おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

TAROと太郎の神話

2009-02-28 | Weblog
太郎と言ってもくだんの宰相ではない。芸術家たらんとしたOKAMOTOの方だ。TAROの作品をじかに見るのは大作「明日の神話」が初めてだ。京王井の頭線渋谷駅の連絡通路沿いにそれはある。「うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」。太郎の芸術作品観からは逸脱した仕上がりとなっている。人間をちっぽけな存在にしてしまうのがいい。

ケチャップと辛子をたっぷりとかけたソーセージを挟んだホットドッグにかじりつき、スターバックスの大ぶりの紙コップに入ったコーヒーでも飲みながら、痛快なほどのバカでかさにいつまでも見入りたい気分になる。


          
                    




大作から目を離して真後ろを見ると、渋谷駅前のスクランブル交差点だ。青信号とともにせかせか、だらだら、ちんたらちんたら、ちょこちょこ、みぴょこぴょこ、千鳥、突進、駆け足などホモ・サピエンスの一群が百態の歩行風景を繰り広げる。
 
                   


「明日の神話」を見てから、あらためてというより初めて太郎の著作を読むことになる。全9巻の著作集をはじめ、図書館にある関連本に目を通す。秘書にして養女であり妻でもある岡本敏子の存在が太郎を際立たせている。それは絵画と額縁の関係、彫刻と台座の関係、外観と内面の関係だ。語り聞かせるような文章の秘密もまもなく解明された。敏子を相手に口述筆記をしていたのだ。存在自体が面白い「岡本太郎」という自らについて、座談の名手でもある「岡本太郎」自身が語るのだから中身が面白くないはずがない。

「岡本太郎」という作品を、日々独創的に創作していった人生に、TAROの真骨頂がある。そう簡単に、やすやすと、他人(ひと)様に理解されるような「岡本太郎」であってはいけないというのが主眼だ。作品もまた然り。漫画家の父一平、小説家の母かの子のことを綴った文章は親子の情愛が感じられて最高だ。

そして太郎と敏子の関係は絶対愛とも言うべき絆で繋がっている。不遇であっても、貧乏であっても、時代が変わっても、名声を得ても、奇人扱いされても、死を迎える間際にあっても、相手を想う気持ち(多分、愛)は不変だった。この一貫した見事さは、太郎が絶賛した縄文土器や光琳の魅力に通じるものがある。なんと独創的なことか。










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笑う門に鬼きたる

2009-02-12 | Weblog
季節はふくいくたる春が近づいてきているはずだが、人間さまの世界は笑えない春が爛漫だ。


★公立図書館で新刊本をリクエストする。松岡正剛の宗教に関する本だった。書名や著者名などを用紙に記入して女性の館員に手渡す。

♀購入するかどうかは選定会議で決めますが、書名に「神仏」という表記が入っていると、なかなか(購入が)難しいですね。

♂著者は著名な書評家ですよ。得体の知れない宗教本ではないと思いますけども。

♀宗教関係の本のリクエストではなかなか要望に応じられないケースが多いんです。

♂事情は分かりました。選定されるように、あなたの運に賭けてみましょう。

♀困ります。わたし運が悪いんです。

♂そんなことはないでしょう。

♀(顔をうつむきかげんにして)いいえ。本当に運がないんです(声も急に低く弱弱しくなる)。

♂まあ、そう言わずに元気を出して。

♀元気もないんです。すみません。

※この後、掛ける言葉を遠慮する。選定でもめるような新刊をリクエストして、ど~もすんません。


★午後9時すぎ、某コンビニ・ローソンにて肉まん2個を購入する。

A:(名札を見ながら)山田くん=仮称=、頑張ってるね~。パワー全開かな?

Y:全開じゃありません。50%ぐらいです。疲れてるんです。

A:そうか、半開か。きょうは夜中まで勤務なの?

Y:11時までです。

A:それじゃ、家に帰ったら風呂に入ってバタンキューだね。

Y:いいえ。飯食います。昼間は学校に行ってますから。

A:学校って?

Y:整骨の勉強をしてるんです。夜はコンビニでアルバイトできついんです。

A:君こそ整骨をしてもらわないといけないんじゃないか。わっはっは~。

Y:(力ない声で)そうですね(苦笑いの苦さを5倍に強めたような表情となる)。

※山田くんの胴体はドラム缶状態となっている。制服のボタンが飛び散りそうなぐらい。遅い夜食が山田くんを力士に仕立て上げようとしている。疲れているのに笑ってすまなかった。今度から「わっは」で止めます。


★マスコミの世論調査で支持率が20%を切る末期的状態になってくると、不支持の世論を背景に某国の麻生首相は袋だたき状態となる。プロレスの金網デスマッチみたいに場外へは逃げられない。

ホテルのバー通いに始まり、KY(漢字が読めない)、永田町界隈のはやり言葉「あほう」首相、マンガ脳、最後の自民党総理……など十字砲火を浴びている。見識のなさからくる発言失言だから、周囲や身内から批判され小馬鹿にされても仕方がない。顔つきも日に日に貧相になっていく。

