青葉、新緑の季節到来である。桜の花が主役を引き、初夏が登場するまでの間、主人公を務める。目も覚めるような新緑の色鮮やかさを樹木や草草が見せてくれる。山肌は色とりどりの青葉で盛り上がっているように見える。夏が近づくにつれて新緑は同じ色合いの深緑となり1色の青山と化す。
コンクリート舗装の坂道が、新緑に満ち溢れた一帯に向かって緩やかに曲がり下っていく。この道はどこへつながっているんだろう。そんな行く先を観たいという思惑がわいてくる。
農地の中の景色。柿の木の新緑は根元に広がるピンク色の花々と共演することで、お互いの色彩を際立たせている。
深緑の鮮やかさに触発されて、なにやら音楽が浮かんでくる。ビージーズのFirst of May(邦題・若葉のころ)。少年が少女と出逢い、恋が始まり、やがて恋が終わり、少女と別れる。そんな青春の頃を成長して回想したような内容であり、感傷的で、切なさが漂ってくる曲でもある。甘酸っぱい香りがする失恋の歌とでも言える。題名の由来は、5月の初めころの恋だったからなのか。あるいは、少年と少女との初々しい恋心に染まった青春を若葉が芽吹ぶく時期に重ね合わせたのかもしれない。
青空を背景に樹木の若葉が勢いよく芽吹く下では、清々しさを感じさせる月見草の花が咲き誇っている。新緑と薄桃色の花との組み合わせは、うぶで新鮮な恋心の香りを控えめに漂わせている。観る者は微笑ましさに包まれて、いい気分となる。First of Mayならではの光景である。