ここ十年間ぐらい、ゴールデンウイーク中は「外では動かない」を信条としている。家にこもって部屋や私物の整理整頓か、お気に入りの映画のビデオかDVDをもう一度じっくり見るか、果ては缶ビールを飲んで昼寝か、気が乗れば遠くの知人に電話をかけて近況を話し合うかだ。
歩調を他の人とは少しずらして生きる道を歩んできた。人が動く前か、動いた後に旅先に向かう。尾道や四万十川、桂浜への旅もそうだった。人の気配がない旅先では、一人だけ世界から取り残されたような不思議な感覚にいつも浸っている。そして、なぜ、今ここにいるのだろうかという自問。真昼の行楽地の静かな時間、猫が物陰でのんびりと昼寝をしている光景が目に入る。誰もいない時間が広がる。
旅先では機会があれば、寿司屋かジャズバーに出掛けて地酒かマッカランで乾杯だ。酔うと携帯電話で知人に報告する。
「満月が四万十川を照らしてるが、横浜からも見えるか? 」
「四万十川は見えないが、満月は見える。いい夜だ」
「いやはや、すごい時代になったなあ」
毎回似たりよったりの会話だ。最後は「お互い元気でいよう。それじゃ、おやすみ」
喧騒のゴールデンウイーク。極楽トンボは川辺に茂るカヤの葉の裏に潜み羽を閉じてお寝んねだ。カンツォーネを遠くで聴きながら、うとうとと……。
歩調を他の人とは少しずらして生きる道を歩んできた。人が動く前か、動いた後に旅先に向かう。尾道や四万十川、桂浜への旅もそうだった。人の気配がない旅先では、一人だけ世界から取り残されたような不思議な感覚にいつも浸っている。そして、なぜ、今ここにいるのだろうかという自問。真昼の行楽地の静かな時間、猫が物陰でのんびりと昼寝をしている光景が目に入る。誰もいない時間が広がる。
旅先では機会があれば、寿司屋かジャズバーに出掛けて地酒かマッカランで乾杯だ。酔うと携帯電話で知人に報告する。
「満月が四万十川を照らしてるが、横浜からも見えるか? 」
「四万十川は見えないが、満月は見える。いい夜だ」
「いやはや、すごい時代になったなあ」
毎回似たりよったりの会話だ。最後は「お互い元気でいよう。それじゃ、おやすみ」
喧騒のゴールデンウイーク。極楽トンボは川辺に茂るカヤの葉の裏に潜み羽を閉じてお寝んねだ。カンツォーネを遠くで聴きながら、うとうとと……。