いやもちろん速報ってのは中国の話です。これから色々な記事が出てくるのでしょうが、とりあえず第3次小泉改造内閣についての第一報をまとめておきます。
19時前に新華社のウェブサイト「新華網」をのぞいてみたら、トップページに早くも速報されていました。「小泉内閣改造」のニュースと並んで「外相に麻生太郎」となっていました。気になっていたんでしょうねえ外相人事。新華社電で文字通り速報したのはこの麻生氏外相就任だけでした。
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●速報:小泉首相、麻生総務相を日本の新外相に任命(新華網 2005/10/31/15:30)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707809.htm
新華網速報:日本の小泉純一郎首相は31日に内閣改造及び自民党役員人事を行った。麻生太郎現総務相が新外相に任命された。
……これが記事の全てですから。こういう論評抜きで事実だけ短く書いた簡潔な速報は、閣僚数あれど「麻生外相」だけにのみ行われました。まあ隣国として外相人事が気になるのは当然なことですが、町村氏に続く麻生氏の起用ですからねえ(笑)。東京特派員なら一応の知識があるでしょうから、嵐の予感が記者を震わせたのかも知れません(笑)。
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それから香港紙『明報』の「明報即時新聞」も「麻生外相」だけ速報しています。
●保守派の麻生太郎氏が日本の新外相に(明報即時新聞 2005/10/31/15:30)
http://hk.news.yahoo.com/051031/12/1i80q.html
NHKによれば、日本の小泉純一郎首相は保守派に属する麻生太郎氏を新外相に任命した。麻生氏の主な仕事は小泉首相の靖国神社参拝で損なわれた日中・日韓関係を修復することにある。
……こちらは論評が入りましたね。こういうのを大きなお世話というのでしょう。「靖国神社参拝で損なわれた」云々が中共史観丸出し。まあ中共の植民地ですからこんなもんでしょう。あと香港マスコミは左派右派を問わず対日問題に関しては中共史観に忠実ですから。
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ついでに親中紙もみておきますか。『大公報』もこれまた「麻生外相」だけが速報扱い。
●小泉首相、麻生太郎氏を新外相に任命(大公報即時新聞 2005/10/31/17:44)
http://www.takungpao.com/news/05/10/31/YM-477977.htm
内容は上の「明報即時新聞」と同じようなものです。別の記事で閣僚紹介があるのですが、麻生外相については、
「自民党における保守派のメンバの一人。大胆な発言をしばしば行う」(後略)
とのこと。
http://www.takungpao.com/news/05/10/31/YM-477981.htm
『香港文匯報』は共同電による論評抜きの簡潔な速報でした。
●小泉首相、前総務相の麻生太郎氏を新外相に任命(文匯即時新聞 2005/10/31/16:07)
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=IN0510310055&cat=000IN
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どうも麻生外相がどこでも大人気です(笑)。速報されたのはこの人だけ、というところから中共政権の驚きと戦慄を読み取っていいかと思います。まあ次期首相候補の一人と目されているので入閣は確実視していたと思いますが、
「……って外相かよ!」
といったところでしょうか(笑)。この人事は小泉首相から中国に向けた強烈なメッセージだと私は思うのですが、中国側はとりあえず動揺……というよりビックリしてしまったようですね。町村前外相よりやりにくそうな相手、という認識があるのかも知れません。とりあえずルックス対決なら紅衛兵より黒×会ということで李肇星外相を完全に圧倒(笑)。是非とも大車輪の活躍を期待したいところです。
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じゃあ安倍氏は?というところですが、こちらは大本命扱いで、速報されることなく、普通の記事として「次期首相レース」と絡めてバンバン出ています。記事本数からいえば安倍氏の官房長官就任の方が多いです。いま「新華網」のトップニュース一覧にも出ています(2005/10/31/09:04)。
●安倍晋三氏が内閣官房長官に任命される見込み――日本メディア(新華網 2005/10/31/14:32)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707495.htm
●小泉首相が自民党三役を発表、安倍氏は官房長官に(新華網 2005/10/31/14:34)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707507.htm
●日本の小泉首相が内閣改造、安倍晋三氏は官房長官に就任(新華網 2005/10/31/17:14)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3708474.htm
●小泉首相再度の内閣改造、新閣僚の顔ぶれ(新華網 2005/10/31/18:48)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3708845.htm
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このうち最後の1本、「小泉首相再度の内閣改造、新閣僚の顔ぶれ」は速報的な論評というところでしょう。まず、
「安倍氏が初入閣にも関わらず重要性では首相に次ぐ官房長官に任命された」
