芭屋框組(はなや かまちぐみ)

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土壁の家 その2

2011-07-14 08:26:58 | 建具屋のかあちゃん




先日、建具を取り付けた現場が土壁の家だったのですが、

この工法、素材が今迄に無いスグレものだったので紹介します。

普通、土壁の家というと下の写真の様に、貫工法で作られた構造材に竹小舞あるいは

木小舞と言われる下地を縄で編みこんでいくという、大変手間がかかる

工程をふまなければなりません。






その後もほぼ柱の太さ分の土を何回にも分けて盛り付け作業

ならし作業、また、土が乾くまでの日数や夏場の乾きすぎや、冬場

の凍結等気候や温度に大変制約が多く、土壁の家が快適で良いのは

判っていても、なかなか実現しにくい工法でした。


ところが今回の現場はまず、筋交い+間柱の上に「木摺り」と

呼ばれる薄い桟を釘打ちしただけ。





そこに中塗り兼、仕上材の「瀬戸漆喰」を塗っていって仕上がり。

おまけに強度は従来の土壁の5倍というから良いことづくめです。

この「瀬戸漆喰」は、今年4月に発売されたばかりで、

その特徴としては

1)牡蠣の殻から抽出した成分を使っている為、強度があり、

リサイクルにもなっている

2)アルカリ性の為、釘が錆びないので、「木摺り」を編まずに釘打ちできる

3)塗りしろが12~15㎜で済むので、少ない量で良い。

(今回の現場が1件分で、およそ2㎥程使用されたとの事)

薄塗りの為、断熱性は低いが、塗りしろが少ない為、従来の断熱材が入れられる。

4)塗りしろが少ないので、壁が垂れ下がってこない。ならし作業もしなくてよい

その他、貫工法で作らなくて良いので、刻みの手間が少なく、

現場で出た端材も「木摺り」に使えるので無駄が出ない等々。

このように大工手間の部分でも、魅力が多いのではないかと思われます。

元々石膏ボートやメッシュといった分別、リサイクルが出来にくい

物を使わなくて済むことを目指して開発されたものだけあって

これからの素材として注目していきたいです。

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