goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

超、個性有り -赤い実同盟レポート-

2008年06月30日 | 「赤い実同盟」

 

久々の「赤い実同盟」レポートです。

こちらを初めてみたとき、なんじゃこりゃっ!て、そう思いました。
最初にみたのは植物を紹介してるネットのサイトでだったんですけどね。

寒さには弱い植物らしく、アップされてる画像は、植物園などの温室で育てられているものがほとんどでした。
ただ今回おじさんが出会ったのは屋外にありました。
冬場は室内で管理していた鉢植えを、暖かくなって外に出してきたと考えられます。

温室の花だとばかり思っておりましたので、出会ったとき、 まさか? ひょっとして? こんなところに?って、信じられない思いでした。
でも見間違うはずはありません。
ネットの画像とはいえ、一目見たら忘れるはずがありません。
それほどにユニークなんですよ、形状が。

とにもかくにも、まず見ていただきましょう。

ねぇ? いかがですか? ユニークでしょう?

インパクトのある造形ですよね。
一目見たら忘れないということ、わかっていただけますよね。

それとね、形だけじゃなく、こちらの名前を聞いたらもう忘れられないこと必定です。


発表いたします~~~~


【ミッキーマウスノキ・ミッキーマウスの木】オクナ科

そうなんです、あのミッキーマウスの名前が付けられた植物なんです。

南アフリカ原産の熱帯性の常緑低木で、大きいものだと1、5~2mほどになるそうです。
日本には昭和40年代の後半に導入されています。

寒さに弱いことは、こちらを紹介している各サイトに書かれています。
成長して大きくなれば5℃くらいまでは耐えられるようですが、一般的には10℃を保つことが無難のようです。
ということは、沖縄以外だと、直植えは難しいということですね。

ただ昔からある観葉植物の管理と同じような扱いでしょうから、室内で育てるのには、格別神経質にならなくてもいいんじゃないでしょうかね。

果実の数は個体によりまちまちですが、ちらっと見た限りでは2~3個のものが目に付きました。
画像をチェックしてみると、未成熟のものも確認できます。
萼が5片ですのでね、5個の種子が出来るのでしょうが、すべてが成熟するとは限らないのでしょうね。

これって黒い実じゃないですか? って、そんな声が聞こえてきますね。
確かに「赤い実同盟」に入れるには少し強引かもしれません。
事実、果実は黒ですからね。
でも全体の印象は赤い実なんですよ。
「ゴンズイ」も「赤い実同盟」の会員にしたことだし、こちらもそうすることにします。

よくぞ付けたり、ミッキーマウス!

ディズニーのミッキーマウスに因んでの命名ですが、本家のミッキーにそっくりということではありませんよね。
赤い半球形の花床を顔、同じく赤くて反り返った萼を耳、1cmほどの黒光りのする果実を目に見立てたイメージが、ミッキーマウスってことなんでしょうね。

著作権とか商標権とかについて、ディズニーは世界中に目を光らせて、かなりうるさいという話はよく聞きますね。
「ミッキーマウスノキ」の件に関してはOKしたんだろうね。

もし日本人にこちらの名前を付けさせたら、「デメキンノキ・出目金の木」とかにしちゃうかもしれませんね。

正式名は「オクナ セルラタ・Ochna serrulata」ですが、これは学名そのままです。
オクナ科オクナ属、品種名がセルラタということです。

「ミッキーマウスノキ・Mickymouse Tree」は英名ですが、その他に「Mickeymouse plant」「 bird's-eye bush」などもあります。

一応「キバナオクナ」という和名もあるんですよ。
漢字表記すると「黄花オクナ」なんだけど、つい「黄花奥菜」って書きたくなっちゃいますね。
でもオクナはOchnaで、日本語じゃないんだよね。
黄花と名付けられているように、黄色い花が咲くそうです。

