日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 何やら妙なことになってきましたよ。中国国内メディアも昨日(4月11日)から江沢民の動静を報道し始めました。

 前回紹介した上海交通大学創立110周年記念式典(4月6日)に江沢民が上海市の現役指導部を引き連れて登場したという一件、香港紙では『明報』(2006/04/08)『星島日報』(2006/04/08)『蘋果日報』(2006/04/09)それに親中紙『大公報』(2006/04/08)が報じました。

 ところが中国国内では「創立110周年」記念イベントのみ報道され、江沢民の出席には一切沈黙。「江沢民の名前を出すな」という報道統制が敷かれた様子だったのですが、ここにきて状況が一変。「新華網」(国営通信社電子版)「人民網」(『人民日報』電子版)をはじめ、「新浪網」など大手ポータルも江沢民が上海交通大学を訪問した記事がバーンと出ました。

 ざっとみたところ中国新聞社電とより感情のこもった観のある別バージョン(上海交通大学オフィシャルサイト版?)の2本が全国ニュースとして流されています。いずれもかなり長文で、江沢民が主人公として扱われている記事です。いうなれば「江沢民の上海交通大学訪問記」てなところでしょうか。写真も使われています。その大半が前回紹介した『大公報』と同じもののようです。

 ――――

 江沢民の生地である楊州の「YZtoday.com」などは感情のこもったバージョンを採用しており、写真も5枚。バスから身を乗り出して手を振るなどなかなか元気そうで、まさに健在ぶりをアピールといったところです。

 http://news3.yztoday.com/news/3001/2006/04/10/2006-04-10_130913_3001.shtml

 温家宝を激論の挙げ句退けたとされる地元大番頭格の陳良宇・上海市党委員会書記や韓正市長など上海市の現役指導者を引き連れての登場は、上海市という「独立王国」あるいは「大諸侯」が中央に対して健在ぶりをアピールしたことにもなるでしょう。特に陳良宇は最近中央に叩頭する姿勢を示して「上海閥ついに陥落?」とみられていたところだけに、注目される動きです。

 ●陳良宇「上海は胡総書記の要求に応じて『4つの率先』に努める」(新華網 2006/03/21)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2006-03/21/content_4326340.htm

 全国的にニュースとなった、というのはもう視覚に訴える方がいいかも知れませんね。……という訳で、「新浪網」で検索したら引っかかった記事を並べておきます。

 ――――

 ●新華網(2006/04/10)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2006-04/10/content_4405814.htm

 ●人民網(2006/04/10)
 http://politics.people.com.cn/GB/1024/4285350.html

 ●中国新聞網(2006/04/10)
 http://www.chinanews.com.cn/news/2006/2006-04-10/8/714645.shtml

 ●国際在線(2006/04/10)
 http://news.sina.com.cn/c/2006-04-10/13328659644s.shtml

 ●南方網(2006/04/10)
 http://www.southcn.com/news/china/focuspic/200604100377.htm

 ●上海熱線(2006/04/10)
 http://ala.online.sh.cn/ala/gb/content/2006-04/10/content_1524061.htm

 ●光明網(2006/04/10)
 http://news.sina.com.cn/c/2006-04-10/17228660835s.shtml

 ●WWW21CN.COM(2006/04/10)
 http://news.21cn.com/domestic/difang/2006/04/10/2536967.shtml

 ●北京廣播網(2006/04/10)
 http://news.bjradio.com.cn/gn/nd/t20060410_816385.htm

 ●青年時報(2006/04/10)
 http://news.sina.com.cn/c/2006-04-10/14438660048s.shtml

 ――――

 ひとつ気になったのは、「新華網」も「人民網」もこの記事を新聞でいえば一面に並ぶ大ニュース「要聞」ではなく、一段低い「時政」欄で扱っていることです。もちろんより重要なのは、8日付の中国国内メディアによる報道では禁句だった「江沢民」という名前が、10日から一斉解禁となった点ですけど。

 ここ数日の間に党上層部で何らかのせめぎ合いがあり、その結果が「江沢民」解禁なのでしょう。ただし扱いはやや地味めにと、微妙なさじ加減。とはいえ8日にはNGだったものが2日経ったら規制解除になったのですから、この動きだけをみれば上海閥ひいてはアンチ胡錦涛諸派連合が盛り返している、といった印象です。

 ちなみに、私は「江沢民派」というより「上海閥」とした方が個人的にしっくり来るので後者を使っています。江沢民というボスのもとに結集した、というよりは「上海という利権に魅かれて結束した政治勢力」ではないかと思うのです。ですから親分格の江沢民が鬼籍に入ったら瓦解、ということにはならないかと思います。

 ――――

 で、昨日(4月10日)はその上海閥でもうひとつ動きがありました。上海閥の重鎮のひとりで現役指導部の一員ながら重病説が流れ、実際1月半ばを最後に公の場から姿を消している黄菊・党中央政治局常務委員(兼副首相)に関するニュースが流れたのです。

 ●2006民営企業求人週間がスタート、黄菊が祝賀メッセージを寄せる(新華網 2006/04/10)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2006-04/10/content_4407097.htm

