ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第69号、田中外相の更迭について

2006年01月17日 | 政治関係
教育の広場、第69号、田中外相の更迭について

(2002年02月17日発行)

 政治の話題が続きますが、田中外相の更迭については一言せざる
をえないでしょう。

 私は政治の内幕について詳しくはないので、今回の事件について
も、いくつかの意見を聞いて考えました。その中では01月31日付け
の朝日新聞に載った佐高信氏の意見に一番感心しました。

 氏の意見によると、今回の更迭劇の核心は外交機密費の内閣官房
への上納の問題にあるというのです。

 この問題の発覚したのは森内閣の時代で、その時の官房長官は福
田康夫氏でした。つまり今と同じでした。福田官房長官はその時、
外務省と一緒になってその問題にフタをしようとしました。従って
、小泉内閣になって田中氏が外相になり、その問題を解明しようと
した時、それは福田官房長官にとって困ることだったのです。

 そして、いろいろな経緯はあったのでしょうがともかく、小泉首
相は結局は解明を妨げる方についてしまったというのです。田中外
相が「小泉さんも首相として機密費などを使える立場になったらコ
ロッと変わった」と述べた時、小泉首相にとって田中外相は危険人
物になったのです。その時以来、小泉首相は田中外相の更迭の機を
伺っていた、というのです。

 多分そうだろうと思います。

 私の考えた事は、そうだとすると、小泉首相が福田氏を官房長官
にした事自体が問題だったのだと思います。あるいは、その時小泉
首相はこの問題をどうするかを決めていなかったのではないかと思
います。

 人を得なければ政策は貫徹できません。あるいは、どういう人を
どのポストにつけるかで、首相(トップ)の本心が分かるというも
のです。

 さて田中外相の更迭で政局は混迷しはじめました。内閣支持率は
大きく下がり、70% 台から50% 前後になりました。総選挙の話も出
始めました。民主党の菅幹事長は政権交代の可能性が出てきたとい
うようなことを言っています。本当にそうでしょうか。

 私はそうは思いません。民主党の体制がそうなっていないことも
ありますが、そしてこの事については近いうちに論じたいと思いま
すが、それ以上に、国民が政権交代の根本的重要性を理解していな
いからです。しかし、この事は既に第61号で論じましたので、繰り
返しません。

 最後に、日本におけるNGO(非政府組織)の理解について考え
てみたいと思います。

 実際、今回のアフガニスタン復興会議で最初2つのNGOが排除
され、その後田中外相の指示で参加できるようになり、その事が大
問題になったことの最大のメリットは、NGOが、少なくともその
名前だけは、以前よりかなり知られるようになったことだと思いま
す。

 この事をきっかけにしてNGOなどというウサンクサイ組織の役
割が少しでも正当に認知されるようになったのは嬉しいことです。

しかし田中外相を支持し、その更迭は間違っていると考える大多
数の国民の内の何パーセントの人が、NGOに協力しているでしょ
うか。又、自分のNGOへの協力についてこの際、考えたでしょう
か。

 欧米のNGOと日本のそれとの大きな違いは会員数の桁違いの違
いにあると思います。欧米のそれは何十万人の会員に支えられてい
るのがいくつもあり、百万人以上の会員を要する組織もあるようで
す。

 それにひきかえ日本のNGOで会員数が万を越えるのはどれだけ
あるでしょうか。そこで活動している人達の待遇は余りにも悪すぎ
ると思います。年収が 300万円を越える人は非常に少ないそうで
す。

 具体的に数字を出してみましょう。今、日本は経済的に停滞して
いて、困っている人も少なくないとは思いますが、月千円、年間1
万2千円の寄付を辛いと思わない人も何百万人もいると思います。
その人たちの内の何人の人が自分の応援するNGOを決めて、会員
になったり寄付とかをしているでしょうか。

 私はこれが問題だと思うのです。こういう寄付は一種の税金なの
です。しかし、いわゆる税金と違うところは、その使い道を自分で
決められるという点です。だから、限度を決めてこういう寄付金を
税金から控除しろという主張が出ています。

 たしかに私もそうすべきだと思います。しかし、年間1万2千円
程度のお金なら、税金から控除されなくても、寄付してもいいので
はないでしょうか。

 こういう寄付が当たり前の事として根づいていないことを私は残
念に思います。国民は自分に相応しい政治しか持てないのだと思い
ます。そして、こういう未成熟な国民が全てを田中外相の腕力に期
待したのだと思います。

 田中外相の外務省改革には私も期待しました。しかし、今その可
能性が無くなったとき、期待した方々はこれからどうするのでしょ
うか。

 私は微力ながら、自分でやっている大学オンブズ(NGOにはな
っていませんが、本質は同じです)を続けていくつもりです。そし
て、他のNGOにも関心を持ちつづけたいと思います。

 外務省の税金の使い方の不透明性を追求しているのは仙台市民オ
ンブズマンを先頭とするオンブズです。田中外相の更迭に反対する
国民はまずはこの仙台市民オンブズマンの活動をホームページで調
べるなどしてみるべきではないでしょうか。