ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

部活動

2008年11月02日 | ハ行
 新しく中学校に入学してきた子どもたちの楽しみのひとつに部絡動がある。しかし、学校教育の中での部活動は、多くの課題を抱えているのも事実である。

 生涯スポーツの振興を担う財団法人世田谷区スポーツ振興財団では昨年度、小中学生を対象に、プロ野球やJリーグに属するトップアスリートやコーチを招いて各種の講習会を開いた。そこでも中学校の部活動の問題に関心が集まった。

 中学校の部活動で一番大きな課題は指導者の問題である。部活動の指導はこれまで教員が担ってきたが、教員が部活動の指導者であることが難しい時代になってきたのである。その理由には次のことがある。

 まず、教員は担当教科だけでなく、生活指導や進路指導、地域社会や保護者への対応など多くの仕事を抱えている。学校教育の一環であるとはいえ、部活動の指導者として積極的に活動し、指導レベルの向上を図るには、あまりにも多忙である。

 また、今の子どもたちの中には小学生の段階で専門の指導者によってあるレベルまで指導を受けている子がいる。そうした子どもやその保護者は、中学校の指導者にそれ以上のものを期待してしまう。ところが、中学校の部活動が管理顧問だけだったり、指導者がまったくの素人であったりすると、子どもはスポーツヘの意欲をそがれたり、保護者は不満に思ったりしてしまうのだ。

 時代に合わなくなった現在のシステムでは、教員が部活動を指導することが難しいばかりでなく、子どもたちが願う指導者像ともかけ離れたものになってしまう。従って、部活動の指導者確保とその養成方法そのものの改革が必要になっているのである。

 そこで一つの提案は、地域と学校が一体になって、小中学生の一貫指導システムを構築するのである。例えば、近隣の小学校で各種目の指導をしている指導者と、中学校の指導者が一緒に「地域少年スポーツ指導者協議会」(仮称)といった組織を設立し、情報を交換しながら、子どもたちの意欲や能力に応じた指導をする。もちろん教員は、一指導者として参加する。

 また、それぞれの種目の指導者と子どもたちのレベルアツプを図るために、各界で活躍したトップアスリートやコーチの巡回指導を組み入れる。都市部であれば、トップアスリートやコーチの人材は豊富である。多くの運動選手も、自分がやってきたスポーツで地域に貢献したいと考えているのである。

 行政が指導者の連携システムを整備し、地域と学校が協働して運営する。また、中学校体育連盟は新しい時代の新しい指導者を育成するための準備をする。

 学校数育と部活動との位置付けなど、まだ多くの課題もある。しかし、多感な年代である中学校時代に、地域協力で小中一貫指導を高い技術指導力と豊かな人間性を兼ね備えた指導者との出会いは重要である。

 あっという間に過ぎていく中学校3年間。子どもたちの瞳がいつまでもきらきらと輝いているためにも、部活動の問題を学校の中だけではなく、地域・学校・行政の三者が協働して考え、指導者同士が連携していく時代にきているのではないだろうか。

  (朝日、2002年04月02日。投稿者・藤川恭英)