として次期首相の最有力候補であることを示唆しています。あとはタイトル通り新閣僚の名前が連なっているのですが、この記事は論評的速報ですから最後の段落でその仕事をしています。
これまで日本の世論は穏健派で元内閣官房長官の福田康夫氏が再入閣するものとみてきたが、常に対外的には強硬姿勢を崩さず、また首相の靖国神社参拝を支持してきた若手株の安倍晋三氏が初入閣し官房長官に任命された。さらに同じように首相の靖国神社参拝を支持している麻生太郎氏が外務大臣に就任しており、小泉新内閣の主なメンバーは靖国神社参拝を支持するああした人物たちによって固められていることが注目される。
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早くも飛び出しました「ああした人物」(笑)。「小泉首相の靖国参拝を支持する右翼勢力」とはっきり書けばいいのですが、このあたりは明日以降の論評記事に期待できそうですね。特に『環球時報』とか『国際先駆導報』あたりですか(笑)。
でも胡錦涛としては目下のところ「靖国ネタはとりあえず避けて」といったところでしょうから、「新華時評」や『人民日報』の「評論員文章」、あるいは署名論評には期待できないかも知れません。
逆にそこが動くようだと政争含みの展開、でしょうか。先日の靖国参拝についても「敵」を「小泉&右翼勢力」に局限して他方面(特に経済)への影響を避けようとしているので、胡錦涛は日本の新内閣を丸ごと敵に回したくはない筈です。
それとやっぱり軍主流派の意見を反映する『解放軍報』でも動きがあれば面白いところですね。
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とりあえず現時点での印象として、今回の内閣改造は中共にとってある種の「燃料」投下となるかも知れません。町村氏の後釜が麻生氏ですから、関係修復には絶好だと思うのです。ええ、もちろん「10年、20年、30年」という長期的な話において、です(笑)。そんな余裕などない中共政権にあっては、下手をすると現執行部が揺さぶられることになるでしょう。
ところで福田氏について私は反省することしきりです。前々回の「業務連絡。」(2005/10/29)において、
「今回も中国肺炎(SARS)のとき同様、WHOにタイミングよく渡航自粛勧告のようなものを出してもらいたいところです。靖国パンチでよろめいたところにbird-fluキック。さらに渡航自粛勧告の踵落とし。」
と書いたのですが、実は途中に「福田のフックだ」を入れようとしたものの、唐突すぎるのでやめてしまったのです。まあ「国立追悼施設建設」なんて言ってましたから、因果応報というやつでしょうか。
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ちなみに台湾ですが、ヤフー台湾をみた限りにおいては「麻生外相」が驚きを以て報じられてはいません。安倍氏の官房長官就任=ポスト小泉の最有力候補」という手堅い記事が並んでいます。安倍氏がタカ派だというのはありましたが麻生外相については……あ、1本ありました。
●小泉新内閣は右派で固める、麻生太郎外相は対中強硬派(東森新聞網 2005/10/31/18:30)
http://tw.news.yahoo.com/051031/195/2h69x.html
安倍氏のポスト小泉シフトが敷かれた内閣という位置付けで、一方でタカ派的傾向が強いとこの記事は指摘しています。安倍官房長官は安全保障問題においてタカ派色が濃く、麻生外相はこれまで何度も靖国神社を参拝しており、対中政策でもタカ派とのことです。
……以上、あとは明日以降のお楽しみということで。
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http://hk.news.yahoo.com/051031/12/1i8bo.html
これですか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051031-00000161-jij-pol
寝てしまうのですか?そんな殺生な。私は午後に打ち合わせがあったせいで寝ていないのに。遊就館で海軍コーヒー飲もうとしたらいつもより早めに閉館しちゃってるし。朝まで起きていないといけないし。
>>Unknownさん
記事は「明報即時新聞」から出たものですが、この町村発言のソースが不明なので何とも言えません。外電の引用だろうと思うのですが書いてありませんし。独自取材なら【明報専訊】というのが記事の冒頭につくか、記者名が文末に明記される筈です。
案外「来年の靖国はもっとすごいよ」と胡錦涛政権にプレッシャーをかける「燃料」だったりして(笑)。
私は町村氏は国内向けには強腰を装っているが、実際の交渉場面では弱腰という印象を持ってたのですが、「燃料」という見方もできるんですね。プレッシャーをかけてるという見方も出来るんですね。
小泉首相の会見があったんですか。見逃しました。orz
>>aquarellisuteさん
さすがに情報が速いですね。時事通信だったんですか。うーんもう少し喋ってほしいところですね。
>>22:41:19のUnknownさん
冗談ですから本気にしないで下さい。実際のコメントはもっと長いものだと思うのです。片言隻句にされてしまうとこうして意味がとれなくなります。詳報待ちですね。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/m-shinomiya/ron/2003/ron002.htm
東シナ海の日本側の掘削は進展しない懸念があります。
内閣改造記者会見、本当にびっくりでした。
麻生外務大臣のことはさておき、やはり個人的には 日米同盟と抑止力=痛い目にあう の明言でしょうか。オリンピックの年には原子力空母がくるし・・・太平洋をはさんで日本の防衛を助けるっていったら、日本の隣は・・・・。非常に非常に中共は厳しい現実に入ってしまった。
首相がここまで言わなくてはならないという現実を理解しているのかと、中共に聞いてみたいものです。
とか、おいおいブルーな1日かよ!