オクナ科という初めての科名ですが、南米を中心に、世界の熱帯地域に約40属600種あるそうです。


別のお宅の玄関先でも見つけましたよ。


咲いててくれて、ありがとう

2008年06月29日 | 08 花たち



【ママコノシリヌグイ・継子の尻拭い】タデ科

いやいや、びっくりしました~~
ママコと出会っちゃいましたよ。

ママコノシリヌグイとこんなに早い時期に出会えるなんて、露だに考えてもおりませんでした。

イヌタデなどタデ科の花が目に付くようになってきているけど、ママコが咲き始めるのはもう少し先だろうなって、つい先日noodlesさんとも話したばかりだったのでね。

だから特別チェックするつもりもなく、他の花との出会いを楽しみながら、ときにカメラを向けたりしながら、ブラブラ巡っていたのです。
昨年ほぼ半世紀ぶりの出会いを果たした場所も、横目で通り過ぎるつもりでした。

そうしたら何と、ピンクの蕾たちがいらっしゃるじゃありませんか。
イヤイヤ、驚きましたよ。
こんなに早い時期から、もう咲き始めるのですね。
迂闊なことに、この事実は知りませんでした。
信頼しているサイトで調べてみると、花時期は5~10月と記されていました。
だからこの時期に出会うことは、特別早いということでもなさそうです。

ヤブマメの蔓と絡まりあいながら、あたりを睥睨していらっしゃいましたよ。

そうそう、上の写真だと、ヤブマメや笹など他の植物に紛れて、ママコノシリヌグイの葉っぱが確認しづらいですね。

三角の形をしているのが、ママコノシリヌグイの葉っぱです。
タデ科の植物には、ミゾソバイシミカワなど、よく似た形のものがありますよね。

命名者を恨みたくなるような名前の「ママコノシリヌグイ・継子の尻拭い」ですが、「継子」の「尻拭い」をこの棘でするのです。
考えるだに、怖気が走ります。

鋭い棘は、ビッシリと茎を被うように下向きに付いています。
この棘を側の植物に引っ掛けながら、ママコたちは蔓を伸ばしていくんですよ。
托葉も見えますよね。

やっぱり、可愛い!

ここのところ偏愛傾向が著しいおじさんですが、ハゼランよりもネジバナよりも、やっぱりママコノシリヌグイのほうが好きです。
出会ったときのドキドキ感が、まるで違います。
これは、いかんともし難い事実です。
なかなか出会えないからということだけじゃなく、根源的な問題です。

午後2時過ぎの出会いでしたが、曇り空との条件がよかったんでしょうね、いくつかの花は開花しておりました。

出会えただけでも充分シアワセなことなのに、開花しているママコにもお目にかかれるなんて、これ以上のことは何も望みません。
ダウンしがちな精神状態でしたが、このひとつの出会いで救われました。

ありがとうね、咲いててくれて・・・



歌舞伎役者か信州か

2008年06月28日 | 08 花たち



【マツモトセンノウ・松本仙翁】ナデシコ科

この花は、3年前に花だけアップしています。
ナデシコ科の仲間では、オレンジ色のものは珍しいんじゃないかなって、そう思ったものです。

今でもその思いは変わりませんね。
思い返しても、赤やピンク系、それに白花ばかりで、オレンジ色のものは思いつきません。黄色いカーネーションはありますね。

おじさんのフィールドでもマツモトセンノウに出会えるのは、このお宅のものだけです。
マイ花マップ登録1ヵ所だけのマツモトセンノウです。
鉢植えなんですけどね、毎年咲いてくれます。

マツモトセンノウは謎の多い植物で、過去にルーツが色々と取り沙汰され、不明とされることもありました。
阿蘇に自生するセンノウの仲間、ツクシマツモトの栽培種ではないかとの説が大勢を占めていたようですが、中国や朝鮮半島が原産地だと判明したそうです。
(ただこの説も確定ではなさそうですので、お含みおきを)
日本には、遅くとも室町時代には渡来していたと言われています。

江戸時代には愛好家たちの熱烈な支持を得て、競うように変化花が作られていったとのことです。
マツモトセンノウは元禄、享保の頃には多数の品種があったが、その後化政に至るまでに散逸してしまったらしい(「古典園芸植物」江戸時代における園芸の地位と発達の要因)

