２００９年２月の東大阪歌会（後編）

お待たせしました。

気を取り直して、
改めて、ほしかわさんの歌を載せるとこから。

　　　　　★

　　　　　　　言葉を交わした
　　　　　　　回数よりも
　　　　　　　多くを知ってる
　　　　　　　気がする
　　　　　　　歌が語ってた　　　　　 ほしかわなお

　　　　　　　値札のない
　　　　　　　山盛りの
　　　　　　　ニンニクの
　　　　　　　値段が気になる
　　　　　　　コリアンタウン　　　　 ほしかわなお

　　　　　★

前者の歌は、
歌誌の歌などを見たりしたときに、
思われたとか。

歌会などに、参加されている人なんかは、
きっとこんな風に思われること、
よくあるんじゃないかな。

後者の歌は、
去年の夏に引越ししたところの近くに、
コリアンタウンがあって、
気になっているんだとか。

最近、いや、毎回と言えば、毎回だけども、
歌以外の話へ、あちこち飛ぶようになって、
あれだけ時間があるのに、
読み直すと、
「あ、これ、作者に伝えればよかったな」
と、
歌的なことで、思ったことを、
声に出していえてないな、と、反省する。

「ニンニク」と「コリアンタウン」が、
カタカナでいいなって、思ったこと、
余談に逸れて、言い忘れてたな、って思う。

声に出してしまうと、なんでもないんだけれど、
見た目で、視覚的に、
いわゆる「韻を踏んでいる」って感じがする。

声ではないんだけれど、視覚的なリズムを感じて、
心地いい。

五行歌って、
こんな見た目のセンスを問われるときがあるよな、
なんて思う。

個人的には、
凝りすぎている歌を見ると、考え込んでしまうような、
漠然とした、「カタチ」の規範は持っているものの、

歌の内容の伝達さ、心地よさに、
効果をあげているなぁ、って思えるものは、好き。

で、余談の方は、
なんだったか、思い出してみると、

「心の奥深いところの歌じゃなくったって、
その時の、記録というか、日記というか、
情報提供っぽい歌だって、全然ＯＫなんじゃない？
詠みたいところを詠めば。
ただ、読み手が、どういう風に思うかは、ハナシ別だけど」

みたいな、あたりの、とこらへんを、
ぐるっと話をしたような気がする。

私は、この歌を、
作者を前にして読めた、
幸運な読み手だけれど、

「そうか。コリアンタウンには、
山盛りのニンニクがあって、
値札がついてないのか」

と、知れただけでも、いい感じがしているし、

「それを前にして、結局どうする、作者？
私だったらどうする？」

と、読み流すのではなく、考えれただけでも、
この歌の価値は、光る。

で、さらに、余談は、蛇行して、
「在日コリアン」とか、
「」とかの、
人権的なものに移行して、
そのことについての、
学校（地域）での取り組み方が、
違うことに、ちょっと驚いたりした。

いい・悪いで、言ってるんじゃなくてね。

だから、当事者であるなしに関わらず、
善意でしようとした、ある行為が、
地域によっては、
デリケートに響き渡ることもある、
っていう話を、したりして。

知識が増えた、ってことでもないし、
正義感が強くなった、ってことでもないんだけれど、
なんかいい勉強ができたような余韻を残している。

というわけで、次回は４月。
桜が咲いている頃にでも。