春たけなわを想わせる新緑の季節の中で異彩を放つのが、黄金色に輝く大麦畑。実りの秋を思わせることから麦秋と呼ばれる。観ているだけで、いい気分になるのはなぜだろうか。
一目して、まず想うこと。いい色合いだなあ。その後に言葉を継ぐことはなく、ただ観入り、麦秋の世界に入っていく。
整然とし、かつ賑やかでもあり、打ち寄せる波のようでもある。満ち潮のように見えるし、引き潮のようにも見える。朗らか、鷹揚、泰然、悠揚。こんな言葉が浮かんでくる。
横から眺めると、ひと味違った風情となる。毅然として突っ立っての整列。古代中国の兵馬俑の整列を連想してしまった。鎧姿に武具を持った姿ではなく、ビールや焼酎というお酒に姿を変えて人々にしばしの幸福感をもたらしてくれる。
これぞ豊穣の海と呼んでもいい景色である。眼福のひと時ともなる。
近づいてご尊顔を拝見。いやあ、栄養たっぷりで、ふくよかな美顔でございます。
真上からも拝見。毛虫のようにも見える。毛針が飛んできそうだ。あいにく、痒み・虫刺されに効く「ムヒ」を持ち合わせていない。刺さると猛烈に痒くなりそうだ。
春なのに、どう見ても実りの秋の風景だなあ。のどかさを味わいながら想う。栗や柿、それも干し柿が食べたくなってきた。
