その相談の内容とは、年甲斐も無く好きな女性が出来たと言うのだ。
それで「この気持ちをどうしたらいいか・・・」という事だった。
「あのなぁ・・・俺は探偵やぞ・・・分ってるんか探偵」
私は心理学者でもなければ、カウンセラーでもない。
まぁ、相談の内容が、ストーカーみたいに私に嘘をついて”その相手の女性の事を全て調査してくれ”という事ではなかったのが救いではあるのだが・・・。
その友人には、家族があり、奥さんも子供もいるのだ。
「お前にしか、こんな話でけへんやんけ・・・」
「そんなら、止めとけ・・・不倫なんか・・・」
その相手の女性は、トビッキリの美人(べっぴん)でも、トビッキリのスタイルでもないらしい。
ただ、明るく、気立てが良いらしい。
友人も最初のうちは、そんな思いはなかったらしいのだが、いつからか、気になって夜も眠れなくなってしまったという事だ。
完全にのぼせ上がっているらしい。
「駆け落ちでもしてみたら?」と、私が冗談で言ってみたのだが、「そんな事は出来るわけが無いだから悩んでるんや」と怒り出すしまつである。
本人は、家庭を壊したくはないという気持ちは持っている様だ。だから悩んでいるらしいのだが・・・。
「それで、相手の女性とは何回くらい?」
「何回って・・・何にもないよ・・・」
「何にもないって・・・お前・・・ひょっとして・・・ただの片思い・・・とかと違うやろなぁ?」
「まだ、告白とかしてないし・・・」
「はぁ・・・告白ぅ・・・何が家庭は壊したくないじぁ・・・何も始まった訳でもないやないか」
「せやから言うてるやないかこの俺の気持ちをどうコントロールしたらええのかって」
「そ・・そうか・・・」
私は、相手の女性と交際でも始まりかけてるのかと思っていたのだが、どうやら本当に片思いだけのようだ。
<全く・・・こいつは・・・中学生の相談か・・・>
「そのままで、ええんとちがうんか?人を好きになるって事は悪い事やないと思うし、年も関係ないやろう・・・仕方ない事やんけ・・・それに、お前がしっかりしてたら間違いもないやろうし・・・お前は今の気持ちが嫌なんか?」
「いや・・・嫌やない・・・」
「そしたらその話は、ただの自慢か」
「そんなつもりは・・・心が苦しいねんやん・・・」
考えてみれば、羨ましい話である。
私は、ここ数十年そんな気持ちになった事がない。先に下心が勝ってしまっていたような気がする。
苦しんで・・・飲み過ぎて・・・二日酔いになって・・・。
浮かれて楽しんで・・・また飲み過ぎて・・・また二日酔いになって・・・。
<そんな気持ち・・・忘れてたなぁ・・・>
皆さんはどう思われます?