歩けば楽し

楽しさを歩いて発見

  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

直径約130mの小惑星が地球とニアミス、数日前まで気付かない

2019-07-30 | 天文
 直径57m~130m(概ね427フィート:約130メートル)の小惑星が7月25日、地球から4万5000マイル(約7万3000Km)程の距離を通過した。
 「2019 OK」と名付けられたこの巨大な小惑星は、オーストラリアの現地時間7月25日に地球から4万5000マイル(73,000Km)の距離まで接近していたという。「2019 OK」は地球に最接近した際には双眼鏡だけで観測できるほどの光を放っていたが、2日~3日前は、その1000倍もぼやけており観測が難しかったこと、火星近くの小惑星帯から猛スピードで接近していたことなどから、発見から発表までが非常に遅くなってしまった、と言われる。月と地球の間が、384,400Km離れていることを考えると、かなり地球に接近していたと言える。
 研究機関によって地球の脅威となる可能性がある小惑星は常に監視されている。NASAをはじめとする宇宙機関は、地球周辺に接近する「地球近傍天体(Near-Earth Objects)」がないか常に監視している。「2019 OK」は米国とブラジルの研究者らが地球に最接近する数日前になって発見した。そしてその発表自体が最接近の直前となったことが世界を驚かせた。
 2013年にロシア・チェリャビンスク州に落下した隕石は、20mの大きさだったが、衝撃波によって近隣の建物のガラスを粉砕し、1000人以上が怪我をした。「2019 OK」はその倍から6倍以上の大きさとみられており、これが地球に落下した場合の被害は恐るべき規模になっていたと、豪モナシュ大学の准教授マイケル・ブラウンは‘The Conversation‘にて説明している。

 天気は晴れ、快晴だ。昼頃に、東北南部が梅雨明けした・・平年より大分遅いが嬉しい。
 玄関前のお庭で、”ノウゼンカズラ(凌霄花)”の花が咲きだした。よじのぼり型つる性木本なので、木(梅の木?)に絡み、木を隠すようだ。花序は通常垂れ下がり、花は横向きに咲く。花は大きく、広い漏斗形の花冠で、径6cm位である。
 名(ノウゼンカズラ:凌霄花)の由来に、漢名の「凌霄」の字音「りょうしょう」が転じて「のしょう→のせう」、のせうかずら→ノウゼンカズラとなった、の説がある。
 因みに、鉢植えなどでの”ヒメノウゼンカズラ”はノウゼンカズラ科テコマリア属と別属である。
 ノウゼンカズラ(凌霄花)
 英名:Trumpet creeper、Trumpet flower
 学名:Compsis grandiflora
 ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属
 落葉つる性木本
  (気根を出し樹木などに付着する)
 原産地は中国、日本には平安時代(9世紀頃)に渡来
   古くから薬として使われていた
   (漢方薬では花・樹皮を利尿・通経で利用)
 開花時期は6月~9月
 花は茎の先に房状花序を付け、花冠はラッパ型で先が5片に裂けて開く
 花色は濃く鮮やかなオレンジ色
 結実はほとんど見ない


宇宙飛行の微小重力での骨吸収はメラトニンによって抑制される

2019-07-29 | 健康・病気
 金沢大学環日本海域環境研究センターの鈴木信雄教授、東京医科歯科大学教養部の服部淳彦教授、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の池亀美華准教授、富山大学研究推進機構の田渕圭章教授らの共同研究グループは、宇宙空間で引き起こされる骨吸収がメラトニンにより抑制されることを明らかにした。本研究成果は、2019年7月19日(米国東海岸標準時間)に国際科学雑誌「Journal of Pineal Research」に掲載。
 鈴木信雄教授と服部淳彦教授はこれまでに、骨のモデルとしてキンギョのウロコを用いて、概日リズムを調節するホルモンであるメラトニンが破骨細胞(骨を溶かす細胞)の活性を抑制することを見いだしている。これより、宇宙飛行士に引き起こされる破骨細胞の活性化による骨量の低下に対し、メラトニンが効くと考えられることから、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟において宇宙実験を行うことにした。
 本研究では、骨芽細胞(骨をつくる細胞)と破骨細胞(骨を溶かす細胞)が共存し、哺乳類の骨と同様のホルモン応答を示すキンギョのウロコを骨モデルとして用いた宇宙実験を実施した。ウロコの骨芽細胞でメラトニンが作られるとともに、宇宙空間ではメラトニンの合成が低下することを明らかにした。そこで、メラトニンを添加した培地と無添加の培地でウロコを培養して比較したところ、メラトニン無添加の培地では、わずか3日間の培養でいくつもの破骨細胞が融合して多核化の活性型の破骨細胞になり、その破骨細胞がウロコにある骨質層の溝の幅を広げ、ウロコの骨吸収を促進していることが分かった。さらに、骨吸収を促進する因子であるRanklの遺伝子発現が上昇し、骨吸収を抑制するホルモンであるカルシトニンの遺伝子発現を抑制することも分かった。他方、メラトニンを添加した培地で培養すると、Rankl の発現が抑制され,カルシトニンの発現が正常に戻ることが明らかになった。
 これらの知見から将来、メラトニンが宇宙飛行士の骨量低下の予防・治療薬に活用されることが期待される。
 ◆用語解説
 〇メラトニン
 メラトニン(N-acetyl-5-methoxytryptamine)は夜間に分泌されるアミンに属するホルモンであり、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。合成に関わる重要な酵素として、アリルアルキルアミンN-アセチルトラスフェラーゼ(AANAT)とアセチルセロトニン-O-メチルトランスフェラーゼ(ASMT)が挙げられる。主に松果体から分泌されるが、他の組織においても産生されることが知られており,脊椎動物・無脊椎動物・植物さらにはシアノバクテリアにも存在する、種を越えて保存されたホルモンである。
 〇Rankl
 Receptor activator of nuclear factor kappa-Β ligandの省略形。骨芽細胞で合成され、破骨細胞で発現しているRANK(Receptor activator of nuclear factor kappa-Β)と結合することにより破骨細胞を活性化させ、骨吸収を促進する。本研究では、Ranklの遺伝子発現を解析した。
 〇カルシトニン
 哺乳類では甲状腺の傍濾胞細胞、哺乳類以外では鰓後腺から分泌される32アミノ酸残基を有するペプチドホルモンである。主な作用は、破骨細胞の活性を抑制して、骨吸収を抑制する。その結果として、血液中のカルシウム濃度が低下する。

 今日も天気は、朝は曇り、次第に晴れて、昼頃には強い日差しが。
 散歩で、道路側の空地状の植栽地に”ワルナスビ”の花を見つけた。花は茄子の花に似て可愛いし、実(トマト似)も可愛い。でも茎・葉に鋭い硬い刺(とげ)が多い・・触らない・触れない。昨年も一昨年も同じ場所で育っている。
 ”ワルナスビ(悪茄子)”は名の如く始末に負えない嫌われ者の雑草だ。繁殖力が強く、除草剤も効き難くなかなか駆除できない。根絶できないのは地下茎で繁殖するからだ。実だけでなく、全草が有毒(ソラニンを含む)で、家畜が食べると場合によっては中毒死することがあると言う。英語でも”Apple of Sodom"(ソドムのリンゴ)””Devil's tomato(悪魔のトマト)”と呼ばれるとか。
 ワルナスビ(悪茄子)
 別名:鬼茄子(おになすび)、荒地茄子(あれちなすび)
 ナス科ナス属
 多年草(長い根茎をもつ)
 北アメリカの原産、明治時代に牧草に混り非意図的に導入された
 世界的な帰化植物で、日本では外来生物法により要注意外来生物に指定されている
 全草がソラニン(主にナス科の植物に含まれる神経毒)などを含む有毒植物である
 開花時期は6月~8月
 花はナスやジャガイモに似た白~淡青紫色、花径は径2.5cm
 果実は球形(径1.5cm位)、熟すと橙黄色となる


