園城寺・光浄院客殿 の補足・・・・さまざまな開口部

2007-03-07 02:05:33 | 建物づくり一般

 光浄院客殿の南面:広縁と室内の仕切りは、先進の三本引きの「遣り戸」だが、東面には、上の図のように、まだ古い時代の面影が残る(2月26日掲載の平面図参照)。
 すなわち、正式の玄関は古代同様の軸吊りの「両開き戸」(ただ、全体に薄くなり、金属製の蝶番で二枚に折り畳める)、他には「蔀戸」「半蔀」が仕込まれる。
 興味深いのは、そのいずれにも、内側に引き違いの「明り障子」が設けられていること。
 しかし、十分な見込みがとれないので、約1寸強の見込みを二つ割にした障子が一本の溝:樋端:に納まっている。一本の見込みは、縦框の片方だけ1寸強で、後は6分程度。桟は骨太である。互いが多少摺れるが、これで十分開閉できる。
 表側は古風だが、内側は最新なのである。

  註 「樋端」は「長押」に取付けられている(断面図参照)。
    なお、断面図から、「長押」により隠れるので、
    1.3~1.5寸厚の「貫」が使えることが分かる。

 平面図の東南隅の出っ張り:「中門廊」は、「寝殿造」の形式の踏襲で、一見ここが出入口かと思うが、正式の入口:玄関は東面の開き板戸の箇所である。そこに急な階(きざはし)が付いている(2月26日の写真参照)。

  註 「方丈」などでは、「寝殿造」の余韻を残し
    玄関は、中門廊の位置に設けられている。

 図は「日本建築史基礎資料集成 十六 書院Ⅰ」より抜粋、加筆した。

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