民主党と国民新党・下地幹郎議員の画策・目取真俊/ブログ「海鳴りの島から」

2010-02-19 11:23:17 | 沖縄
 17日に行われる与党3党の沖縄基地問題検討委員会で、普天間基地「移設」先候補地の提案が見送られることになった。国民新党が嘉手納統合案やキャンプ・シュワブ陸上案を提案しようとしていることを社民党の福島瑞穂党首が批判した。それに対し国民新党の下地幹郎政調会長が反発し、与党間の不協和音が表面化する中で、問題を先送りしたわけだ。
 2月15日付琉球新報の1面トップに〈政府、シュワブ陸上模索〉という見出しの記事が載っていた。政府が普天間基地「移設」の最終的な決着案として、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ陸上部分への「移設」を模索しているという内容だ。防衛省政務三役直属の特命作業班「普天間代替施設検討チーム」が中心となって作業を進めており、平野博文官房長官が2月初めに北沢俊美防衛相に検討を指示したという。与党3党の検討委員会とは別に政府内で議論が行われていたわけだが、それをごまかすために次のような画策がなされていた。

〈北沢氏は、検討委の議論との整合性を図るため、検討委員である国民新党の下地幹郎政調会長に、国民新党案としてシュワブ陸上案を委員会に提案するよう要請した。国民新側は、これまでも陸上案を移設案の一つとして提唱しており、17日の委員会で提案する予定〉

 当初、17日の検討委員会では社民党、国民新党が「移設」先候補地を提案する一方で、民主党は提案しないということが報じられていた。琉球新報の記事を見れば、そのからくりが分かる。昨年の衆議院選挙前に鳩山党首自ら「県外移設」を唱えていた民主党が、キャンプ・シュワブ陸上案を検討委員会で提案すれば、公約違反の強い批判を受けるのは必至だ。それを回避するために自らは提案せず、国民新党の下地議員に働き掛けたということだろう。実に姑息なやり方だ。
 キャンプ・シュワブ内陸上案は自公政権時代にもあった。既存の基地内に造れば反対派は手が出せず、県知事の埋め立て許可も必要ないから手っ取り早い、という発想だ。しかし、住宅地域に近接するので騒音や墜落事故などの被害が懸念されるため採用されなかった。もちろんそこには埋め立て利権の問題も絡んでいたのだが、住民生活への配慮が建前ではあっても言われていた。それすらも民主党や国民新党はかなぐり捨てようというわけだ。
 稲嶺進名護市長は、選挙では辺野古現行計画反対を訴えて当選したが、このような動きに対して、陸上案にも反対する姿勢を示している。市民の生活を脅かすという点では、海上案や沿岸案よりも陸上案の方が酷いのだから当然のことだ。沖縄県議会でも自民党や公明党を含めて「県内移設」に反対する決議があげられようとしており、17日の検討委員会でキャンプ・シュワブ陸上案が出されていたら、沖縄から猛反発が出ていただろう。
 県選出の国会議員である下地幹郎議員は、このような沖縄の動向や世論を熟知しているはずだ。にもかかわらずそれに逆らって「県内移設」に固執しているのはなぜだろうか。
 2月12日付琉球新報に沖縄県特A業者の公共工事完工高ランキング(2008年度決算/08年9月期~09年8月期の集計)が載っている。それを見ると公共工事完工高の上位には屋部土建、大米建設、金秀建設、仲本工業、国場組といった企業が名を連ねているが、注目すべきは発注機関別の請負額上位企業の表で、沖縄防衛局発注工事の請負件数と請負額上位は以下の通りになっている。

1 仲本工業  2件  12億1400万円
2 大米建設  3件   8億9000万円
3 屋部土建  4件   7億8800万円
4 仲程土建  3件   6億      円
5 渡嘉敷組  2件   4億1100万円

 下地議員のファミリー企業である大米建設が、沖縄防衛局発注工事の請負額ランキングで2位に入っている。沖縄に米軍が駐留していることは、下地議員にとってはファミリー企業の利益につながるわけだ。普天間基地の「移設」に関しても、県外・国外ではファミリー企業に利益はない。「県内移設」なら嘉手納基地やキャンプ・シュワブで行われる工事を受注できるかもしれない。以前から書いているように、基地機能・訓練の分散・移転を口実に下地島空港の軍事利用の道を開くこともできる。沖縄でこれだけ「県内移設反対」の声が高まっているにもかかわらず、下地議員が「県内移設」を主張し続けるのは、以上の理由からではないのか(これがすべてとは言わないが)。

 下地議員については以下の記事も参考までにあげておこう。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-116009-storytopic-86.html