究極の畜電池「リチウム空気電池」の実用化が見えてきた

2019-07-28 | 科学・技術
 リチウムイオン電池が発売されてから20年以上がたち、電気自動車や蓄電池など幅広い用途に使われてきた。しかし、エネルギー密度の限界や安全性の課題なども表面化し、リチウムイオン電池の欠点を補う次世代電池の開発が活発になっている。
 次世代電池として、「リチウム空気電池」がある。
 リチウムイオン電池は、正極側ではコバルトなどの金属を、負極には炭素素材を利用してリチウムを保持する。これに対し、リチウム空気電池は正極側に金属ではなく多孔質の炭素材料を使い、リチウムと酸素の化学反応を利用する。原料となる酸素は空気から取り込み、持ち運ぶ必要がない。負極側には金属リチウムを使う。放電時は負極側でリチウム金属がリチウムイオンに変わり、正極側で酸素とリチウムイオンが反応して過酸化リチウムを作る。レアメタルなどを使わず、またリチウム金属は非常に軽い。そのためリチウム空気電池はエネルギー密度が非常に高い。リチウムイオン電池に比べ、10倍以上高くできると計算されている。1回の充電で長く使えるようになり、例えばリチウムイオン電池で約15分飛ぶドローンであれば、リチウム空気電池なら同じ重さで1時間以上は飛べる。価格も安くなるという。
 ◆リチュウムイオン空気電池開発の歴史
  1991年:リチュウムイオン電池が実用化
  1996年:リチュウム空気電池の原理が発見
  2010年:リチュウム空気電池の充放電が数十回に達する
  2014年:物質機構が初めて積層して使えることを示す
  2025年頃:リチュウム空気電池の試作品ができる
  2030年代:リチュウム空気電池が普及
 しかし、リチウム空気電池は実用化も難しく、放電中に酸化リチウムが作られ、電解質が腐食したり、副生成物が電極を覆って機能を低下させしたり、といった問題が指摘されている。現在は数十回が限界で、「実用化には数百回の充放電に耐える必要がある」とし、あと1~2年で数百サイクルに到達したいと、物材機構の久保佳実チームリーダーは話す。
 久保チームリーダーらは、2018年には正極にレアメタルを混ぜ、条件を整えて100回を超える充放電を達成。電解液を改良すればさらに回数を増やせるとみている。
 また将来の実用化に向けて、電池を使いやすい形に改良する研究も進める。電池として使うには、リチウム空気電池の層を積み重ねるが、その積層が密閉されると機能が落ちる。久保チームリーダーらは、セルの間に多孔質の材料を挟むことで、空気電池全体に酸素が行き渡るようにした。その後、セルを10枚積み重ねて充放電ができ、高エネルギー密度も維持できた。

 朝は小雨混じりの曇り、次第に晴れ、お日様が出てきた。気温もグングンと上昇し、最高気温33℃とか。
 こ線橋の脇が空地となっており、町内会の有志の方々が管理している花壇となっている。花壇とは、「特定の定義はないが、花畑を考案して美しく楽しむために植え込んだ形式をいう。」とある。
 鑑賞しよう・・今を盛りとして、咲きほこるお花。



国際生物学オリンピック、日本代表4人がメダル銀2銅2を獲得

2019-07-27 | 学問
 文部科学省が、「今年の第30回国際生物学オリンピックで、日本代表の高校生4人が銀メダル2個と銅メダル2個を獲得した」と発表した(7月21日)。
 開催地はハンガリー・セゲドで、2019年(令和元年)7月14日(日曜日)~20日(土曜日)に開催された。参加国数は72ヵ国・地域の285名である。
 ◆受賞者
 銀メダル
  小野俊祐さん
   鳥取県立鳥取西高等学校(鳥取県) 3年(18歳)
  椋木優斗さん
   灘高等学校(兵庫県) 3年(18歳)
 銅メダル
  長谷川修造さん
   灘高等学校(兵庫県) 2年(16歳)
  星野敬太さん
   栄光学園高等学校(神奈川県) 2年(17歳)
    (年齢は本大会終了日時点のもの)
 例年、金メダルは参加者の上位約1割に、銀メダルが続く約2割に、銅メダルが続く約3割に贈られる。
 ◆大会概要
 国際生物学オリンピックは、1990年に現在のチェコ共和国にて第1回大会が開催された。
 2019年のハンガリー大会は、第30回目。2020年の国際生物学オリンピックは7月に長崎県で開かれる予定。日本での開催は、09年の筑波大会に続き2度目となる。
 ◆過去の国際生物学オリンピックにおける日本代表
  日本は、2005年から参加し、毎年4名の選手を派遣。
 2014年(第25回 インドネシア大会)
  金メダル1名、銀メダル3名(参加規模:61か国・地域、239名)
 2015年(第26回 デンマーク大会)
  金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル1名(参加規模:61か国・地域、239名)
 2016年(第27回 ベトナム大会)
  金メダル1名、銀メダル3名(参加規模:68か国・地域、263名)
 2017年(第28回 イギリス大会)
  銀メダル4名 (参加規模:64か国・地域、241名)
 2018年(第29回 イラン大会)
  銀メダル2名、銅メダル2名(参加規模:71か国・地域、269名)
 2018年(第30回 ハンガリー大会)
  銀メダル2名、銅メダル2名(参加規模:72か国・地域、285名)

 朝に一時小雨、昼頃から曇りから晴れ。畑の作業は、勢い盛りの雑草と対戦・・土が重い。
 道路の植栽地に”ヤブガラシ”が繁茂している。小さな花が咲き、花の中心がオレンジ色・・花弁はすぐに落ちてしまう。ノブドウの花にとても良く似ている。
 両者の違いは、葉の形で、ノブドウはブドウ特有の葉の形。”ヤブガラシ”の小さな花(径数mm)は薄緑色の花弁4枚と雌蕊1本と雄蕊4本、ノブドウの花弁も薄緑色であるが花弁5枚。両者とも花弁の色が薄緑なので目立たない。目立つのは、雌蕊が立っていた橙色の花盤(盤状の花托)で、この橙色の花盤が小さな花に見える。
 ”ヤブガラシ(藪枯らし)”は、名の通り藪を覆って枯らしてしまう程に生育・繁茂する。別名に”ビンボウカズラ(貧乏葛)”とあり、この植物に絡まれた家は貧乏に見える、とかで、この植物が生えると貧乏になる等の意味の解釈がある。
 ヤブガラシ(薮枯らし)
 別名:貧乏葛(びんぼうかずら)
 学名:Cayratia japonica
 ブドウ科ヤブガラシ属
 蔓性多年草
 繁殖は地下茎、(および種子)
 開花時期は7月~9月
 花は散房状の集散花序につき淡緑色の小さな花(径数mm)が沢山咲く
 多くは実を付けないが、一部(2倍体株)は小さなブドウ様の果実を付け紫黒色に熟す


2019年国際数学オリンピック、日本代表6人がメダル金2・銀2・銅2個獲得

2019-07-26 | 学問
 文部科学省は、2019年国際数学オリンピックで日本代表選手6人が、メダル金2・銀2・銅2個獲得したと発表した(7月21日)。国別順位では、13位という成績であった。
 英国・バースで、7月11日から7月22日まで国際数学オリンピックが開かれた。参加国数・地域は112ヶ国、人数は621名(男子556名、女子65名)である。受賞状況(大会全体)は、金メダル52名、銀メダル94名、銅メダル156名であった。因みに、来年はロシアで、2023年には日本で開かれる。
 ◆日本代表選手
 金メダル
  兒玉太陽:海陽中等教育学校 6年 静岡県
  坂本平蔵:筑波大学附属高等学校 3年 東京都
 銀メダル
  平石雄大:海陽中等教育学校 5年 広島県
  宿田彩斗:開成高等学校 2年 埼玉県
 銅メダル
  渡辺直希:広島大学附属高等学校 2年 広島県  昨年銅メダルで入賞
  早川睦海:宮崎県立宮崎西高等学校 3年 宮崎県
 ◆日本の順位
 日本は1990年の第31回北京大会より参加した。1ヵ国あたり、最大6人の選手が参加できる。
 2010年 - 7位(金2, 銀3)
 2011年 - 12位(金2, 銀2, 銅2)
 2012年 - 17位(銀4, 銅1)
 2013年 - 11位(銀6)
 2014年 - 5位(金4, 銀1, 銅1)
 2015年 - 22位 (銀3, 銅3)
 2016年 - 10位(金1, 銀4, 銅1)
 2017年 - 6位(金2, 銀2, 銅2)
 2018年 - 13位(金1,銀3,銅2)
 2019年 - 13位(金2,銀2,銅2)

