芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

ねじれ直しおさらい他

2019-01-03 16:33:35 | ねじれ直し




栗原さんの講習を受けて早速、自分でも刃の修正をやってみた。

特製金床と刃をお湯につける この2点の違いだけで、格段に効果が上がった。

おさらいの意味も込めて:上図の2が浮いているならば、2と3の地金側に銅板敷いて上から叩き鋼側に持ち上げてくるのが、通常のやり方。

しかしながら自分としては、逆に1を地金側に持ち上げてやって、刃のこごみをなるべく伸ばしてやりたいので左のセッティングで叩く。この場合刃が割れる危険性がかなり高まるので勧めない。





実際やってみると、そんなに狙い通りには曲げられないので右・左両方の叩き方で何回も叩いている間にかたつきが無くなる感じ。また刃の厚みや硬さによっても曲がり具合違うので、まだまだ修行が必要である。

次に頭のめくれも直してみた。

ビフォー





アフター





ビフォー






途中:バリがすごいので、グラインダーで削り落とし丸みも整形







アフター



裏すき直し途中:マキタグラインダー用砥石(GC)の木っ端使用




参考写真:栗原さんによるたがねを使った槌目の整形~黒染め さすが東一・正芳さん仕込みの見事な出来栄え!





















明けましておめでとうございます~2018伊那研修会

2018-09-30 15:13:43 | ねじれ直し


明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。ではさっそく・・・


今年の全国削ろう会信州伊那大会のプレ大会として、昨年9月に伊那市でミニ削ろう会・研修会が行なわれた。

今回のお題は「寸八鉋の直し方」講師に5寸鉋でお馴染みの栗原 郁夫氏。


今回のお題、前日まで気が付かなかったのだが、以前私が上條会長にリクエストした内容にまるまる答えて頂いたものだった。

前日の懇親会で栗原氏の隣りに座ったのを機にその事が発覚。その後色々と為になる話をして頂いたのだが、幹事役の緊張感と酔っぱらったせいで、残念ながらあまり覚えていない。

それでも「明日、必ずねじれた刃とレールと槌を持ってきなさい」と念押しされたのでなんとか用意する事が出来た。


まずは台直し:

・60~80番のペーパーを12ミリ厚のガラス板に貼り付けてこする

・刃口周辺をなるべく削らない様に台直し鉋(際台)を使い少しずつ捻じれを直す

・裏すきの深さ10~11ミクロン=アルミ箔を引いて定規を抜けた時にシワが取れるくらい





・当たり所=2点(刃口・台尻) 接地面の巾=刃の鎬面巾~頭の厚み

刃のねじれ直し:

・平らな定盤(ガラス板に100番の耐水ペーパー水貼りし平面修正した金盤)の上で、がたつきチェック※下の画像の様なめくれ・錆等が干渉しているならば先に特製金床(柔らかい)の上で叩いて直しておく。






一般的なレールはそもそも電車が通っても、擦り減らない様に硬く出来ているので、硬すぎて不向き。持っていったレールも焼き戻して硬度下げた物だったが、それでも硬すぎと言われた。玄翁で叩いてキンキン高い音がせずに、ジンジン鈍い音がするくらいが良いようだ。







・割れ防止の為に刃をお湯に3分漬けた後、浮いている方の地金下に0・3厚の銅板を敷きアルミ棒を使い4ポンドハンマーで叩く










・ベタ裏になっている刃の時はねじれ直し後、両脇の際の屈み付け(=縦裏・脚を出す)の為、左右対称に銅板を敷き同じ様に叩く

○刃先は、刃を立ててダイヤ砥石で1~2回こすった程度に潰す 

○刃の裏側しか叩かないとの事なのだが、これだとただでさえ曲がった背中側が益々曲ってしまうの気がするので



自分としては、どちらかというと下図の様に逆に曲げたいので、そちらも試してみたい



背中すき直し:縦方向に定規を当てた時、真ん中が膨らんでいるならばヤスリで削る。ここが膨らんでいると台に刃を差した時、ストンと刃口手前まで行かずに変に引っ掛かるので。



裏出し:肘を膝につけて安定さす



刃先多く潰しているので大分手こずられた 普通は40匁で軽く出るとの事






裏すき直し:



後で自分でもう少しやり直してみた。ペンルーターで粗どりし、仕上げにグリーンカーボンの木っ端(マキタのグラインダー用)を使用。















その他応用編として、鑿のベタ裏防止の為、刃先地金側にやはり銅板を敷いて上から叩き、穂をこごませる方法も紹介されていた。




 



ねじれ直し再び

2017-01-04 17:16:44 | ねじれ直し


以前鍛冶屋さんにねじれ直しについて教えて頂いたのだが、自分でやっても一つも上手くいかないので再度訪ねてきた。



まず、「ねじれは、研ぐ前に直すのが基本。研いであると、どうねじれているか解かりづらくなる」との事。
次に、叩く事の力量分布として「ねじれに作用するのが2~3割。残りの7~8割がねじれとは関係ない部分に作用している事を承知しておいて」と前置きされた。



要するにちょっと叩けば、関係ない所の方が動いているので、常にどう言う状態かチェックし軌道修正しなければならないと言う事。





更に叩く位置や巾は勿論の事、元々の作り(=すき具合、厚みや地金の硬さなど)も影響して来るので、どういう治療をして行くかの方針だてが出来ていないと収拾がつかなくなる。御本家は手元に小さい差し金を置いて、こごみ具合やすき具合を絶えずチェックされていた。



簡略化した例として上の様にねじれている場合、左のこごみ具合が次の画像



右が次の通り



右側の方が比較的まっすぐなので、左の反りのきつい方を叩いて平ら方向へ直す方針へと言った感じ。

さて、横から見た時の作りで一般によくあるタイプの作りが次①



判りずらいが実際の写真;上下空いて中が定規面に着いている。



この作りだと砥石乗せる位置で裏の当たり方がその都度変わってしまうので、御本家の最近の作は次の様にかい先までべたっと砥石に乗せても、裏しか当たらない様になっている。②



しかしこの作りでも、使っている内に縦裏が広がって来るので理想形として次③



どんな下手くそが研いでも必ず刃先の裏が砥石に当たるとの事。

話を聞いただけなので、図が間違っているかもしれない。いわゆる裏出し不要鉋とは違う作りで、使いつづけるとひょうたん裏になるそうだ。最近売り出された「ひょうたん印 軟木用」がこのタイプと思われる。

元々①の作りの鉋を無理を言って②の作りにして貰った例;手前の頭側が反り上がっている。





ちなみに下図の叩き方で左右それぞれ直されていた。












刃の裏出し

2013-01-01 20:20:55 | ねじれ直し
裏出しの前に、前回のひずみ直しの補足:

ひずみ少なく、刃の厚みかなり厚い刃だけ叩く前に御覧のように

コンロで数秒間温めてから叩き作業行われていた。



触った感じは、ちょっと熱い目の人肌くらいか。

温めた理由は、割れ止め。刃先を少ししか止めなかった事も理由のひとつ

こんな事はめったにやらないそうだ。基本的には刃先がしっかり止まっている状態で

作業した方が良いとの事。


さて、裏出しの話:

1)歪みが無い状態までもってきたら、初めて刃の角度をおおよその所まで成形する。



この時はグラインダーで成形。1往復半を1セットとして、2~3セットごとに

水を張った洗面器につけて冷却。その間にドレッサーでグラインダーの面直し

この一連の作業に全く無駄が無い。



2)刃先が、1ミリくらいだけ止まっているまでになったら、1度金盤に当ててみて

様子を確認する。



3)以前にも紹介した様に、叩く場所によって裏の出し方を使い分ける。







奥側(=あたま側)は広範囲で出したい時。主に黒刃で全く裏が出ていない時に

叩く。(使う槌:少し重め、先丸いめ、叩く力強め)



先側は、もっと狭い範囲で部分的に出したい時。普通に裏切れした時などは、殆ど

こちらで事足りるとの事。(使う槌:軽め、先細め、叩く力は上より弱め)



裏すきの深さでも叩く力変える。(深い程、強く叩く必要あり)

その他、既に裏が出ている箇所は触らない。

軽めに叩いた例1:

その裏:右側の白い部分はだれていて、当たっていない

例2:色んな槌跡が見てとれる

その裏


例3:裏すきが深い為、結構強く叩いた跡が見てとれる






この位大量に叩く場合、途中で鎬面を研ぎなおしてリセットしないと、狙った箇所が

叩けないし槌の効きも悪くなる。

4)裏が出おわったら、回転砥石(100番)で刃砥ぎ。その後普通の中砥ぎへ続く。



別の刃で刃を止めた様子:こうして見ると、2分程刃が短くなっているのが判る






やはりこういう工程は、もっと初期段階にやっておくべきに思われる。

黒刃で刃を仕込む人は、こういう事を気にされていたのかと改めて気付かされる。


刃の歪み直し

2013-01-01 14:42:53 | ねじれ直し
新年おめでとうございます。

自分が見聞きしてきた事を、メモがわりにまとめるつもりだったこのブログも

いつの間にか大勢の方が見て下さる様になり、声をかけて頂ける事もちょくちょく

ある様になって来ました。

文字入力も出来んおっさんが、嫁はんの機嫌の良い時にだけ入力してもらって

はじめて成立しているので、気長にお付き合い下さい。

さて今回は、積層台に入れるべく鉋身もこの際、きちんとしておきたくなり

裏出しも兼ねて相談しに鍛冶屋さんを訪ねて来た。

先ず各部の呼び方:今まで表と思っていたのが「甲(こう)」裏すきの上が表。




1)ねじれのチェック:平らな盤の上で、裏側を下にしてかたつかないか?



上盤に浅く掛けたり、深く掛けたりして全体的にかたつきが無いかチェックする。




2)裏側に定規を縦横にあてて、裏すきの深さやこごみ具合を細かくチェック







かたつきのある刃は、まず両脇の縦裏=はかま部分のこごみ具合が左右で違っていないか

こごみ過ぎていないか?







中古の刃で刃の横から叩いた所が、まくれ上がってそこが段差になっていないか?

等々、刃の現状把握とこれからどこを直して行くかの作戦をたてる。

3)ねじれが有る場合、ねじれ直す前に両脇の縦裏のこごみ方をまず揃える。

かつ、なるべく真っ直ぐになる様に直す。

4)刃が付いている状態で叩くと割ってしまう危険が非常に高いので、刃先を止める。

(=すり下ろす)


 

5)安全に叩く為には、画像のように刃の厚みの半分以上は止めておいた方が良いとの事

叩く量がわずかの場合も、1分位は刃先を止めていた。






刃先を止めるもう1つの意味合いとして、叩いた時に厚みの薄い方へより力が加わって

しまい、薄い部分がより多く曲がってしまう事を挙げられていた。

刃先を少ししか止めない場合は、先を台から外して尚且つ、思った所より頭側の

厚い箇所を叩くなど別の配慮が必要になって来る。

6)グラインダーで刃先を止めた後、ひずみ直し専用の台で刃を叩いて行く。



1番左がひずみ直し用槌 右の2本は裏出し用 頭の長さ3寸8分程で重さ不明、
おそらく200匁近辺



因みにこの直し台は、樫の丸太を地面に打ったコンクリートに羽子板ボルトで固定

されていた。



7)頭の下側にアルミの薄板を敷き、甲側は傷防止の為に銅の薄板

結構な力で(3寸釘打ち込む位)叩く。近くに小さな差し金があって、叩く度に

状態を確認する。縦裏をそろえるだけで、ねじれも直ってしまう場合も多いらしい。

8)上盤でのかたつき具合プラス定規でのチェックで、どこを叩くか見極める。





仮に1が浮いていると4の方も浮いているので、2-3の対角線を軸に1-4を

下に下げてやるイメージ。

見せてもらった時は、頭側の角の下にかいものをして、大体甲側から叩いて

たまに叩き過ぎたのか、裏側から叩かれていた。

目の前で何度も実演して頂いたのだが、早すぎて正直ついていけなかった。

これはもう自分で練習を積み重ねるしかない。

9)ひずみが直り、かたつかなくなって初めて刃角をグラインダーで成型していく。

この後裏出し作業につづく・・・