メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

大竹伸朗 全景

2006-12-19 22:30:14 | 美術
大竹伸朗 全景」 (2006.10.14 → 12.24) 東京都現代美術館
 
期限ぎりぎりで何とか見に行ってよかった。
手短に言えば「嘘だろう、一人でこんなに一杯、どうして全部集まって、、、」 というところだろうか。 2000点!
そう、子供のときから作ったものが、こんなに多くて、おそらくほとんど全てが残っていて、それらを一挙に見ることが出来るということ、前代未聞だろう。
 
大竹伸朗(おおたけ しんろう 1955~)。小学生時代の作文、絵も非凡だが、中学、高校となると一挙に素人離れしてくる。しかしそれは何かいろいろなものを真似したようでもあり、それがあまりに多岐におよぶため、意識的なのかもしれないとさえ思ってしまう。
 
それは大人になってからもかわらず、「スクラップ」ということをベースに、コラージュ、ペインティング、インスタレーション、写真となんでもやっている。それらの一つ一つを取り上げるとそこから何かを受け取るのは難しいが、少しはなれてまとめてみたり、流れを見たりすると、何かこの作家のフットワークみたいなものが見えてくる。
 
おそらく自分とは何かを突き詰めてそこから独自の表現をというのではなく、いろいろなカテゴリ、様式をやっているうちに、そこから何か自分でも意識していなかったものが見えてくるというのだろうか。
 
彼ならではの膨大なスクラップブック、それは単なるスクラップブックではなく、それ自体がコラージュである。
さらに、このスクラップブックからは見事なまでに日本が、日本語が消されている。そして90年代を過ぎて、作品に何か横尾忠則風の日本が見えてきているのは、これもスタイルなのか、自然に出てきたものなのかどうか。
 
ガラクタで組み上げられたような舞台、明和電機よりもっとどぎつい自動演奏風の仕掛け、それを起動し指揮していくのは、サイドでギターをひく大竹、ちょっと小柄の、集中力ありそうだけど控えめな風貌の人であった。
 
それにしてもミュージアムショップも含め、なんという盛況!
そして、こんな企画があると、ハコモノといわれようと、大きなハコも少しはあったほうがいい、とさえ思ってしまう。
 
行きと帰り、館の屋上で目につく「宇和島」のネオン。作者が住む宇和島の駅にあったものが取り払われると聞いて引き取ったものだそうだ。

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