 何やら黄菊の名前をタイトルに置きたいがために作成された記事、という印象が拭えませんが、どうでしょう?「江沢民報道」と同じ日にやはり上海閥である黄菊健在のニュース。ちょっと出来過ぎたタイミングのように思えます。

 胡錦涛訪米を前に何やらざわついてきた気配。ちなみに胡錦涛側の『中国青年報』『解放軍報』は「江沢民」「黄菊」のいずれも黙殺、シカトですからねえ。そんな気を持たせるような反応をするから(ていうか無反応)、こっちは勘繰らずにはいられなくなるのです(笑)。



コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



« 「主席!」「... 重金属野菜2―... »
 
コメント
 
 
 
訪米は鬼門? (おむら)
2006-04-11 10:25:15
そういえば、アメリカから帰ってきたら椅子がなくなっていた大国の長がいましたねー。
 
 
 
胡元総書記の評価 (失地農民)
2006-04-12 09:31:16
今朝(4/12)の読売朝刊で以下の記事が目に付きました。胡耀邦の評価は中国では政治問題のようですが、いかなる動きでしょうか。



=============

徐向前・中国元副首相、胡元総書記を追悼文で絶賛



中国の「十大元帥」の一人で副首相、国防相などを歴任した徐向前氏(1990年死去)が、胡耀邦・元総書記の死去翌月の89年5月、その政治実績を絶賛する追悼文を書いていたことが、中国の月刊誌「炎黄春秋」4月号で明らかになった。

(以下略)

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060411id23.htm



=============



それより気になるのが、最近の読売の動きです。昨年5月ごろに靖国反対に転じて以来、反小泉・親支那だったのが、先月の橋本&売国7の訪中日に領事館員自殺事件の記事を持ってきたり胡錦濤の足を引っ張っている感じです。

 
 
 
Unknown (御家人)
2006-04-12 09:58:49
>>おむらさん

 胡錦涛もどうなるかわかりませんね。訪米の後にアフリカ数カ国を回る予定ですから、北京を留守にする時間も長くなるでしょう。

 今回のエントリーのような事態のカケラひとつひとつを並べてみると、先月末の胡錦涛による「重要談話」(靖国参拝をやめれば対話に応じるw)以降だけをみても、アンチ胡錦涛諸派連合は結構活発に動いている様子です。

 というより動きの早さについていくのが精一杯、というのが実感ですね。こうなると迂闊に記事1本見落としても大きく響くので、記事漁りにはカナーリ神経質になります(笑)。



>>失地農民さん

 徐向前は有名な将軍でしたが胡耀邦絶賛の文章を遺していたとは知りませんでした。現物を読んでみないと何とも言えませんが、このタイミングで出してきたというのが気になります。ざっくりと言ってしまうと、胡錦涛は目下、「抵抗勢力」(過去20余年の改革開放政策による既得権益層)とぶつかりつつ、絶滅したかと思われたのに最近台頭してきた「左派」とも斬り結んでいる状態です。

 「左派」は本来の意味通り、私有制など社会主義の枠から大きくはみ出す政策に懐疑的な理論家集団なのですが、様々な格差拡大に非を唱えるグループが合流して活発化している気配があります。

 それから現役時代から胡耀邦を支持してきた胡績偉など党長老連。この3つの勢力のいずれかが仕掛けたのかも知れませんし、あるいは人脈的には胡耀邦に連なる胡錦涛側が訪米を前にアクションを起こしたのかも知れません。

 ちなみに4月15日は胡耀邦の命日です。当時上海にいた私は留学生宿舎の応接室にあるテレビで葬儀のニュースを眺めていました。中山服でなくスーツ姿で棺桶に収まっていたのが印象的でした。

 読売の動きには全く同感です。一時ナベツネが前面に出て小泉批判などをして中国側の喝采を浴びていたのですが、いまは全く別の流れが主導しているといった印象です。本来のスタンスに戻ったといったところでしょうか。

 
 
 
風見鶏 (Unknown)
2006-04-12 12:38:39
読売が変に見えるのは、ナベツネの盟友である「風見鶏」中曽根の個人的

問題が影響しているのではと思います。

中曽根は、中国(胡耀邦)に配慮して靖国公式参拝を止めたのが大失敗と

言われるのが嫌なのでしょう。本人も内心失敗と分かっているのでしょうが、

認めたくないので必死で正当化して自己暗示をかけている様に見えます。

医学が扱う問題かもしれません。

 
 
 
Unknown (でんすけ)
2006-04-13 18:30:49
>本来のスタンスに戻ったといったところでしょうか。

政府からのピンポイントなテコいれも考えられそうですね、

遺書の詳細がリーク(提供?)されてる辺りをみると…。

(それとも他の新聞社にも提供されてたが使わなかっただけ?

 だとしたら日本政府発信の 踏み絵 かも?)



>認めたくないので必死で正当化して自己暗示をかけている様に見えます。

・・・あれ?

近年の何処かの大国の、なんたら教育(笑)を続ける連中みたい?

感染し易い病気なのか、免疫力が落ちてくると発病するのか…。



ともあれ、踏み絵(?)といい個人的問題といい、

日本は日本で水面下の綱引きを始めてるのかも?
 
コメントを投稿する
 
現在、コメントを受け取らないよう設定されております。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。