シークレットリサーチの探偵日記

総合探偵社シークレットリサーチの調査員達の日記です。

浮気調査 Part5 その8

2009-05-30 07:00:00 | 調査員Kの日記
 次の週の水曜日。
下の子供を保育園に送って行った、北山(仮名)の奥さんが帰って来た。
AM9:33 また、北山(仮名)の親父さんが、北山(仮名)の自宅を訪れた。
勿論、家の中へと入って行く。
「どう映像は大丈夫
「はい大丈夫です

車内から撮影した映像は、先週と何ら変わり映像だった。
おそらく、今日の調査も、先週と同じであろう。

PM2:32 北山(仮名)の親父さんが、出て行く。

PM5:00 現場を解除し、俺たちは事務所へ戻った。

その日の調査で、先週と違った事と言えば、保育園の帰りに奥さんが下の子供とスーパーへ買い物に寄ったくらいであった。


 その次の日の木曜日の早朝。
依頼者である北山(仮名)から電話があった。
「おはよう・・・悪いなぁ・・・こんな早よ~から・・・」
「ええよ・・・今どこや
「まだ家や・・・」
「家って・・・お前、嫁さんは
「まだ寝てる・・・」
「大丈夫なんかそんな、こそこそ話ししてたら怪しまれるぞ
「大丈夫やって違う部屋からかけてるし・・・」

北山(仮名)はこそこそ話でもしているような、小さな声だった。
「それで何や
「もう機械外してもええんか
「いや、まだ待ってくれレコーダーの交換と、ビデオテープの交換だけしてくれ
「分った・・・お前が観てくれるんか・・・どうしよかと思っててん・・・俺・・・こんなん、よう観やんわ・・・」
「そんなら、ええ時間になったら連絡くれそこまで取りに行くから・・・バレへん様にしろよ
「分ったそんなら後から電話するわ」

北山(仮名)はまだテープを観ていない様子だった。
普通なら、結果が早く知りたくて直ぐにでも自分で観るであろう。
奥さんが家に居るからなのだろうか。それとも北山(仮名)本人が言う様に、自分で観る事が怖いのであろうか。
案外と気の小さな所を見つけた。

浮気調査 Part5 その7

2009-05-28 07:00:00 | 調査員Kの日記
 次の日。昼頃に北山(仮名)から電話があった。
「昨日のうちに写真送ってくれとったんやなぁ・・・朝見たわ・・・あれは、俺の親父や」
「そうか、親父さんやったんか・・・」
「また明日の金曜日に頼むわ
「分った」


金曜日。
調査の結果は、水曜日と全く同じだった。
北山(仮名)の親父さんが来たのも、水曜日とほぼ同じ時刻であった。

事務所で、さんとその日のビデオを確認していた。
「Kさん・・・この男性怪しくないですか
「え~っ北山の親父ですよ」
「それは分ってますけど、何の為に来てるんか意味分らんし、普通息子の居らん時に家に上がりますか
「そう言われたら・・・そうですよねぇ・・・でも・・・」
「まぁ・・・何かの相談でもしてるんかもしれへんけど・・・」

その時、BOSSが口を開いた。
「嫁と旦那は他人やろその親父はもっと他人やないかあってもおかしくはないぞ偏った考え方はアカン
「はい・・・」
「調査の仕方を考えなアカンかもしれへんな」
「分りました・・・考えてみます」

俺は北山(仮名)連絡し、明日改めて会う事にした。


 俺はさんと、先日北山(仮名)と会った喫茶店に向っていた。
「もし、これが浮気相手やったら大変やなぁ・・・」
「ホンマですよとんでもないですよ


俺たちが着くと、この間のように北山(仮名)はコーヒーを啜っていた。
「この前の水曜日と金曜日・・・嫁さんの様子はどうやった
「おお・・・やっぱりよそよそしかったわ・・・おっさんと嫁はんで何か俺の悪口でも言うてるんか、何か企んでるんとちゃうか・・・」
「ん・・・そうかもしれんけどなぁ・・・」
「何や他に何かあるんか
「・・・・・・」
<もし・・・>

