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筋ジストロフィーの治療標的となり得る新規の因子を発見

2020-04-05 | 医学
 東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の青木正志教授らの研究グループは、ジスフェルリンタンパク質の異常によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)の治療標的となり得る新規の因子を発見した。東北大学医学系研究科神経内科学分野の小野洋也非常勤講師、鈴木直輝非常勤講師、割田仁院内講師、青木正志教授らの研究グループは、菅野新一郎講師(東北大学加齢医学研究所)、林由起子教授(東京医科大学病態生理学分野)、三宅克也教授(国際医療福祉大学基礎医学研究センター)らと協力した。本研究成果は、米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy」のオンライン版に、米国時間2020年2月12日に掲載。
 ジスフェルリン異常症は、筋肉細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの異常によって引き起こされる成人発症の筋ジストロフィーの総称である。ジスフェルリンの欠損によって、筋細胞膜の損傷時の修復機能が損なわれ、その結果として筋細胞の変性・壊死が生じ、筋肉の萎縮と筋力の低下につながると考えられている。研究では、ジスフェルリンに結合するタンパク質として新たにAMPK複合体を同定し、AMPK活性化剤(アカデシン)を投与することにより、ジスフェルリン異常症患者由来の筋細胞膜の修復機能が改善することを見出した。さらに、薬剤(メトホルミン)投与によりAMPKを活性化させると、ジスフェルリン異常症のモデル動物での筋力低下や筋損傷を改善することを示した。本研究で得られた知見から、ジスフェルリン異常症の治療法の開発が進むと期待される。
 発表のポイント
 〇筋細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの欠損によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)は、筋細胞膜の損傷時の修復機能が損なわれ、筋肉の萎縮と筋力の低下といった障害を示す根治療法のない国の指定難病である。
 〇筋細胞膜の修復に必要な分子として、AMPKタンパク質複合体を新規に発見した。
 〇薬剤によるAMPKの活性化によって、ジスフェルリン異常症患者由来の筋細胞膜修復機能およびジスフェルリン異常症モデル動物の筋力低下や筋損傷を改善させることができた。
 研究内容
 国の指定難病である筋ジストロフィーは、いまだ根治療法のない難治性の遺伝性疾患で、筋肉の萎縮や筋力の低下といった障害を示す進行性の筋疾患である。この疾患では、筋細胞膜を構成するタンパク質の異常や欠損、筋細胞膜の損傷からの修復に必要な機構の破綻によって、筋細胞が正常に維持されなくなることが原因であるとされている。
 東北大学医学系研究科神経内科学分野は、1998 年に筋細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの欠損によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)の原因遺伝子を同定して以来、臨床遺伝子診断を通じてジスフェルリン異常症の病態解明に貢献してきた。ジスフェルリンは筋細胞膜の修復に重要な役割を持つことが明らかにされており、近年、ジスフェルリンに結合し、筋細胞膜の修復に関与するタンパク質が存在することが報告されているが、筋細胞膜の修復の分子機構の詳細は不明のままであった。
 本研究では初めに、ジスフェルリンの一部分に結合するタンパク質を培養細胞の抽出物から単離し、質量分析装置を用いたプロテオミクス解析によって複数の結合タンパク質を同定した。つぎに、同定された候補タンパク質の一つであるAMPK に注目し、このタンパク質が筋細胞膜の障害に対してどのように働くのか、レーザー照射による筋細胞膜障害実験によって解析した。結果、マウスにおいてレーザー照射により骨格筋を損傷させると、AMPK タンパク質複合体が損傷部位に集積し、また、筋肉由来の培養細胞においてAMPKの働きを抑制すると筋細胞膜修復機能が低下することを発見した。さらに、ジスフェルリンを欠損させたマウスにおいてレーザー照射により骨格筋を損傷させると、AMPK 複合体の損傷部位への集積が遅延することから、ジスフェルリンがAMPK 複合体の集積に必要であり、AMPK 複合体集積の足場として機能している可能性を見出した。また、ジスフェルリンに変異をもつ患者由来の培養細胞において、AMPK を活性化する薬剤(アカデシン)を投与すると筋細胞膜修復が改善することを明らかにするとともに、ジスフェルリン異常症のモデル動物(ゼブラフィッシュおよびマウス)において、AMPK 活性化剤メトホルミンを投与すると骨格筋の障害が改善することを確認した。
 本研究で得られたAMPK複合体が損傷を受けた筋細胞膜の修復において重要な役割を担っているという新たな知見は、根治療法がいまだないジスフェルリン異常症の治療法の開発に結びつく可能性がある。本研究で得られた知見を発展させることで、ジスフェルリン異常症のみならず、筋ジストロフィー全体の新しい治療法の開発が進むことも期待される。
 ◆用語説明
 〇ジスフェルリン
 筋肉細胞に存在する2080 アミノ酸残基からなる巨大タンパク質。
 〇 AMPKタンパク質複合体
 AMP活性化タンパク質リン酸化酵素(AMPK)の複合体。細胞内のエネルギー源であるATP(アデノシン-3-リン酸)が
分解されてできるAMP によって活性化されることから、細胞内のエネルギーセンサーとしての役割を担っている。
 〇質量分析装置
 タンパク質を分解した断片を大きさ(質量)によって分離し、どのようなタンパク質が含まれていたかを分析できる装置。
 〇プロテオミクス解析
 生体サンプルに含まれるタンパク質の種類を網羅的に解析する技術。
 〇ゼブラフィッシュ
 モデル生物として研究に使用される熱帯魚。
 ゼブラフィッシュの筋組織は形態・機能の面でヒト筋組織とよく類似しており、ヒト疾患の原因遺伝子について変異体を作成することで、疾患の原因解明・治療法開発に繋げることができる。

 朝は曇り、時々小雨がパラパラと。午後から晴れてきた。風は1日中少し強い。
 4月に入り、サクラが咲けば季節は春本番となる。先月末に仙台管区気象台では開花宣言をした。3月28日の開花宣言は、平年より14日、昨年より8日早い・・畑の種まきも早くなる!!。
 いつもの散歩道のサクラも満開だ。
 サクラ(桜)はバラ科サクラ属サクラ亜属の樹木の総称。
 日本には固有種・交配種を含め600種以上の品種が確認されている。
 その中の”染井吉野:ソメイヨシノ”は、江戸末期に染井村(現在の東京都豊島区巣鴨・駒込あたり)の植木職人が、吉野桜として出したと伝えられる。明治以降日本全国各地に広まり、サクラの中で最も多く植えられた品種となった。
 この吉野桜は大島桜と江戸彼岸の雑種説が定説である。一代交雑種であり、自家交配の結実はほとんどない。このため、殖やすのは挿し木となる。
 ◆サクラの語源
 サクラの語は有史以前からある。語源の存在は不明、だがよく知られる説がある。
 〇「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたもの、花の密生する植物全体を指す
 〇春に里にやってくる稲(サ)の神が憑依する座(クラ)をいう
 〇花の種をまいて花を咲かせたとされる、「コノハナノサクヤビメ(木花之開耶姫)」の「さくや」から


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