 朝から晴れ、時々曇り。晴れの日が続いたので、畑が少し乾燥してきた。
 畑までの道沿いに”ニラ”畑がある。この”ニラ”に花が咲きだした。
 ”ニラ”には独特の匂いがある。この匂いは硫化アリル(アリシン)などの硫黄化合物である。この独特の匂いから、名(ニラ)の由来に”においきらう(香嫌)”から”ニラ”に変化したと言う説がある。食べて美味しいから”みら(美辣)”が”ニラ”となった説もある。古い時代(古事記・万葉集)では加美良(かみら)・久々美良(くくみら)→みら、と呼ばれている。
 食べるのは、根元から生える葉・・若い葉が美味しい。葉をどんどん採ると、どんどん伸びる。
 因みに、「韮」は春の季語で、「韮の花」は夏の季語である。
 ニラ(韮、韭)
 ユリ科(ヒガンバナ科)ネギ属
 多年草
 緑黄色野菜
 原産地は東アジア
 史前帰化植物、古い時代(弥生時代?)に渡来
 開花時期は8月~10月
 花は半球形の散形花序で白い小花を沢山付ける
 花弁が6枚に見えるが、花弁は3枚で苞が3枚
 子房には黒色の小さな種ができる


trio TRAM のコンサート

2019-07-25 | 音楽
 今日は久しぶりに晴れた。気温もグングン上り、最高気温29℃とか。
 いつもの散歩道を通って、宮城野区文化センター・パトナホールに出かけ、「第33回ワンコインコンサート」を聞いてきた。懐かしい曲、激しい曲、楽しく聴きました。・・それにしてもマリンバの音楽には何故か哀愁を感じる・・幼年期の思い出からかな。
 出演 Trio TRAM
  草刈とも子(マリンバ)
  種村久美子(ピアノ)
  石井玲子(サックス/フルート)
 プログラム
  グラナダ    アウグスティン・ララ
  ジャズメドレー arr:上柴はじめ
  テイクファイブ ポール・デスモンド
  オブリビオン  アストル・ピアソラ
  ジェラシー   ヤコブ・ゲーゼ
  ジュピター   グスターヴ・ホルスト
  宵待草     多忠亮
  ゴンドラの唄  中山晋平
  童謡メドレー  arr:上柴はじめ


 散歩道、ベランダで花が咲いている鉢、歩いて見つけた風景・・。


「くずし字認識:千年に及ぶ日本の文字文化への扉を開く」と題する全世界的なコンペを開催する

2019-07-22 | デジタル・インターネット
 日本は、古典籍、古文書、古記録などの過去の資料(史料)を千年以上も大切に受け継いでおり、数億点規模という世界でも稀なほど大量の資料が現存している。日本の歴史・文化の研究や、過去の災害などの自然現象の解明を進めるには、これらの資料をデジタル化・オープン化するとともに、その内容を読み解く必要がある。ところが、現代のほとんどの日本人は「くずし字」で書かれた過去の資料を読めなくなっており、大量のくずし字をどう読み解くかが重要な課題となっている。
 そこでこの社会課題の解決にAI(人工知能)を活用する方法を探るため、この7月から10月にかけて、世界最大規模の機械学習コンペプラットフォームである「Kaggle(カグル)」で、「くずし字認識:千年に及ぶ日本の文字文化への扉を開く」と題する全世界的なコンペを開催する。コンペを通して画期的なくずし字認識手法の開発が進むだけでなく、くずし字データセットを通して日本文化への関心が世界的に高まる効果も期待できる。
 本コンペは、情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)ならびに同機構 国立情報学研究所(NII)、人間文化研究機構国文学研究資料館(国文研)が主催する。
 現在、くずし字をきちんと読める人は全国で数千人程度と推定されており、これらの人々だけで膨大な資料を翻刻するには限界がある。この課題を解決するために、2つの方向で研究が進められてきた。第一が市民参加型翻刻システムの開発である。専門家と市民が共に参加する翻刻システムを使い、市民がくずし字を翻刻しながらスキルを向上させることで、くずし字を読める人々の数をもっと増やすことを目指す。第二がコンピュータ(機械)の活用である。機械が文字を読み取る光学的文字認識(OCR)の活用による翻刻の自動化には、これまでいくつもの研究グループが取り組んできた。しかし、くずし字は文字の種類が多く、連続した手書き文字の分割が難しく、レイアウトが多様で、本ごとにスタイルが異なるため、実用レベルのくずし字OCRの研究開発は難航している。
 一方、画像解析の分野における深層学習(機械学習)の活用を中心とした、近年のAIの飛躍的な発展を取り入れることで、新方式のくずし字OCRに向けた研究開発が進む可能性も高まっている。そこでくずし字OCRの性能向上に向けたアイデアをオープンに募集するため、CODH、NII、国文研は、この7月から10月にかけて、世界最大規模の機械学習コンペプラットフォームである「Kaggle(カグル)」で、「くずし字認識:千年に及ぶ日本の文字文化への扉を開く(Kuzushiji Character Recognition: Opening the Door to A Thousand Years of Japanese Literate Culture)」と題するコンペを開催する。なお、詳細な情報はコンペが開始される7月中旬に公開され、参加者はその3カ月後に設定される〆切日までにアルゴリズムを提出するというスケジュールが予定されている。
 ◆用語説明
 〇くずし字の翻刻
 くずし字の翻刻とは、くずし字を人間が読み、くずし字に対応する現代日本語の文字を入力する作業のこと。
 〇みんなで翻刻
 「みんなで翻刻」は、国立歴史民俗博物館の橋本雄太助教を中心に、京都大学古地震研究会や東京大学地震研究所などが協力して構築を進める、市民参加型翻刻システムのこと。CODHも各種の共同研究で協力体制にある。
 〇Kaggle
 Kaggleは、米国に本拠地を置くKaggle社(Google傘下)が運営する、世界最大規模の機械学習コンペティションプラットフォーム。Kaggleのコンペティションでは、(1)企業や研究者が解決したい課題を出題し関連データを提供、(2)世界中のAI研究者・技術者がその課題を解決するアルゴリズム(計算手法)を提出、(3) 提出されたアルゴリズムの性能をランキングして上位入賞者を決定、(4) 上位入賞者はコンペの成果を出題者に提供し賞金を獲得、という流れで研究開発をオープンに進める。
 〇Kaggleコンペに関する詳細情報については、下記のサイトで提供する。
 本コンペのページ(https://www.kaggle.com/c/kuzushiji-recognition)※コンペ開始日に公開予定
 CODHのウェブサイト(http://codh.rois.ac.jp/competition/kaggle/)

 今日の天気は小雨~曇り、午後から薄曇り。
 散歩道沿いに比較的広い空地がある。その空地で、”オオキンケイギク”が咲いている。花はキバナコスモスに似るが、赤みはなく鮮やかな黄色で、とても綺麗なキク科の花だ。花の盛りは終わった様で、沢山の種が付いている。数年前から花が咲いており、今年も咲いた。
 この”オオキンケイギク”は、外来種で野外に定着して問題となっている。現在は特定外来生物に指定され栽培が禁止されている(2006年)。それは、繁殖力が強く、特に荒地に強いことから、河原で繁茂し、在来の植物に対して大きな影響を与えるからとの事。なるほど、花後の種を見るととても大きく、種子生産量は1平方メートルあたり数千粒と言われる程だ。
 ”オオキンケイギク”は大きなキンケイギク(金鶏菊)の意味。名(キンケイギク)の由来には諸説があり、花色を金鶏(黄色の鳥)に見立てた説、花の形が鶏冠(とさか)で花色が金色に輝いている説などがある。
 オオキンケイギク(大金鶏菊)
 キク科ハルシャギク属
 多年草
 原産地は北アメリカ
 1880年代に鑑賞用に導入された帰化植物
 開花時期は5月~7月
 花径は6cm前後
 ◆特定外来種
 特定外来生物とは、外来生物法により、生態系などに被害を及ぼすものとして指定された生物。
 外来生物法では、特定外来生物に指定された生物を飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことなどを原則禁止している。これらの項目に違反した場合、最高で個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金が科せられる。