俺は言いかけた言葉を飲み込んだ。今はどうするかを考える時ではない。事実を確かめる時だ。そう言ったのは俺の方だった。
「家の中の事は調べられへんか何をしゃべってるとか・・・」
「調べられるよ」
「家の中に潜むんか
「アホそんな事出来るわけないやろ・・・聞こえは悪いけど、盗撮と盗聴や」
「どないするねん
「それは、お前がやってくれへんかやり方は教えるし・・・」
「簡単なんか
「うん」
「そんならやるわどっちをしらたええねん
「両方」
「そんなら方法を教えてくれ


俺は機材を北山(仮名)に渡し、使い方を説明した。

浮気調査 Part5 その6

2009-05-26 07:00:00 | 調査員Kの日記
 調査の初日。水曜日。AM7:00 北山(仮名)はもう車で仕事に出た後だ。
北山(仮名)は普段から車で通勤している。北山家が所有する車は1台だけである。
会社までの道程が混む為、いつも早目に自宅を出ると言っていた。

AM7:47 小学生の子供を先頭に、小さな女の子、その後からマル被である奥さんが出て来た。
小学生の女の子は、表通りに出ると友だちが待つ西方向へ。保育園の子供を自転車に乗せたマル被は、東方向へと向った。
マル被の後をが自転車でゆっくり追いかけて行く。その後をさんが自転車で追いかけて行く。
俺は車で待機し、連絡が入るのを待つ事にした。

しかし、2人からの連絡が無いまま、マル被が1人で帰って来た。
「お疲れ様です対象は子供を保育園に預けてから、他のお母さんらとちょっとだけ話して戻ったわ」
「そうですか」
<さぁ・・・この後はどうするかな・・・>


AM9:27 北山(仮名)の自宅前の路地に、男性が自転車で入って行った。
「Sさん
その男性は、北山宅のインターフォンを押している。見たところ、年は60前後かと思われる。服装はラフな格好だ。
その男性は、自分が乗ってきた自転車のかごからポーチを手に取り、北山の自宅の中へ入って行った。
「あれが浮気相手かぁ・・・ちょっと歳くってますねぇ・・・」
「まだ分らんけど、朝っぱらから堂々と・・・」


結局、その男性はPM2:33まで、北山(仮名)の自宅でマル被と一緒に居た。
<普通の知り合いではなわなぁ・・・>
その後、マル被は保育園に子供を迎えに行き、帰宅してからは外出しなかった。
PM5:00 調査解除。

その日の夜、北山(仮名)から電話がかかってきた。
「どうやった
「ん・・・・・・」
「何かあったんか
「1人、年配のおっさんが家に入って行った」
「おっさん・・・
「朝の9時半頃から、2時半くらいまで居った」
「写真か何かあるんか
「ビデオはある」
「早く観られへんか
「調査が終わるまではなぁ・・・しゃあないから、明日にでも顔写真ぐらいはメールで送っとくわ」
「分った。頼むわ


俺はビデオをチェックしてみた。
北山(仮名)の自宅に入って行った男性を、何度も見る。
その男は、どう見てもマル被とは親子程の年の差がある。
<このおっさん・・・浮気相手なんかなぁ・・・>
俺は、男性の顔が一番ハッキリしている映像を、北山(仮名)にメールで送った。
明日送るとは言ったものの、俺自身が北山(仮名)に確認したかったのかもしれない。

浮気調査 Part5 その5

2009-05-24 07:00:00 | 調査員Kの日記
 北山(仮名)の自宅は東大阪にある、古い町並みの中にある平屋の一軒家。
は家の前まで乗り入れる事が出来ない。道路と言うより路地であった。
しかし、表の通りから辛うじて玄関が見る事が出来た。
裏口もある事は北山(仮名)本人から聞いていたが、その裏口からも家の横の路地を通って家の前まで出て来る。
出入りする人間は全て家の正面を通る事になる。
北山(仮名)の自宅前には、自転車が並べられていた。
大人用の自転車の後ろの荷台には、子供が乗る椅子が取り付けてあり、その横には子供用の自転車が置いてある。
下の子供の物なのか、玄関先には三輪車が置かれていた。

「ここに車を停めたら玄関は見えますねぇ」
「うん・・・カメラも大丈夫ですね・・・」

さんがビデオカメラのモニターを覗きながら言った。
「自転車を用意せなあきませんね・・・何台にしときます
「2台でええかなぁ・・・N君用に・・・1台と・・・」
「そうですねぇ2台にしときましょ1台はN用に・・・」
「Kさん、車に作業服積んでる
「ありますよ
「ちょっと着替えて裏口を確認しに行ってくるわ」
「それやったら自分が行ってきますわ家の横を通らんでも、横のマンションの塀越しに見えそうやから・・・」
「ホンマやなぁ・・・見えそうや・・・頼みますわ」


