ケイの読書日記

個人が書く書評

吉田修一「パレード」

2011-03-29 11:25:23 | Weblog
 怖い話と聞いていたので以前から読みたかったが、サナダさんがブログで紹介していたので無性に読みたくなり、本屋へ。
 ありました!! 平積みされている本の中でも一番少なくなっていた。売れてるんだろ。やっぱり映画の影響かな。

 都内2LDKマンションに暮らす男女4人の若者達。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、優しく怠惰に続く共同生活。
 そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。

 確かにすごく怖い話だが、怖い部分のページ数が少なすぎ!! どっから怖くなるんだろうとドキドキしながら読み進めたが、最後の10ページあまりが怖いだけなので、ちょっと拍子抜け。

 でも、そこに至るまでの男2人(後にサトルが加わる)女2人のルームシェアの記述も、私は興味深く読めた。
 前に、ルームシェアって、なんて合理的な住生活なんだろうと良いイメージを持っていた。
 でも、糸山秋子の短篇に、仲の良い女2人のルームシェア生活が、最後には嫌悪感で破綻していく様子を書いたものがあり、そういうことになる事もあるのね、と思い直していたのだ。

 確かに…そんなに上手くいかないだろうね。
 例えば、この「パレード」では社会人2人、学生1人、無職1人の構成で、圧倒的に無職1人が家にいる時間が長い。
 家賃は1/4ずつ払うにしても、水道光熱費は家にずっといる無職が多く払うべきだ、そうでないと不公平、と言い出す人が必ず出てくるだろう。
 4人が4人とも、いっぱいいっぱいの生活をしているんだもの。

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