現在では濃い赤からピンク、白、オレンジ色の濃淡など花色も多彩ですし、花びらや葉の形も多様です。
どうやらツクシマツモトも、現在目にすることの出来るマツモトセンノウの、先祖の1品種だということが考えられますかね。

山野の自生しているマツモトセンノウは、絶滅危惧IB類に指定されています。
自然界の遷移や開発などの理由により個体数が減ってきていることもありますが、何より盗掘がいちばんの原因です。
山野草の危機は常々言われますが、ほとんどすべてが人為です。

【遷移】ある場所の植物群落が長年月の間に次第に別の群落に変わってゆくこと。裸地に一つの群落が成立するとその場所の環境条件を変化させ、それに適合した別の植物群が生育するようになるために起きる。(goo辞書より)

園芸店などで売られているものは、園芸用に改良されたものだそうですので、心置きなく愛でてあげましょう。

「マツモトセンノウ・松本仙翁」の名前についても、ふたつの説が挙げられています。

センノウ・仙翁とは、ナデシコという意味でいいでしょう。

花の形が、高麗屋(歌舞伎役者の松本幸四郎)の紋所に似ていることからの命名との説が有名です。

Wikipediaより拝借

こちらが高麗屋の紋所「四ツ花菱」ですが、似ていますかね。
花びらの数も違いますしね、後付けっぽい気がしますけどね。
人気役者にあやかって付けられた名前だとしたら、それ以前の名前は何だったんでしょうか。

この花を盛んに栽培し、世に広めたのが信州の松本の地だったので、マツモトセンノウとの名前になったというのが、もうひとつの説です。

人気役者か地域の名前か・・・どちらでもいいや。
インパクトだと、松本幸四郎のほうが上だけどさ。

「松本仙翁」って、そのまま俳号に使ってもおかしくないよね。


歯痒い思い

2008年06月27日 | 08 花たち


この花には、過去に1度だけ出会ったことがあります。
goro's 花 Diary でも紹介しています。
昨年出会った憶えはありませんので・・・ 一昨年のことだと思います。

なのにです、名前が・・・ 思い出せません。
じれったいです、歯痒いです。

こんなことは珍しいことではありません、ままあることです。
goroさん、花の名前よく知ってますねって言われることがありますが、過去に出会った花の名前をすべて憶えている訳ではありませんよ。
思い出せないときは花倉庫を覗くようにしています。

過去goro's 花 Diary にアップした花は、月別に纏めています。
「06年6月」というようにね。
花の咲く時期は毎年決まっていますので、撮影日がわかればほぼ対応できます。
前後3ヶ月のフォルダを調べれば、大方わかるようにはなっているのですけどね。

ところがです、この花の資料はすべて紛失しています。
一昨年の秋のパソコントラブルで、それまで集めていたデータがすべて消えてしまいましたのでね。
そのなかに、今回の花のデータも含まれていたんですよ。

憶えていることはいくつかあるんですけどね。

出会った場所は、はっきりと憶えています。
あの街のあのビルの玄関前に置かれていた、いくつかあった鉢植えのひとつでした。
アップしたときも、この花メインの記事ではありませんでした。
他の花と一緒に記事にしたことも憶えています。

ところがところが、そのメインの花が何だったのか、肝腎なことは憶えていないんだよね。
ということで、ブログ内検索も出来ません。

ああ、あぁ、じれったいよな。
このブログ内のどこかにあることはわかっているのに、名前が思い出せないんじゃ紹介も出来ないよ。

かといって、1から検索かけて調べる気力もないし・・・
なんとなく、しゃくなんだよね。

写真を眺めていても、多くのヒントは読み取れません。
科名の見当もつかないし、精々が「紫」「小花」「集合花」「筒状花」「夏」「長いシベ」くらいのキーワードしか思いつかないしな・・・

