多摩川で出会った花、第3弾です。
これが最後です。
出会ってみたいと思ってる花は数々あるのですが、こちらもその上位に位置する花でした。
写真で黄色く見えるのが、今回の主役です。
サイトによると、ラーメンをぶちまけたようだとか、網や布が打ち捨てられたように見えるとか、植物界のエイリアンだとか表現されています。
確かに糸状のゴミが吹き寄せられたように見えましたのでね、決して美しい風景とはいえません。
紹介いたします。
【アメリカネナシカズラ・亜米利加根無葛】ヒルガオ科
北アメリカ原産の帰化植物で、1年草の蔓植物です。
1973年に多摩川で初めて見いだされ、その後急速に全国に広がったといわれております。
日本デビューのかの地で、出会ったことになるんですね。
プチ感激。
飼料や緑化植物の種子が輸入されたときに、アメリカネナシカズラの種子が紛れ込んできたんだろうといわれております。
ネナシカズラという在来種があり、アメリカ産だからというのが名前の由来です。
ネナシカズラ・根無葛とは、名前が示す通り、根の無い蔓性の植物のことです。
その上、葉も葉緑素もありません。
じゃどうやって生きていくのかというと、他の植物に寄生しているのです。
アメリカネナシカズラは、宿主を選ぶことなく、様々な植物に寄生するんだそうです。
黄色味を帯びた細い茎を巻きつけ、吸盤を出して付着し、寄生根を宿主に差し込んで栄養分を吸収していると考えられています。
goro's Diary で寄生植物を紹介するのは、ヤセウツボに次いで2種類目ということになります。
今回出会ったアメリカネナシカズラは、イタドリとチカラシバに絡まっておりましたが、ターゲットにされたお気の毒な宿主さんは、どちらなんでしょうかね?
イタドリは確実に宿主だと思われますが、チカラシバがそうなのかどうかは、少々疑問です。
3ミリほどの小さい花が、蔓のあちこちで咲いてます
果実も出来始めています
根無しとはいいましたが、種子が発芽するときには根があるんですよ。
種子は地中から芽を出し、細い茎を伸ばして、「空気中の化学物質を嗅ぎ分け好ましい宿主の方へ這い寄る」という、恐るべき習性があるんですって。
宿主が決まれば、根は退化し、なくなってしまい、晴れて根無し草になるってことです。
「根無し草」という言葉には、ある種の懐かしさや浪漫を憶える世代です。
フランス語だとデラシネです。辞書を引くと、「故郷を喪失した人」と出てました。
60年代後半から70年代の香りが、プンプンしてきませんか?
そういえば、五木寛之に「デラシネの旗」という作品があったよな。内容は憶えていないけど。
今回アメリカネナシグサと出会ったことで、気付かされました。
根無し草のような生活を続けるということは、誰かを傷つけ、悲しませ、犠牲を強いているんだなってことを。