その依頼者の方はメール相談からの始まりでした・・・。しかし、送られてきたメールの内容がよく理解できなかったので、電話かもしくは直接お会いしてお話を聞きたいと返信したところ、X月X日16:00に梅田の百貨店の前で待ち合わせをする事になったのです。
「是非、事務所にて・・・」
と伝えたところ、仕事場の近くが良いという事でした。
「ボスX月X日に面談が入ったのですが同行してもらえませんか?」
「ん?いいけど・・・どうした?S君らしくないなぁ・・・」
「何だか複雑そうなんですよ・・・どうも刑事事件らしいんですけど・・・」
「詐欺か?」
「違います・・・横領・窃盗事件のようなんです・・・」
「わかったX月X日だな?空けとくよ」
「お願いします」
そしてその日がやってきました。ボスと待ち合わせ場所へと向かったのです。
予定通り10分程前に着き待っていると、見るからに挙動不審な男性がやって来ました。
「ボス・・・多分・・・あの男性だと思います・・・」
「そうかもな・・・」
「時間なので電話掛けてみます」
私が電話をかけると、思った通りその挙動不審な男性が慌てて電話をポケットから取り出していました。私はその様子をみながら男性の方へと足を進めました。
「福山さん(仮名)さんですか?」
私はその挙動不審な男性に声をかけました。
「あっ・・・はい・・・そうです・・・」
「シークレットリサーチのSです」
「ど・・・どうもです・・・」
「どうしましょうか?何処か喫茶店でも入りますか?」
「そっ・・・そうですね・・・」
その男性は私と話している間も、周りを気にしてキョロキョロと見回していました。
まるで誰かに追われているように・・・。