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クリスナーガの感想レビュー(ライトノベル)

2009年05月17日 02時52分38秒 | ライトノベル・小説
電撃文庫のラノベ、『クリスナーガ』(小林三六九先生原作、ポコ先生イラスト)が発売中です。

5月に発売された電撃文庫の新刊では、5冊の新シリーズがスタートしているのですが、本作もその内の1つです。

表紙は黒いゴスロリ衣装に身を包んだ『伝説の戦乙女(ヴァルキリア)』と呼ばれる少女、イヴと、そんなイヴを呼び出してしまった主人公クロムの付き人でメイド兼魔術師のエレ。
イヴはカワイイ女の子を見つけると自分の姉妹にしてしまう癖があって、サブではない、メインヒロインとしてはかなりニヤニヤな、変わった性格だなぁ~と思いつつ読んでいたわけですが、物語が進むにつれて、実は彼女よりエレの方がメインヒロイン化してくる展開だったので意外でした。

ラブラブイベント的なものがたまに発生するのもエレなので、彼女の可愛らしさにグッと来る場面は多く、無口クール系キャラやメガネ属性に弱い方なら万々歳という感じなのですが、イヴの見た目にツンデレキャラをイメージして表紙買いして見ようかなと思われた方には、正直肩透かしとなってしまう可能性アリ。

というか、見所はラブラブよりもむしろ、クロムの人間としての成長や、それを描くために配置された伏線の妙味などの部分にあると思いました。

終盤、クロムの自問自答や、他のキャラへの考察から様々な疑問が解明されていく下りは、物事を裏側から見ると180度違う印象になるという、『目からウロコ』的な味わいがあり、記憶喪失状態から自分の在り方を見つけ出していくクロムの様子に、かなり感動させられました。

しかし、それに気付き始める前の、やる気のない傍観者として過ごすクロムの日常を描くパートが長すぎる様に感じたのは残念でした。
普通なら危機感を抱くなり、イヴに対する興味から積極的に行動したり…となりそうなところを、『無力なので考えたり、頑張ったりしても仕方なさそうだから、とりあえずなるべく関わらないで他の人に任せよう』というスタンスで行動するクロムには感情移入しにくかったです。
イヴとの絡みもツン&デレではなく、ほぼツンオンリーなので、関係が進展する様子が見られず(ヒロインというより師匠的ポジションなので当たり前…というのが後から判る罠)、困惑させられた気がします。
いや、もういっそ主人公はイヴにしてヒロインがエレの百合風味&ファンタジーにした方がオリジナリティも出るし、すっきりするのではないかと思ってしまう程の、クロムの体たらくぶりがつらかったです。
このマイナスも無価値ではなく、その反動があるお陰で、後半が盛り上がって来るように演出されているのは良かったと思いますが、主人公のテンションは読み手にとっても特に重要な要素だと思うので、もう少しクロムには頑張って欲しかったです。
詳しい魔法の使い方は判らないが、何故か素質はあるという事実が判っているという状態で、目の前に危険が近付いているのに戦おうとせず他人を頼るというのは、主人公というよりはその他の一般人キャラのする事だと言わざるを得ないかも。
その代わり、思考停止、もしくは思考放棄気味の彼を救った年上の女性キャラ陣が魅力的で、彼女達の語りかけが、やがてクロムの心に影響を与えていく演出も巧みでした。

物語やオチ自体は王道ファンタジーとしてベタですが、キャラクターの心の機微や、それを感動的に見せる演出には光るものがあったと思います。
なので、助走が長かった割には、後半へと進む程にクロムの行動に対する違和感が減っていき、読後には予想以上に晴れやかな気持ちになれたので良かったです。

次回作では、お得意の『キャラ設定と演出の巧みさ』を生かせる機会を増やすため、味方キャラとの心のやりとりだけでなく、ラスト付近で見られたような、相手の心理を読むような頭脳戦や、限定状況下での駆け引きなどをテンポ良く盛り込んでいければ、ますます面白い作品が出来上がるのではないかと思います。

気になった方は是非、チェックしてみて下さいませ。



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