日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

1月6日(水)のこと~ タクシーが2台来た ② ~

2010年01月06日 | 義母との日々
私の問いに対して、

「えぇ……、○時○分の、ハイウェイバスに乗りたいもので」

ご婦人が言うには、
F駅からさらに電車に乗って、終点まで行き、
そこから、
よく知らないハイウェイバスの乗り場まで歩いて移動して、
果たして時間に間に合うんだろうか……ということだった。

う~ん……、電車のツナギにもよるけれど、
間に合わないことはない気がするが……。

あとほんのちょっとの確信が持てない時でも、
「それなら、大丈夫ですよ。間に合いますって」
と、断言できる人って、どれぐらいいるんだろう。

こういうのって、例えば、
仕事とかで、役割を持っていたり、
研修とか、訓練とかで、
言える事ってある気はするけど。

こういうのって、例えば、
不安がる無力な子供達の前で、
大人として、見栄を張って、
言える事ってある気もするけど。

ハイウェイバスの、バス乗り場がどこなのか、
せめて知っていれば、
同じ終着駅で降りる予定の私が、
責任もって、案内できる自信があれば、
言ったかもしれないけれど。

ただの確信のない素の自分の時、
人は簡単に断言って、しているのかなぁ……。

「間に合わないことは、ないと思うんですけどねぇ……」

と、結局、不安に不安を重ねるようなことしか、
答えることができなくて、

――あぁああ、やっぱ話しかけるんじゃなかったぁ。

と、後悔の下り坂。

「私も地元の人間じゃないんでね」

――あぁああ、始まりましたよ。言い訳。

「今日は、入院しているお姑さんのおうちへ、年賀状を取りに来て……」

――あぁああ、それはあかん、それはあかん。
  それ以上言うたら、口から、心が、腐ってくるぅぅぅ。

ころころ転がり続けて、
口から腐っていくのか、

関わってしまって、
目が離せなくなってしまった、
このご婦人との沈黙に耐えるのか。

どっち!?どっち!?どっち!?

     ★

幸いにも、ご婦人は、
今置かれている自分の現状で、
頭がいっぱいで、
『入院しているお姑さん』という言葉に、
ツッコンではこなかった。

あぁ、よかったぁ。
この人が、大阪のおばちゃんじゃなくて。

多分、大阪の下町のおばちゃんなら、
私の話を、「1」聞いて、
自分の経験談を「10」話して来るはずだ。

「1」でも漏らしてしまうと、
今の私はいけない。

いつかは、アウトプットしなければならないとしても、
今の義母とのこれからが見えない時に、
それをしては、絶対いけない。

真っ黒なサングラスをかけて、光のささない部屋を見て、
「暗い暗い」と嘆くのと同じになっちゃう。

何かの目処が立つまでは、
話して楽になって、
前向きでない感情を増幅させるのは、
決してこれからの自分にいい影響を及ぼさない。

五行歌の特集で、義母のことを書いたことで、
自分に思い知らせたはずだ。

転がる途中で、大きな岩にしがみついたかたちで、
後悔は、最小限に抑えることができた。

が、元に戻って、押し寄せる沈黙。

でもでも、嫌なんだよなぁ~、この沈黙も。

「あの……」

決して、得策ではないが。

「タクシー、呼んでみましょうか?」

バスの予定時刻は、あと7分ぐらい。
7分以内にタクシーは、来るんだろうか。

     ★

義母の家で、何かあったときのために、
ケータイの中に入れておいた、タクシー会社の電話番号。

私の名前で、呼びだした。

「バスの方が先に来たら、そちらに乗られたらいいです。
その時は、私がタクシーに乗りますから」

そう言った後に、『まてよ』と思う。

――この場合、果たして、バスの方が先に着くんだろうか。
  あちこちの停留所へ寄り道をする、バスの方が……??

あぁああ、ひょっとして、状況を、もっと意味がわからん状態にしていますぅ???
一体全体、あたしゃ、何をやっているんだぁ????

ご婦人が、いかに焦っているかを繰り返し聞きながら、
私の中では、ごちゃごちゃと意味がわからなくなっていた。

と、いうところで、目の前をタクシーが横切った。

私より先にご婦人が気がついて、「はいはい!」と手を挙げた。

停留所を少し過ぎたところで、タクシーは止まった。

「あなたも、一緒に」と、ご婦人が言う。

割り勘にしたとしても、バスの方が安いので……と、断れるわけがないだろう。

ご婦人と一緒に、私もタクシーの方へ走っていく。

開かれたドアに、飛び込むようにご婦人は乗った。

私も乗りながら、
「ありがとう。予約した稲田(ここでは仮名)です。F駅へ」と、
運転手さんに言った。

それを聞いたとたん、運転手さんは「違う!違う!」と言った。

何が違うというの?
稲田って言ってるでしょ!?
○鉄タクシーでしょ!?

急がないと、バスが来て、いろいろと後悔するでしょ!!

乗り込んでも、タクシーの運転手さんは、
ドアを閉めない。

なんで!?なんで!?なんで!?

     ★

    今日中にかけるのか、わかんなくなってきましたが、つづく。

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