日本の建物づくりを支えてきた技術-6の補足・・・・中国・仏光寺:追加

2008-09-04 08:20:07 | 日本の建物づくりを支えてきた技術

先回載せられなかった中国「仏光寺 大殿」の写真と「梁行断面図」、参考のために「中国主要部地図」、そして現在の「肘木」の利用例の写真を補足します。

「全景写真」は、どのような地理的・地形的環境に「仏光寺」が在るのか、伝えてくれます。
周辺の山々は、一般的な「黄土高原」の山々同様、日本のような植生ではなく、むしろ禿山に近いと言ってよいでしょう。
また、「伽藍」も整形ではなく、いわば地形のままに建っているようです。

「大殿」の近景を見ると、営繕が十分に行われていないように見受けられます。それはそれとして、各所の壁は、煉瓦積(多分焼成煉瓦)でつくられていることが分ります(煉瓦目地が見えています)。

また、今回の「梁行断面図」、先回載せた「桁行断面図」の一部に、木造の軸部を埋めて壁がつくられている箇所がありますが、これも煉瓦積と考えてよいでしょう。
こんな所にも、中国では「土の建築が基本である」ということが、よく表れているように思います。

断面図の分厚い築地塀のような煉瓦積の壁の上部に「角材」が流れていますが、これは、木造軸部の「頭貫:闌額」です。
木造部を組んだ後、「頭貫:闌額」下に「煉瓦壁」を詰め込む、という工程を採っていると考えられます。これは、喜多方の「木骨煉瓦造」のつくりかたと同じです。

なお、正面の木造部では、「柱」「頭貫:闌額」「地覆」でつくられる「枠」の中に、もうひとつ「枠」(図では「門額」となっています)を設けて建具を入れています。このあたりは日本とは違います。


「隋」「唐」の栄えた地域を知る参考のために、中国の現在の地図を載せました(「最新基本地図:2008」帝国書院刊より転載、編集)。中国古代は、黄土高原上で栄えたことが分ります。

下段の写真は、「肘木」の現在の利用例です。「肘木」の上で継ぐことができるため、「桁」材は、長いものを使わずに済んでいます。


次回

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