俺は車を降り、北山(仮名)の自宅の裏にあるマンションの塀に手をかけた。
そのまま飛び上がり腕だけで体を支えて、北山(仮名)の自宅の裏を見た。
そこは庭のように少しだけ広くなっていて、物干し竿に洗濯物が干され、その向こうに裏口が見えた。
そして左右を確認し、表に回らなければ出ては来れない事を確認した。俺が手を置いているブロック塀を乗り越えれば別だが、これを乗り越えて行く人間は、まずいないであろう。
確認を終えた俺は、急いで車に戻った。

しばらく車の中から北山(仮名)の自宅を見ていると、家の中から1人の女性が出て来た。
その女性は、家の前に置いてある自転車を押しながら、表の通りに出て来た。
「追いますか
「今日は止めとこ・・・」

さんはビデオのモニターを見ながら言った。
家から出て来た女性は、北山(仮名)の嫁さんに間違いないであろう。
さんは、しっかりとその女性を撮影していた。
後で北山(仮名)に、嫁さんの写真を受け取る事になっていたのだが、これで写メで確認すればいいだけになった。
北山(仮名)の嫁さんで、間違っていなければの話だが・・・。
本人に接触しないで、映像が撮れたのはラッキーだった。
写真の画像は、本人が分り辛い事がある。それを、実際の本人を見る事が出来たのだ。
「そしたら、保育園と駅へ回りましょか」
「そうしますか」

俺は車を、北山(仮名)の下の子供が通っている保育園へと向わせた。

思ったより距離があった。自転車で裏道を走る事が出来るだろうから、車より早く着くかもしれないと思った。
北山(仮名)の自宅から、最寄の駅までも同じ様な距離だった。
地図で見るのと、実際に走ってみるとでは少し距離の感じ方が違う。

「後は本番ですね
「自転車をもう1台増やした方がええ事ないかなぁ・・・」
「そうですねぇ・・・この辺は自転車で移動されたら、車で追いきれへんわねぇ」
「取り合えず、車に積んどいたらええし・・・」
「そうしましょNは外で待機させときましょ

襟取りを終えた俺たちは、事務所に戻る事にし、東大阪を後にした。

浮気調査 Part5 その4

2009-05-22 07:00:00 | 調査員Kの日記
 北山(仮名)と別れた俺とさんは、事務所へと車を走らせた。
「どう思います
「ん・・・多分・・・」
「やっぱりそうですよねぇ・・・あの話の内容やったら・・・」
「違う事を祈るしかないなぁ」
「そうですよねぇ・・・そんでも違う事っていうて、変な宗教とかに入ってるのも怖いですよ」
「はっははは・・・確かに。それも怖い」
「水曜日と金曜日はエッチをしない宗教とか・・・」
「そんなん言うてたら、友達に怒られるで
「いいんですよアイツ、アホやから


事務所に帰ると、BOSSがパソコンに向っていた。
「お疲れ様です
「お疲れさんどうやった
「来週の水曜日から一ヶ月。水曜日と金曜日の週2日。あさ7時から夕方の5時までの10時間。もしもの場合は延長料金別途でって事で契約して来ました」
「そうか・・・来週の水曜日から・・・」

BOSSはスケジュール表を見ていた。
「大丈夫ですよね
「ん・・・金曜日は重なるけど、今の所大丈夫やお前とSとNの3人でいけるやろそれで段取りしといてくれ
「了解です

その時、さんが俺に言った。
「Kさん、大丈夫なん
「えっ何がです

BOSSが再びモニターの横から顔を出した。
「何かあるんか
「依頼者がKさんの友達なんですよ・・・対象が、その奥さん」
「そうなんか・・・」

さんは俺が感情的にならないかを心配しているようだった。
「まぁKさんやったら大丈夫やと思うけど・・・」
「大丈夫ですよ感情的にはなりませんよ

BOSSはもうパソコンのモニターを見ていた。

俺は自分のパソコンに向かい、依頼者である北山(仮名)の自宅周辺の地図を何枚かプリントアウトした。
そして、北山(仮名)の子供が通っている小学校と、保育園までの地図。
その後で、北山(仮名)の自宅から駅までの地図をそれぞれプリントアウトしていった。