 昨年8月の衆議院選挙で政権交代が行われ、沖縄では自民党の衆議院議員が一人もいなくなった。この機に乗じて下地議員は、政権与党にいる自らの政府とのパイプを売り物にし、普天間基地の「県内移設」を主導することによって、沖縄の基地建設に絡む利権を牛耳ろうとしているようにさえ見える。
 下地議員が沖縄選出の国会議員として「県内移設」を主張することに、沖縄への基地固定化を図ろうとするヤマトゥの政治家や大手メデイアは大喜びだろう。その発言をもてはやし、大いに利用するはずだ。これから国民新党は民主党にさらにすり寄り、連立政権からの社民党はずしが図られそうだ。民主党と国民新党が手を握って「県内移設」を進めようという動きが顕在化し、下地議員がその先導役を果たそうとしていることに対し、それを許さない取り組みを沖縄から早急に行う必要がある。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/d092bfd07814879cd1d322d27c2a2eb7
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「県内移設」に反対、抗議を
 17・18日と稲嶺進名護市長が東京へ行き、就任のあいさつを兼ねて与党幹部や鳩山首相らと面会している。17日の与党検討委員会を前後して、国民新党と民主党が普天間基地の「移設」先としてキャンプ・シュワブ陸上部を画策していることが取りざたされている中で、「海も陸上も含めて造らせません」という稲嶺市長の発言や行動が全国ニュースで流れたのは、この上もないタイミングであり、大きな意義がある。

 国民新党が提案しようとしている陸上案は、キャンプ・シュワブ内に1500メートルの滑走路を建設するというものだ。ヘリが離着陸するだけならヘリパッドでいいはずで、国民新党の案はMV-22オスプレイの配備が前提となっている。住宅地上空の飛行を回避するという名目でV字型滑走路を打ち出した自公政権もひどかったが、国民新党は海上で訓練するという嘘を取っ払って住宅地上空を堂々と飛行させようというわけで、よりいっそうひどい。
 海を埋め立てないから環境に配慮しているかのようにも言っているが、1500メートルの滑走路を建設するためにキャンプ・シュワブ内の山を切り崩して土地造成することで、ヤンバルの自然がどれだけ破壊されるか。リュウキュウヤマガメやカラスバトなどの天然記念物をはじめ貴重な動植物が生息する森が失われ、赤土流出による海洋汚染も問題になる。

 テレビのニュースを見ていると、下地幹郎議員が18日にキャンプ・シュワブに土地を持つ名護市の軍用地主会会長らを引き連れて北沢防衛大臣と面会している。17日の与党検討委員会でキャンプ・シュワブ陸上案が提案される予定だったことを考えると、本来はそれに合わせて面会を設定していたのだろう。すでにそこまで下地議員は根回しを進めていたわけだ。
 軍用地主会の便宜を図って関係を深めることで、沖縄の基地問題にかかわる下地議員の影響力が増す。同時にそれは下地氏自身や国民新党、そうぞうの議員たちの選挙の支持基盤を広げることにもなる。

 宜野湾市の伊波洋一市長は、在沖海兵隊の大半がグアムに移駐すると主張している。「県外・国外移設」という公約を鳩山民主党に実行させることが問われているとき、あえて「県内移設」を進めようとする下地議員の行動は、すでに書いたように沖縄の基地利権を牛耳ろうとするものにしか見えない。
 国民新党および下地議員が主張するキャンプ・シュワブ陸上案、嘉手納基地統合案などの「県内移設」に反対し、抗議することを呼び掛けたい。

参考までに
http://www.kokumin.or.jp/shozaichi/
http://db.kosonippon.org/statesman/statesman_info.php?id=1325

海鳴りの島から沖縄・ヤンバルより…目取真俊

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次官在任中に30億円受注 下地議員の家族企業/琉球新報2000年8月9日
自民党の下地幹郎衆院議員(九州・比例)が沖縄開発政務次官在任中の1998年から99年にかけ、下地氏の実兄が社長を務めるファミリー企業が沖縄開発庁が予算を計上している公共事業30億円以上を受注していたことが8日分かった。
同日の衆院決算行政監視委員会で民主党の石井紘基氏の質問に同庁が明らかにした。
これについて、中川秀直官房長官は「適正な手続きで発注されており、政務次官だから(受注できた)という指摘は当たらない。当該期間は(下地議員は)役員を辞任している」として問題ないとの認識を示した。
沖縄開発庁によると、大米建設(那覇市)など下地氏のファミリー企業三社は98年に計約24億9800万円、99年に計約8億1400万円の工事を受注していた。
下地氏は96年に初当選するまで大米建設の副社長を務めていた。
沖縄開発庁長官、政務次官は公共工事発注の権限はなく、建設相などの指揮・命令の下に沖縄総合事務局が実際の事務をする。
下地幹郎HP

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1 コメント

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基地問題の包括的解決 (isao-pw大城 勲)
2010-02-19 14:57:03
普天間基地だけを移転する方策を探っても米国側との交渉には耐えられない事を理解せずに議論する社民党は基本的な認識が間違っているのです。
米国側が小沢幹事長を招いて日米関係全体を本気で議論しようと考えている機会を捉えて基地問題の包括的解決を探る事こそが必要な時です。

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