超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

大人ピクニック

2017-05-11 05:59:16 | 旅行お出かけ
前回記事で書いたようにGW後半、いつものお友達家族と出かけることになった。子供は小学6年のMホちゃん一人というほぼ「大人ピクニック」である。集合は江ノ島観光案内所、どこへ行くかは観光マップを見て一応メンバーの意見を聞いてからということにした。大型連休のど真ん中、海岸道路は午前中から駐車場待ちの車が長い行列を作り、家族連れやカップルなどがお出掛けの服装で歩き回っている。そんな中で私は敢えて飛びぬけて「浮き上がる」スタイルにしていた。息子甘辛が高校時代の部活ジャージでド派手なブルーの上下である。足の長さが合わぬので、昔の女子高生のように密かに腰のところで折り曲げている。人混みの中で人目で見分けられるためでもあるが、「キミらとは行き先が違うのよ。観光じゃないの。地元の余裕ね」というヌルい演出をしたかったこともある。よく見ると私があまり仲良しになれない「休日のオヤジ」となっていた。さすがに一人二人でこのスタイルは恥ずかしくて抵抗がある。

今回はSYUちゃんパパが珍しく用事があるようで欠席、湘南藤沢市民マラソンも毎年「走る代わりに大会運営スタッフに徹する」ほど地域貢献を尊ぶKナちゃんパパは近所の総合運動施設で子供の日イベントのお手伝いだそうだ。男性軍は私と「しんさん」しかいないのだが、やけに遅れて集合場所に現れたメンバーにその姿が見当たらない。「電車を降りるところまでは一緒だったんだけど・・・」どうやらはぐれたらしいのである。連れがいることを見ないで、さっさと歩き出すのでこういうことは珍しくないらしい。「前しか見ねえから、そういうことになるんだよ。○田釣具店でエサ買って釣りでもしてろと言っときな」妻は念のため場所取りに先に弁天橋を渡って行った。「えっ?今どこ?観光案内所?戻っちゃったの。こっちは橋渡ってるよ。ってどう行けばいいんですか?」ハニーさんが通話しながら聞いてきた。「もう、帰りの時間と場所だけ教えればいいかな」彼女も結構冷たいものだ。

橋を渡りきり、ロータリーの飲食店群から奥の駐車場に向けて歩くとすごい人で進みにくいから裏道を教えてやったのだが「鳥居の直前で左に曲がり、細い通りを真っ直ぐ・・・○田釣具店と●上釣具店というのがあって・・・えっ、何?どこの鳥居かって?」ダメだこりゃ・・・「マラソンスタートしたところにある新しいハウス内を突っ切ってくること」と一言で片付けた。向かう先は妻との偵察で発見した「景色よく、人おらず、トンビなし」の神ポイントの一つである。後から調べたのだが、江ノ島ヨットハーバー内の「セントラルプロムナード」という。その昔、ヨットというのは何となく敷居が高くて御縁も薄く、ハーバーも閉鎖的なイメージが強かったのだが、HPのうたい文句を借りれば「その景観を共有し、市民の誰にも楽しめる開放的な憩いの場としての『新しい役割を担う』ために整備されたそうだ。先端のモニュメントのあるところはさざえ島と呼ばれ、磯の生き物を観察できる海と繋がったタイドプールが周囲にある。

        

新しく整備されたばかりで知っている人が少ないのか、その日も数えるほどしか人は見当たらなかったが、ピクニック会場にしようと思っていたさざえ島の下にあるスペースには先客がいて、妻はプロムナードの中にある屋根付きのベンチ小屋にいた。ちょうどその時に後から追いかけてきた「しんさん」と合流しメンバは全員集まった。中にレジャーシートを敷くとちょうど車座になって入れる人数は8名くらい、しかも日除けがあり、トンビも絶対にこない。ベンチを背にしているから風除けにもなって素晴らしく具合がよい。さっそくめいめい持参した弁当やおかず、酒を取り出して乾杯した。寿司やピザ、唐揚げ、サラダなどが所狭しと並び、私が朝市でGETしてきた生シラスパックは寿司ネタの代わりにシャリに乗せて食うと素晴らしく美味だった。残念ながら港湾施設内なので、釣りや火気の使用は禁止されているが、「大人のピクニック」としては申し分ないロケーションである。