「Sさん今から襟取りに付き合ってもらえませんか
「ええよ行こか」

も連れて行こうと思ったが、他の調査から戻っていなかった。
今日は戻って来れないだろう。
「BOSS、ちょっと行ってきます
BOSSが再びパソコンのモニターの横から顔を出した。
「あなた、早く帰って来てね・・・気を付けて・・・行ってらっしゃい」
「・・・キモッ・・・」

俺は再びさんを乗せて、北山(仮名)の自宅へと車を走らせた。

浮気調査 Part5 その3

2009-05-20 07:00:00 | 調査員Kの日記
 俺は北山(仮名)からの話を一通り聞いた。
「で、どうする水曜日と金曜日だけ調査してみるか
「おう・・・そう思てるねんけどなぁ・・・」
「何や歯切れが悪いなぁ・・・アレやろもし、嫁さんが浮気しとった時の事を考えてるんやろ
「うん・・・」
「それでも気になって、イライラする。違うか
「うん・・・」
「俺らに相談に来る人で、そういう人は多いよ。まぁ、最近は携帯のメール見たとか、写真見たとか、確信を持って相談に来はる人も多いけどな。・・・そんでも、イライラしてたら生活もギクシャクするやろ調査してみて、何も無ければ良し、もし何かが発覚した場合は、そん時に考えたらええんと違うか。俺はいつも、そう思って依頼者に言うんやけどな」
「何かが発覚した場合って
「例えば、お前が今疑ってる浮気とかや。全く違う事かもしれへん・・・それは調査してみなかったら分らんけどな。もし、お前の嫁さんが浮気してたら、してた時にどうするか考えたらええんと違うかっていう事や。してなかったら、お前が自分自身で”良かったなぁ・・・疑ってアホやったなぁ”って思ったら済むやん」
「そうやなぁ・・・もし調査して嫁さんが浮気してたら、そん時も相談に乗ってくれるんやろ
「当たり前やんけそやけど最初に言うとくけど、決めるんはお前自身やぞアドバイスや意見は出来るけど、お前の人生が変わる事もあるからな」

北山(仮名)は、忘れていたかの様にコーヒーを飲み、少し目を伏せて考えている様子だった。
そして、決心した。
「分った・・・そんなら調査してくれ

北山(仮名)は、1ヶ月間、毎週水曜日と金曜日の調査の契約書と誓約書にサインし、シークレットリサーチ依頼した。
<調査してコイツの思い過ごしやったらええんやけどな・・・そしたら、また一緒に楽しく酒も飲めるやろうに・・・>
「ほんなら、来週から頼むわ
「任しとけ
「お前、今日の夜空いてないか
「何でや今日はお前の仕事の用意とか襟取りとか、せなあかんやんけ」
「襟取りって何や
「あのなぁ・・・調査っていうのは、ぶっつけ本番だけやないんや。本番の為に、一応の事は調査しとくんや。どんな事にでも直ぐに対応出来る様にな。お前が思ってる程、楽な仕事やないぞ
「そうか・・・いや・・・今日空いてたら、一杯付き合おうてもらおうと思てな・・・」
「また今度にしとこゆっくりとな
「分った・・・そんなら、また今度にしよか・・・そん時はじっくり付き合おうてもらうで


浮気調査 Part5 その2

2009-05-18 07:00:00 | 調査員Kの日記
 北山(仮名)から話を聞く。
北山(仮名)の嫁は、北山より2つ下である。
子供は2人いるらしい。会わなくなってから、それだけの月日が流れていたという事だ。
子供は2人とも女の子で、上はもう小学生。下の子は保育園に通っている。
奥さんは仕事は何もせず、専業主婦。まだ子供が小さい為、手がかかるというのが理由だそうだ。