※祖父は吉田茂だったか。「ぼうこく」とひらがなで書く三代目。






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千年に1度の経済危機

2009-02-05 | Weblog
卸売・小売の中小企業の社長たちの会合で彼らの雑談を傍らで聴く。

百年に1度の経済危機だって? そんなもんじゃないな。これは千年に1度級になるぞ。

なんだよ、あんた。昨年の晩秋にはなんて言ってた。百年に1度の経済危機かぁ、面白いじゃないか。生きているうちにそんな危機を体験できるなんて経営者冥利に尽きるなんて、余裕をかましてたんじゃないの。

あの時はあの時。大企業の決算予想が軒並み赤字赤字のオンパレードだもんね。桁が違うよな。1千億単位の赤字だもんな。連日、こんな数字を目にしていると、倒産した中小企業の負債額なんてかわいいもんだよ。

まったく、まったく。帝国データバンクや東京商工リサーチから来る倒産情報にある負債額なんか、ほんと小さく見えるもんね。なんだたったの35億円か、小さすぎるよと思ったりするもんね。

ピンチはチャンスなんて経営コンサルタントが吠えたりするけど、ピンチはやっぱりピンチだよ。

経営コンサルタントの言うとおりにしてたら倒産するよ。

そりゃそうだろう。経営をしたことはないし、コンサルタントは経営をしないから。

企業を再生させる凄腕の経営コンサルタントはひと握りだね。

セールスの本に「売れないのではない。売ってないのだ」といった檄文みたいな文句があったりするけど、売れないときは、どうやっても売れない。

目から鱗の名言じゃないか。経営計画なんかも、計画通りいかないのが経営だもんな。なんせ経済は予想を超えたところで展開するから。

金が回らないというのは、人間をいらいらさせるよね。知恵の働きもにぶるしね。

問題は3月決算の後だな。この経済危機が1年間も続くかと思うと、廃業も覚悟しなくちゃね。

じたばたしても、手の打ちようがないこともあるからね。人間同様、企業にも終わりがあると言うもんだ。

胃に穴がポンポンポンと3つ、4つは開いてるよ。

そりゃ少ないな。5つ、6つは開いてなくちゃ。

いつ心筋梗塞や脳溢血が起きてもおかしくないな。

胃の穴を埋めに焼き肉にでも行くか。

その気にならんな。湯豆腐あたりにしておこうよ。

ユニクロは1人勝ちか。

う~ん、……。





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石垣島川平湾から岡本太郎へ

2009-02-01 | Weblog
石垣島北西部の観光スポットと言えば、川平(かびら)湾だ。白砂の海岸に翡翠色の海、純白の雲と紺碧の空で人を引き付ける景勝地に立つ。当日は曇り空と晴れの合間ともいうべき天候だったが、偏光サングラスのおかげで色調のコントラストがはっきりした景色が目の前に広がる。裸眼で見るよりは、より絵葉書的な光景となる。

川平湾を絶賛するガイド嬢の言葉の中に岡本太郎が出てきた。「いかなる画人のいかなる詩情をもってしても、その表現が困難である。描く色をわたしは持っていない」。珊瑚礁やクマノミを見るためのグラスボートが何隻も浮かび、集合写真専門のカメラマンがいる典型的な人ずれした観光地となっている川平湾をどんな文脈で語ったのかがむしろ気になった。出典をガイド嬢も知らないし、ネットでも太郎の文言を引用してあるものの分からずじまい。検索の旅が始まった。

岡本太郎の著作に「沖縄文化論―忘れられた日本」がある。1959年11月から12月にかけて沖縄本島と八重山諸島を巡り、翌60年に「中央公論」に連載したものをまとめた本だ。この中に出典があると当たりをつけて図書館から借りだす。


「芸術は爆発だ」「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」。テレビ画面で声と顔は知っていた。顔いっぱいのパフォーマンスで芸術家顔を創り出しレンズを見据える表情が印象に残っている。太郎の著作を読むのは初めてだった。どんな文章なのか。

導入の仕方といい、展開、口調といい実にうまい。引き込むような語り口だ。講演を聴いているように行間から太郎の声がしてくる。描く才もあるが、しゃべる才や書く才も負けていない。人物の面白さが文章に出ている。沖縄文化の中に独自性や独創性を求めての旅だけに、そうでないものを遠慮なくぶった斬っていく。途中で止めるのが惜しいので最後まで読み進む。あとがきまで行ったが、川平湾について出典となる記述は見いだせなかった。

読了後、八重山諸島で見て、触れた風物がいくつも浮かんできた。太郎の著作がてこになって連想と想像が広がる。星の砂、マングローブ、マンタ、石垣窯、八重山そば、泡盛アイス、オリオンビール、海ぶどう、シーサー、水牛、チャンプルー、黒糖、サトウキビ畑、夜空の満月、西之表ヤマネコ、ハブ酒、風土病としてのマラリヤ、ミンサー織り、日本最南端のバス停……。海と空の色と同様に鮮やかな豊穣がいっぱいだ。
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