ブループラネット賞にエリック・ランバン氏とジャレド・ダイアモンド氏に

2019-07-21 | 学問
 旭硝子財団が地球環境問題の解決に尽くした研究者らに贈る「ブループラネット賞」の2019年(第28回)の受賞者に、世界の土地利用変化が生態系に悪影響を及ぼすことを明らかにしたベルギーのルーバン・カトリック大学教授のエリック・ランバン(Eric Lambin )氏と、環境問題が国家や文明の存続に与える影響を研究した米カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授のジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)氏の2人が選ばれた(7月10日発表、12月11日表彰式)。
 エリック・ランバン教授(ベルギー);1962年9月23日生まれ
 ベルギー ルーヴァン・カトリック大学教授、スタンフォード大学教授・学部長
 世界的規模での土地利用の変化、その生態系への影響や土地利用政策の有効性を衛星リモートセンシング技術と独自の時系列解析手法を用いて、土地利用の変化が地球の自然システムへ悪影響を及ぼしていることを早くから指摘した。更に、社会経済データと結び付けて経済活動との関係も明らかにした。これは公共機関や民間企業における森林保護のための土地利用方針に大きな影響を与え、森林認証制度の活用やグリーン購入/調達の推進へ科学的根拠を提供した。グローバル規模での経済活動の持続可能性を改善するため、人々の行動と土地利用の統治管理の促進に大きく貢献した。
 ジャレド・ダイアモンド教授(米国);1937年9月10日生まれ
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校地理学部教授、歴史家、作家
 代表的な著作である、「銃・病原菌・鉄」、「文明崩壊」、「昨日までの世界」の三部作を通じて提示された論考は、並外れた知的探求の結果生み出された文明論、組織論、社会論を包含し、非常に広範な視野から今日の環境問題の根源を深く洞察し、人類文明史における環境問題の意義を独自の視点から解き明かした。「文明崩壊」では、地球環境問題の主要な論点として12項目を列挙している。環境問題は人類の歴史の基礎であるとして、国や世代を超えて人々の現代文明への意識に働きかけ、人々の価値観を目指すべき次の文明のあり方へと意識を向けさせた功績は高く評価される。
 ◆ブループラネット賞(地球環境国際賞)
 ブループラネット賞は、公益財団法人旭硝子財団により1992年に創設された地球環境国際賞である。
 地球環境問題の解決に大きく貢献した個人や組織に対して、その業績を称えて贈られる。国内外のノミネーターに候補者の推薦を依頼し、その中から毎年原則として2件を選定する。受賞業績1件に対して、賞状、トロフィーおよび副賞5千万円が贈られる。

 今日の天気は曇り~小雨、時々晴れ。畑作業は、”ズッキーニ”の受粉作業、まだ元気に花を咲かせている。
 玄関前に植えられている”ナツツバキ”に白い花が咲いている。花は”ツバキ(椿)”に似ている。朝に開花し、夕方には落花する一日花だ。
 名(ナツツバキ、夏椿)の由来は、花の形が椿の様で夏に開花するから。別名の沙羅の木(しゃらのき)は、沙羅双樹(さらそうじゅ)と勘違いして付けられたとか。成長した幹の樹皮は帯紅色で滑らかなので、別名(方言名):サルスベリと言うところもあると言う。
 ナツツバキ(夏椿)
 別名:沙羅の木(しゃらのき)
 ツバキ科ナツツバキ属
 落葉高木(樹高は10m~20m)
 葉は椿の様な肉厚で光沢のある葉ではなく、秋に落葉する
  (ツバキ科の数少ない落葉樹)
 開花時期は6月~7月
 花色は白、花径は数cm
 花弁は5枚で雄しべの花糸は黄色


人間国宝に7人答申

2019-07-20 | アート・文化
 文化庁の文化審議会は、重要無形文化財保持者(所謂、人間国宝)に、講談の神田松鯉さん(76)や歌舞伎脇役の片岡秀太郎さん(77)ら7人を認定するよう文部科学相に答申した(7月19日)。政府は秋にも答申通り告示する。
 ◇重要無形文化財保持者
 通称:人間国宝
 人間国宝とは、日本の文化財保護法に基づき、文部科学大臣が指定した重要無形文化財の保持者として各個認定された人物を指す通称である。
 この認定で人間国宝は116人(うち1人は重複認定者)となる。
 ◇人間国宝に答申した7人
  講談の神田松鯉さん(76)
  歌舞伎脇役の片岡秀太郎さん(77)
  歌舞伎音楽竹本の竹本葵太夫さん(58)
  人形浄瑠璃文楽太夫の豊竹咲太夫さん(75)
  長唄三味線の杵屋勝国さん(74)
  長唄鳴物の藤舎名生さん(78)
  琉球古典音楽の中村一雄さん(73)
 文化審議会はこのほか、指定済みの重要無形文化財の保持者団体構成員として、伝統組踊保存会(沖縄県浦添市)の12人を追加認定するよう求めた。
 また、文化財保存のための選定保存技術の保持者に、美術工芸品錺(かざり)金具製作の松田聖さん(57)を認定するよう答申した。
 このほか、登録有形文化財(建造物)として、「旧赤羽台団地42号棟」(東京都北区)や「島根県庁舎議事堂」(松江市)など29都道府県の196件を登録するよう答申した。

 今日の天気は曇り~晴れ。気温は高く、最高気温27℃とか。
 熱い夏には涼しいモノが相応しい。今年の夏はそんなに暑くないけど・。白と緑の葉、白い花、散歩で見つけた”ハンゲショウ”・・涼しい景色。特徴的な白い葉は、8月下旬頃には緑色の葉となってしまう。
 名(ハンゲショウ:半夏生、半化粧、片白草)の由来には、半夏生:開花時期が半夏生(太陽の黄経が100°の日、夏至から11日目)の頃だからの説、半化粧:葉の一部が白く変化(化粧)するからの説、片白草:葉の表は白く葉裏は淡い緑と半分だけ白いからとの説、などがある。古和名には片白草とある。
 ハンゲショウ(半夏生、半化粧)
 別名:片白草(かたしろぐさ)
 学名:Saururus chinensis
 ドクダミ科ハンゲショウ属
 原産地は日本(北海道除く)、朝鮮・中国
 開花時期は6月~7月
 花は長さ10数cmの穂状花序で、小さな白い花をたくさん咲かせる


地熱・工場廃熱などの熱源から熱エネルギーで直接発電する増感型熱利用発電を開発

2019-07-19 | 科学・技術
 要点
 〇熱源から発生する熱エネルギーで直接発電する“増感型熱利用発電”の開発に成功した。
 〇この“増感型熱利用発電”は、色素増感型太陽電池における光エネルギーを使って電子を励起する光励起を、熱エネルギーによる電子の熱励起に置き変えることで達成した。
 〇地熱や工場廃熱などの熱源に置くだけ、埋めるだけで発電する。しかも、発電は40℃~80℃と身近にあふれる温度で成功。
 〇発電終了後、熱源の下に放置しておくと、発電性能が復活する。シート状のスタイリッシュな形状で実現。
 東京工業大学物質理工学院材料系の松下祥子准教授および三櫻工業株式会社は、熱源に置いておけば発電し、発電終了後そのまま熱源に放置すれば発電能力が復活する、増感型熱利用電池の開発に成功した。この成果は、2019年6月20日に英国の科学誌「Journal of Materials Chemistry A」オンライン版に掲載された。
 太陽電池では光エネルギーにより生成した電子を利用するが、この電池では熱エネルギーにより生成した電子を利用する。通常、熱により生成した電子だけでは発電は生じない。熱だけの場合、半導体の中で電子は安定し、電子は移動せず電流生成に至らない。そこで、松下准教授は、熱により生成した電子と、酸化還元の化学反応を組み合わせることで発電させることに成功した。さらに、熱下でのイオンの移動を電解質内で制御することで、発電終了後そのまま熱を与え続けるだけで発電能力を復活させることができた。すなわち、本発電装置によって、熱源に埋めて、回路のスイッチをオンオフするだけで、熱エネルギーにより直接発電することが可能となった。
 特に、今回、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで、発電温度を80℃以下にまで下げることに成功。発電は40℃~80℃と身近にあふれる温度で確認されており、今後IoTセンサ用電池からクリーンで安全な地熱利用発電所の構築、そしてCO2排出量の削減、エネルギー問題の解決などに資する成果である。
 研究の経緯
 松下祥子准教授は、色素増感型太陽電池と呼ばれる化学系太陽電池に着目した。色素増感型太陽電池は、色素内の光励起電荷により電解液のイオンを酸化・還元して発電する、薄くて軽いシート状の太陽電池である。この色素内の光励起電荷を半導体の熱励起電荷に変えれば、温めるだけで発電する電池ができると予想した。また、このような熱エネルギー変換が可能ならば、冷却部不要で、熱源にデバイスを埋めて電気を得る、新しい熱エネルギー変換系の構築が可能ではないかと思いつき、熱励起電荷によるイオンの酸化・還元反応を確認した(特願2015-175037, )。ただしこの時、発電温度は600℃であり、発電がどのように終了するのかも不明であった。
 今回、松下祥子准教授ならびに三櫻工業株式会社は、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで発電温度を80℃まで下げることに成功し、発電終了のメカニズムを明らかにした。さらには熱エネルギーにより電解質内でイオンが拡散することを利用し、発電能力を復活させることに成功した。
 研究成果
 今回作製した電池(サイズ約2cm×1.5cm、2mm厚、重さ1.6 g)を80℃に設定した恒温槽中に設置すると、開放電圧0.37V 、短絡電流3μA/cm2の発電が確認された。本電池を直列につなぐと液晶ディスプレイが点灯した。短絡電流値は高温ほど大きくなった。
 80℃内での100nAの連続放電テストでは、70時間以上の継続放電が確認された。放電終了後、そのまま80℃の恒温槽に10時間ほど放置しておくと発電性能が復活し、再び数時間程度発電した。この再放電時間は、放置時間が長くなるほど伸びた。このような放電終了・再放電サイクルは少なくとも25回以上安定して確認された。
 ◆用語説明
 化学系太陽電池 : イオンの酸化還元反応といった化学反応を利用した太陽電池。
 励起電荷 : 外部からエネルギーを受けて、通常より大きなエネルギーを持つようになった電子及び正孔。