「それで、どんな事がおかしいと思うんや
「何かよそよそしいって言うんか・・・変な感じの時があるんや・・・」
「エッチはしてるんか
「まぁな・・・」
「どれくらい
「週に2回くらいかなぁ・・・」
「何ぃ~っお前週に2回もしてるんか
「アホか・・・」
「いや・・・ちょっと羨ましかっただけや・・・そのよそよそしいっていうんは
「それも週に2回くらいあるんや・・・何か俺に近寄りもせ~へんような感じで・・・」
「それは決まった曜日とか、日にちにか
「そうなんや・・・水曜日と金曜日に・・・」
「んん・・・下の子の保育園が終わる時間は
「4時くらいかな・・・」
「16時くらいやな・・・奥さんの実家は近いんか
「車で30分くらいかなぁ・・・何でや
「もし、浮気してるんやったら、子供を実家に預ける可能性を考えただけや・・・奥さん、夜は家に居るんやろ
「家族で出かけへんかぎり、ほとんど居る。2ヶ月か3ヶ月に1回くらいは友達と飯食いに行くけどな。ほとんどの友達が、子供の年が一緒くらいやから、そんなには出かけへんなぁ・・・」
「そうか・・・よそよそしい日が、水曜日と金曜日やっていうのが気になるなぁ」
「そうやろ~っせやから水曜日と金曜日さしてくれへん・・・」
「何を
「アホエッチや
「お前、週に何回するつもりじゃいっ

さんが、俺と北山(仮名)のやり取りを聞きながら笑っていた。
「それで、その水曜日と金曜日に様子が変やと思うようになったんはいつからや
「思うようになったんは、最近や・・・」
「その前からの可能性は
「あると思う・・・俺が気~つかんかっただけやと思うからなぁ・・・」
「そうか・・・」

俺はタバコの煙を吐き出しながら言った。

浮気調査 Part5

2009-05-16 07:00:00 | 調査員Kの日記
 それは、俺の古い友人、北山(仮名)からの相談だった。
その北山(仮名)とはよく酒をのんだり遊んだりしていたのだが、いつ頃からか飲みに行く機会もなくなり、ここ数年は連絡も取り合っていなかったのだ。だから、北山(仮名)が結婚していた事さえ俺は知らなかった。
その北山(仮名)から、突然連絡があったのだ。
「久しぶりやなぁ・・・お前、まだ探偵やってるんか
「やってるんかとは失礼やなぁ・・・久しぶりに電話してきて、第一声がそれか
「悪い悪い・・・ちょっと相談したい事があるんやけど・・・」
「俺にかどんな相談や
「それは、会うた時に話すわ。今から時間取られへんか俺、今日は空いてるんや。今ミナミに居るねんけどな・・・」
「えらい、急いた話やなぁ・・・ええよそんなら今から1時間後にミナミでええか前によ~行った喫茶店あったやろあそこで・・・」
「頼むわ
「分ったほんならな
<何の相談やろ?・・・金の相談やったら金は無いけどなぁ・・・>


俺はBOSSに出かけると報告し、さんと一緒にミナミへ向った。
男の友人だから俺1人でも構わないのだが、「まだ探偵やってるんかという言葉が引っかかった。

「古い友人なん
「はい・・・昔、よ~朝まで飲んだりして遊んでたんですわ」
「どんな相談なんやろなぁ
「電話では言わんかったんですけど、何かの調査の事やと思うんですよ」
「そう・・・もし違うたら、席外しますわ」
「すいません・・・でも、別に気を使ってもらわんでも大丈夫ですよアイツ、アホやから・・・」


俺がさんと共に待ち合わせ場所に着くと、北山(仮名)は店内で既にコーヒーを啜っていた。
「久しぶりやなぁ、元気にしとったんかこっちは俺の先輩のSさん」
と、俺は捲くし立てる様な口調で北山(仮名)に言った。
「どうも初めまして、北山(仮名)です」
「ほんで、相談って・・・何や金は無いぞ」
「金と違うねん・・・嫁さんの事やねん・・・」
「お前、嫁さん居ったんかいつ結婚したんや俺は結婚式にも呼ばれてへんしな・・・」
「いや・・・式はハワイで2人だけでしたんや・・・披露宴は帰ってきてから、身内だけでやった。嫁さんがあんまり派手にしたくないって言いよるから・・・」
「そうか・・・ほんで、その嫁さんがどうした
「何かおかしいんや・・・」
「何がどういう風に浮気でもしてるんと違うかと・・・そういう事か
「うん・・・」
「そうか・・・そんなら、簡単に幾つか質問するから、答えてくれ
「分った」

