私はふだん仕事の合間をぬいつつ、某巨大掲示板の某スレを拠点として自己紹介欄にあるような善意の活動(笑)に従事している訳ですが、その一方でチナヲチを通じて感じたことなどもそのスレに書き込んだりしています。
状況次第では反日派鎮圧ではなく逆に反日を煽ることも必要になりますので、ロクに当たらない天気予報を勝手にやっているようなものです。内容はこのブログと似たり寄ったりなので大したことは書いていません。
でも光栄なことに、勘違いをなさって素人の私に問いを発して下さる方も時にはいらっしゃいます。そういうときは恐縮しつつ、その割には臆面もなく長々と回答させて頂いております。
で、今日は「江沢民が失脚すれば、反日が是正されるのでしょうか?」という御質問を頂きました。以下は例によって悪い頭を捻りに捻って絞り出した回答です(やや加筆)。
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今回は権力闘争といっても、相手を倒してのし上がる訳じゃなくて、江沢民が軍トップの座を胡錦涛に明け渡すかどうかが焦点です。だから江沢民は引退であって、失脚する訳ではありません。
胡錦涛側としては、江沢民を引退させるとともに、引退後に院政を敷くような道を絶てれば完勝ということになります。
反日問題は、胡錦涛が完勝すれば間違いなく是正されます。
でも程度問題ですね。江沢民の反日はヒステリックで、個人的に日本人に対するトラウマがあるのかと思うほどでした(例えば好きだった女のコを日本人に持っていかれたとか、寝取られたとか――冗談ですけど)。まあヒステリックな裏には、あるいは軍の機嫌をとるということもあったのかも知れませんが。
で、どのくらい是正されるかというと、たぶん昨年末に出た楊振亜・元駐日大使の談話あたりが目安になります。
●歴史問題を過度に際立たせてはいけない
●行き過ぎた民族主義はいけない
●冷静に現実的に日本との関係を考えよう
●メディアも反日を煽り立てるようなことをしてはいけない
●でも靖国参拝には断固反対!
●あと尖閣諸島は中国のものだからね
……といったところですね。
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中共中央はこの楊振亜談話を以て対日関係を打開する足掛かりにしようとしたようですが、直後の元旦に小泉首相の靖国参拝が行われて内部やネット世論から突き上げ(楊振亜を売国奴呼ばわり)を喰らったため、慌てて引っ込めた観がありました。それ以来、この種の論調が党中央から出てくることがないまま現在に至っています。
で、胡錦涛が主導権を完全に握れば、この楊振亜談話程度まで反日のレベルが引き下げられるでしょう。
というのは、それを臭わせる記事が最近の『瞭望東方』誌に出ているんです。これからの対日関係をどうするか、というテーマの座談会を掲載しています。文末には新駐日大使となった王毅・前外交次官の方針めいたものも示されているので一読に値します。
http://www1.people.com.cn/GB/news/1023/2749896.html
我々にしてみたら「それじゃやっぱり反日じゃん」という感想になるのですが、15年も徹底した反日キャンペーンを展開してきた訳ですから、そのレベルまで引き戻すのも容易ではないのでしょう。
でも引き戻さないと、現在の社会状況では反政府の火種になりかねませんからね。
余談ですが、この反日教育で中国人の民度は確実に下がりましたね。特に若い世代が平衡感覚のある考え方をすることができなくなった。
これは絶対に後々響いてくると思います。
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……以上です。「胡錦涛になったら反日が是正される根拠は何だ?」なんて聞かないで下さい。何となくそう思っただけで根拠なんかないんですから。ただ、日本への憎悪をかき立てて自分の属する社会への問題意識を麻痺させる反日教育は、中国人の民度を下げているのではないかと思うのです。中国人の立場からしたらこれは愛国主義教育とは言えないでしょう。
私は六四世代ですが、少なくとも私と一緒に1989年6月4日を某大都市で迎えた同世代の中国人大学生たちは、「江沢民チルドレン=亡国の世代」という私の見方に賛成してくれると思います。馬鹿な私でさえそう思うくらいですから、胡錦涛ともなればより痛切にそれを感じているでしょう。
あと、反日教育というのはそもそも天安門事件(六四)で中共の権威が地に墜ちたため必要になったものです。中国の隣に恰好な叩かれ役がいるのをこれ幸いに、江沢民が日本と日本人を悪魔のような仇役に仕立て上げ、中共の求心力を辛うじて維持してきた、ということでしょう。でも、それがいつまでも通用するするかどうか。
……とは、改革・開放を20年余りやってここまで発展はしたものの、中国はそのために随分と無理を重ねてきています。それによって生まれた様々な矛盾が限界に近くなっていて、爆発寸前のようですらあります。国民にしたら「反日」なんかよりそっちの方が重要問題だろうと思うのです。つまり、もはや「反日」で国民をまとめられるような甘い状況ではない、ということです。あくまでも私見ですけどね。でも馬鹿な私でさえそう思うくらいですから、胡錦涛ともなればより痛切に(後略)。
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