 今日は朝から曇り、時々青空が見える。気温は高く、最高気温29℃、湿度が高く暑い。
 畑で、一昨年の秋に球根で植えた”リアトリス”に花が咲いている。蕾状態の花序(かじょ)から開花まで1月程かかり、ゆっくりした開花となっている。
 ”リアトリス”の花の付き方は、槍咲きと玉咲きに大別され、畑のは槍咲きである。槍咲きは小さな花が穂状に花茎にびっしりと咲く。花の咲き方は、花茎の先端の花が最初に咲き、次の花はその下の側面の蕾が咲く。この咲き方の花序を有限花序と言う。これに対して、無限花序とは花茎の先端が成長しつつ側面に花芽を作り、花は根本から咲き出し先端まで順に咲き上って行く。玉咲きは大きめの玉状の花が咲くもので、花の数が少ないが大きいので見栄えがする。
 リアトリス
  (Liatris)
 別名:百合薊(ゆりあざみ)、麒麟菊(きりんぎく)
 キク科リアトリス属
 多年草(春植え球根)
 原産地は北アメリカ
 日本には大正末に数種類が渡来とされる
 開花時期は6月~9月
 花色は紫・赤紫・白
 リアトリスには35種程の野生種が知られている
 花の咲き方には、槍咲き型と玉咲き型がある
 良く見られるのは、穂状の花のスピカータ(L.spicata)、球状の花のリグリスティス(L.ligulistylis)という


老化やがんの原因「酸化ストレス」を感知する仕組みを解明

2019-07-18 | 医学
 東北大大学院医学系研究科の山本雅之教授らの研究グループが、老化やがんなどの病気を引き起こす「酸化ストレス」を感知するメカニズムを解明した(7月17日発表)。この成果は米国時間2019年7月16日に米国科学雑誌「Cell Reports」のオンライン版で公開された。
 発表のポイント
 〇ストレスセンサーKeap1が酸化ストレスを感知するメカニズムを初めて明らかにした。
 〇Keap1は複数のシステイン残基を使い分けることにより酸化ストレスを感知している。
 〇Keap1は不具合が生じた場合においても酸化ストレスを感知して生体を守ることができる巧妙な仕組みを備えていることを明らかにした。
 酸化ストレスは老化やがんなどの様々な病気を引き起こす原因となるが、転写因子Nrf2は酸化ストレスに応答して活性化し細胞を保護する。つまりNrf2は酸化ストレスから体を守っている。Nrf2はストレスセンサーKeap1によって、活性を調節されている。しかし、Keap1が環境中の毒物(親電子性ストレス)を感知する仕組みはこれまでに知られていたものの、酸化ストレスがNrf2を活性化するメカニズムは長い間わかっていなかった。
 今回Keap1が親電子性ストレスとは異なるメカニズムで酸化ストレスを感知することがわかった。また、Keap1は、仮に不具合が発生した場合においても酸化ストレスを感知して生体を守ることができる巧妙な仕組み(フェイルセーフ機構)を備えていることがわかった。本研究成果により、Keap1は複数のシステイン残基を使い分けて様々な環境ストレス刺激を感知していることが明らかになった。今後、これらの知見を活用してNrf2活性化剤の開発が発展することが期待される。
 ◆用語解説
 〇酸化ストレス
 過酸化水素など反応性の高い活性酸素種によってDNAやタンパク質が傷害されること。外来ストレスやミトコンドリアでの酸化的リン酸化など様々な要因によって細胞内で発生する。
 〇システイン残基
 タンパク質を構成するアミノ酸の一つで、側鎖に反応性の高いチオール基(SH基)を持っている。
 〇転写因子
 DNAに結合して遺伝子の発現を制御するタンパク質の総称。
 〇親電子性ストレス
 内部に電子が少ない部分を持った分子(親電子性物質)によってDNAやタンパク質などが傷害されること。環境中の毒物の代謝(解毒)過程で生成することが多い。
 〇ジスルフィド結合
 二つのチオール基が酸化されることで形成される共有結合のこと。SS結合ともいう。タンパク質の立体構造の形成に大きく影響することが多い。
 〇化学発がん
 工業副産物や食品等に含まれる化学物質により引き起こされるがんの総称。

 曇時々雨。雨が降らない予報だったが、降った。でも、畑には有難い。
 線路沿いの”キササゲ”に花が咲き出した。花はラッパ形で、花弁は淡い黄色の内側に紫色の斑点があり独特である。秋には、長いサヤを実らせる野菜のササゲ(大角豆)に似た実をつける。
 名(キササゲ)の由来は、ササゲ(大角豆)に似た実をつける木なので”木ササゲ”と呼ばれる。
 ”キササゲ”の仲間は世界に10種類程あり、日本には中国原産のキササゲ・トウキササゲとアメリカ東南部原産のアメリカキササゲ(ハナキササゲ)がある、と言う。
 キササゲ(木大角豆)
 ノウゼンカズラ科キササゲ属
 落葉広葉高木
 原産地は中国、江戸時代の17世紀後半に渡来したとみられる
 薬用に移入され、野生化した帰化植物
 開花時期は6月~7月
 花は漏斗状の唇形で、淡黄色の内側に紫色の斑点がある
 果実はササゲの様な細長いサヤ果(20cm~30cm位)で、枝先に数~10本程付く