      

後になってこの「奇跡の神ポイント」の話をすると、昔の江ノ島ヨットハーバーを知るほぼ全ての人が「入れるとは知らなかった」という。新しいヨットハウスは昨年の6月にオープンしたそうだ。ヨットハーバーとしてのオペレーションルームや会議室の他にヨット専門のショップ、通路に1964年東京オリンピックのメモリアル展示などがある。オープンテラスになっているレストランはシラス丼で有名な「とびっちょ」のカフェスタイル版だった。前回東京オリンピックのヨット競技会場となったのは知っていたが、あまり市民に馴染みはなかった。施設全般をリニューアルオープンするにあたり、より開放感を醸し出したようだ。ちなみに前日、私と妻が最初に見つけた岸壁釣り場裏の公園は「南緑地」と呼ばれる憩いの場だそうだ。ヨットハウスの中を歩き回っていた私と妻は一つの宣伝張り紙を見つけた。どうやらヨットハーバーフェスティバルのイベントらしい。「何、海上保安庁巡視艇に乗船してのパトロール体験?こりゃすげえ。」

        

さらに受付のところに「やまゆり倶楽部」なる機関のパンフレットがあった。「体験クルーズ?オレ、ヨットって乗ったことないけど、これも面白そうだぜ」実は前日偵察にやってきた時もこの体験イベントがあったらしいのである。小型(二人乗り)ヨットに指導員と二人で乗船する体験コースと、「やまゆり」という大型帆船に乗船しての周辺クルーズがある。「今まで何か敷居が高かったけど、海辺に住んでいてヨットに乗るというのも上品な趣味だよね」我々は次回の体験クルーズに試しに申し込んでみることにした。パンフによると江の島ヨットハーバーに浮ぶ木造の大型帆走クルーザー「やまゆり」は1964年10月東京オリンピックにおいて、神奈川県が海外・国内の来賓用クルーザーとして建造され警備艇としても大活躍をしたそうだ。財政難などで維持・継続が難しくなったが、国内にこれほど大きい木造帆船はなく、単なる記念物とせずに何とか現役で動態保存しようと「やまゆり保存会」が苦労して運用しているらしい。そう聞くと何やら高貴なものに見えてきた。

    

敷地内にはオリンピックの記念シンボルもまだ現存している。ヨットショップの名前もズバリ「1964」だったが、この年は我々にとっても縁浅からぬ年だから、これまであまり知られていなかったこぼれ話をサーチしてみようと思う。オリンピック開催時はもちろん、これほど立地条件の素晴らしいこの神スポットも遠からず衆目を集め、巷に人が溢れかえることになってしまうだろう。穴場として「そーっとしておきたい」ところだが、地元が栄えるという意味では人が集まったほうがよい。食べ物と談笑も一段落し、そろそろ店仕舞いしようかという時間になったが、誰からともなく「やしの木で2次会やろう」ということになり、橋を渡って我々のお気に入りスポットに場所を移した。第2次買出し部隊がコンビニに向かい、一人しかいない(つまらなかったろうな)子供のMホ嬢はシロツメクサを摘んで花冠を作成していた。

    

Mホ嬢のマンションにいるトイプーは年に何度かある特別な時期で大人しく留守番をしているそうだ。「子供が家を巣立っていったら犬でも飼うか」と以前から妻と話していたが、最近は「犬は嫌だが、小さなふくろうならよい」と言い出した。「とんびならカッコいいんだが、無理だろな」可能性的に我が家が「ふくろうを飼う」ほどレアな道に走ったら、何故か「レース用カーの購入を考えてもよい」と家庭内の話になっていたらしいしんさんは目を輝かせた。しかし移り気の多い性格なのか最近は「レースカー」ではなく「バイクに乗りませんか?」と予想外の誘いを仕掛けてきたのである。しかし私は「以前なら乗馬したいと思ったことはあるけど、今やるならヨットだな・・・」迷わず返したのだった。「大人のピクニック」は季節ごとにこれから流行りそうな気配である。