俺は、鞄からメモ帳とICレコーダーを取り出した。
さんを見ると、既に用意は出来ていたのは流石だ。

ストーカー規制法

2009-05-14 07:00:00 | 調査員Mの日記
  私たちは、今までにストーカーの調査を何度も行ってきた。
当時、依頼者(被害者)が警察に相談したが何もしてくれなかった・・・だとか、何も証拠が無かったから、動いてくれなかったという事もあった。
最近では、やっと警察の方もキチンと対応してくれていると、耳にするようになった。
何件かのストーカー殺人が起きたからであろうか・・・。

ストーカー規制法という新法が出来ているのだが、警察官1人1人が同じ解釈をしているのであろうか
ふと、そう思う事があった。
しかし、法律のプロである弁護士でさえ、法律に対する解釈が、それぞれ異なっているのも事実である。
警察官1人1人に、同じ解釈を求めるのはおかしな話ではあるが、出来れば同じであって欲しいものだ。
警察官によって、”この行為はストーカーだ!””いや、これはストーカー行為じゃないであろう”では困った話になる。
元々、微妙な法律ではあると思うのだが。

恋は盲目と言うが、一歩間違えばストーカーにされてしまう恐れもあるのではないか。
オーバーな話かもしれないが、携帯の無い時代の様に、尾行し待ち伏せしてラヴレターを渡したとする。このラヴレターを渡した相手から嫌がられたら、ストーカー規制法違反だと言われるのであろうか・・・。
何だか寂しい話のような気もするのだが・・・。

皆さんはどう思われます

渋滞

2009-05-12 07:00:00 | 調査員Mの日記
 先日の連休の事だった。
その日は1件の浮気調査があったのだが、現場組と休み組に分かれていた。
私は休み組であったのだが、BOSSから連絡が入り、京都へと面談に出かける事になったのだ。
吹田インターから名神高速道路に入り、最初のうちは順調に流れて走れていた。
しかし、普段より車は多かった。高速道路が休日1000円で走れるようになったからであろう。勿論、ゴールデンウィークの真っ最中だったので、車が多いのは当たり前の事であった。
それらの事も予測して、時間に余裕を持って出かけたのである。
しかし、吹田から京都南の丁度真ん中くらいから、車が混み始めた。そして、渋滞となった。
<ここから渋滞か・・・まぁ、余裕があるから大丈夫やろう・・・>

やっと京都南のインターを出て、市内へ北上して行った。また順調に走れた。
しかし、京都駅を越えた辺りから再び渋滞であった。
待ち合わせの場所は、京都市内の東側方面。京都全体が観光地であるが、市内の東側方面は、『清水寺』『八坂神社』などが並ぶ人気スポットの固まりのような所である。

車がほとんど動かない。
誰かが苛立っているのであろうか、頻繁にクラクションを鳴らしている。この渋滞のせいなのであれば、クラクションを鳴らしても仕方ないと思うのだが・・・。
私は、そのクラクションの音に、少し苛立ちを感じた。

京都市内は、碁盤の目の様に道路が通っている。
交差点で人が横断歩道を渡る。その間、車は中々左折も右折も出来ないでいる。それで、後ろが支えて渋滞である。
物凄い人数の人々が、街を歩いている。まるで祭りに行く時の様な行列であった。

”まぁ、まだ時間に余裕があるから” とたかをくくっていた私も、流石に焦りだした。
<おい!・・・どうなってるんや!!・・・早く走れよ!!>
路肩に停まっていた車が、前方の車の前に割り込んで入ってくる。
<おい!そんなヤツ入れるなよ!!>
前の車が信号待ちになる。
<もっと突っ込んで、先に渡らんかい!!>

タバコに火を点けた私は、少し我に返った。
何と自分勝手な言い草であろうか・・・。皆、キチンと運転しているのに・・・。
おかしな運転をして「お前、本当に免許証持っとるんかい!!と怒鳴りたくなる様な車もあるだが、今、この場所ではそんな車は見当たらない。ただの自分勝手な思いだけである。
<イライラしてるんは、自分だけやないやろうなぁ・・・>
そう思うと、不思議にイライラが無くなった。

結局、相談者との約束の時間には、間に合わなかった。
しかし、渋滞であるから・・・と、連絡しておいたので「そうですよね。わざわざすみません」と納得していただいていたのだ。
物凄く焦ってイライラしてしまった自分を、少し恥かしいと思った。
事故も無く、無事に相談者に会えたのであるから、それが一番ではないであろうか。

皆さんはどう思われます