なんて思っていたのですが、終わりよければなんとやらですね。
まあ一部納得が行かない所もあるのですが、中韓との外相会談早くやらんかな(笑)とか、孔泉、王毅の(ひょっとして)苦虫をかみつぶしている姿なんてのが思い浮かぶだけで小さな幸福感に浸れ、良い一日だったな・・・なんて思うのであります。
いや、妄想なんですけどね(笑)
今回の外相降りって、もしかしたらこの諜報機関の方に行くためだったりしたら面白いんですが。
チト考え過ぎ? まあ、そんなすぐできないか。
とりあえず、今組閣でけっこうワクテカヌル………
真綿ならぬグラスウールで締め付けていければよいですなあ。
ちくちくして………
で、その会の司会が筑紫って…もう話が出来すぎ
そういえば大陸の方では
中国の栄毅仁・元国家副主席が死去
http://www.asahi.com/obituaries/update/1027/003.html
だったようですがこれで上海閥での内ゲバ。
なーんて期待するだけ無駄か
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/10/21/20051021000061.html
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/10/html/d95306.html
韓国->中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051101-00000009-scn-int&kz=int
発言に関連し「対話で解決できる問題ではない」と述べ、対話での解決を求
める日本側の要請に応じない考えを示した。
ソース 共同通信
ttp://flash24.kyodo.co.jp/?MID=JOM&PG=FLASH
さっそく反応来ました
首相の靖国参拝問題で
・中国外務省の孔泉報道局長は1日の記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝
問題について「対話で解決できる問題ではない」と述べ、対話での解決を求める日本側の
要請に応じない考えを明らかにした。
麻生太郎外相が先月31日の就任後記者会見で、首相参拝問題について「日中双方で
意見が違うのは確かだ。話し合っていく以外ない」と対話での解決を求めたことへの反論。
また孔局長は、同問題の解決方法について「日本側が真剣に歴史を反省し、平和の
発展を求めるかどうかの問題だ」と述べ、日本側が譲歩しない限り解決はあり得ないとの
考えを強調した。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20051101&j=0026&k=200511010246
いきなり挨拶代わりの釣りですかー!
見事に中側も釣られて不利な発言しちゃうし…。
(”対話で解決できる問題ではない”なんて、他の先進国の国民は何て言うかな?)
この調子で任期の最後まで、中側から連中の不利になる発言を次々釣り上げて頂きたいです。
GJ!
もはや、対話など期待すべきにあらず。
そこで、御家人さん、中共にすればどんな組閣の顔ぶれが一番いやなのか、ご教示いただけませんか。
巷間流布される、福田が外相ポストを蹴ったという噂は案外真実に近いのではと思っています。
安倍官房長官が既定路線だったとすると、福田が外相になったら閣内不一致の芽を自ら作り出して、後継者レースではなおさら不利になると思われます。
また無難なポストだったとしても、正攻法では安倍と麻生には勝てそうにない。
であれば、無役の党有力者という立場を活かし、小泉首相に対する批判勢力の長として党内基盤を固めるのに専念した方が得策と判断したのかも知れません。
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