ひろの東本西走!?

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つばき、時跳び(梶尾真治)

2007-01-07 11:17:36 | 11:か行の作家

Tsubakitoki1 つばき、時跳び(平凡社)
★★★★☆’:85点(~90点)

今年の読み初めは、以前、「クロノス・ジョウンターの伝説」で感想を書いた梶尾真治のタイムトラベル・ロマンス「つばき、時跳び」です。夢とロマンと愛情にあふれた作品で、新春にふさわしい作品だったと思います。ヒロイン”つばき”は若くて美しく、聡明だけれどやさしい素晴らしい女性です。江戸時代に生きる彼女と現代に生きる主人公・井納惇の「時空の壁」を超える恋物語に梶尾真治ワールドの魅力を堪能しました。

【注意:以下、多少のネタバレあり】

つばきと惇はお互いの時代にとどまることは出来ないのか?
”りょじんさん”とは、いつの時代の誰なのか?
つばきが惇に送ったメッセージとは?
150年経っても変わらなかったものは?

ヒロインの”つばき”と、物語の舞台となる邸宅・百椿庵の庭に咲く”椿(つばき)”が色彩を感じさせて見事。
熊本藩の家老・長岡監物は頭が切れるだけでなく、惇が語る未来のこと・考え(人は皆、平等、国を司る者は皆で選ぶ など)も素直に理解する度量の大きな人物だっただけに、彼のことなどをもう少し深く描いてほしかったですね。

全体的に、もう少し長くてドラマチック&スケールが大きくても良かったかなという気もしますが、タイムトラベル・ロマンスらしい、純愛をベースにしたシンプルで心優しい物語が梶尾真治の魅力・特質なのかもしれません。
また、こむずかしい理論をふりかざしたりしない親しみやすいタイムトラベルSFは誰でもが楽しめるでしょうね。

************** Amazonより **************

幽霊伝説のある旧家に住むことになった「私」は、ある日、突然出現した不思議な少女に魅せられる。150年の「時の壁」を超える恋の行方は?あの『黄泉がえり』の作者が満を持して放つ究極のタイムトラベル・ロマンス。

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◎参考ブログ:

 ミナミさんの”日々是好日”
 nanayoさんの”fine days”
 とっとっとさんの”日記みたいなもの”
 悠樹さんの”読書と日々の日記”