ミツバチの尻振りダンスから餌の場所を自動で推定

2019-07-17 | 生物
 農研機構は、セイヨウミツバチの尻振り(8の字)ダンスを自動解読することにより餌として利用されている花の場所を推定する技術を開発した(情報公開日:2019年5月21日)。本成果は、ミツバチ研究の国際誌「Apidologie」に2019年4月にオンライン公開された。
 蜂蜜生産や施設園芸作物の花粉交配に広く利用されるセイヨウミツバチは、餌となる花の場所を尻振り(8の字)ダンスで巣の仲間に伝える。ダンスの継続時間が餌場までの距離、ダンスを踊る向きが太陽との角度を表す。このダンス情報を読み取ってミツバチの採餌範囲を把握するには人による観察が必要で、判読に長時間を要した。
 本研究は、一般的なビデオカメラを用いて巣箱の中を撮影したビデオ動画から、自動で手動で行われてきた解読作業を飛躍的に迅速化させ、ダンスを抽出・解読する手法を開発した。これにより、野外で飼育されるセイヨウミツバチの採餌範囲を効率よく推定できるようになり、ミツバチの飼育環境を的確に把握できる。この飼育環境に餌源を確保するなどの環境管理を行うことで、花粉交配用ミツバチの増殖や国産蜂蜜の増産に役立つ。
 研究の内容・意義
 1.尻振りダンスをするミツバチを撮影したビデオ動画を用いて、粒子画像流速測定法(PIV)2)による画像解析から、自動でダンスを抽出・解読する手法を開発した。
 2.開発した手法は、一般的なビデオカメラを用いて撮影したビデオ動画を解読できる。地上波デジタル放送と同程度の、HD解像度(1920×1080ピクセル)、約30フレーム/秒が推奨である。
 3.手作業では30分間の動画を解読するのに数日を要していたが、本プログラムを用いることで、解読作業のほとんどをコンピューターに任せることができ、大幅な効率化が図れる。
 4.開発した手法は、様々な養蜂場での採餌範囲の推定に使用でる。動画の撮影には側面(一面のみ)をアクリル板にした巣箱が必要である。この観察巣箱は、通常、養蜂で使われるものを少しアレンジするだけで作成することができ、また観察の時以外は巣箱を通常の形に戻すことができる。
 5.開発した手法を用いて採餌場所の密度推定マップを作成し、その精度を手動で読み取ったものと比較したところ、約70%程度の範囲が一致した。これは、比較的良好な精度といえる。
 6.今回、ほぼ同時刻に数キロメートル離れた3つの巣箱で撮影した30分間の動画を用いた検証では、それぞれの巣箱から利用している餌場の方向や距離を特定することができ、巣箱ごとに利用している餌場が異なっているのがわかった。
 今後の予定・期待
 開発した技術を用いれば、ミツバチの尻振りダンス解読時間を飛躍的に短縮できる。その結果、採餌範囲の時間、日、季節変化(例えば、季節によってはダンスが非常に少ない=魅力的な餌がないこと)を効率よく解析することが可能になる。採餌場所として主に利用している環境を的確に把握することで、例えば、餌場が遠い、農地の近くが餌場になっている、といった蜂群の育成環境の評価にも利用できるようになる。
 こうした情報をもとに、必要な時期に餌源を確保するなどの環境管理を行うことで、 花粉交配用ミツバチの増殖や国産蜂蜜の増産に貢献することができる。
 用語の解説
 (1)尻振り(8の字)ダンス
 ノーベル生理学・医学賞を受賞した動物行動学者カール・フォン・フリッシュが発見したミツバチ特有の情報伝達手段である。花粉や蜜、水源など魅力的な資源のある場所を巣の仲間に伝えるダンスで、お尻(腹部)を左右に激しく振動させながら直進し、右回りでもどって再び直進、つぎは左回りでもどる動きをみせるため、ミツバチの動きを上からみたときにアラビア数字の8を描くことから8の字ダンスとも呼ばれる。鉛直方向と腹部を振動させ直進しているときの頭の向きの角度が巣箱から太陽の方向と魅力的な資源のある場所の角度を表し、直進している時間がその場所までの距離で、ダンス継続1秒間がおよそ1kmにあたる。
 (2) 粒子画像流速測定法(PIV)
 液体や気体の動きを調べるのに、その中に混入させた粒子の動きを、光を照射してカメラ撮影した画像から計測する手法である。移動速度を計測したい画像上の領域を設定し、その中の明るく写る粒子と背景の黒い部分の濃淡から、連続撮影した次の画像上で類似した濃淡の場所を探索することで流体の移動を調べるものである。今回は、ミツバチの体、とくにお尻(腹部)が明るく写るのを粒子に見立ててその動きを計測するのに応用した。本研究ではPIVの計算に市販のソフトウェアを用いたが、オープンソースのプログラムもある。
 (3) 採餌場所の密度推定マップと採餌範囲
  ミツバチの尻振りダンスは混み合った巣板の上で行われることもあり、一つ一つのダンスには多くの誤差が含まれていることが知られている。そこで、本研究では既往研究の成果に従い、一つ一つのダンスから解読された餌場までの角度と距離の推定誤差を考慮して、採餌場所を密度で推定した。また、この採餌場所密度は巣箱から遠くなるほど低下するため、巣箱からの距離(実際には距離の自乗)で重み付けを行った。

 朝は曇り、次第に晴れた。気温も上昇し、最高気温25℃と、夏日になったのかな。
 コンクリートの塀の傍で”ゴウダソウ”の花が咲いていた。団扇の様な丸い莢の実も付いている。
 名(ゴウダソウ)の由来は、1901年(明治34年)に東京美術学校教授の合田清氏がパリから種子を持ち帰ったのが始まりである。学名はルナリア(Lunaria annua)、属名の Lunaria はラテン語の「Luna(月)」からである。団扇(うちわ)の様な丸い莢(さや)の形から名づけられたものである。
 花後にできる莢がとてもユニークで、団扇の様な円形の平たい莢の中に数粒の種がある。最初は淡緑色だが段々と曇りガラスの様な透明感のある薄い膜となる。熟して種が出てしまっても薄い膜(隔膜)が株に残る。
 ゴウダソウ(合田草)
 別名:大判草(おおばんそう)、銀扇草(ぎんせんそう)、銀貨草(ぎんかそう)
    ルナリア(Lunaria)
 アブラナ科ルナリア属
 一年草
 原産地はヨーロッパ中央部
 開花時期は5月~6月
 花は径2cm位でアブラナ科特有の十字形の花びら
 花色は赤紫色、白色もある
 花後の種子は薄く半透明で団扇のような形の莢に入っている


天然キラル溶媒を不斉源とする触媒的不斉合成を行う手法を開発

2019-07-15 | 科学・技術
 京都大学大学院工学研究科杉野目道紀教授、長田裕也 助教、竹田龍平博士課程学生(研究当時、現:民間企業勤務)らの研究グループは、天然から安価かつ大量に得られるキラル溶媒を唯一の不斉源として用い、触媒的不斉合成を行う新たな手法を開発した(7月3日発表)。本研究成果は、2019年7月3日にアメリカ化学会のオープンアクセス誌「ACS Central Science」オンライン版に公開。
 研究手法・成果
 今回の新しい方法では、触媒は「右手/左手可変型」の構造を持っている。見方によっては、左右の区別のない軍手のような「手袋型」の構造を持っていると言える。反応を行う際に、これを「右手型溶媒」あるいは「左手型溶媒」に溶かすだけで、その場で「右手型」あるいは「左手型」の触媒構造が形成される。これは、「手袋」に右手を入れれば、「右手型」、左手を入れれば「左手型」の形になることに対応する。「溶媒」とは反応を行う際に、触媒や化合物を弱く取り囲むことで均一に溶かすために使われる液体で、通常それらは「右手型」と「左手型」を区別して生成させるほどには強い効果を示さないと考えられてきた。今回、らせん型高分子を触媒として用いることで、溶媒から受ける本来弱い効果を大きく増幅して「右手型」または「左手型」の構造を効率的に発生させ、高い選択性で「右手型」または「左手型」の生成物を得る触媒的不斉合成に世界で初めて成功した。溶媒として用いるのは天然から安価に得られる「リモネン」という有機化合物である。
 天然から安価に得られる「リモネン」にも「右手型」と「左手型」があり、それぞれ「(R)-リモネン」と「(S)-リモネン」と呼ばれている。(R)-リモネンはオレンジの皮から、もう一方の(S)-リモネンはペパーミントから得ることができる(ちなみに(R)-リモネンは柑橘系の香りを持ち、(S)-リモネンはハーブまたは森のような香りを持つ)。
 このらせん型高分子を(R)-リモネンに溶解させたところ、完全な右巻き構造を形成した。これを触媒として合成を行なったところ、高い純度で一方の鏡像体を生成物として得ることができた。一方で(S)-リモネンを用いた場合には、高分子は完全な左巻き構造を形成し、触媒として用いると、先ほどとは逆の鏡像体を高い純度で得ることができた。
 本成果は、安価な天然化合物に溶かすだけで必要な触媒構造が1段階で生成できる点で、従来の触媒的不斉合成の概念を根本的に変え得るものである。
 オレンジの皮から得られる「(R)-リモネン」を反応溶媒として用いることで高分子(ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル))に一方向巻きらせん構造を誘起させ、その後その高分子を触媒として利用することで高選択的に光学活性化合物が得られることを明らかにした。さらに、低光学純度のリモネンを用いた場合でも、高分子の不斉増幅現象に基づいて高い不斉選択性が維持された。本成果は、医薬品や農薬の高効率生産のほか、コピー防止印刷やバイオ研究用試薬などの効率的な開発に応用されることが期待されるとともに、安価な生物由来資源を有効に活用する新たな指針を示すものとして期待される。
 ◆用語解説
 〇キラル溶媒
 「キラル溶媒」とは一方の鏡像体からなる液体で、一般に「溶媒」は反応を行う際に、触媒や化合物を弱く取り囲むことで均一に溶かすために使われる。通常は、キラル溶媒を用いたとしても「右手型」と「左手型」を区別して生成させるほどには強い効果を示さないと考えられてきた。
 〇不斉源
 「不斉源」とは、鏡像体のバランスの偏りの起源となる化合物などを指す。これまでの研究では、キラル溶媒は不斉源とはならないと見なされてきた。
 〇不斉増幅現象
 「不斉増幅現象」とは、低い純度の鏡像体から、高い純度の鏡像体が得られる現象。一般に、このような現象は極めて限られていることが知られている。

