ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

公務員(損害賠償と役所の責任)

2008年11月08日 | カ行
 国の責任を問う訴訟について、政治主導で和解を目指すケースが増えてきた。現在国民の関心の的となっている薬害C型肝炎についてもそう遠くない時期に和解条件が整うだろう。

 過去に当局の適切な判断と迅速な対応があれば被害の拡大が抑えられたであろうことに疑う余地はない。速やかな和解を1国民として願うところである。

 ところで国の責任が問われる事態が何故このように繰り返されるのか。あたかも行政当局には自らの責任の下に被害を最小限にとどめようとする使命感も、事件の再発を防ぐために仕事の仕方を自分たちで変えようとする向上心も全く無い、と思わせるぼどである。

 その根源は官民挙げて作ってきた官尊民卑の風土にあっての役所の驕りであるが、役所が自らの罪をあがなうに国民の血税をもってする、という損害賠償の構図にもその原因無しとはしない。賠償額がいかに多額になろうと当該役所の職員には何の痛棒も与えない。

 民間企業であれば自分たちの商品やサービスの不具合から顧客に迷惑をかけ多額の損害賠償金を支払えば、企業存続すら危うくなる。当然責任ある人たちは首になり、新体制の下、幹部以下全社員がボーナスを返上し、給与をカットして社の再建に取り組むだろう。もちろん顧客の信頼回復のため業務品質の改善に総力を挙げる。

 そういう意味では国が責任を認め損害賠償金を支払う際には、その件に関係する役所の職員全員がボーナスを返上し、報酬をカットするというような仕組みを国として導入したらどうか。そのことによって組織の責任というものが実感され、自らの価値観、行動様式を変革する必要性にも気付くのではないか。

 公務員制度にその類の何らかの仕組みを織り込まない限り、役所の意識の国民からの乖離はいささかも縮まないだろう。ましてや国民本位の行政などは程遠い。

  (朝日、2007年10月31日、経済気象台、啄木鳥)