おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

ゴールデンウイーク

2005-04-30 | Weblog
 ここ十年間ぐらい、ゴールデンウイーク中は「外では動かない」を信条としている。家にこもって部屋や私物の整理整頓か、お気に入りの映画のビデオかDVDをもう一度じっくり見るか、果ては缶ビールを飲んで昼寝か、気が乗れば遠くの知人に電話をかけて近況を話し合うかだ。

 歩調を他の人とは少しずらして生きる道を歩んできた。人が動く前か、動いた後に旅先に向かう。尾道や四万十川、桂浜への旅もそうだった。人の気配がない旅先では、一人だけ世界から取り残されたような不思議な感覚にいつも浸っている。そして、なぜ、今ここにいるのだろうかという自問。真昼の行楽地の静かな時間、猫が物陰でのんびりと昼寝をしている光景が目に入る。誰もいない時間が広がる。

 旅先では機会があれば、寿司屋かジャズバーに出掛けて地酒かマッカランで乾杯だ。酔うと携帯電話で知人に報告する。

 「満月が四万十川を照らしてるが、横浜からも見えるか? 」
 「四万十川は見えないが、満月は見える。いい夜だ」
 「いやはや、すごい時代になったなあ」

 毎回似たりよったりの会話だ。最後は「お互い元気でいよう。それじゃ、おやすみ」

 喧騒のゴールデンウイーク。極楽トンボは川辺に茂るカヤの葉の裏に潜み羽を閉じてお寝んねだ。カンツォーネを遠くで聴きながら、うとうとと……。

 

 
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トレンドマイクロ事件

2005-04-25 | Weblog
 トレンドマイクロ社のウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」には日ごろお世話になっている一人だ。その更新ファイルの不具合が原因でコンピューター端末トラブルに遭遇した。

 asahi.comによると、ウイルスバスターの利用者は国内で約一千万人。23日午前7時半ー9時2分に自動更新した人や企業が被害者となった。トラブルに遭ったのは約十七万人。このうちの一人にカウントされた。セキュリティーの番人が犯人だったという、ミステリー小説にもならないような結論に「うーん」と唸ってしまった。

 ウイルスに伴うトラブルではトレンドマイクロ社に電話で指示を仰いだことが何回かあるが、男性もしくは女性の担当者のてきぱきとした対応が印象に残っている。頼もしい助っ人という感じだ。コンピューターに詳しい人によると、担当者のコンピューターに関するレベルは相当なクラスという。

 電話がなかなかつながらないという最大の欠点がこれまであったが、今回のトラブルは最大の失態だ。トラブルを解消してくれたのは、使用しているPCのメーカー、富士通のサポートセンターの担当者だった。ウイルスバスターによる同じ内容のトラブルが殺到しているらしく、「他の方と同じトラブルですね」という感じで丁寧に対応し、解決してくれた。

 しかし、本当に「こんなことあり?」ということが頻繁に現実に起きることに驚く。想定の範囲外ばかりで、慣れっこということがない。コンピューター時代の新しいヒーローとして、トラブルサポートの担当者もリストアップしておこう。

 
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アビエイター

2005-04-20 | Weblog
 レイトショーでアビエイターを見た。米の大富豪ハワード・ヒューズの生涯を描いた映画だ。マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演だが、評価は思ったほどの出来ではなかった。すなわち期待外れ。ヒューズの伝記本のエピソードをつなぎ、なぞっただけのような作品だった。

 実在した伝説の人物になりきるにはディカプリオでは役不足だった。ハリウッド女優漁り、飛行機好き、潔癖症、閉じこもりなど、ヒューズの人生を彩った要素が上っ面だけでしか描かれていなかった。要するに、ヒューズという怪人がいかにして出来上がったのかが全く分からない映画だった。

 その話題性において一世を風靡した人物を演じるには、どんな俳優がいるのだろうか。現役ではちょっと思いつかないが、物故したマーロン・ブランドあたりぐらいの怪優でないと演じきれないようだ。
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ホリエモン騒動

2005-04-19 | Weblog
 ニッポン放送をめぐるライブドアとフジテレビの対立が業務提携という形で和解した。表面的には近江商人の経営理念「三方よし」の内容だ。すなわちニッポン放送よし、ライブドアよし、フジテレビよし、だ。

 個人的には、ホリエモンに利ありと見る。エコノミストや評論家からは相変わらず風当たりが強く、辛言の雨にさらされているが、エスタブリッシュメントにして民放局の雄、フジテレビとやり合い、会長・社長を和解の席に引きずり出し、マスコミの前で和解の握手をする場面の写真撮影、といった経過を眺めれば、武勇伝を作ったのは誰なのか。ニッポン放送の亀淵社長やフジテレビの日枝会長でないことは明らかだ。リーマンブラザーズを含めて、ニッポン放送やフジテレビからは本来玄関払い扱いされても仕方がないような「何をやっているのかよく分からない会社」が、策を弄して玄関をぶち破り、居間に入り込み、最後は応接室で家主と同席するまでをやってしまったのだから。

 ライブドアは、フジテレビとのバトルでM&Aのノウハウを高めたし、フジテレビに資本参加させるという「会社の信用を高めるカード」を今後の事業展開にフルに生かせる。業務提携の内容がはっきりしていないと懸念を示すテレビの評論家がいたが、インターネットの世界では走りながら事業展開を考えるというのは、ままあることではないのか。事業は経営計画をきちんと立ててやるというのが原則だが、経営計画通りいかないというのもまた真実なのだ。だから、日枝会長同様どこの経営者も苦労するのだ。

