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エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し……。
この映画はぜったいに観たいと思っていたのに、なかなか噛み合わず、ようやく観ることができたぜ~って喜んでいたのだけど・・・
リンカーン大統領と言えば、ゲティスバーグ演説「...人民の、人民による、人民のための政治... (...government of the people, by the people, for the people...)」やんね。
そして「最も偉大な大統領」の一人に挙げられたり、「奴隷解放の父」と呼ばれたりと、イメージがすごくいいんだけど。

とは言え、ナショナリズム思想や民族思想がが強く、黒人奴隷の解放にしたって大統領になるための選挙キャンペーンで過ぎず、しかしながらそのことによって南北戦争が勃発、それを収束させるために、奴隷制度を廃止するために合衆国憲法修正第13条を根回し巧みに可決させ同時に南部連合を降伏させたってことで、人民ないがしろな自己的な政治をしたってな「政治屋」的な大統領だったのでは無いかという評価もある人物で・・・

スピルバーグはどっちのリンカーンを描きたかったのかは、映画を見終わっても不明。
「観た人がどう思うかはあなたにお任せ」的な描き方がされていたように自分は感じたが。
この映画の肝はトミー・リー・ジョーンズが演じるダディアス・スティーヴンスなんだろうな。
台詞のやり取りばっかで映像がほとんど動かずのロングカット多様でテンポ的に退屈な映画、台詞を楽しむしか無いのだけど翻訳がどっちつかずでやはり退屈、楽しむという要素が無かったで、知らずに観た人には辛かったやろね。
3度目のアカデミー賞主演男優賞に輝いたダニエル・デイ・ルイスの熱演はやっぱ、もの凄く見物だったし。
憲法修正に必要な下院議員の3分の2の票を集めるためのなりふり構わない姿がすさまじい、憲法改正のハードルを下げるために憲法96条を改正しようというような、どっかの国のリーダーのように、姑息な手を使わないのがもちろん素敵。
ときどき、スピルバーグは歴史的な物語や、ちょう難問に挑戦しますが、きっちりと答えの出ない世界を皮肉っているのかもしれませんね。
でもって、すっきりとエンタメで分かりやすいのを作って、こういうのに挑むと。
私、エンタメ作品の方のスピさんは、あまり評価してないのですが、真面目な硬い方の作品は、素直に評価します。
勉強になりますわ。
今だったら、携帯でぱっと連絡でしょうが、ロビイストが走って奮闘!というのが興味深かったです。
特に自分にとって勉強になったのはsakuraiさんが最後に書かれていた
>孤独だなあ・・・。孤独だけど、強くなければならない。それがはっきりと見えた。
ってとこでしたかも、です。