取り敢えずダメモトでもいいや、1回くらいは検索してみるか。

「紫 集合花 夏」を入力してと。

画像検索をクリックして・・・


な、なんということでしょう! ヒットしちゃいましたよ!
たったこれだけの、不確かこの上ないキーワードで、この花に辿り着いちゃいました。
それも、一番目に出ていた画像が、この花でした。

試しに10ページ目まで見てみましたが、この花は最初の1枚だけで、他は別の花ばかりです。
途中、見覚えのある写真があったので、寄り道して遊んでしまいましたけどね。
おじさんがアップした、「トマトダマシ」の写真です。
「紫 集合花 夏」とは、まったく関係ないんだけどね。

ということで、この花の正体がわかりました。
紹介いたしましょう。


【ユウギリソウ夕霧草】キキョウ科

そう、そう、そうでした、ユウギリソウでした。
その頃のおじさんは、この花がキキョウ科だとわかって、意外に思ったのでした。
今だとすんなり納得できるんですけどね。
こちらが過去にユウギリソウを紹介した記事です。
メインの花は、そうか、あれだったんだ。


地中海沿岸が原産の多年草で、日本には大正時代にやってきています。
現地では多年草ですが、日本では1年草の扱いをされていて、花持ちのいい切り花として流通しているようです。
もちろん管理さえうまくいけば、多年草として毎年花を咲かせることも出来るようです。

長さ5~6mm、直径2~3mmの小さな合弁花が集まって、10cmほどの手毬を半分にしたような集合花を形造ります。
紫のほか、白やピンクの花色もあるんだそうですよ。

細い針のような雌シベが、小さな花の中心から飛び出しています。

特徴のあるこの雌シベの存在が、名前の由来に一役買っているようですよ。

たくさんの小さな花が密集して咲いているのを、霞みがかった夕霧に見立てたのが、「ユウギリソウ・夕霧草」の名前の由来だと言われています。
実際には霞んでいるようにはみえませんが、ピンピンと飛び出しているシベを見ると、そう名付けたくなる気持ちも、わからなくはありませんね。
文学的な思いがこもった、いい名前ですよね。

夕霧と聞いて思い当たる、源氏物語や歌舞伎の演目とは、一切関係ありませんでした。


蕾です。

  

すぐ側では、若いユウギリソウが控えておりました。
9月頃まで咲くそうですので、しばらくの間楽しめそうですね。

おじさんが出会ったユウギリソウは、こんな場所にいらっしゃいました。
西陽のあたる苛酷な環境なんだけど、頑張ってくださいね。



裏腹な名前

2008年06月26日 | 08 花たち



【セイヨウダイコンソウ・西洋大根草】バラ科

ダイコンソウのお仲間は、北半球の温帯から亜寒帯の地域に広く分布し、50種ほどが確認されているそうです。
日本にも自生種のダイコンソウ(未見です)があります。
すべてのダイコンソウは、耐寒性のある多年草だそうですよ。

セイヨウダイコンソウは、ヨーロッパで改良が加えられて作り出された園芸種です。
いくつかのダイコンソウの種間交雑で作られたそうです。

一重のものもありますが(未見です)、こちらの八重の花を見ると、なるほどバラ科の花だなと、頷けますよね。

4~50cmの丈で、花も4~5cmはあり、名前とは裏腹に華やかさもあります。
日本の風土にマッチしたのか、丈夫で育てやすいと言われています。 
切り花としの需要もありそうですね。

ダイコンソウ・大根草の名前は、このロゼット(根生葉といいます)が大根の葉っぱに似ていることからの命名です。
確かに大根の葉に似ています。
ただしです、大根の葉に似ているからって、安直に「ダイコンソウ」なんて名前を付けて欲しくなかったな。
自生種のダイコンソウはともかくとして、ヨーロッパからやってきたこちらには、余計不釣合いな名前です。

ゲウムとの別名もあるようですが、これは属名のゲウム・Geumからきています。
なんだかこちらもイマイチだよな。

花後の姿です。


【ベニバナダイコンソウ・紅花大根草】

セイヨウダイコンソウの赤色バージョンですね。
この他、橙色のものもありあます。