 朝は小雨がぱらつく曇り、午後から晴れ。
 近所の畑で”バジル”畑があり、白い小さな花が咲き出している。茎は4稜形で、直立する。夏~秋に、茎頂に穂状花序を作り、白い唇形花が咲く。植物全体に高い香りがある。
 ”バジル”には150種の栽培品種があると言われ、これは良く知られる”スイートバジル(Sweet basil)”。ハーブの一種で、スパイス(香辛料)として”ブッシュバジル”とともに良く使われる。”バジル”の葉はイタリアン料理に良く使われ、トマト・オリーブオイルと相性が良い。
 ”バジル”の和名は目箒(めぼうき)。グルコマンナンを含む”バジル”の種を水に浸すと30倍程に膨張し、半透明の白っぽいゼリー状の物質で覆われる。名の由来は、そのゼリー状の物質が目薬となり、目のゴミを取り除く事から。
 バジル(スイートバジル;Sweet basil)
 別名:目箒(めぼうき)、バジリコ
 学名:Ocimum basilicum
 シソ科メボウキ属(オキマム属)
 多年草(日本では越冬できないので一年草扱)
 原産地はインド・アフリカ
 (インド、ネパールでは神聖な植物とされる)
 中国から江戸時代に渡来
 開花時期は6月~10月


微量検体の分析性能が数10倍に、マイクロ流路チップの一括積層技術を開発

2019-07-14 | 科学・技術
 発表のポイント
 ・シリコーン製のマイクロ流路チップを同時に何枚も貼り合わせる量子ビーム加工技術を開発
 ・マイクロ流路チップ数10枚分の機能を搭載した「多段積層マイクロ流路チップ」を実現
 ・診断や薬効評価等における微量検体分析のスピードや精度を飛躍的に向上
 量子科学技術研究開発機構量子ビーム科学部門高崎量子応用研究所先端機能材料研究部の大山智子主任研究員・田口光正プロジェクトリーダーとフコク物産株式会社(以下「フコク物産」という)は共同で、微量検体の分析等に有効なマイクロ流路チップを同時に何枚も貼り合わせる量子ビーム加工技術(一括積層技術)を開発し、「多段積層マイクロ流路チップ」を実現した(6月25日発表)。
 様々な分析機能を持つ複数のマイクロ流路チップを組み合わせることができるため、例えば1つの積層チップで複数の項目を検査することができるようになるなど、疾患診断や薬効評価のスピードが格段に向上する。また、1つの積層チップの中で分離・収集などの処理を繰り返すこともできるため、検体中にごく少量含まれる特定の細胞や成分を高い精度で検出することも可能となる。「多段積層マイクロ流路チップ」は量産が可能であり、画像診断や生検などによる数日がかりの検査でも発見が難しい病気を、わずかな血液だけで数分のうちに診断できるようになるといった未来が期待できる。
 マイクロ流路チップは、化学物質の合成・検知、血液検査、細胞の分離・個別分析といった様々な分野で既に使われ始めているが、マイクロ流路チップ1枚に搭載できる分析機能や投入できる液量は限られている。これまでは、マイクロ流路チップを積層するには、接着剤や表面処理などで1枚ずつ貼り合わせるしかなかった。また、マイクロ流路チップは気泡が入ったり位置がずれたりすると使い物にならないため、成功率を考えると2~3枚の積層が限界で、とても量産はできない
 研究チームは、量研が培ってきた量子ビームによる高分子材料の改質・加工技術を応用し、フコク物産(株)が提供する成型技術と組み合わせることによって、複数のマイクロ流路チップや関連パーツを量子ビーム照射の1工程で同時に貼り合わせる一括積層技術を開発し、「多段積層マイクロ流路チップ」を実現した。本技術では接着剤などの薬剤を使わないため、溶剤などの異物が混入することがなく、正確な分析が実現できる。また、チップ同士が接触した瞬間に接着してしまう従来技術と違い、複数のチップやパーツを重ね、十分に位置を調整してから一気に貼り合わせることができるため、高い歩留まりで「多段積層マイクロ流路チップ」を量産することが可能である。さらに、流路内の親水性や水蒸気バリア性の向上など、貼り合わせと同時にシリコーン製のマイクロ流路チップ自体を改質する効果も得られる。
 用途に合わせた流路の設計により、診断だけでなく、創薬・再生医療・バイオ研究・化学分析など様々な分野における微量検体分析のスピードや精度を数10倍に引き上げる「多段積層マイクロ流路チップ」を、2019年7月3日(水)~5日(金)に東京ビッグサイト(青海展示棟)で開かれる創薬・製剤研究の専門技術展「ファーマラボEXPO」で公開。
 ◆用語解説
 〇シリコーン
 ケイ素(Si)と酸素(O)の結合を骨格とした、ポリジメチルシロキサンなどの合成高分子。シリコーンゴムとも呼ばれる。熱に強く透明で、生体適合性もあるため、工業用部品や医療用素材の他、ゴムパッキンや調理器具といった生活用品にまで広く使われている。
 〇マイクロ流路チップ
 微細加工技術によって、髪の毛よりも細い数10~数100マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)幅の流路や容器を手のひらサイズの基板に詰め込んだ、いわばミニチュア実験室です。主にシリコーン1)で作られている。
 〇親水性
 水への馴染みやすさ(濡れやすさ)やその度合いを示す言葉。
 〇水蒸気バリア性
 水蒸気を遮断する能力のこと。
 〇バイオマテリアル
 医療器具等への利用が可能な、生体に害を及ぼさず、生体に親和性が高い材料の総称。生体材料とも呼ばれる。
 〇疎水性
 親水性の逆で、水をはじく性質やその度合いを示す言葉。

 朝から雨。9時頃が土砂降り、とても強い雨。10時頃から小止みとなるが、雨は降り続く。
 畑の一角に植えた”ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)”の花が咲いている。朱赤色の目立った花が花茎沿いに咲いている。名にスイセンとあるが、スイセンのヒガンバナ科ではなく、アヤメ科の花である。葉にはアヤメ科らしく細長く筋が入っている。
 明治中期にヨーロッパから日本に渡来した園芸種で、南アフリカ原産の”檜扇水仙(ヒオウギズイセン)”と”姫唐菖蒲(ヒメトウショウブ)”の交配種と言う。葉が”ヒオウギ(檜扇)”の様で、花は水仙に似た”ヒオウギズイセン”より小さい、これが名の由来。園芸種の名は、”モントブレチア(Montbretia)”。
 ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)
 別名:モントブレチア(Montbretia)、クロコスミア(Crocosmia)
 アヤメ科モントブレチア属(クロコスミア属)
 多年草(春植え球根)
 原産地は南アフリカ
 開花時期は7月~8月
 花茎から数個の穂状花序を出し、これに沢山の花をつける
 花色は朱赤色で、下のほうから順に咲き上がる。花びらは6枚
 繁殖力が強く、野生化したものも多い