 ずるい、横着、変則技使いなど酷評されるホリエモンだが、30代初めの男がエスタブリッシュメントに挑むには、これぐらいの暴れん坊ぶりがいるというものだ。「結局、マネーゲームだったのか」と落胆する街の声がテレビで紹介されていたが、そもそも株式市場はマネーゲームの場だ。利潤を求めて株を売り買いする場であり、その中にあるのが株式会社だ。ホリエモンに直接会ったことがないので、人物評価は未定だが、彼に好意を持たない人がたくさんいるとしたら、それは不徳の致すところだろう。

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福岡西方沖地震とペット

2005-04-14 | Weblog
 春分の日に起きた福岡西方沖地震。いまだに余震が続いている。

 余震の影響なのか、飼い猫が下痢とはいかないが軟便の症状をきたした。ただ、体調が悪いという感じは全くなく、目の輝きも走り回る姿にも異変はない。毎日のお通じだけが柔らかい。食事はきちんと食べている。何が原因なのか。

 動物に詳しい人によると、「それは地震によるストレスですよ。動物病院には同じような軟便や下痢ぎみの犬や猫がたくさん来てますよ」とのことだった。

 余震によるストレス。人間以上に敏感な感覚を持つ動物にすれば、地底が揺れる異常事態が継続すると、やはり胃腸の調子に影響をもたらすらしい。

 ここ数日は便も通常に戻りつつあり安堵しているが、余震が収まるのを期待するしかない。ちなみに飼い主の方はお通じに関してはノンストレスなのだが。



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ローマ法王

2005-04-05 | Weblog
 ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が2日(日本時間3日)、逝去した。信者ではないが、ちょっとした感慨に浸り、冥福を祈った。

 ヨハネ・パウロ2世を身近に感じるようになったのは1981年2月、初めて来日した時だ。それまでローマ法王は世界史の教科書で欧州の中世の頁に出てくる人物としてしか知らなかった。法王は被爆地の広島と長崎を訪れ、私が住んでいた長崎では野外ミサがあった。2月26日だった。朝から冷え込み、信者たちが「ほっかいろ」を手にして会場に集まった。原爆落下中心地そばの市営陸上競技場でミサは執り行われ、吹雪の中で法王は平和のメッセージを世界中に送った。若き日の鮮烈な記憶だ。

 長崎はキリスト教徒が全国的にも多い地域だ。国宝の大浦天主堂や被爆し瓦解した浦上天主堂(その後再建)など教会が街中にいくつもあり、独特の景観をつくっている。キリシタン弾圧時代に、長崎の信者たちは「いつかはパパ様(ローマ法王のこと)がやって来る」と思いながら信仰を守ってきた。長年にわたる思いが通じて、パパ様が来崎したと信者たちは感無量の様子だった。

 話は飛ぶが、幼児のころ、キリスト教系の幼稚園に通っていた。だから「天にまします われらが神よ…」と唱えながら、右手を使って胸の前で十字を切る仕草を今でもすんなりできる。それにシスターと呼ばれる尼僧がなぜ髪を隠した衣装なのか子供心に不思議に感じていたのを今でも覚えている。

 学芸会(?)では、なぜかサルカニ合戦の紙芝居をやった記憶がある。園児が壇上に上がって一列になり、画用紙に描いたサルカニ合戦の各場面を手にし裏に書いた台詞を読み上げていくのだ。どういうわけか私は絵を描いた面を自分の方に向け、台詞の面を会場に向けて立っていた。たちまち会場から爆笑とざわめきが起きた。あわてた私は画用紙をさかさまにしたりと一人芝居を演じ、動転ぶりにさらに拍車を掛けることになった。その後どうなったかは記憶にない。たぶんシスターが補助してくれたのだろうが。人前で大恥をかいた記憶の第1号だった。

 ローマ法王で書き出して、幼稚園時代の失敗談までたどりついた。ヨハネ・パウロ2世は私を連想の世界に誘う存在だ。記憶の中の「法王」として刻まれている。私の中にある園児と青年の記憶をお供にして。
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愛・地球博

2005-04-04 | Weblog
 愛・地球博に出掛けた知人に感想を聞いた。

-訪れる価値はあるか。

1970年の大阪万博以来の国際博覧会だし、今という時代のイベントとして見ておいて損はない。

-いつごろ行った方がゆっくりと見ることができそうか。

5月の連休が終わると、来場者が一段落するだろう。6月ぐらいが狙い目では。

-見たい館をじっくり見るには。

事前に入場券と見たい館の入場予約を取っておくこと。インターネットでできる。こうしておくと効率良く動いて見ることができる。

-お勧めの館は。

愛知県出身なので、やはりトヨタ館を推す。ロボットが楽器を演奏するショーがある。人間も交じってのショーで、見ているうちにどれが人間で、どれがロボットか分からなくなる。それぐらい同じような動きを見せてくれる。将来、藤原紀香型など女優をイメージしたロボットが売り出されれば、かなりの売り上げがあるかもしれない。お友達ロボットですね。

-弁当持参が解禁されました。

私が行ったときは事前チェックで弁当やペットボトルも没収されていた。園内の店で食べざるを得ない仕掛けで、しかも長蛇の列だった。日陰の休息所もなく、夏は大変だなと感じている。弁当持参解禁は小泉首相の鶴の一声だったが、歓迎だ。
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