる戦争画も絵として見ればうまいというしかない。
 
じつはこれだけの数、それもかなり大きい絵も多い展示会をゆっくり見たのは、昨秋の眼の手術後はじめてかもしれない。距離も自由にとれたせいか、実に気持ちよく、2時間弱(!)休みもせずに見続けた。
 
それと、特に明治時代のものだろうか、対象の人物たちを見ていて、ああこういういい人たちがいたんだなという感が何度もしてきたし、描いている画家もそれを感じて描いたかと思った。
「逝きし世の面影」(渡辺京二)に書かれている人たちのようでもあるが、私が年齢を重ねて寛容になったからなのか、感覚がいい意味でにぶくなったのか、さて。

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