ストレスでタンパク質合成を抑制する仕組みを解明

2019-07-13 | 科学・技術
 理化学研究所生命機能科学研究センター翻訳構造解析研究チームの伊藤拓宏チームリーダー、柏木一宏研究員らの研究グループは、ストレスによって誘導される翻訳開始因子「eIF2」のリン酸化が、タンパク質合成を抑制する仕組みを解明した。本研究は、米国の科学雑誌「Science」(5月3日号)に掲載。
 本研究は、細胞に備わったストレス応答の基本的な機構の構造基盤を解明するものであり、神経変性疾患など翻訳開始因子が関与するさまざまな疾患の理解に貢献すると期待する。
 細胞は紫外線などのストレスにさらされると、タンパク質の合成反応である「翻訳」を停止して、細胞活動の負荷を下げることが知られている。細胞がストレスを検知すると、翻訳開始因子eIF2がリン酸化される。通常eIF2は、別の翻訳開始因子「eIF2B」によって活性化されて翻訳を開始するが、ストレスを受けてリン酸化されたeIF2は、eIF2Bの機能を阻害する分子へと変化し、その結果、活性型eIF2が減少して翻訳が抑制される。この変化は、eIF2の1ヵ所のリン酸化で生じるもので、酵母からヒトまでの全ての真核生物に共通の機構である。しかし、「eIF2BによるeIF2の活性化」あるいは「リン酸化eIF2によるeIF2Bの機能阻害」の制御を切り替える分子機構は、長らく不明だった。
 研究グループは、eIF2とeIF2Bの複合体の立体構造を解析した。リン酸化したeIF2は、eIF2Bへの結合の向きを反対側に切り替えてeIF2を活性化できない複合体を形成し、eIF2Bの機能を阻害することを明らかにした。
 背景
 タンパク質の合成反応である「翻訳」は、その原材料となるアミノ酸の生合成まで含めると、全体として非常に多くのエネルギーを消費する過程である。細胞が正常な活動ができなくなるほどのストレスを受けると、エネルギーを節約し、さらにストレスによって引き起こされるタンパク質合成のエラーを防止するために、翻訳を全体的に抑制する。そして特定のストレス応答タンパク質の合成を始めることで、ストレス環境への適応を行う。このようなストレスによる翻訳の制御には、翻訳開始因子「eIF2」のαサブユニット(eIF2α)のリン酸化が重要であることが知られている。
 eIF2は、3つのサブユニット(α、β、γ)からなるGタンパク質で、γサブユニット(eIF2γ)がGTPまたはGDPと結合する。eIF2は、別の翻訳開始因子「eIF2B」によってGDP結合型(不活性型)からGTP結合型(活性型)へと変換されることで活性化され、翻訳に参加できるようになる。翻訳に参加したeIF2は、活性型から不活性型に戻り、次の活性化を待ちます。しかし、ストレスによってeIF2がリン酸化されると、eIF2Bによる活性化が阻害される。その結果、細胞内の活性型eIF2が減少し、翻訳抑制を始めとする一連のストレス応答が開始する。
 eIF2がリン酸化されるとどのように翻訳が抑制されるのかについては、伊藤チームリーダーらによるeIF2Bの立体構造解析などから研究が進められてきた。しかし、eIF2とeIF2Bがどのような複合体を形成するのか、そして複合体の構造がeIF2のリン酸化によってどう変化するのかは解明されていなかった。
 細胞がストレスを受けても翻訳が抑制されない、あるいはストレスがなくなっても翻訳抑制を解除できなくなる異常が生じると、さまざまな疾患の原因となる。例えば近年、eIF2BのeIF2活性化反応を促進する薬剤が、神経変性疾患の進行を遅らせ、外傷性脳損傷による認知機能の低下を防ぐ作用を持つことが報告されている。この機構が解明されれば、将来的な薬剤開発などに役立つことが考えられる。
 研究手法と成果
 研究グループはまず、クライオ電子顕微鏡法を用いて、ヒトのeIF2とeIF2Bの複合体の構造を解析した。その結果、eIF2のリン酸化の有無によって、eIF2のeIF2Bへ結合する向きが大きく異なることが明らかになった。
 リン酸化していないeIF2とeIF2Bの複合体では、eIF2Bの活性を担う「HEATドメイン」と呼ばれる領域がeIF2γに結合しており、eIF2Bによる活性化反応(GDP/GTP変換反応)が行われている構造が捉えられた。一方、リン酸化されたeIF2との複合体では、HEATドメインは特定の位置に固定された状態として観察されず、活性化反応が阻害されている状態が捉えられた。このときeIF2γは、eIF2Bとは強く結合しておらず、代わりにリン酸化eIF2αがeIF2Bの主要な結合領域となっていた。
 そこで次に、eIF2Bとリン酸化eIF2αの結合状態をより詳しく観察するために、eIF2BとeIF2αのみを用いて結晶を作製し、大型放射光施設「SPring-8」にてX線結晶構造解析を行った。その結果、この複合体ではリン酸化されていないeIF2αも、リン酸化型と同じ結合状態が観察された。しかし、リン酸化型eIF2αのほうが、eIF2Bに向かってより深く入り込み、より安定に結合していた。この差異が、リン酸化によって結合状態が切り替えられる要因の一つであると考えられる。
 また、eIF2Bは5種類のサブユニット2分子ずつから構成される2回対称(180度回転させると元と同じ姿になる)の構造を持ち、一つのeIF2Bに二つのeIF2が結合できる。しかし、リン酸化されたeIF2が一つでも結合すると、その反対側でのeIF2Bの非リン酸化eIF2との相互作用領域まで覆ってしまうため、結合が妨げられる。このように、eIF2のリン酸化は、リン酸化されたeIF2自体の活性化を防ぐだけでなく、他のeIF2の活性化をも防ぐ機構となっていると考えられる。
 今後の期待
 本研究から、eIF2とeIF2Bが結合した翻訳開始因子複合体には大きく異なる二つの結合状態が存在し、eIF2のリン酸化によってこの切り替えが行われ、eIF2Bの活性が制御されることが明らかになった。
 eIF2のリン酸化による翻訳制御機構の構造生物学的な理解は、eIF2Bを標的とした薬剤の作用機序の解明や、より効果の高い薬剤の開発へ向けた基礎となる。また、この制御機構自体も翻訳後修飾や他の翻訳開始因子によってさらに調節されており、今回の成果から、細胞のストレス応答が関与する神経変性疾患などの分子機構の解明や新規治療標的の発見などへの展開が期待できる。
 ◆補足説明
 〇翻訳開始因子
 細胞内でタンパク質の合成(翻訳)を行うリボソームが、合成を開始する際に協調的に働くタンパク質群。真核生物の翻訳開始因子は真核生物型開始因子(eIF; eukaryotic Initiation Factor)と呼ばれる。
 〇リン酸化
 タンパク質を構成するアミノ酸のうち、セリン、スレオニン、チロシン残基の持つ水酸基(-OH)にリン酸基が付加される反応をタンパク質のリン酸化と呼ぶ。リン酸基の付加は、しばしばタンパク質の構造変化を招き、細胞内シグナル伝達の制御などに重要な役割を果たす。
 〇ストレス応答
 熱ショック、活性酸素、高浸透圧、紫外線、放射線など、環境からのストレスに対して細胞が示す反応。細胞の恒常性維持に働くほか、細胞死を誘導する場合もある。
 〇神経変性疾患
 神経細胞の変性・脱落を伴う病気の総称。異常なタンパク質の凝集などを伴い、神経細胞が損傷するために起きると考えられている。前頭側頭葉変性症(FTLD)、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などが知られている。
 〇サブユニット
 タンパク質が集まってできた複合体の中の構成単位のこと。通常はポリペプチド鎖で連なった1つのタンパク質分子に相当する。
 〇Gタンパク質、GTP、GDP
 グアニンヌクレオチドが結合するタンパク質をGタンパク質と総称する。グアノシン三リン酸(GTP)が結合した場合とグアノシン二リン酸(GDP)が結合した場合で、タンパク質機能を切り替えるものが多く、Gタンパク質に結合したGTPを加水分解してGDPに変換する酵素や、結合したGDPをGTPに交換するタンパク質の制御を受ける。
 〇クライオ電子顕微鏡法
 生体試料を液体エタンにより急速凍結し、ガラス状の氷に閉じ込め、透過型電子顕微鏡を用いて直接観察する手法。画像処理技術を駆使することで、リボソームなどの超分子複合体や、タンパク質複合体の三次元立体構造を得ることができる。
 〇SPring-8
 理化学研究所が所有する、兵庫県の播磨科学公園都市にある放射光を生み出す共用施設。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeVに由来する。放射光とは、荷電粒子が磁場の中で曲がる際に放射される光の一種。SPring-8では、周回する電子群のサイズが小さいことや高い安定性のため、干渉性の優れたX線が得られる。
 〇X線結晶構造解析
 物質の結晶を作り、それにX線を照射して得られる回折データを解析することにより、物質の内部構造を調べる方法。タンパク質の立体構造を原子レベルの分解能で詳細に解明するための最も有力な方法の一つである。

 今日の天気は、晴れから曇り。気温は久しぶりに最高気温26℃、でも明日から20℃前後とか。
 畑に植えた”ラムズイヤー(lamb's ear)”に花が咲いている。花は赤紫色の唇形の小花で、花茎に幾つも付いている。
 葉や茎は、少し長めの銀白色の綿毛に覆われている。葉はやや肉厚で触ると柔らかい、まるで子羊の耳の様だ・・英名:lamb's ears(子羊の耳)・・素晴らしき命名。
 ラムズイヤー(lamb's ears)
 別名:綿草石蚕(わたちょろぎ、綿千代呂木)
 学名:Stachys byzantina
 シソ科スタキス属(イヌゴマ属)
 常緑多年草
 原産地は南ヨーロッパ~イラン
 日本には大正の初期に渡来
 開花時期は6月~8月
 花よりも常緑のシルバーグリーンが観賞とされる
 銀白色の葉を指でこすると、パイナップルに似た香り
 園芸品種に、ピンク色の花が咲く”オリンピカ:Olympica”、葉色がより銀白色な”シルバー・カーペット:Silver Carpet”がある