ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ 「欲と収納」

2017-01-05 16:15:51 | 群ようこ



 平成26年初版の文庫書き下ろしエッセイ。テーマは収納!
 
 群さんだけじゃなく、私を含めほとんどの人は、収納に困っていると思う。
 どうしてこんなに物が溢れているんだろう? もっと広い所に住めば良いのかな? いやいや、片づけが出来ない人間が、広い場所に住んでも物が増えるだけだよね。問題は、自分の中の欲にある!

 群さんは、ありすぎて収納で困っているものが3つある。一つは着物。自分の着物だけじゃなく、病気になったお母さんの着物まで送られてきて、家の中がすごい事になっているらしい。それも、キチンと保管してないのでカビだらけの着物がどっさりと。
 男性は驚くかもしれないが、着物って、めったに洗うものじゃない。だから、着たら2~3日は着物用ハンガーにかけて風を通し、湿気や汗をとばして畳む。そういう事をやってないと、すぐカビてくる。カビ取りの依頼もできるけど、新品を買うのと同じくらいのお金がかかる。

 二つ目は本。商売柄、仕方ないけど物には限度がある。バザーに出したりするが、なかなか減らない。近くの図書館に、読み終えた本の交換コーナーがあり、そこにまとめて本をだしていた。群さんは生粋の本好きなので、みな美本。
 ある日、群さんが出した大量の本を抱えて持って行く男の人を発見! あんなにたくさんの本を一気に読むんだろうかと怪訝に思っていたら、その男の人を古本の買取コーナーで見かけ、啞然とした。図書館の交換コーナーで本を手に入れ、古本屋で売って、お金を稼いでいたのだ!
 もちろん違法じゃない。違法じゃないけど…スッキリしない群さん。
 そうだよねぇ。その男の人は、本の交換コーナーに、お金が落ちているような気がしたんだろうね。

 三つめは書類。これも商売柄、仕方のない面もある。昔は原稿用紙にせっせと書いていたが、今はパソコンなので、以前よりだいぶ減ったそうだ。でも、片づけしている時、大量の昔の自分の生原稿が出てきて、一瞬、売れるかも?!と考えたそうだ。でも、潔く廃棄。
 しかし、群ようこの生原稿だったら、高値は無理でも売れると思う。確かに、文学賞には全く縁がない人だが、30年以上も第一線で書き続けているんだもの、たいしたものです。

 そういえば何年か前、村上春樹の生原稿を、デビュー当時の担当者が持っていて、それを返却せず、インターネットで売ったという話があったような…。HOW MUCH? すごい金額だろうね。

コメント
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